ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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ロナルド・ウィーズリーがダークです。


知った事か

クィレル先生に泣きついた俺は、気が付いたら校医室で寝こけてた。

起きてみた光景は地獄だった。・・だってこめかみ引くつかせて檄おこしてる教授の仁王立ちってマジで怖かった!!心臓止まって召されるかと思ったわ。

しかもだ、「おはようロナルド・ウィーズリー。」なんて絶対零度ボイスの挨拶って嫌だよもう・・。

まあ教授からすればヴォル付きクィレルの元で寝こけた俺に怒っているのは分かるので、平謝りに謝って許してもらったけど、何でかクィレル先生が校医室に残って俺達の事をくすくす笑いで見てたのは解せん。

 

ロンが寝こけている時に校医室はあわや戦場と化しかけた。

「貴様!!ロンに何をした!!!」

30分経っても戻ってこないので迎えに行ってみれば、泣いた後の残るロンを不器用に抱えているクィレルを見て、セブルスは即座に杖を抜き放ち、左手でロンをかっさらいつつ怒声を上げて質した。

元主だろうが何だろうが、大切なものを泣かせた時点で抹殺対象だ!

「ふん!!偉くなったものだなセブルス・スネイプ。かつては俺様に付き従った者が、子供一人の事で俺様と対峙するか。」

「いまさら貴様に払う敬意なぞない、望むならば-器-ごと滅して差し上げるが?」

ヴォルデモートの言葉にもセブルスは何の感慨もなく、出来るならば言った通りにしたいと本気の殺意を湧かして言い放つ。何故ダンブルドアがヴォル付きクィレル付きクィレルを見逃しているのかさっぱり謎だ、手元で監視した方が手っ取り早いからだろうか。

 

「何をしているのです二人共!!!」

 

二人の対峙は怒れる癒しの女神の出現で終わりを告げた。校医室においてはマダム・ポンフリーは絶対だった。あのダンブルドアも本気で逆らえないくらい、怒らすとやばいのを二人は身に染みて知っている。

セブルスは叩き出され、クィレルとロンはそのままお泊りになったのだ。

 

 

 

 

大広間に行く道すがら、一緒に歩いている大人二人がほんとに怖い・・教授と先生が俺を間に挟んで、人の頭の上でバチバチに睨み合ってる気配がして、頭皮がひりひりするってどんなんだよ。

「あのさ教授さ、今回の騒動はもう生徒達の親には伝えたの?」

「昨日校長殿が徹夜をして、先程全生徒分の手紙を書き終えた。今頃は梟便で英国の空が埋め尽くされよう。」

「・・・まじかい、せめてマグルの生活圏は郵便にしろよ。ほんと非常識な爺さんだ。」

「そうだ、あの爺は基本自分の都合で世界が動くとか思ってる老害だ!」

「・・・・そこは吾輩も認めよう。」

「苦労してんな先生達。なんかあったら言ってくれ、兄貴達と共同戦線張っていたずらしてやる。」

髭の色変えるだけじゃなく、着てるローブをウェディングドレスにしたり、ちょっとの間禿げ頭にしたり、声を甲高くしたりetc.してやる。

「中々面白そうだ、俺様もアイディアを出してやろう。」

「ほう、一教師がそのような事を。余程ホグワーツを追放されたいらしいですな。クビになって路頭に迷うとよろしい。」

「調子に乗るなよセブルス!!」

「決闘ならばいつでも受けて立つぞ!」

この二人仲がいいのか悪いのか、なんて軽い関係じゃないのは知ってる。それでも何でだろう?

俺は何でヴォル付きクィレルと居るとどこかホッとしてる・・変だ。

 

ダンブルドアへの鬱積話と、セブルスとヴォルデモートが噛みつきあいながら大広間に近づいた。

 

 

 

         「出てけよ!!このくそばばあ!!!!」

 

 

ロンが扉に手を掛けた瞬間、ハリエットの怒声が響き渡った。

「まあなんです、女の子がはしたない。そんな事ではいいまほうつかいにはなれませんことよ?」

ハリエットの怒声に怯んだ様子のない女の声も聞こえてきた。声音は甘く・・でもどこか品がない。

今扉を開けたものかどうかロンは悩んだ。近頃のハリエットは自分達の前で口汚い言葉を極力使わないように心掛けているのを知っている。

本人の努力を無に帰す事をしたものかどうか、取っ手に手を掛けたまま思案をする。

「私の元に来れば、礼儀作法をきちんと教えて差し上げますよハリエット。」

「うるせえ!お前に名前を呼ばれるいわれはねえ!!とっとと出ていけ!!!」

「そうだ出ていけ!ハリエットはお前に教わることなぞ何もない!!」

「出ていきなさいよ!!」

何でか、ドラコとジニー・・よく聞けば他の奴等もどせいをあげてる。何があった?

 

「・・仕方がない子達ですね。やはり薄汚れたマグルの中で生活をするとそうなってしまうのでしょうか?その影響で、純血の子供達にも悪影響が及ぶなぞあってはならない事です。」-ピクン―

「それに先ほども言ったでしょう?こんな-半人間-達に近づきすぎてはいけませんよ。あなた方もいつまで人の城に居座るお積り?怪我の手当てを終えたのならば出て・・」

 

              -トントン ギィー―

 

「ハリエット、皆おはよう。」

 

ロンは女の声を遮るように、ノックをして大広間へと入った。今までで一番の爽やかな笑みを浮かべて。

 

「ロン!」「お兄ちゃん!!」「「ロニー坊や!」」

 

周りの呼び掛けに応える様に、ロンは広間の中に向かう。いつもの足早ではなく、ゆっくりとした足取りで。コツンコツンと靴音がいやに大広間に響き渡り、一歩ずつハリエットの音に向かっている。途中で知らない女のわきを通っても挨拶もせずに。

 

「おはようハリエット。」

「・・・おはようロン・・」

なんか、ロンがおかしい。笑ってるはずなのに見ていてもポカポカしない。ロンの笑顔はいつだって自分の胸を温めてくれるのに。

その前に言わないといけない事がある!あの目の前のくそばばの事を!!

「ロ・・」

「シィー、良くお聞きハリエット。」

 

ロンはハリエットが何かを言おうとするのを止めた。自分の人差し指をハリエットの唇に当てて、今までハリエットが聞いたことがない言葉で。

驚いてハリエットは目を見開きロンを見上げ、女に対する怒りをいったん仕舞い、言葉を止めて耳を傾けることにした。

大広間のロンをよく知る者達も常のロンと違うと分かり、誰一人としてその行為を茶化す者はいなかった、。一体ロンは何を言うつもりだ。

 

 

            

 

 

 

 

 

 

 

      「あれと言葉を交わすな、ハリエットの口が穢れる。」

 

 

 

 

 

 

・・・・は?

「あれの言葉にも耳を傾けるな、耳が穢れる。」

・・・なにを・・

「あれの言葉を理解しようとするな、ハリエットの魂が穢れる。」

・・・・あの・・赤毛の少年は何を!!!

「あれは穢れた薄汚い-人間の皮-を被った醜い生き物だ。ハリエットが関わらなくていいものだ。あれが何を言おうとも相手にする必要はない、内容のない馬鹿げた-鳴き声-を相手にしても無意味だ。分かったかハリエット?二度とあれに関わるな。鳴き声を掛けて来ても相手にするな。」

 

 

「何を言っているのですか貴方は!!!」

大広間にいる者達はロンの苛烈な侮辱に寒気が走った。表情は笑っているのに、声音は冷たく、それでいて刃の様に鋭く斬られる思いがした。

ロンは静かに怒っていた。いや、怒りなぞという生易しいものではない感情が身内を焼き尽くす。

途中からでもハリエットを筆頭にしたこの場の者達が、怒っていた理由が理解できた。

自分の考えが正しければ、それは憎悪と言ってもいい程の感情を起こすものだった。

 

ロンは初めて意識的に他者を侮蔑し、された者は当然怒りに駆られてロンを詰問する。

「大人に対してなんという言い草を!名乗りなさい!!」

女は-いつも-のように、居丈高しく誰何をする。自分の身分を聞けば、たいていの物は媚びへつらってきた。たかだか子供に侮辱をされるなぞ屈辱だ!

大人の怖ろしさを、体に刻み付けよう。後ろにはホグワーツの教師達がいるが、今回の騒動で魔法省には頭が上がるまいと、素早く保身も算段をして、安全圏の中から咆え上げた。

 

しかし女は不幸だった。今目の前にいるのは-子供の皮-を被った炎の獅子と評されるロナルド・ウィーズリーであった事が。

「さて皆、腹は減ってないか?そろそろ朝食にしよう。ケンタウロス達と屋敷しもべ達も食べられるなら食べてくれ。その後診察受けるといい。」

 

ロンは女の言った事に応える素振りは全くなかった。ハリエットに言った通りに鳴き声に反応を返してやる謂れが全く無い。

「・・おい・・ロン・・」

「ん?どうしたハリエット。」

「いや、どうしたって、」

流石にあの言葉は不味いのではないのかと、ハリエット達は思ってしまう。いかにあの女、

ドローレス・アンブリッジと名乗った女が初対面で嫌いになったとしてもだ。

 

 

遡った少し前

 

 

「まあまあまあ!!何という酷い有様でしょう!由緒正しきホグワーツの大広間に半人間達が居座るなぞ!

貴方達、もう大丈夫ですよ。私、ドローレス・アンブリッジが来たからには何もかもが正しく元通りになりますよ。」

増援のヒーラーを引き連れて、先頭に立っている-アマガエル-のような女がいきなり不愉快な事を言ってきた!

ホグワーツの者達を命を懸けて守ってくれたケンタウロス達と屋敷しもべ達になんてことを!!

「こいつ等の事を悪くいうな!!」

一番に飛び出たのは、ロンの次にホグワーツで喧嘩っ早いハリエットだった。

「こいつ等は、皆を守ってくれて大怪我をしたんだ!何も知らない奴がごちゃごちゃいうな!!」

 

ハリエットの言葉は大広間の人間の心を代弁し、聞いていたケンタウロス達と屋敷しもべ達の心を晴らしてくれた。

入ってきていきなりな事を言う人族の女に殺意を湧かせたケンタウロスもいたが、自分達の為に怒ってくれた仔馬に免じて見逃してやる事にした。

しかしアンブリッジはハリエットの言葉を聞いてはいなかった。ハリエットの額にくぎ付けとなった。

飛び出したことにより髪が乱れ、前髪も跳ね上がりハリエットの額の雷の傷が出てしまった。

 

「まあまあまあ!!これは!ハリエット・ポッター!!私は貴女にお会いしたかったのよ。

会えて嬉しいわハリエット!!」

アンブリッジは興奮に打ち震え、ハリエットに馴れ馴れしくし始めた。甘ったるい声でハリエットの名を呼び、闇の帝王を倒した英雄だ何だと持ち上げ、「私とお友達になりましょう。優しさも結構ですけれど、こんな半人間を庇うなんて馬鹿げた事ですよ。私が常識と良識を貴女に教えてあげましょう。」

完全に上から目線で。闇の帝王を倒した少女が自分の友人だと言えば、世間は自分に注目をする。

ハリエットを完全に自分を目立たせるためのアクセサリーとしかみなさなかった。

功績はともかく、まだ12歳の世間知らずな小娘は、自分のような素敵な大人の女性言葉にホイホイと飛びつくと思って。

だがハリエットはアンブリッジの思惑を敏感に、正しく理解した。ハグリッドに連れられて、

初めて踏み入った魔法界で出会った-大嫌いな奴等-と同じだ!

今の自分を見ず、-過去-のハリエット・ポッターしか見ていない不愉快な奴等と同じ気配がする!!

ドラコ達もアンブリッジの嫌な気配を感じてハリエット共々、大広間から追い出そうとした矢先にロンと先生達が来て、ロンが苛烈な侮蔑の言葉を言ったのだ。

それもアンブリッジの存在なぞ認識していない様に話をしていた。

 

今もそう、アンブリッジが怒りで喚いても何か酷い事を言っても耳に入っていないようで、後輩や親しきもの達、兄妹たちに笑顔で話しかけていく。

それはいつものロンの怒りよりも、なお怖ろしく感じた。

 

こっっの餓鬼が!!!

アンブリッジは偽りの品性を全てかなぐり捨て、「調子に乗るなガキの分際で!!」

口汚く、ロンを罵り始めた。

「ああ、ようやく化けの皮はいで-本性-を現したか。」

くるりと体を回し、ようやくロンがアンブリッジの方に冷めた目を向けた。

「俺の名はロナルド・ウィーズリー。家族と親しい奴等はロンと呼ぶ。もっともあんたには金輪際呼ばれたくはないがな。」挨拶もどこか投げやりで。

ロンは一目で女の本性に気が付いた。原作で覚えていたからではない、寧ろこんな奴いたかくらいに忘れてる。

声音は甘ったるく、媚びへつらう気配が気持ち悪い。ドラコをはじめとした-本物の貴族達-

と付き合ってきたロンにとっては、アンブリッジの品性なぞ薄っぺらく感じた。

平気で嘘を吐き、保身と虚栄心の塊の-醜い生き物-だと即座に認識をし、そんなものと関わると天使達が穢れると注意を飛ばせば、案の定醜い生き物はすぐに本性を現した。

「・・あの血を裏切ったアーサー・ウィーズリーの子ですか。流石に品のない子が生まれたのですね?」

相手が自分よりも魔法省において役職の下の者のこと分かった途端、アンブリッジは冷静を取り戻した。

「私はドロレース・アンブリッジです。魔法大臣付き上級次官ですの。」

魔法大臣付き権限を出せば、この愚かな子供も怖れ慄きながら詫びてくる。何をしてもらおうかと内心でほくそ笑む。

 

しかしだ「つまりあんたは魔法大臣の腰巾着か。」本当に相手が悪かった。

相手はあのシリウス・ブラックすらも叱り飛ばす、とんでもない者なのを知らないアンブリッジは運がなかったとしか言いようがない。

まさか魔法大臣付きの身分を腰巾着扱いされようとは思わなかった!

「貴方はこの役職の権限と効力を知らないのですか!今の貴方を侮辱罪でアズカバン送りにもできるのですよ!!」

激昂したアンブリッジの言葉にも動じず「あんた馬鹿か?未成年は余程の事がなければアズカバン行きになるわけがないだろう。脅してんのか?それとも本当に知らずに言っている馬鹿か?そんな事でよく魔法大臣付きとか言えるな。」

アンブリッジのはったりの脅しにも動揺することなく、淡々と反論をしながらアンブリッジを見下げはてて行く。

大広間の者達も、セブルスとクィレル達も、ロンの知識力の幅の凄さを知っているので驚かずに見守っている。

いざとなれば割って入る気満々だが。

「魔法大臣付きを侮辱することは、魔法大臣ひいては魔法省に対する侮辱罪になります!!

私は貴方をアズカバン送りに出来るのですよ!!」

 

アンブリッジは長年自分の言る地位に酔ってとんでもない暴論を言い出した。

学生時代はスリザリンにて-半純血-と馬鹿にされ無視をされ、大人になってもさしたる才はなく、事務職で魔法省に入れてもらい、そこでも無視をされた。

そんな者達を見返すべく、アンブリッジは偉い者達に徹底的に媚びへつらった。

おべんちゃらを言い、同僚や下の者達のミスを告げ口をし、権力におもねり遂に今の地位を手に入れた。魔法省のトップの近くについたのだ。

今まで自分を馬鹿にしてきた者達を反対に見下し、適当な罪を着せていびったりと、楽しくやってきた。

それをこんな餓鬼に侮辱をされたのが許せるはずがない!今までの者達同様に泣いて許しを乞うて来ても、嬲り者にする!!

だがそんなアンブリッジを見てもロンの瞳は冷めており、

 

「知った事かそんなもの。」

 

返答も吐き捨てるように言い放つ。

 

「いい加減に!!」

「するのはあんただよ。」

 

その瞬間、ロンの気配が変わった。ピリッとした空気が、大広間を覆いつくす。

「あんたは魔法大臣付きの次官か。だったらお偉いあんたには出来んのか、子供達を守るためにその身を差し出して、身を挺して守る事が。」

逃がす為に、我が身を犠牲にした屋敷しもべ達

「あんたには出来んのか、敵から逃げればいいのに森と城に住まう命を守るために、見知らない赤の他人の為に命懸けで戦う事が。」

禁じられた森からアクロマンチュラの群れが出た時点で、放っておく事もできたのに戦ってくれたケンタウロス達

「肩書だけの何も出来ない奴がこの人達を侮辱する権利はない。この大広間にいる資格すらもない。今すぐ立ち去れ、醜い生き物。」

 

殺気にも近い程のロンの怒りに満ちた魔力は、ミシミシとアンブリッジを蝕み始める。言葉を言うごとに近寄ってくる赤毛の少年が・・「ス・・ステュ―ピファイ!!!!!」

化け物の如くにアンブリッジの目には映り、咄嗟に攻撃呪文を放ってしまった!

「ロ!!」

「プロテゴ・ホリビリス」

他の者達が危ないと言う前に、ロンはプロテゴの中でも上級の魔法を弾く盾をいとも簡単に張って、つまらない者を見る目でアンブリッジを見据えながら「インカ―セラス(縛れ)」

アンブリッジに捕えの呪文を掛けて引きずり倒す。

 

「何攻撃呪文使ってるんだよ。間違って俺の天使達に当たったらどう落とし前を付ける気だ?」

無様に倒れたアンブリッジを見下ろして吐き捨てる。

「もう一度だけ通告してやる、今すぐここから出ていけ。今立場が悪いのはあんただ。

未成年で杖を持っていなかった俺に対して攻撃呪文をしようとしたんだからな。」

「ひ・・・ひっひい―――!!!」

ロンの怖ろしい気配に、アンブリッジは最早人の言葉が出ずに、ロンの言った鳴き声を上げる事しかできなかった。

「お前が何なのかなんて知った事か。どこで生きようが、野垂れ死にしようがどうでもいいが、

二度と俺と俺の周りにいる人達に近づくな。やったら今度はこんなもんじゃ済まさない。」




これもロナルド・ウィーズリーの内面の一部です。

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