ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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夏季休暇での出来事は駆け足です。
三年生編でゆっくりと書きますのでご容赦を。


綺麗な奴と会ったんだ!!そいつは・・

なんてこった!!俺の、人生初のマイ天使が・・どうしてこうなった!!

 

俺はあまりの絶望に膝をつき大泣きをしたくなった。何故・・どうして・・

 

「ロン!最早どうしようもない事だ!!」

「そうとも、しかしそれでも俺達はジニーを愛し続けることには変わりはない!!」

「・・ジョージ・・・フレッド・・俺はどうすれば・・」

「お前らしくないぞロン!君は言ったじゃないか、どんな事があっても家族と愛する者達を愛し抜くと!!」

「パーシー・・それでも俺は・・」

 

ロンは兄達の言葉でも顔が上げられなかった。その顔は悲しみが濃く、打ちひしがれていった。

 

ああ・・なんで・・どうしてと、魂を引き裂かれたが如くに呻きながらとうとう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

    「なんでジニーがスリザリンの子になったんだよ―――!!!!!!」

 

「五月蠅いですよ、ウィーズリーの男子全員!!見なさい、妹さんも呆れていますよ!!」流石にマクゴナガルが厳重注意をした。

 

「・・お兄ちゃん達・・今の姿私好きじゃない・・」

 

ガ―――ン!!・・妹が・・愛天使が~!!

 

「だってジニー!!お前がスリザリンに行くって想定外なんだぞ!!」

「でもお兄ちゃん、ドラコもハリエットもスリザリンで、セブルス先生も・・」

 

大広間の組み分け最中で、ホグワーツの在校生と及び教職員全員が、今のロンに疑問を覚えた。

彼はスリザリンや他寮を差別しなのをよく知っている。

ではなぜこうなったのか。

 

「だって・・」

「・・うん・・」

 

「・・・・お前の髪を俺が毎日結ってやろうと思っていたんだあ!!!!!」

 

 

「「「・・・・はい~⁉」」」

 

「毎日毎朝違う髪を結ってやれるように雑誌で勉強して、毛糸で練習もしたんだぞ!!

それなのに出来ないなんて・・兄ちゃん悲しい・・」

 

 

・・・そんなしょうもない理由でこの世の終わりの様な有様をしたのか、ロナルド・ウィーズリーは!!!!

 

 

「あっはっはっは!!!もうだめ・・ひっひっひ・・腹痛え・・」

「笑い過ぎだぞハリエット!!」

「いやだってロン・・見ろよ、ジニーが真っ赤になっちまって。」

 

如何にブラコンのジニーでも、大広間の組み分け真っ最中に兄からあんな事を言われたら、お恥ずかしいお年頃である。

 

 

それでも「ありがとうお兄ちゃん、大好きだよ。」兄大好きはぶれない所がジニーらしい。

 

ウィーズリー家は総じてグリフィンドールが多いが、ジニーは帽子にお願い事をした。

 

「ハリエットを近くで守ってあげたいの。お願い帽子さん、私をスリザリンに入れて?」

 

ジニーの可愛さと健気さに帽子は叫んだ「ジネブラル・ウィーズリー、スリザリーンー!!」

 

 

そして大広間の騒動は起こった。

 

ジニーはハリエットが好きだ。生き残った女の子としてではなく、ちょっと口が悪くとも寂しがり屋で、ひょっとしたら自分よりも幼い感じのする女の子として。

 

夏休みの次の日にハリエットが家にやってきた。兄達の手紙よりも健康そうで、笑った顔が可愛かったが、身長は自分と同じくらいでとにかく細すぎる子だった。

 

兄達とハリエットであちこちに行った。子供の家を大層気に入り、小さい子たちに交じって遊んで楽しそうだった。

 

シリウス小父さんとも仲が良く、マルフォイ邸に行ったときは「金持ち・・」って呆気に取られて、探検ごっこをした。

 

でも知っている、夜中に時折うなされて目を覚ますことを。

兄の名を呼んで震えている様は見ていて痛々しかった。

 

「大丈夫、大丈夫だよ。」

同じ部屋で寝ていた自分が、ハリエットを抱きしめて守った。悪い夢から、嫌な記憶から。

 

ハリエットを守りたい、その為に寮も一緒がいい。そう考えて望んだことだ。

 

 

 

「うう~・・ジニーをよろしくな皆~。」

 

「心配するなロン、ジニーは僕等にとっても妹のような子だ。」

「・・気が向いたら守ってやる。」

「ほら、ご飯食べろ。」

「デザートだ。」

「よろしくなジニー!歓迎するぜ!!」

 

 

チックショー!!帽子の奴めえ!!!!!!

 

 

「ほらロン、ここでお別れ・・」

「別れとかいうなハーマイオニー!愛してるぞジニー!!」

 

寮に行くだけでこの有様・・大丈夫かこいつはと、在学生一同が不安な目をロンに向けたのだった。

 

 

 

 

 

 

ああ~・・マイ天使の妹が・・翌朝二人っきりで理由を聞いたら応援するしかなくなる。

ちなみにパーシーが早速父さん達に組み分け結果を伝えても、お叱りは届かなかった。

 

 

マルフォイ一家が闇陣営で無くなったのと、うちの父さんとルシウスさんの仲がいいので-ドビー騒動-ルートはなんもなし。

 

クィレル先生いるから-ギルデロイ・ロックハート-もなし。

 

先生が残った事で、闇の防衛魔術の呪いはデマかと噂になったけど、掛けた本人が付いてるから大丈夫とは言えないか。

 

まあ、あんな馬鹿男に付き合わずに、馬鹿みたいな本を高額で買わずに済んでよかったけど。

 

 

つらつら考えながら、俺は今禁じられた森の境界線ギリギリで人?待ちをしている。

 

一年生の頃から通って、-一人-しかお誘いにのってくれないけど・・来た。

 

「やあ、ウィーズリー家の子よ。今年もよろしく。」

「お久しぶりです、フィレンツェ。元気そうだけど・・」

「・・我等ケンタウロスに何の用だ。」

 

やっと来てくれた。

「初めまして、森の賢者殿。俺はロナルド・ウィーズリー。家族と親しい者達にはロンって呼ばれている。」

 

 

「ほう、我等に対しての礼儀はなっているか・・珍しい-仔馬-だ。

私はロナンだ。再び問うぞ、ロナルド・ウィーズリー、我等に何用だ。」

 

一年前からこの赤毛の少年は自分達に会いたいと呼びかけてきた。

 

人との距離が近過ぎるフィレンツェはすぐに反応をしたので、少年の用向きを聞いてみることにした。

本来ならば人間なぞどうでもいいのだが、「禁じられた森の守護者である、ケンタウロス達にご挨拶をしたく!!」

口上が気に入ったのだ。その通り、我等はこの森の秩序を守っている自負がある。

フィレンツェに用向きを聞かせたが「他のケンタウロスも来てくれた時に言わせてもらう。」

 

以来足繁く通ってきた。決して森の境界線を越えることなく。

 

「用向きは一つ、俺にこの森に入る許可をしてほしい。」

「・・入りたければ好きにすればよかろう。人は今まで勝手に入ってきたぞ。」

 

それこそ自分達と多少仲がいいハグリッドとても。

 

「言ったろう、俺は森の守護者の許可をきちんと取っておきたいんだ。」

「・・・本当に変わった子だお前は・・」

「よく言われる。」

「・・好きにせよ、我等は森の守護者なれど、番人ではない。森を行くも行かぬもその者の自由。

例え-どのような目-にあおうともだ。」

「分かってる、そこは自己責任だよな・・なあ、一つだけ頼みがある。これを聞いてくれたら、あんたたちの頼みも何でも聞く。」

「ほう、我等が人間に何を頼むと?」

「・・一角獣やユニコーンの密猟者が押し寄せて来た時とか?」

「・・本気か?」

「本気だ。」

 

この子供は面白そうだ、我等に対しての礼儀はある。聞くだけ聞いてみよう。

 

「何を我等に頼みたい」

 

何かを他者に預けるようには見えない。我等の背に乗りたいなぞという愚かな事を言う子にも。

 

「ホグワーツ全体の危機が、万が一森から襲い掛かろうとしてきた時は知らせてほしい。

人族の事だからと放っておかないで欲しい。一度でいいから。」

 

「・・・この城には人族の強力な結界が施されているが?」

「分かってる、でも・・もしヴォルデモートが復活をしたら持つとは思えない。抜け道も圧倒的に森からのが多いのも、兄達から聞いている。俺はハリエット・ポッターを守りたい。家族も、大切な人達も。」

「そうか・・かのポッター家の子の為に。お前は闇の帝王が滅んだとは思っていないのか?」

「・・遺体は出て来ていない。」

「ふむ、それは道理でそして違うともいえる。亡骸が残らない呪文ならばいくらでもあるだろう。」

「それでも、俺は万が一を考えてる。例えそんな事は起きない杞憂であっても、俺は万全の守りを敷いておきたいんだ。」

 

 

この子供はどうやら本気のようだ。天の運行も、かの闇の帝王の死を指し示してはいなかった。

あの予言の子の誕生の日の星々は、帝王の衰退を告げこそすれ滅びてはいないと。

 

人族には決して明かさない事だが、この子供は何かを感じているようだ。

 

「分かった、一度だけだ。」

「ありがとう、ロナン、フィレンツェも森であったらよろしくな。」

「ああ、待っているぞロン。もう日が暮れる、早くお帰り。」

「じゃあまた!!」

 

赤毛の少年は仔馬の如く疾走をして立ち去った。

 

「・・ロナン・・先程の・・」

「案ずるなフィレンツェ、約束は守る。あの子供が守る限りは。」

「・・我等があの子供に望むことなぞ・・それにベインは・・」

「私が説得をしよう。」

 

フィレンツェの心配は分かる。ベインはケンタウロスの掟を絶対視する傾向にあり、頑なすぎるところがある。

 

我等はハリエット・ポッターには恩義がある。かの帝王のせいで、魔法生物がどれほど殺されたか・・あのような事は二度とは起きてほしくはない。その為にも・・

 

フィレンツェとロランは音もなく、森へと帰っていった。

 

 

 

 

いや~話の分かるケンタウロス達で良かった。

 

「あれロン、何かいい事があったのか?」

「うん?まあちょっと、それよりも今年のクィディッチの選抜受けるのかハリエット。」

「も・・」

「もちろんだともロナルド・ウィーズリー!!彼女は我がスリザリンの星だ!!!期待の新人シーカーだ!!!」

「・・・・選抜試験はまだだよな・・」

「五月蠅いぞオリバー・ウッド!今年も我がスリザリンが優勝だ!!今年は自身の力で優勝杯を手にしろ、ハリエット!!」

「もちろんだキャプテン!!俺はやるぞー!!!」

 

 

・・元気なのはいい事だ・・

 

「今年は我がグリフィンドールの勝ちは決定だぞ、マーカス・フリント!!!」

「・・ほう、あのシーカーは確か親の仕事の都合でイタリアの魔法学校に行ったはずだが?」

「はん!!それがどうした!我等に秘策あり、頼んだぞロナルド・ウィーズリー!!!」

 

ブゥウー!!がっはっ・・がっは・・今・・なんつうた?

 

「しっかりお兄ちゃん!!」

「・・サ・・ンキュウ・・ジニー・・・・人様巻き込むなオリバー・ウッド!!!!!」

「何を言う!!お前の兄達は、現クィディッチの・・」

「兄達は兄達!俺はするといった覚えは一度もねえ!!」

-ガタン-「・・そんな・・Mr.ウィーズリー・・」

 

って・・なんでそこでマクゴナガル先生がショック受けた顔してんだよ!このクィディッチ狂副校長が!!

 

「ほっほっほ、何事もチャレンジじゃの~。Mr.ウィーズリー。」

 

・・この腹黒狸め!対岸の火事見物しやがって!!適当言って楽しむんじゃあねえ!!!

 

 

            「俺はやらねえぞ!!!!」

 

 

 

あーあもう!!あの後大広間の全員から説得をされかけて、敵前逃亡しちまった。

皆して人をおもちゃにしやがって!折角の嬉しい気持ちが台無しだ。

 

でもいいか、ケンタウロスの約束は取り付けられた。この学校って本当に抜け道多すぎ。

全部はカバーリングできなくても、せめて一部・・でも・・駄目だ眠い・・寝よう。

 

 

 

 

 

 

「ふんふふっふん~」

「お兄ちゃん楽しそう。」

「ああ、大広間で結うなんてちょっとはしたないけど、お前の髪を結えて嬉しい。」

「私もお兄ちゃんに結ってもらえて嬉しい。」

 

 

このシスコン・ブラコン兄妹に何を言っても無駄なんだろうな~というのが、一夜にしてホグワーツの常識の一つに加わったので、はしたないとは誰も口に出して指摘しない。

あの厳格なマクゴナガルも、兄妹愛の美しさに目をつむることにした。

 

これぞロナルド・ウィーズリーマジックである。他の同級生も兄達も邪魔をしない。

・・したら怖い事になりそうだから。ロンは基本的に優しいが、怖い時はとことん怖いのもよーっく知っているから。

 

 

そのロンもひっくり返る出来事がこれから起きるのだが・・

 

 

 

 

 

 

 

「そうか!!そうなんだ!待っててくれ!-お前の事-みんなに教えてくる。」

「・・しかしハリエット・・」

「大丈夫だ!!さっき言ったロンや他の奴等ならお前のこと分かってくれる!!」

「分かった・・我はここで-目をつむって-待とう。」

「なるたけ早くに戻ってくる!!」

 

 

 

ハリエットは暗い地下の一角から飛び出し、大広間へと急いだ。

 

 

どこ・・「いたー!!ロン!みんな!!!!」

 

「・・おはようハリエット・・どうした息せき切って。まだ早い時間だぞ?」

「おはようハリエット、寮にいないからみんな心配してたよ?」

「悪いジニー、朝-呼ばれて-そいつの所に行ったんだ。アミルとダフネに謝んねえとか。ドラコ達にも・・それよりロン!!俺が-誰-にあったと思う?すんげえ綺麗な奴に会ったんだ!ヒヤリとしたすべすべの肌の持ち主でさ。」

「・・・新入生か?呼ばれてもホイホイと行くなって、確か教えたよな。」

「うっ・・でもいい奴だった!ずっと一人で居て寂しいって!!・・お前なら分かってくれるだろう、ロン?」

 

・・ハリエットの奴、潤る目攻撃ってずるくねえ?可愛くて全部許しちゃる、たとえ世間様が許さなくとも俺は許してやる!!

 

「分かった、それでそいつは誰なんだ?」

 

「分かってくれてありがとうロン!!」

「わっと!!危ないだろう、いきなり抱き着いて・・」

「へへ、でも嬉しいんだ。」

「はあ~、それで、お前を呼んだ奴は誰だ。俺も会っておきたい。」

やばい奴なら速攻で消す「そいつは-蛇-なんだよロン」・・かって今何て?

 

「えっとハリエット、今誰って・・」

 

「蛇なんだよ、でっかくてとっても綺麗で・・」

 

・・・ちょっと待て・・でかい蛇って・・

 

「そいつが名前教えてくれた。」

 

まさかとは思うけど・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          

 

 

 

 

            「バジリスクって言ってた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・ガシャーン!!ドッシャーン!!!ドンガラガッシヤアーン!!!!!

 

 

大広間はハリエットの言った者の名を聞いて一瞬静寂をし、その後瞬く間に物が落ちる音が響いたのちに、また静寂をした。

 

 

「・・皆どうしたんだ?」

 

ハリエットの不思議そうな声が焼けに響くほど。

 

 

 

・・なんでバジリスクの名前がここで出るんだ―――!!!!!!!

やばい奴どころかラスボスじゃんかよ!!!!




以上ロンの叫びでいったん終わりです。

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