ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

37 / 72
ラブレターを出した相手の生死は如何に!!


恋の顛末

-拝啓父上様、突然ですがロッディオなる姓名の家を大至急お調べください。

 これにはハリエット・ポッターの未来がかかっているのです。

 僕は彼女をとても大切な、友人よりも可愛い妹と思っているのです。

 その妹に関することなので今日中に願います。分かり次第両面鏡でお知らせ下しい。  

                                ドラコ -

 

「ふむ・・ナルシッサ、ドラコからのこの手紙をどう読む?」

「まあまあ、あの子ったら慌てて書いたのね。手紙を雑に書くなんてあの子らしくありませんわね。」

日曜日の昼食のさなかに梟便の手紙が飛んできて、驚いて中身を見てみればなんとも変わった内容だった。

異変があればもっと緊急を知らせる両面鏡を使うはずだが、手紙で来たとはこれ如何に?

「旦那様、梟便のお手紙がまた届きましてございます。」

「そこに置いておきなさいドビー。」

「畏まりました。・・あの・・坊ちゃまは・・」

「うん?つつがなくやっている。クリスマス休暇には帰って来るそうだ。」

「左様ですか!あっ・・ドビーめは仕事に戻りますです!!」-バチン-

相変わらずドビーは他の屋敷しもべと変わっている。

普通の屋敷しもべは自ら主人に対して何かを質問をする事は無い。それも主人の事ではなくその子供の近況を尋ねる事なぞ論外の筈だが、ロナルド・ウィーズリーに会って以来、常識を覆らされる目に何度もあっていると、ドビーくらい何とも思わなくなって罰する気すら起きなくなった。

そのせいだか、ロナルド・ウィーズリーとあって以降のドビーはマルフォイ家にきちんと忠誠を誓うようになり、特にドラコに強い思いを抱くようになった。

坊ちゃまを守りたいと。ドラコもロンの影響か、屋敷しもべに時折お礼をするようになったのがきっかけなのかもしれない。

何かをしてもらえるのが当たり前になったら腐った人間の出来上がりだと言っていた五歳児の子供の・・そのロンからも手紙が届いた。

 

-前置きが無くて済まないがルシウスさん。

 きっとドラコがロッディオっていう人を調べてくれ的な手紙が少し前に届いたと思うんだけど、

 悪いが無視してくれ。

 詳しい事は明日リジーの両面鏡で知らせる事を約束する。

                         ロナルド・ウィーズリー -

 

「あらあら、ドラコといいロン君といい、つれない手紙ばかり。今年のクリスマス休暇には

是非ハリエットちゃんにも来て欲しいわ。」

「ドラコとロン君に手紙を書こう。シシ―が待っているとな。」

「あら、貴方は楽しみでは無いのですか?」

我が子とその友人からの手紙は一旦わきに置かれて二人はイチャコラし始める。

何年たってもこの夫婦は新婚さん同然であったりする。

ドラコからの手紙は気になるが、ロナルド・ウィーズリーが解決するだろうとルシウスは読んでいるので、安心をして妻といちゃつけるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

どこぞの夫婦が平和にイチャコラしている時、ホグワーツでは大騒ぎになっている。

まず騒いだのはラブレターを貰ったハリエットがパニくった。

「どうしよバジ!!俺どうすりゃいいんだ!!!」

「-・・・ハリエット・・我に聞いてどうする?-」

「だってバジは何百年も生けてんだろ⁉知恵を貸してくれよ!!」

「-確かに我は長生きはしているが、そなたたち人間に関しての知恵は蓄えていないぞ。

我はこの地下にてずっとサラとの約束でホグワーツを守っていたのみだ。

それもそなたのような蛇語が出来る者が現れた時のみ覚醒をする。」

「・・そうか・・じゃあどうしよう!!俺・・こんなこと初めてで・・」

「-外の同族に聞くがいい、行ってこいハリエット-」

「あっ!!そうだよ!バジの言う通りだ!言ってきます」

・・やれやれ騒がしい子だ・・蛇たる自分に聞いてどうするんだか。よっぽど焦ったのだろうが、ロナルド・ウィーズリーが何とかしよう。

バジもロンに丸投げをして、一人になったので眠ることにした。

 

「クィリ先生―――!!」困った時は先生だ!!

秘密の部屋から一番近い先生の部屋に突撃をし、「先生!ラブレター貰ったらどうしたらいい⁉」とんでもない事をぶっこんだ!

「・・・ハリエット、何故俺様に聞く?」

あまりの唐突なハリエットの出現と質問内容に本来の主人格のクィレルがフリーズを起こしてポンコツ化したので、仕方なくヴォルデモートが表に出てきて対応をした。

「俺・・こんなもの貰ったの初めてで・・好きって書いてあるけどあれか?恋人になりたいって事でいいのか?恋人って何をするもんなんだ・・」

勢いよく聞いてきたハリエットは、最後はしりすぼみの声になってしょげ始める。

12年も生きて来て、そんな事も知らないのかと呆れられるかもしれない事に思い至ったようだ。

・・・・そんな超難問を俺様に聞くのかハリエットよ・・

もう内心ため息しか出ない。愛だのなんだのなんてものにトンと無縁な自分とクィレルに聞くのがそもそもの間違いだろう。

策略や篭絡の為の偽の愛ならば教えてやれるが・・そもそも自分が復活をしたら、慈悲を掛けてさくっとアバダするつもりなのを知らないって幸せだな~と、少々現実逃避をしつつ、

「セブルスにでも聞け。」と、ダブルスパイをしているセブルスに嫌がらせをしてやるところがヴォルデモートであったりする。

「そっか!ありがとうクィリ先生!!」

バタバタと言ってしまった。ハリエットは懐いた相手の名前を短く呼ぶ癖がある。

セブルスはセブ先生、ハグリッドはハグ・・・何故か自分も懐かれてクィリ先生になってしまった。

・・・あいつに恋文なぞだしたのは誰だ?

聞いておけばよかったとヴォルデモートは臍を嚙む。知ったらアバダではなくクルーシオでもかけてやりたい気分になったのはなぜだろう?

 

「セブ先生!!ラブレター貰ったらどうしたらいい!!」-ブウー!!・・ゴ・・ホゴホ・・

飲んでいた紅茶をむせたではないか!!ノックをせずにいきなり扉を開けてきたうえに、何をとんでもない事を聞いてくるのだこの子供は!!

突発的な事をしでかすのは、やはりあの馬鹿ジェームズといっしょか。

しかし本当に困り果てた顔をしている・・頼むからそのリリー譲りのエメラルドグリーンの瞳を潤ませて見つめないで欲しい・・でないとうっかり絆される・・

「藪から棒にどうした、こういう事はロナルド・ウィーズリーにでも訪ねてはどうかね?」

こんな薄暗い地下で幸せいっぱい甘酸っぱさいっぱいの話を相談されてはたまらない。

「そうか・・そうだよ!ロンだよ!!クィリ先生の言う通り、セブ先生のとこ来てよかった!!じゃあ行ってくる。」

「ちょ!!・・行ってしまった・・クィリ先生がだと・・」

あの死にぞこないの闇の帝王め!!何を人様に厄介事の中心にぶっこもうとした⁉

今すぐクィレル諸共アバダされたいのかあいつは!!

闇の帝王への忠誠と怖れなぞ、リリーが死んだ時点で諸共に死んだ。

サッサとあいつを葬る策を練ろう、腹黒狸校長と・・・ハリエットに恋文を送ったという者も入れておくか?差出人を聞くのを忘れたのが痛かったか・・後でハリエットに聞いてみるか。

 

ロンは・・ここか⁉

「あのさ!!あ!ジョージ・フレッド!」

「「おや、スリザリンの仔猫のハリエット。ロニー坊やに会いに来たのかい?」」

「そうなんだ、あいつは・・」

「とにかく入りたまえ。」

「君なら許可されるぞハリエット。」

「「グリフィンドール寮にようこそハリエット!!」」

双子はグリフィンドール寮の前にいたハリエットを寮の中に招き入れた。

ロンも同じようにスリザリンの寮に出入りしていると言うし、無断で忍び込まない限りは即の規則も無いのだからとホイホイ招き入れる。

「それでロンは・・」

「ロニー坊やになんの用だい?」

「僕等じゃ駄目かな?ハリエット。」

・・ロンの兄貴達でもいいかな?

「ラブレターを貰ったんだよ。」「「へっ⁉」」

「貰ったらどうし・・・」-バッリーン!!- -ガッシャ――ン!!-

ハリエットの一言で、グリフィンドール寮内に地獄のふたが開いた、開いて出てきたのはシリウス・ブラックだった!!!

シリウスは今日は地図作成の為にという名目で来校し、-ついで-にハリエットとロン達に会いたいな~とルンルンできて、OB特権でグリフィンドール寮でロンを探そうとしたら、

とんでもない事が耳に飛び込んできた!!

「ハリエット、手紙を見せてみなさい。」常にない丁寧な言葉が返って怖い!!

ハリエットがラブレター貰ったのを聞いただけで魔力を暴走させて花瓶にマグカップ類を壊した後では余計だ!!

怖いもの知らずのハリエットと双子もどんびいてガクブルしたくなる程に怖い!!

こっちに来るな死神!!!

目線だけでも何人も殺せそうな顔をこっちに向けないでほしい!!

「大至急ロナルド・ウィーズリーを探し出せ!!」

「超俺様大王を止めさせろ!!!」

グリフィンドール寮はエマージェンシーに陥った!こんな怖ろしいものはロナルド・ウィーズリーでなけらば止められない!!

上級生たちの迅速な判断と、下級生たちの俊敏な動きでロンはほどなく中庭で見つかり一緒にいた者達と共に寮に戻った。

「で・・この騒ぎの発端はなんだ、ハリエット。」

とりあえずいつもの如く駄犬をしばいて地面に転がしたロンは事態の説明を求めた。

「・・・俺がラブレター貰って・・どうしたらいいかをロンに相談をしようとしたらシリウスが急におっかなくなった。」

「・・・この駄犬が・・って・・お前達も何怖い顔してんだ?」

一緒に中庭にいて付いてきたのは、ドラコとダフネだった。

二人共日頃はおっとりとしているのにハリエットがかかると暴走気味になって来てる。

「ハリエット、誰から貰った?」

「え・・ロッディオっていう奴・・」

「そう、貴女あての手紙を検品しなかった私の落ち度ね。」

「ダフネ・・なんか怖い・・」

 

そしてドラコはルシウスに梟便を出し、速攻でロンも打消し内容をルシウスに送り、ダフネは

「きちんと相手を見極めて上げますからね。」世にも怖ろしくも優しい声でハリエットに話をしつつ、ハリエットの頭をなぜてハグをする。

まだこの子には早すぎる、過保護なお母さんは今回の一件を看過しませんよ?

超絶怖いおっかさん化している。

「そうだ!!ハリエットにはまだはや・・むぎゅん!!」

「いいからあんたは口を出すな馬鹿名付け親、ダフネも今回の件は手を出すなよ。」

余計な事を言いそうな駄犬の頭を地面に蹴り倒しつつ、ロンは全員にお手出し厳禁を出す。

「いいかハリエット、お前に向けられた好意だ。お前自身が答えを出せ、振っても付きまとわれた時には俺達に相談をしろ。」

「・・分かった・・考えてみる。」初めての事だけど頑張るぞ!!

 

 

「ロンの馬鹿野郎!!ハリエットが早々にお嫁に行っちまったらどうすんだよ!!」

「シリウス・・ハリエットはまだ子供だよ?」

「暢気な事を言うなリーマス!!結婚はなくても婚約があんだろうが!!!」

この駄犬ちょっとうざいと思いつつ、いつも通りに適当に慰めるリーマスだった。

 

夕食の大広間の一角は沸騰寸前している!ハリエットが来るのが遅すぎる!!

「皆お待たせ~。」

「遅いぞハリエット!!」

「わりかった、ドラコ。ダフネも皆も心配かけたな。」

ハリエットが来ないのはラブレターの相手と揉め事かと皆がやきもきをしていたのだ。

「それで・・どうしたの?」

「ん?ああ、断った。俺まだそういうの分かんないから無理だって。そしたらお友達から始めようって言われたんだ。」

ずっとダーズリー家で程い目にあってきた。その事はロン達のお陰でどうでもよくなったが、

分からない事が増えた。

特に愛ってなんだろう?ロンは大好きだ。ドラコ達もクィリ先生達も好きだ。でも愛ってなんなのかよく分からないままだ。

愛がポカポカ胸を温かくするだけじゃないらしい。よく分からないのに好きだって言われても、

言ってくれた相手に悪い気がしたからすぐに返事をした。

相手は同じスリザリンの一つ上の先輩で、談話室で下級生に勉強を教えているのをよく見かける人だった。

自分が御免なさいをすれば「こちらこそすまなかった、少し急ぎ過ぎたようだね。君はまだようやく世界を知り始めたばかりなのに。」却って謝られて、それでも綺麗になっていく君を独占したかったんだと言われた。

ホグワーツに来た当時はガリ細だったのが、スリザリンの皆やロンのお陰でふっくらと愛らしくなり、日々の何気ない事でも喜び、毎日キラキラとして楽しんでいるハリエットに惚れたのだと。

「諦めないよ。」そう言われたのは内緒だ。

ハリエットが速攻で返事をしたので一応は皆落ち着きを取り戻し、平穏無事なホグワーツに戻った。

ちなみにセブ先生とクィリ先生も何故かホッとしたのは二人の内緒だ。

 

「ロン、貴方は今回何もしなかったわね?」

「毎回何かすると思うなよハーマイオニー。」

俺はトラブル解決係じゃねえぞ・・とは言えない。

「スキャ、ハリエットに虫が付いたらしい。」

「チュ~(まあそろそろお年頃っしょ。)」

「暢気を言うなよ、もしも手紙が偽でハリエットの心を傷つけようとする輩の策略だったらどうするんだよ?」

「チ・・チュウ(可能性は・・あるか?)」

「だろう?だからロッディオっていう奴がスリザリンにいるか、スリザリン寮付きの屋敷しもべに

聞いてくれ。」

「チュウ!(合点承知の助!!)」

近頃ネズミ語を覚えたんだか、スキャバーズだからか、ロンはスキャバーズと普通に会話をしている。

そのスキャバーズに頼んで速攻で調べさせ「チュウ?(ロッディオっていう奴いるか?)」

屋敷しもべに確認をして、いる事を知った後は様子も見に行ったらそわそわして、そうこうしている間にハリエットが訪ねてきたのが見えたのでスキャバーズに帰るように命じて引き揚げさせた。

覗き厳禁であり、その後は本当に知らなかった。

なんだかんだ言ってもロンもハリエットと天使達が絡むとぶっ壊れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあバジ、この学校を作った奴等はラブレター貰ったのかな?」

「-ゴドリックは手紙は貰わずに自分から女性を口説いていたな。サラは魔法全般の研究一筋でこもっていたし、ロウエナは才女で名高く自分で夫を見つけて、ヘルガは・・」

後学のための勉強と、バジに四大創設者の恋の遍歴を聞くハリエットであった。

聞けば聞くほど愛とは複雑で分かりにくい・・分かる日が来るんだろうかと少々不安になってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうかそうか・・その身の程知らずは・・」

「やったらルシウスさんと絶交するっぞ。」

「・・分かった・・引くと仕様-今回-は。」

「あのな・・」

リジーの両面鏡を借りて事の顛末を話したらルシウスさんも駄犬と同じって・・マジ勘弁してほしいと思ったロンであった。




知識がついても中身が3・4歳児のハリエットちゃんが、保護者役の面々を暴走させかけ振り回した回でした。
そろそろハリエットの事もスポットライトを当てていきたいと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。