初めてロナルド・ウィーズリーが逃げます。
いい天気だ。晴れた空に白い雲、風は冷たいけれども快適なホグワーツ城内では気にもならない。
「昔のまんまでね、ここは。」
「相変わらず暢気者だな。今日は仕事で来たんだぞ。しゃんとしないと子供達に笑われるぞ。」
「・・・君をここまで変えた子供達か。会うのが楽しみだよ。」
「ハリエットにいきなり抱き着くなよ?」
「君じゃないんだから。」
シリウスは珍しく昼のホグワーツを訪れた。一人の男を伴って。
「これはシリウス様!お言いつけ下されば、リジーめがホグズミードにお出迎えをしましたのに。」
「ようリジー、いいんだよ。こいつと懐かしい学生気分を味わっていたんだ。」
「左様ですか。出過ぎたことを申しました。」
「気にすんな、仕事に戻ってくれ。」
「では、失礼をさせていただきます。」 -バチン-
「・・・・君が屋敷しもべにあんなに慕われているとは驚きだ。」ついでに言えば、あんなに温和な態度で屋敷しもべに接していたのも驚きだ。
「俺にも色々とあったんだだよ。・・・いつまでも子供でいたら-あいつ-に怒られちまう。」
「ふ~ん。あ、大広間につくよ。」シリウスを変えた-あいつ-はいるかな~。
「やあ、君達こんにちわ~!」何事も挨拶から始めないとね。
昼食を摂っていた生徒は、入ってきていきなり元気で爽やか挨拶かましてきた男に驚いて食べる手を止めて男に注目をした。
(やっぱり挨拶は大切だ。きちんと注目をされた~。)
男の目論見は当たり、昼食ン手を止めてこちらに振り向いてくれた生徒達に満足だ。
さて、一番に会いたい子は~、いたいた!
「君が-大きくなった-ハリエットだね~。」
スリザリン寮のネクタイをした、長い癖ッ毛の黒髪のハリエットを見つけた~。
両親ともにグリフィンドールなのに、スリザリン寮に入った変わった子だね~。
「初めましてではないけれども、こんにちは。」
「え?・・・あ・・おう・・」
「僕はリーマス・ルーピン。君のお父さんお母さんの友人で、君が生まれた時と1歳の誕生日に会ってるんだよ。
そうはいっても覚えてはいないだろうから、初めましてかな。」
「あ・・父さん達の・・そしたら・・」
「そう、そこにいるシリウスとも古い付き合いなんだよ。今回ホグワーツの見取り図を作るのに駆り出されてね。
君は知らないかい?僕のあだ名は-ムーニー-だ。」
「「ムーニーだって!!!」」
リーマスと名乗った男はいきなりハリエットに急速接近をし、ハリエットは少々警戒をしていた。
また自分を英雄云々いう奴かと思ったら、フランクで父さん達とシリウスの友達で、ムーニーって言ってきた。
何それと思ったら、ジョージ・フレッドの方が反応をしてきた。
「貴方が忍びの地図を作ったお一人ですか!」
「悪戯仕掛け人のお一人ですか!!」
あ~そっちか、「ご免、俺あんたのこと覚えてないし、仕掛け人てのも知らないんだ。俺はハリエット・ポッターだ、よろしくな。」
「そうだね、今日から知ってくれればいいさ。ハリエットと呼んでも?」
「もちろんだ。」
シリウスと同い年には見えない、鳶色の髪に白髪が混じった大人の人だ。・・この場合、シリウスが子供すぎるのか?
セブ先生も、クィリル先生も30代で落ち着いた大人の人で、ルシウスさんもロンのお父さんも皆感じのいい大人だ。
でも、子供っぽいシリウスも好きだしまあいいか。
シリウスが聞いたら嘆いて落ち込んで、最後には大喜びをしてハリエットにデレデレする様な事を瞬時に考えながら、リーマスと握手を交わした。
大きな手はごつごつとして、シリウス達よりも固い労働者の手をしてる。
人懐こい笑みもよく似合うリーマスを、ハリエットは瞬時に好きになった。
おやおや、苦労してきた割には無防備な子だ。こんなに簡単に初対面の僕を信用するなんてね。
「早速仲良くなったか。ハリエット、こいつは俺とジェームスのいたずらを陰で指揮していた黒幕だ。
見た目に騙されるとおっかないぞ~。」
「へっ?そうなの。」
「こらこらシリウス、ハリエットと握手したくらいでやきもち焼いてとんでもない事を吹き込まないでよ。
僕は-暫く-ホグワーツにいるんだから。君達もよろしくね。」
周りの子供たちんもきちんと挨拶しないとね。
「初めましてMr.ルーピン、僕はドラコ・マルフォイと言います。」
「・・ルシウスの子か。お顔立ちはお母さんに似たんだね。よろしくえっと・・」
「マルフォイでもドラコでも結構です。Mr.・・」
「そしたら君達もリーマスと呼んでくれ。僕は偉い大人じゃないからね。」
「では、リーマスさんはいかかでしょうか?私はダフネ・グリーングラスと申します。」
「これは愛らしいレディーだ。」
「僕はネビル・ロングボトムです。」
「君がオーガスタの・・君のご家族には大変世話になった。ネビルと呼んでも?」
「はい!・・父さん達の事を・・」
「知ってるよ。優しい強いご両親だ。」
「はい!・・はい・・ありがとうございます。」
リーマスは天性の話術で次々と子供達と仲良くなっていった。子供達との会話のどこかに褒め言葉や、肉親の話を入れる事で親近感を持たせ、あの警戒心が一番強いはずのセオドールですら握手を交わしたほどだった。親しみやすい笑みにつられてしまって。
遅くなった。スキャバーズの奴、何で大広間に行くのあんなに嫌がったんだ?いつもなら食い意地張った奴なのに。
あいつのせいで昼食に遅くなったって、いつもよりも大広間が賑やかだ。なんかあったか?
「そうか、君たちは今代の悪戯仕掛けになるわけだ。」
「そうです!僕達と、このリー・ジョーダンを入れて」
「日夜皆を笑わせる悪戯を研究し!」
「日々ホグワーツに笑いを振りまくことに励んでます。」
なんか、兄貴達とリーさんが知らない男と笑顔で話し込んでる。
鳶色に白髪の混じった・・なんか・・変わった人だ。
どこがと言われればきちんと言えないが、どこか変だ。何でかそう感じる。
「おや・・・おや!!」げっ!!こっち向きやがった!何だあいつは⁉
この匂いは、間違えようはずもない!!-懐かしき友―の匂いがする!!
振り返ってみれば、扉付近には赤毛の子供しかいない。
背は高くがっしりとしてそうだが線の細さを感じさせ、顔にはそばかすがあり、まだあどけなさが残った少年だ。
しかしその少年から匂いがするのは間違いない!!
「君はローブのポケットに何を入れているんだい?」
「・・・は?」
「隠さないでいいんだよ?おじさんに教えてくれないかな。僕の名前はリーマス・ルーピンといって、そこにいるシリウスの友人だ。」
「え・・シリウスいたの?」
「君の名前は?」
「・・わりい・・俺の名前はロナルド・ウィーズリーだ。」
「そうかそうか!君がロン君か~。」
・・・何だこのおっさん・・何でじりじりと人に寄ってくる!!そんな笑みを浮かべて近づいて来るな!!!
気持ちが悪くて、吐き気がする・・こいつには近づきたくない!
「捕まえた~、よろしくねロン君?」
「俺は・・」
「さて、何をポケットに隠しているのかな~?」
双子たちの会話を切り上げ、ロンにゆっくりと近づいたリーマスは逃げようとする気配を漂わせたロンの両肩をやんわりと捕まえた。
傍から見れが大人に照れているロンと遊ぶ少々変わった大人と映ろうが、半人狼のリーマスは野生の狼の勘ですぐに分かった。
ロンは本気で自分から逃げようとしていると。どうやら相当-勘-のいい子供のようだ。
それよりもだ!おや・・いない・・「ポケットの中身はどこにいる?」
「う・・・うるせぇ!!デパル・・」
「おっとご免、いきなりでぶしつけだったね。君から懐かしい匂いがしてね、学生時代を思い出してついはしゃいでしまったよ。悪かったねロ・・」
「黙れ!!俺は名前を呼んでいいなんて言った覚えは無え!!」
「おやおや、気を悪くさせてしまったようだね。お詫びにチョコレートでも・・」
「結構だ!もう行く!!」
「あ!ロン!!・・行っちまった・・」
「ルーピンさん、ロンに何か?」
ロンのらしからぬ態度にハリエット達は驚き、リーマスに何事かを問うた。
まるで逃げ出すかのようなロンを見て心配になる。
「君達もすまないね。嫌われてしまったようだシリウス。」
「お前は-人懐こすぎる-んだよ、リーマス。ロンは自分はずかずか人の心の中に入って来る癖に、自分がされるのはあまり好きじゃないんだよ。落ち着いたらもっぺん謝っておけ、あいつは優しいからすぐに打ち解けるさ。」
「そうか~。」そうだといいね、シリウス。でも残念、あの子は聡過ぎるようだ。-彼-が警戒をしている訳がようやく納得をした。
たかだか二年生の少年に固執し、ハリエットよりも優先事項のお達しをしてきた訳が。
あれは面白い子だ「ホグワーツは退屈をしない、いい所だ。」
「そうだろう、よろしくなリーマス・ムーニー。」
「ああ、よろしくねシリウス・パッドフッド。」
リーマス・ルーピンの回でした。
読んだ人はお気づきになられたかと思いますが、-まともな性格-のルーピン先生ではありません。
ロナルド・ウィーズリーが逃げだすほどに。