ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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リーマス・ルーピン視点です。


ロナルド・ウィーズリーとは

          僕は一体-誰-の話を聞いているんだろう。

 

 

大広間ではロナルド・ウィーズリーに逃げられてしまった、残念だ。人目が全く無い二人きりならば、僕はあの子の両肩を掴んだまま跪き、あの子の隠しごとの匂いをたっぷりと嗅ぎまわしたのに。

こんなおじさんに鼻をこすりつけられたらあの子はもっと僕を嫌悪して、いい顔してくれただろうに、出来なかったのが残念。

次の機会にするかと思ったら、-邪魔-が入った。

ロナルド・ウィーズリーが去って少したらあら不思議日の光指す大広間に似つかわしくない、

大蝙蝠と-寄生している蛇男-が扉を乱雑に開けて押し入ってきた。

「・・・貴様か、リーマス・ルーピン。」セブルス眉間のしわ寄りすぎ、目から殺気出しすぎ。

「・・-あれ-か・・成る程、あいつが嫌がった訳が分かる。」何を一人で納得しているのかな蛇男は?

「やあ!久しぶりだね、セブルス!!」一応-旧交-は温めよう。

僕はジェームズ達と違って彼を嫌いになった事は一度としてない。

「・・貴様に名前呼びをされる筋合いわない。」あ~、こめかみに青筋引くつかせてまた振られた。

「そういわれたの今日で二度目、僕悲しいよ?ん皆で仲良く・・」

「はっきりと忠告をしておこう。」おや、人の話を遮って悪い子だなセブルスは。

「何だい、スネイプ先生?」これなら満足だろう。

「・・二度とロナルド・ウィーズリーに近づくな。」・・おや以外。

「彼が僕の事で君たちに相談をしたのかい?」人に泣きつくとは意気地のない子だ。見込み違いかな?

「違う、大広間の戻り道で吾輩たちと行きあい、様子がおかしいら問い詰めた。頑固だからレジリメンスを使う事を告げたら端的に-変な奴に会った-と言っただけだ。」

「・・ちょっと待って!その変な奴の名前言ってないの?」

「あれは告げ口なぞ本来はせん。脅したから渋々一端を言ったにすぎん。」

「それで・・なんですぐに僕が犯人扱いされるの?確かに気分を害させたのは謝るよ。

でも僕でない可能性も・・」

「あれは聡い」・・その通りだけど・・

「貴様の中身を本能で悟って厭うた・・そういえば貴様でも察しが付くだろう。」

僕が半人狼だって事が原因だって言いたいのかな?

「手前!スネイプ!!いい加減にしろ!何でお前がこの件に口をさしはさむ、ロンとリーマスの

個人ごとだろう!!」

「・・相変わらず貴様は周りを見ていないなシリウス・ブラック。では問おう、かつてロンが何かから逃げるような素振りを、一度でも吾輩たちの前で晒した事があったか。」

「逃げたって・・怒って立ち去っただけだろう?」

「あれの怒りを散々浴びてきたお前がそれを言うのか。では駄犬にも分かるようにご説明しよう。

ロナルド・ウィーズリーの怒りは炎が発するが如くか、先日の様なドロレース・アンブリッジの様なものを指す。

対して今回のあれは、傍から見ても分かるほど青白い顔をして足早に大広間から遠ざかろうとしていた。それを逃げると言って何の差支えがある。」

「・・悪い事したね。後で謝らないと。」成る程本当に聡い子だ。僕の半人狼をどうしてか察したのか、それとも僕の-本性-に気が付いたのかどちらなんだろう。

 

この隣で僕の為にセブルスに怒ってくれた親友殿も、聡明と評された今は死んでいないジェームズだって、僕の本性を知らなかったのに。

知っているのは数少ない。今回僕にロナルド・ウィーズリーを調べるように言ってきた彼と、僕を噛んだフェンリルグレイバックと、今目の前にいるこの男セブルスだけだった。新たに彼も加わるか・・いや、蛇男もか。黙ってるけど、さっきから僕への視線が痛いんだけど。

体がミシミシ言いそうなほど圧を掛けてくる。

それも僕しか感じていないようで、隣にいるシリウスもハリエットも変わった様子はない。なんて芸術的ともいえる精緻で素敵な圧の掛け方だろう。

初見で分かった、こいつはヴォルデモート付きの男だと。-彼-からそんな情報は貰っていなかった、こんな愉快で物騒なのがホグワーツにいるなんて。相も変わらず酷い御人だ。

後で楽しくいびってやる。彼の困り顔も大好きだから楽しみだ。

ヴォルデモートの匂いは嗅いだことがあるから分かる。僕は匂いを記憶してしまっておける、絶対に間違えるはずもない。

「もういい、この男には何を言っても通じまい。放っておくぞ。」

「貴様が吾輩に指図をするな!」

「・・・不毛な事よりも、建設的な事をしろと指摘をして何が悪い。」

「・・・・お前の言う事を聞くのではないぞ。」

「好きにしろ。」

僕の事を無視して立ち去ろうなんてつれないなあの蛇男。

「初めまして、僕はリーマス・ルーピン。」

「・・・クィリナス・クィレル・・見知り置くつもりはない。」

「本当に悲しい、せめてロ・・」-ギロリ!-

「・・ウィーズリー君への謝罪の機会を与えてくれないかな。」おお怖い怖い、二人揃って睨んでくる。

「「断る」」しかも断り方までお揃いで、素晴らしいハーモニーを奏でてる。

二人にここまで守られている子供なんて、この僕が放っておくはずもないのに。

逃げれば逃げるほどに駆り立てたくなる、狼の本能かな?この二人の狩人に守られている赤毛の少年・・まるでマグルの世界の赤ずきんちゃんだ。

子供達からすれば大人びた友人に映っても、大人の僕からすればまだまだ可愛い子供だ。

-彼-は本当にいい子供を寄越してくれた、どんな子供か調べるのが本当に楽しみだ。

 

二人が立ち去った大広間には微妙な空気が流れた。

シリウスは気にしなくていい、彼は謝れば許してくれると慰めてくれているけど、子供達は先ほどのフレンドリーな気配が薄らいだ。

あの二人はどうやら子供達に信頼をされている教師のようで、発言力も強いらしい。

セブルスの寮の子は、あからさまではないにしろほんの少しだけ僕に対しての警戒心が芽生えたらしい。

あの少年の兄妹なんて完全に警戒のまなざしを向けている。さっきまでは僕の事を悪戯の師として尊敬をしてくれていたのに、ロナルド・ウィーズリーが掛かるとこうなるか。

大なり小なり警戒された・・やり辛いなこれは。シリウスは僕の事を買い被ってくれているから

情報はそっちからとるか。ハリエットは僕をどう評価するかで戸惑っているってところかな?

仕方がない、子供達からの情報収集は完全に手を引こう。この状況で探り程度であっても、完全にロナルド・ウィーズリーの敵扱いをされかねない。引き際は肝心だ。

適当に笑い話と世間話をして、-地図作成-の仕事に行くことにして、大広間を後にした。

 

それにしても凄いなロナルド・ウィーズリーは。セブルスの庇護を引き出して、闇の帝王まで手懐けちゃうなんて。

それに屋敷しもべ達もか。

「ロナルド・ウィーズリー君に会いたいんだけど、どこにいるのか知らないかい?」

屋敷しもべ達は基本人間に忠実だ、知っていれば素直に教えてくれて、知らなけらば捜そうとしてくれる・・筈なんだけど「あの御方に何か御用でしょうか。」

質問を質問で返す屋敷しもべって初めて見た。

「僕は彼の友人だ。ちょっと用があってね。」適当を言ってみたら、

「ならば必要と思えばロナルド・ウィーズリー様が直接あなたを尋ねるでしょう。」

・・彼なんで屋敷しもべから様付けされちゃってるの?

「悪かった、嘘を言った。僕は彼を怒らせてしまってね。仲直りをしたいんだよ、だからね」

「ならば尚更です。その事を許すか許さないかをお決めになられるのはあの御方自身です。

卑しき我が身が橋渡しなぞ出来ようはずもありません。」・・これはまた・・

「えらく彼を評価しているんだね。それって君だけ、それとも屋敷しもべ全員の総意かい?」

「・・貴女はご存知か、我等がが今こうして日の下で暮していられる訳を。」

「知ってるよ、闇の帝王時代は君達の扱いは特に惨かった。」知ってても助ける気零だったけど。

弱い奴は奪われ、侵され、殺されていった時代の話だ。弱い奴のことなぞ気に留めてやる必要性が分からない。

「その帝王を倒したハリエット・ポッター様もまた、あの時代の我等と同じく惨い目にあわれながら成長をされてしまった。」

「・・シリウスから聞いている。そしたら君達が忠誠を誓うべきは闇の帝王を倒したハリエットの方なんじゃないかな?」

「確かに、その通りです。我等を救ってくだされたのがハリエット・ポッター様であるならば、

そのハリエット・ポッター様をお救いしたのがロナルド・ウィーズリー様なのです。」

「・・どう言う事?」

「はい、ハリエット・ポッター様は酷い状態でこのホグワーツにお越しになられた。

ハリエット・ポッター様を癒すべく、ロナルド・ウィーズリー様はかの方の寮をスリザリンに、どこよりも愛情深き-蛇の寮-に入れて欲しいと、組み分け帽子様に泣きながら願ったのです。

己ご自身でもハリエット・ポッター様を守ると力強く誓いながら。」

「そうか、そんな事が。」

「はい、それのみならずロナルド・ウィーズリー様はハリエット・ポッター様の御心を真の意味でお救い下さいました。」

「どういう意味かな。」

「・・お目覚めになられたハリエット・ポッター様の御心はあれており、自暴自棄の様になっていたとお見受けをしました。」

「それは無理ないでしょう。状態をシリウスに聞いたけど、よくぐれなかったと思うよ?」僕なら世界全て呪っちゃうよ。

「それを見抜かれたロナルド・ウィーズリー様は、厳しい御言葉をあえてハリエット・ポッター様に浴びせられ、かの方の心に渦巻いていた怒りや憎しみの念を表に出させる事に成功をされたのです。

それをしてハリエット・ポッター様は憎しみにまみれた御心を捨て去る事が出来、まさしく無垢なる赤子となる事が出来たのでございます。

偽りの笑みを張ることなく、分からないことを素直におっしゃり、今も手探りでこの世界をロナルド・ウィーズリー様とその御友人達と歩まれているのです。

故にこそ我等屋敷しもべ全員は決めたのです。

我等はホグワーツと現校長に従う事を定められていても、我等を救ってくだされたハリエット・ポッター様と、その御方を救ってくだされたロナルド・ウィーズリー様に忠誠を誓う事を。」

誰に命じられたわけではない、正真正銘屋敷しもべ全員で考えて決めた事だ。

「分かった、無理を言って済まなかった。」ここも撤退しないとか。

この様子だとゴースト達からの情報収集もやめておこう。

 

 

他の大人から話を聞いた。

 

ミネルバ・マクゴナガルに彼を怒らせてしまってと、同情誘おうとしたら怒られた。

彼女曰く、彼ほどグリフィンドールらしいグリフィンドール生はかつて見た事がない。

どの様な事にも毅然とした態度で立ち向かい、大切な者達が危機に陥れば口悪くとも真っ先に敵に立ち向かう勇敢さを持ち、誰よりも慈悲の心を持った少年だと。

近くにいたフリットウィクもアクロマンチュラ騒動での彼の活躍から、あのドロレース・アンブリッジを逮捕に至らせたことも話してくれた。

そうか、彼があのカエル女を失脚をさせてくれたのか。

あいつの書いた半人狼なんて馬鹿げた物のせいで迷惑かけられた・・いつかフェンリルをけしかけて、あいつ自身が言っている-醜い半人間-にしてやろうかな~と楽しく目論んでいたのにご破算になった。

アズカバンまで行くリスクを冒すほどの相手でもないのでやめたけど、カエル女を出汁にして、

ロナルド・ウィーズリーに近づくか。

カエル女の掲げた半人狼法のせいで苦労したとかなんとかお礼を言って。

 

ミネルバにロンの事で説教されてもそんな考えを巡らせる。内容はどうせ素晴らしい彼を怒らせて云々っていうのが容易に想像が出来て、ありきたりで詰まらないから。

 

ハグリッドに聞けば、「ロンはいい奴だ!!あいつにはもう俺は・・俺にできる事を何でもしてやる!」

おやまあ~、ダンブルドアにしか忠誠を誓うことなぞついぞなかったこの男の心まで手に入れて。

まだ僕の事を知らない子供達に聞いてみれば、おっかない時もあるけれども優しい先輩、頼もしく毅然とした後輩。いつも愉快な事をしてくれる、他者を心の底から笑わせてくれる温かい人。

そうかと思えば、アクロマンチュラ達を次々に屠った凄腕で冷徹なところもある子供。

ゴースト達に至っては-若き炎の獅子王-何て呼ばれちゃってる。

・・・僕は先程実際のロナルド・ウィーズリーに会った。

僕から逃げだした弱い子の筈なのに、出てくる話を聞いて纏めてみたら、一体どこの英雄譚の英雄様か、もしくは聖人君子様かになっちゃった。

彼って確か12歳の子供だよね?。

 

 

ホント、僕は一体-誰-の話を聞かされたんだか。ロナルド・ウィーズリーの事を聞いたはずなのに。




とんでも野郎に目を付けられてしまったロン君でした。

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