結界の作用はオリジナルです。
魔法界の最速の配達便は何か。梟よりも両面鏡がいいと言われても、あれは高価なアイテムなので隼や鷹が上がった。
しかし長距離を正確に届けるのはやはり梟しかなかった。
だが魔法界最速の鳥類魔法生物が、魔法省の闇払い室に飛び込んできた・・それも窓ガラスをぶち破って。
「何だ一体!どこの手先だ!!」
「闇払い局に喧嘩売るとはいいど・・って!これ不死鳥じゃねえかよ!!」
「・・腹黒校長様のフォークスさんかよ・・足に手紙筒ついてんぞ。」
魔法省とホグワーツは基本仲が悪い。何故ならホグワーツで事件が起ころうとも、自由自治権を盾に取られて介入が出来ない
かてて加えて現校長様と現魔法省大臣との仲が超が付くほど仲が悪い。
表立っては何もないが、会う度に絶対零度の空気でもろバレだ。リーター・スキーターにすっぱ抜かれてからは魔法界全体の常識である。
闇払い局も基本あのじいさまが苦手である、嫌いではなく。
何を言うにも勿体ぶった言い方が特にだ。
そのじいさまが手紙、それも不死鳥のフォークスがもってきた。
いったい何かと、キングズリー・シャックルボルトが開いて・・・目が点になった。
ホグワーツにバジリスクが出たのじゃが、どうしたもんかの~
「あ・・・あのじじい!!とうとう耄碌したか!!!どうしたもんかじゃねえだろうが!!!」
普段は温和でマグル生まれだろうが純血だろうが、はてはマグルにも公平で優しいで有名な彼が怒鳴って同僚一同ビビこいた。
「・・あの~・・キングズリー?」
「ホグワーツにバジリスクが現れた!!」
「・・・・」
はいい――――⁉!!!!!!
なんじゃそりゃ!!あれは危険指定生物の中でもXXXXXものの超が付く危険生物だぞ!!
なんで未成年の学び舎のホグワーツに現れた⁉
ホグワーツご自慢の鉄壁の守りはどうした!!
「五月蠅いぞお前達!!この際そんなことはどうでもいい!!!!至急闇払い局の全職員をかき集めろ!!!非番も呼んで来い!!!!」
闇払い局フロアーの大パニックを、キングズリーは怒声でとめて、テキパキと指示を出す。事態は一刻を争うのだから。
「その通りだお前達!!!とっととバジリスクぶっ殺しに行くぞ!!!!」
「・・何であんたが指示だしするんだ!シリウス・ブラック!!!!」
なんで魔法界の暴君・・もとい王様が魔法省の闇払い局に居て、口出ししてくる!!!
「うるせぇ!グダスカ抜かすな!!!あそこには俺の天使達がいんだよ!!!速攻ぶっ殺す!」
「・・シリウス、かの生物は余程の事がないと保護対象です。殺されては困ります、せいぜい目を潰して牙をもぎ取り無力化して飼い殺しにするのが最善かと。」
・・シリウスに続いて、現魔法界のナンバー2まで一緒だった。
シリウス・ブラックが炎の王ならルシウス・マルフォイは氷の帝王と称されている。
・・どちらかというと怒鳴るシリウスよりも、淡々と凄い事を言うルシウスの方が怖ろしかった・・・そうだった、今期のホグワーツにはこの二人の名付け子と愛息子様が揃ってお通いあそばしてた・・
シリウスとルシウスは-とある用事で-魔法局にやってきた。
例によって例の如く赤毛の少年よりの神託である。
「魔法を発露したら、その時点で両親がマグルでも魔法使いの子がいるってわかるんだろ?
分かった時点でホグワーツに入学するまでほったらかさないで、役人が説明をしに行った方がいいんじゃね?」
世の中ハーマイオニーやディーン達の親の様に、魔法を受け入れる者達だけではない。
化け物と虐待をする者もいるはずだ。それを防止するために、保護目的で説明をするべき部署が何故ないのかと、夏季休暇中のロンが、ルシウスに話したのだ。
説明で納得をせず虐待を止めない者もいるだろうが、それはそれでその子供保護をするべきではないのかと。
「・・・そしたらあいつはあそこまでになんなかったと思う。」
ロンがぽつりと言ったあいつとは、ハリエットの事だとすぐに分かった。
確かにその通りだ。息子のドラコから毎日楽しい話と同じくらいに、ハリエットの事も必ず書かれていた。
魔法界の英雄の末路を・・読んでいて胸が潰れる思いがした、息子がこんな目にあったら自分は耐えられまい・・たとえ死した身としても。
かくして友を思う子供の思いと、親としての思いが合致をして化学反応が起き、あれよあれよと未就学児保護法案の草案が作られた。
ポッター夫妻が命懸けで守った女の子の事を思い、二度と悲劇が起きない為にと、シリウスと駆けずり回り、賛同署名をかき集めた。
話を聞いた者達はほとんど賛同をしてくれた。まあ、死喰い人の家は避けたので、結果的には満場一致で。
その話をしに魔法省に来たらとんでもない話が二人の耳に飛び込んできた!!
「行くぞ野郎ども!!!狸爺はともかく!!俺の天使達助けに!!!!」
最早シリウスはダンブルドアを尊敬してはいない、寧ろ警戒をしている。
二度とハリエットの人生を振り回させないために。
闇払いが20人集まってからホグズミードに姿現しをした。
本当はさっさとルシウスと二人で行きたかったが、「今あなたに何かあられては困ります。」
ルシウスの冷静突っ込みで待ったがかかった。
魔法界の幼稚園づくり、これからの魔法族未就学児の保護法案を通すにはブラック家の威光が欠かせない。
よりよい未来の為の事でも、大人の事情が絡めば色々とあるのだ。
-バチン!!-ホグズミードに姿現しをした先には、屋敷しもべが十数人いた。
「・・これはシリウス様!ルシウス様も!!・・後ろの方々は魔法省の・・」
「そうだリジー!!ホグワーツは・・ハリエット達はどうしてる!!無事か⁉」
「何故ホグワーツの屋敷しもべがホグズミードにいる?」
先頭の屋敷しもべはシリウス達がいる事に、シリウス達は顔見知りの屋敷しもべがいる事に驚いた。
「落ち着いてください御二方、私共がいるのは僭越ながらホグワーツまで姿現しのエスコートをさせていただきます。」
「・・・・出来んの?」
「私共の魔法は結界に作用されません。」
「では早速!」
「落ち着いてくださいルシウス様、ロナルド・ウィーズリー様の・・」
「リジー!!!」
リジーの言葉を、年嵩の屋敷しもべが止めに入った。
「お初にお目にかかりますシリウス・ブラック様、ルシウス・マルフォイ様、私はカルーナと申します。
セブルス・スネイプ様よりのご伝言です。現段階ではバジリスクは脅威ではない、穏やかにハリエット・ポッター様がお話を伺っているとの事です。
我々はホグズミードに姿現しをする魔法省の方達をエスコート事と、このご伝言を託されてきたのです。
バジリスクをいきなり攻撃されない様にと。」
「ちょっと待ちたまえ!!バジリスクと・・ハリエット・ポッターが話しているといったか⁉」
「申しました。かの方はパーセルタングのようで、ダンブルドア校達の立会いの下、穏やかにお話が進んでいるようです。」
「・・・あの生き残った・・」
「狸爺はどうでもいい!!その場にはロンが居るのか?」
キングズリーと他の闇払いの驚きを蹴っ飛ばし、今自分が一番信頼を寄せている者の名をシリウスは確認をした。
ロンがいれば何でも大丈夫だと。
・・この御方は・・せっかく自分がロナルド・ウィーズリーを魔法省から隠そうとしたのに、ぶち壊しやがった!!!
「どうせお前達を寄越しやっがたのロンだろう。」魔法族の考えそうにない事は全部あいつだ。
しかも折角セブルス・スネイプで言ったのに!!!
リジーが馬鹿正直にロナルド・ウィーズリーの名前を出したから自分が止めたのに!
後ろの魔法省の木っ端役人どもがこそこそロナルド・ウィーズリー様の名を口にしている!・・あの方を面倒ごとから遠ざけたかったのに・・・。
「・・・・おられます、ご安心を。」
屋敷しもべがの悲しい性、ホグワーツに重要な者に聞かれたことを偽れない。
「ならば結構、行きましょうシリウス。エスコートを」
「かしこまりましたルシウス様。」
「・・・後でシリウスには私から言っておく、そなたの心配りを台無しにして申し訳ない。」
「・・このようなしもべに、勿体なきお言葉を。そのお言葉のみで十分です。」
シリウスとルシウスは普通に、魔法省の者達は様々な疑問を持ってホグワーツへと向かうのだった。
自分は孤独だった、静かで何もない部屋で自分は-約束-を守り続けるために。
ホグワーツにいつ現れるとも分からない敵から、この城を守るために。
だが、時折自分も外に出た。パーセルダンクが来ると気配で分かる、その気配をたどって配管を通って。
しかし千年は自分にとっても長すぎた、話だけではなく触れあいたくなった。
「それが俺か・・・お前・・・・寂しかったな、もう大丈夫だ!!なっ!ロン、セブ先生!!」
ホグワーツの地下ではバジリスクとハリエット達がお話をしていた。
その話にハリエットは共感を覚え、ロンはどうすっかな~と頭を悩まされている。
大広間でハリエットがどうやってバジリスクに呼ばれ、どうして無事だったのかを聞いたので、
校長と副校長と、攻撃・防御呪文が得意な教師を揃えて「ロンがいかないなら案内しねえ!!」のハリエットの一言でロンも巻き込まれてお話となった。
当然ながら本日は休暇である。
-バチン!!-「ハリエット!!ロン!!!無事か⁉」
「・・これがバジリスク・・」
「ダンブルドア校長、あの文章はどうかと・・」
「でっか!!!」
シリウスとルシウスさんが何でいんだよ~・・
むっ!!「今俺の事余計ものみたいに考えただろうロン!」
「いや、何でいんのかと思った。」
「俺の天使達のピンチに駆けつけるのは当然だろう。」
「あのさシリウス、バジがうるさいって・・」
「無事かハリエット。バジって?」
「バジリスクじゃ長いし可愛くない。俺はバジって呼ぶことにした。」
ハリエット、ネーミングセンスが残念な子だった。
「ちょっといいかね、お嬢さん。私の名はキングズリー・シャックルボルト、魔法省の闇払い局の者だ。
君がハリエット・ポッターでいいのかな?」
「ああ、俺がハリエットだ。」
「君は蛇語を・・」
「さっき知った、蛇語を話す奴がパーセルタングだってのも。おかげでこんなきれいな奴と会えた。」
「綺麗とは、このバジリスクの事かね?」
「そうだよ!!何が言いてえんだよおっさん!!!」
「いや・・バジリスクは危険・・」
「こいつは違う!危険だってんなら俺達とっくにくたばってる!こいつは危害加えないようにってずっと目をつぶっていてくれてる、優しい奴なんだよ。本当だからな!」
ハリエットは切々とバジリスクの心情を語ったが、今回はシリウス達も頷けなかった。
バジリスクの危険度と、どう見てもそんじょそこらのバジリスクとは桁が違う大きさを見て、早々に安全ですとは言えないからだ。
「・・とにかく、一度小さくして魔法省で預からせていただく。よろしいでしょうかダンブルドア?」
「生徒の安全第一じゃて、バジリスクも良いか聞いてくれるかの、ハリエットや。」
「・・・・・仕方ないって・・・こいつ人の言葉も分かるからすぐに返事くれた。」
シュウシュウとしか聞こえない言葉でも、ハリエットには分かる。
「でも、効かないかもしれないから驚かないで欲しいってさ。」
ハリエット・ポッターは何を言っているのだと、キングズリーは縮む呪文をバジリスクに掛けたが・・効かなかった。
「・・馬鹿な・・数人で!!」
5人でやっても無駄だった。
『無駄ぞ、そのようにサラが仕組んだと、サラ自身が言っていた。』
「・・サラって誰だ?」
『サラザール・スリザリンだ。我がこの学校に仇なさぬ限り、我には回復以外の呪文は一切聞かぬようにしたらしい。」
「・・ちょおっと待て?サラザールって!ホグワーツの!!」
『その通りだ、我はサラザールとゴドリック、ロウエナ、ヘルガによってこの地に連れてこられた。
もしもこのような事態になった時の為にと、サラザールから預かりものがある。』
バジリスクは胃から筒を出した。筒はバジリスクの胃液でも溶けないから、保管場所はそこにしろと言われた。
出された筒は確かに溶けていないが、胃液が付いてる。一旦軽く凍らせて胃液を取り払い、出てきたのは歳経た羊皮紙。内容は・・
これを読む者達へ。これを読んでいるという事は、我等が死して随分経っているはずだ。そして近くには蛇語を話す者もいるはずだ。
このバジリスクはホグワーツの守護者として我、サラザール・スリザリンが置きし者である事を、我が名に誓おう。
一概にバジリスクだからと討伐なり捕獲などをしようとしても無駄だ、バジリスクがこのホグワーツを意図的に傷つけようとしない限り、呪文の能力が発揮しないように結界に組み込んである。
また分からず屋の校長がバジリスクの守り結界を組み替えようとした場合、ホグワーツの城が崩壊するように細工をしてある。
これはゴドリック、ヘルガ、ロウエナは知らず、我一人でなした事。
バジリスクがホグワーツに牙をむいた時は結界は作用されない。安心するがいい。
そのバジリスクは気のいい奴だ、時が経ち、部屋の鍵が緩んで表に出てしまった時は友人としてホグワーツに置いてやって欲しい。
追記 私が蛇好きだからバジリスクを置いたわけでは決してない!!
ゴドリックの奴は変態的に蛇好きだと私の事を言っていたが!断じて私心ではない!!!
後のホグワーツの事を思っているから誤解をするなよ!!!!
・・・・・これってどう見ても読んでもサラザール・スリザリンのもろ趣味じゃねえかよ!!
「サラザール・スリザリンっていい奴だな~」
「そうだなロン!俺も好きになった。」
お子様二人は暢気ぶっこいても、大人達はサラザールの手紙を読んで一層頭を抱える羽目になった。
「サラザール!!きっさまー!!!!」
「落ち着いてください、ゴドリック。」
「落ち着けるかヘルガ!!この蛇馬鹿が!!!!何とんでもない細工を結界と城に施しやがった!!」
「ふん!!貴様こそ組み分け帽子に-真のグリフィンドール生なら抜ける剣がある-とか恥ずかしい細工をしただろう!」
「うるせぇ!!それとこれとでは規模が違う!!!殴らせろロウエナ!!!」
結界は現職校長が自身の魔力で維持をするが、守りの中身までは知らされていなかったのをいい事に、サラザールは好き勝手したのだ。
ゴーストであっても喧嘩をする二人は仲がいいのか悪いのか。
全ては愛すべきホグワーツと・・バジリスクを守るために。
蛇馬鹿なスリザリンは他にもいた。
「行かせろクィレル!!バジちゃんに会いに行くのだ!!!」
「なりませんご主人様!あそこには校長が・・しかも闇払いが多数いるのです!!!」
「それでも俺様は会いたいのだ!!バジちゃんの元へ!!!!!」
「バジリスクもいずれは部屋に戻りましょう、その時に会いに行きましょうご主人様。」
「・・分かった、ゆっくりと再会を楽しめるようにしよう。」
なんとヴォルデモートもサラザールと同じくらい蛇馬鹿だった。
「・・・・この情報は知りたくなかった~」
「チュウ(俺も・・)」
「・・後で甘いもん沢山食えよ、スキャバーズ。」
「チュチュ(ありがたく)」
この騒ぎにヴォル付きクィレルが暗躍しないようにスキャバーズを行かせてみれば、とんでもヴォルデモートを見てロンもスキャバーズも疲れた。
なんだか見れば見るほどヴォルデモートって闇の帝王らしくなくなっていくと、がっくりとする。
もしかして秘密の部屋の秘密って、サラザールのもろ趣味を隠すための部屋ではないかと考えてしまったロンであった。