雨の中、箒で飛ぶのは最高だ!それも-獲物-を狩り立てながら飛ぶんだから、テンションマックス!!
「俺に捕まれ!!スニッチ!!!!」
今日はとうとうハリエット・ポッターのクィディッチデビュー。
今期のスリザリンはシーカーとビーター二人が新人であっても、キャプテンマーカス・フリントは
勝利を微塵も疑わなかった。だって三人共鬼の子もしくは鬼本人かい!!というくらいにクィディッチが強かった!まさに箒にのってクィディッチをするために生まれてきたような子だこいつ等は!!
練習の時から頭角をめきめきと現し、すればするほどハリエットはスニッチを取るタイムが早くなり、ビーター二人のドラコとセオドールはえげつない程ブラッジャーを打ち返して、必ず仮敵の的に百発百中でブチ当てる!!これで優勝できなきゃ俺は首をくくって詫びてやる!!!
「そんなわけだから絶対にお前はクィディッチをやるなよ!!ロナルド・ウィーズリー!!!」
「・・何がそんな訳なんだか、きちんと説明をしてくれよな先輩。」
「ハリエットに勝つ可能性が一番高いのはお前だからだ!ロナルド・ウィーズリー!!」
「その通り!」
「・・出たな!!オリバー・ウッド!!」
「人様の寮の子を誑かすなマーカス・フリント!!君はぜひ箒にまたがりクィディッチをやるべきだロン!!」
このクィディッチ馬鹿どもがとロンとしては怒鳴りたいところだが、そのクィディッチ好きに
ハリエットが入ったので罵倒は止めにした。
ハリエットも罵倒するようでなんかヤダ。
「いいか!ロナルド・ウィーズリー!!お前がクィディッチを始めて、万が一にもハリエットに勝ってみろ、泣いてしまうかもしれんぞ!!」
「・・・あんた芯まで狡猾なスリザリンなのな・・」人様の弱点ついてきやがったよこいつ。
「・・おのれぇ―――!!!汚いぞマーカス・フリント!!!!」
「何とでもいうがいいオリバー・ウッド!!俺は、否!!俺達スリザリンは今期必ず優勝をすると誓ったんだ!!」ハリエット・ポッターに勝利の美酒を飲ませて上げるべく!!
スリザリンはにだってアンチポッターがいないわけじゃ無い。寧ろ家格を気にしていた、
聖28一族の下の方の分家たちが、筆頭格のマルフォイ家やグリーングランス家と仲がいい事に嫉妬をしている。
そんな彼等もハリエット・ポッターの境遇には同情はしている。人生の大半をどん底を舐め回した彼女に、勝利の美酒の一度や二度は味わってもらってもばちは当たらんだろと。
特訓にも手を貸した、もっと効率のいい動きを研究した、作戦会議もスリザリン生徒全員で臨んだ、後はグリフィンドールのロナルド・ウィーズリーがしゃしゃり出てこなければ完璧だ!
「だから・・俺はやらねえって言ってるだろうが先輩・・」
「それは確実にか!!」
「何ならホグワーツ在学中やりませんて一筆書くぞ?」
「よし!書き給え!!ロン!」
「・・お前まで馬鹿になっちまったかドラコ・・俺はちびッと悲しい・・」
「サッサと書けよなロン。」
「分かったよ・・書くから頭の上から顎退かせよセオよ。」
「血判も押してくださるわよね?」
「・・本気で怖えよ・・ダフネ・・アミルもにっこりと笑って小刀持ってるなよな・・」
「あら、切り裂き呪文の方が良かったかしら?」
この分だとビンセントとグレゴリーもなんか言ってきそうなので一筆書いても血判は押さなかった。
血を悪用される怖さはルシウスさんに散々教わってる・・だからダフネが舌打ちしたのは俺の気のせいだ・・きっとそうだ、うん。
そしてハリエット達の初試合。相手はレイブンクローで勝敗は決まっている気がするのは気のせいか?
「やってまいりましたクィディッチの開幕試合!!今回のカードは何とグリフィンドール対
スリザリンではなく、まさかのレイブンクロー!!哀れフクロウは蛇の毒牙から逃げる事が出来るのか⁉」
実況中継のリー・ジョーダンからしてレイブンクローが不利だとのっけから言ってるって、
レイブンクローに対して失礼じゃね?
やってみたらいい試合をしてるじゃん、クァッフルの得点で60対50で何だかんだでレイブンクローが勝ってるぞ。
それでも一発逆転出来るのがクィディッチの怖ろしいところだ。
シーカーがスニッチを取ったら150点って馬鹿げてると思うのは俺一人だけだろうか?
レイブンクローのシーカーは右往左往とスニッチを捜しているが、ハリエットはピッチの上空のど真ん中で微動だにしてない。
ブラッジャーが飛んできてもドラコ・セオコンビにお任せ状態、二人を信頼しているからこそ
スニッチ探しに一点集中をしているんだな。
どこだ・・スニッチはまだ出てないか・・。
曇天で始まった試合は大雨に見舞われたが、ハリエットは全く気にせずスニッチをひたすらに探した。
大好きな奴等もいけ好かない奴等も全員が一丸となってクィディッチ優勝を目指してる!!
その心意気に答えない奴はシーカーじゃねえ!!今期の優勝を逃したら俺は一生クィディッチはやらねえ!!・・光った・・ピッチの一番隅の・・
光を見つけたハリエットは「おお――――っと!!何とハリエット選手!いきなり落下を始めた!!不慮の事故か!はたまた箒の反乱か⁉」どっちでもねえ!!
解説者の言葉を胸の内で罵倒しつつ、ハリエットは箒に送る魔力を停止させて自ら落下を始めた。
魔力を送ればその粒子がほんの少しのブレーキになってしまうのを自分で発見したハリエットは、
魔力なしを試して成功をさせている。
「俺に捕まれ!!スニッチ!!!!」
凶悪なまでに叫び上げながら高速で獲物に近づき、怯えて逃げ始めたスニッチを見た瞬間に魔力を箒に送り込んでフルブレーキを掛けて直覚的な動きでスニッチを捕えた!
「・・・俺達の勝ちだ――――!!!!!」
その瞬間、ハリエットは雄叫びを上げ、割れんばかりの拍手と歓声がスリザリンから沸き起こった。
ずぶ濡れの中、ハリエットはマーカス・フリントに抱き着き、他の選手たちともハグを交わしてその日の大広間はスリザリンの宴で夜を閉じた。
朝に手紙がハリエットに届いた。白い封書にハリエット・ポッター様宛と書かれて。
部屋ん扉の前に置かれており、発見をしたダフネは真っ先に寮監であるセブルスに持っていった。
なんとなればハリエット・ポッターは闇の帝王を倒したとされる者。このホグワーツは実は外部からの侵入に弱いところもある事実も発見されており、まだ侵入可能な経路の全貌は明らかにはなっていない。
彼女を全ての悪意から守るのが使命とばかりにダフネは手紙を調べてもらうべく、朝一でセブルスの下にやってきた。
「・・ダフネ、私の見る限りこの手紙には呪いも悪意もない。」
「そうですか、セブ小父様がそうおっしゃるなら大丈夫でしょう。」
「ダフネ・・」
「分かっておりますわ。ここでは生徒と教師であるとおっしゃりたいのですよね。」
「ドラコにもそう伝えなさい。ホグワーツでは・・」
「でも、他の生徒達がいない時くらいよろしいと思いますわよ?ロンや子供の家の関係者の時のみお許しをしてくださいませんか?」
「・・考えておこう。手紙をハリエット・ポッターに渡してあげたまえ。」
「素直にハリエットと呼んであげればよろしいのに。」
「・・行きたまえ。」
「失礼しますわ、セブルス先生。」
セブルスをからかいつつ、ダフネはハリエットとアミルが待っているスリザリンの自室に戻った。
「・・・俺、手紙って初めてもらった・・」ホグワーツからの案内書もあるが、あれはきちんとした手紙にカウントしなくていい気がする。だって超迷惑被ったんだから。
一人で読みたいと言って、日曜なので食事の後バジの部屋に入った。
「バジ!俺初めて手紙を貰ったんだよ!!」
「-よかったではないかハリエット。我に構わずゆっくりと読みなさい。-」
「うん、後で遊ぼうなバジ。」えっと・・
-拝啓 ハリエット・ポッター様-
貴女をこのホグワーツでお見掛けしてから一年半もの日が経ちます。
僕は遠回しないい方は苦手なので率直に伝えする事にしました。
貴女の事を好きになりました。
返事をぜひお聞かせください。 アリアン・ロッディオ-
・・こ・・・・これって・・まさか・・・「ラブレター貰ったのか俺は――――⁉」
元・秘密の部屋に大絶叫が響き渡ったのであった。
ドキッ!!人生初のラブレターなハリエットちゃんでした。
次回は保護者達の大暴走と恋の行方の顛末です。