まだかな・・遅くねえか・・ -ピンポーン-
やっと来たか!!
「・・ハリエット、出なさい。」
「お・・はい!」
呼び鈴がやっと鳴った、昨日この家に入ってからずっと待っていいた。
ハリエットは昨日この家、つまりダーズリー家に帰って来た。
また虐められんのか面倒臭え~、なんて考えてながらキングズ・クロス駅について俺を待っていたのはバーノンだけ。
一応は迎えに来たか、荷物重たえと思ってたらバーノンの奴がいきなり俺の荷物を持った!!
・・ありえね・・何がどうなってんだ?俺なんて死んじまってもいいと思ている奴が、荷物持ってくれるなんて。
車の中は無言だった、つまり罵りもなかった・・何がどうなってんだかさっぱりだ。
「お風呂に入りなさい。」
戻ってきた俺に言ったペニチュアの一言もおかしい。いつだって最後で、ほったらかしで入っていたのに声を掛けてくるなんて。
夕食もそう、ダドリーが俺に何もしてこない。サンドバックにも、悪口を言う相手にもしない。
・・不気味な俺に構いたくないのかと思えばそうでもないらしい。「ご飯よ。」なんんて言われた時は流石に「・・はあ~⁉」なんて言っちまった。
夕食は持たせてもらったと言っても、それごとでいいから来るように言われた。
静かな食卓、ホグワーツの賑やかさはない。でも・・今までと全く違う。
俺の食事場所は物置で、いつも作らされてから一人で食べるのが習慣だった。
お陰で飯づくりには自信があるが、この家のダイニングで食べたのは今日が初めてだ。
なんでだろう?
「バーノン・・私達は・・あの子に・・何と惨い事を・・」
「ペニチュア・・探そう・・あの子供を受け入れる方法を・・そしていつか詫びよう、ハリエットに。」
ハリエットがホグワーツに行ったその日、邪神の干渉の無くなった二人は今までの自分達の仕打ちに恥じ入り打ちのめされた。
-まとも-な事を望む二人は、自分達がしてきたことは倫理的に、社会的に、道義的、全てのことから見ても、最低な行いをしてきた。
何故かはわからないが、魔法族のハリエットを無視するだけではなく、惨い仕打ちをしたい衝動にかられたまま行ってしまった数々の仕打ち。
酷くまともではなかった、息子も親のしている事を見て真似をして、無垢な心を汚させた。
眠る時は-これではいけない、明日は無視するだけにしよう-と夫婦とも思っても、朝起きてハリエットを見入るとまた繰り返し・・ホグワーツに呼ばれた時はホッとした。
これでもうあの子供に酷い事をしなくて済むと。
そしてルシウス・マルフォイがやって来て提案して来た事を受け入れた。
自分達とハリエットの為に。
帰って来たハリエットを見ても、惨い事をしようとは思わなかったことに、バーノンは驚いた。
小さな体に荷物は重いだろうと-まとも-な考えが働いたので、荷物をもってやったらハリエットが目を丸くした。
こんな些細な事に驚かれるほどに自分達は、酷い事をしてきたのだと罪悪感が増す。
それでもこの罪から逃げないと、妻と誓った。もう二度とハリエットを意図的に傷つけないと。
翌日に迎えが来るのも知っている、-手紙-が届いたから。
フクロウなどという馬鹿げた代物ではなく、郵便で。
差し出し人はルシウス・マルフォイではなく、アーサー・ウィーズリーとあった。
きちんと正規の切手が貼られ、中身は常識的な挨拶で始まり、休暇の次の日にハリエットを迎えに行ってもいいかという、まともな内容だった。
ハリエットが話の通りに魔法界とやらの英雄であるならば、虐待をしていた自分達を攻めなじるのではないかと覚悟をしていたのに。
迎えの時刻と、アーサーとその奥方と、ハリエットの同級生の息子を連れて、案内にルシウス・マルフォイも一緒だと書かれていた。
返書先の住所に、許可を出す内容の手紙を送り、そん返書が届いてはまた返すという、一種の文通めいたやり取りをした。
お陰で迎えに来るものの人となりもしれてよかったと、両家の夫妻は互いにホッとした。
何せお互い、マグルの夫妻、魔法界の夫妻は初対面だから。
バーノン達は、ダドリーにある事を約束をさせた。決してハリエットを虐めない事、その方がいいのだという理由も包み隠さずに。
自分達の間違いを息子にきちんと話したのだ。
「・・分かった・・無視する。」
ダドリーの返事だが、今はそれだけでいいと思った。いじめないことが肝要だと。
そして迎えが来た。
「おはようハリエット、お邪魔をします。」
扉を開ければロンがいた!
「おはよう!!ルシウスさんも・・えっと・・初めまして・・」
ロンの後ろにはルシウスさんと、知らないおじさん達発見。
「ああ、初めましてハリエット・ポッター。私はアーサー・ウィーズリー、こっちは妻のモリ―だ。よろしく。」
「初めましてね、ようやく会えた。クッキーをありがとう。素敵なメッセージもね。」
「おはようハリエット、お久しぶりですバーノンさん、ペニチュアさん。」
一通りの話を居間で大人達がしている時、子供は子供同士で「おれはロナルド・ウィーズリー、家族や親しい奴はロンて呼ぶ。」
「・・俺はダドリー・・お前達って箒に乗ってくると思った。」
「それマ・・人前でやったらアウトだ、色々と法律があって、魔法を使わない奴の前ではめったに使わないんだよ。それよりもお前ラグビーかボクシングやれば?ウェイトがあって向いていると思う。非力な女子をどうこうするよりもはるかに有意義だ。」
階段に座って話し込んでいる。ダドリーの部屋ではなく。
「・・お前は何にも言わないのか?」自分達がハリエットにした事を。
「それを言っていいのはハリエット本人だけだと俺は思ってる、どうなんだハリエット。」
「・・・・正直もうどうでもいい、俺今幸せだし・・俺を引き取らなきゃならなかった時の経緯聞いたら、腹黒狸ぶっ殺したくなったけど。」
「・・腹黒狸?」
「・・俺をこの家に預けるって言った奴・・金もなんも払わねえ、音沙汰もねえ、感謝の言葉もねえなんて最低な事をした奴だ。」
「・・・それでもさ・・」
「いいんだよ、本当のところ、お前達の事がどうでもいいから何の怒りも湧かねえんだからさ。」
詫びようとするダドリーのに、ハリエットは本心を語る。
興味のない者に関わりたくないと。
「・・・分かった・・父さん達の話し合いが終わったみたいだぞ。」
「おう、じゃあなダドリー。」
「・・ハリエットを・・」
「頼みます・・」
「・・じゃあな・・」
一家は揃ってハリエットたちを見送り、まともな見送りをするダーズリー家を見て、ルシウスとウィーズリー夫妻は、あの一家がなぜハリエットをあそこまで惨く扱ったのか分からずに疑問だらけになった。
そんな大人達を尻目に、迎えに来た車に早々に乗り込むと「明日からどこ行こう。」
「最初はドラコの家か。」
「ハーマイオニーとは何時?」
「シェーンと、トーマスの日程が・・」
出掛けて遊びに行く話に夢中になる。
ハリエットは本当に楽しみにしていた、出掛ける事を、ロン達と夏休みを過ごせることを。
さあお出掛けだ!!