ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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ロナルド・ウィーズリーになる前のお話です。


俺は俺だ

夢を見た、ホグワーツのお茶会のその日の夜に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は少し大きくなって、-中坊-の学ランを着ていた。屋上で寝転がり空を眺めていたら、急に視界が暗くなった。

折角の青空を見ていたが「お前か-教授-。」-親友-だったら別に気にしない。

 

「君ね~、喧嘩の仕方もっと考えなよ。正面突破だけじゃ~駄目だよ?」

「いいんだよ、先公の罰則何てたかが知れてんだからさ。三日の停学か。」

「うん、そして相手は一人残らず退学だ。」

 

・・こいつは・・「また-閻魔帳-を使ったのか。」

「そう嫌そうな顔で言わないでよ。言っただろう?カスにはカスの末路があるって。今回は君が動くことないって。」

 

今回の喧嘩相手はナイフやカッターで弱い奴をカツアゲしていた馬鹿どもだ。

そいつらは別に金に困っていない、寧ろ小金持ちの奴等だ。スリルとやらを求めた馬鹿げた事に、巻き込まれた奴等こそいい迷惑だ。

 

目撃をして適当に殴って追い払って教授に愚痴ったら、教授は深刻そうな面をした。

どうやらそいつらはPTAの会長の息子とか、町の名士とかの子供のようだ。

 

俺には関係ねえっていっても、教授はそいつらの閻魔帳を作るから、俺には大人しくしろって言ってきた。

 

でも無理、だってそいつらの方からお礼参りに来たから。それも年上の兄だか何だか引き連れて、8対1やったが俺の勝ち。喧嘩の場数が違うんだよ。

暢気にぬくぬく育ってきた奴らと、施設でいびられて育った俺とは勝負にもならん。

 

場所が悪かった。自校の裏庭で、お礼参りの奴等は簡単に俺をぶちのめしてはい終わり、

その後気絶した俺をいたぶるつもりが、怒声混じりの大喧嘩になって、大事になって、

捕まった俺達は施設育ちの俺に全てを押し付けて終わらせようとした。

 

相手の奴の親や教師全員がだ。

俺の事を罵倒し、名士とやらはしたり顔で偽善を吐き、俺がボコった奴等は弱い振りをして逃げようとした。

内心で笑っている顔が透けて見えるだけに吐き気すらした。

 

俺の退学が検討されかけたその時、教授が職員室に入ってきた。

後ろには見慣れない、この学校の生徒達を引き連れて。

 

そいつらは皆、カツアゲの被害者だった。証拠は被害者の一人が怖いながらもスマートフォンに脅しの言葉を全て録音をしていた。

 

大勢の生徒の証言、録音された生々しい脅しの言葉、警察に鑑定を依頼することを検討しているという教授の発言に、大人達が青くなって必死に止めようとして、結果俺は停学3日、奴等は兄貴達も含めて退学処分。

 

自業自得ではあるが、喧嘩に水を差されたようですっきりしない。

 

「余計な事をしたかな?」

「・・助けられたのは本当だ。けど、」

「分かってる。他人の力を使って、ずるした気になるかい?」

「・・・・・・」

「君は真っ直ぐすぎる。でもだからこそ、僕は君を助けたいと思う。

僕はね、ずっと他人に興味なんてなかった。困ろうが野垂れ死にしようがどうでもよかった。

弱い奴なんて強い奴等食われて当然。君が助けなかったら放っておいた、嫌なら足掻いて強くなれってね。」

 

あいつ等を説得するのは骨が折れたと教授はぼやく。

録音という切り札を持ちながら、助けた者が窮地に落ちても愚図愚図していた奴等だったと。

 

「皆が皆強いわけじゃねえよ、教授。」

「分かっている、そして皆が皆君みたいに綺麗じゃない。」

「・・・はあ⁉お前頭打ったか?俺が綺麗って。」

「いいのいいの、君は分からなくて。君は-僕-みたいなのには眩しい位なんだよ。

でも嫌な眩しさじゃない、温かい炎のようだ。ずっと温まっていたいほどの。」

「・・やっぱ頭打ったか。いきなりポエム言っちまってる。」

 

さらりとした黒い髪を、背中まで伸ばして結わいている変わった奴。

この町の町長の息子が、何を好き好んで施設育ちの俺にくっついて面倒を見てくれるんだか。

容姿はほっそりとした色白の美少年。入学早々絡まれてたあいつを助けたのが縁だ。

 

お礼と名前を聞いて、大した事してないと立ち去ろうといしたら、驚かれた。

 

そいつの苗字は変わっていて、町長の一家しかない名だから一発で家族だと分かられるらしい。

そして知った奴はたいてい町長の息子として見てくるか、何かしらのリアクションが来るのが当たり前と化していたのに、何も反応を返さなかった俺が珍しいらしい。

 

「だってお前はお前だろ?町長の息子って名じゃねえんだろ。」

 

ごく当たり前の事を言ったつもりなのに、そいつは大笑いをしてきた。

ムカッとしたが、笑いながら泣き始めたので黙って見てることにした。

 

暫く笑った後、「僕は君の友達になりたい。」なんて言ってきた。

 

ダチはなりたいとかでなるんじゃねえ、お互いが好きで信頼をして楽しく過ごす奴の事をダチだって言ったら、今度は妙に大人びた顔で笑いやがった。

 

「君は面白い。」

 

以来俺の周りをうろちょろとして、助けたり助けられたりとしていつの間にか-親友-といってもいい奴になった。

 

 

三年生になると、教授に進路を聞かれた。

 

「俺は働いて自活する。」

「君らしいね、そしたら僕は父の地盤を継いで偉くなる。将来君の働きの場を与えられるように、土方で働く気だろ?」

「まあ・・中坊卒が働くったらそれくらいか?」

「だろう?この辺て何にもない、せいぜい温泉があるくらいだ。もっと温泉の施設を強化したい。でも今親父が贔屓している奴等じゃ駄目だ、利益が出ても自分達の懐に入れてる。町の発展の邪魔だ。」

「・・お得意の閻魔帳づくりしないのか?」

「今はまだ僕は子供だ。」

「・・分かった、お前の夢を一緒に叶えるくらいの力を持つよう努力する。現場のたたき上げの社長にでもなりゃいいのか?」

「君は本当に話が早い、相変わらず頭がきれる。」

「・・・お前は学年一位でも、俺はせいぜい真ん中だぞ。そのお前に言われてもな・・」

 

他の奴が言ったら嫌味かと喧嘩しそうなこと言われてもな~。

 

「勉強は詰め込めば何とかなる。僕が言っているのは、君は柔軟な思考で状況判断が早く、持ち前の地頭の良さを使って何者にも臆さずどんどん前に進む。真っ直ぐに突っ走る君が、僕は大好きなんだよ。」

 

          

 

 

            だから走り続けてほしい、君のままで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・目が覚めた・・そうか・・俺は教授とあんな約束してたのか・・約束は守れなかった

 

邪神野郎のせいで。

 

あいつは、教授は俺の死に泣いただろうか、それとも怒っただろうか。嘘つきと言って。

 

「・・俺はこの地でも、お前との約束を守るよ教授。」

 

俺以外に興味はないと言いつつ、カツアゲにあった後、助けた事になった俺と親しくなった奴等にも気を配っていた不器用な優しい奴。

 

どこかセブルス・スネイプに似ていた。

 

俺以外には少々ぶっきらぼうだった教授と、初めて会った俺達に余所余所しくも、端々で優しさを見せたセブルス・スネイプが似ていたので、俺はセブルスを教授と呼ぶことにした。

 

 

俺は何で色々と考えて動こうとするのかと、周りの奴等によく聞かれる。

ホグワーツのお茶会の発案時にはマクゴナガル先生に。

 

子供の家の時はルシウスさん達に。

 

いろんな奴等に聞かれた。

 

だって皆が楽しい方がいいだろう、そうとしか答えられなかった。

 

でも夢で思い出して分かった、俺は忘れていても心の奥底で教授との約束を覚えていたんだ。

 

大人になって、町を発展させようと。

 

 

「・・ごめんな教授。。」-お前-との約束は守れなかった。

 

でももう一つの約束は死んでも守る。沢山の事を考えて、俺らしくまっすぐ走り続ける。

 

だから、どうか、俺の事で悲しんでいたら笑ってほしい。

 

どこにいても、俺は俺らしく生き続ける。

 

 

馬鹿みたいに前しか突っ走らない俺を思い出してくれ。こけて怪我していた痛いを見ても、懲りなかった俺はここでも変わらずに生きているのだから。




ロナルド・ウィーズリーの過去夢でした。

他の教師はダンブルドアであっても先生ですが、セブルスだけ教授な理由を書きたくなりました。

ドラコの様に容姿が天使でしたたかな強さで、中身は大蝙蝠さんの様な不器用な優しさを持った、前人生の親友が元ネタです。


ロナルド・ウィーズリーの根っこを書ききれていればいいな~と思います。

次回は一年生の終わりです。

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