ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

41 / 72
ドラコ以外は子供達の登場人物は出ません。


番外編ーマルフォイ邸のパーティー-

ハリエットがダーズリー家でバーノン達と平和なクリスマスを祝い、ロン達ウィーズリー家が

賑やかにクリスマスパーティーを開いている時、マルフォイ邸は聖28一族の上流階級と、多方面の実力者達が集まったパーティーが開かれていた。

「今年も呼んでくださりありがとう、Mr.マルフォイ。」

「ご子息もすっかり大きくなられて・・」

「マルフォイ家の将来も安泰ですな。」

「利発そうなところがお父上に・・」

 

バカバカしい、言っている奴等の底が透けて見えるおべんちゃらにはもううんざりだ。

「父上、申し訳ありませんが飲み物を取って来てもよろしいでしょうか?」

「行ってきなさいドラコ。もう少ししたら休むように。」

「かしこまりました父上。」

僕の心を察してくれた父上がこの場から逃がしてくれた。

ここに集った者は皆なにかしら父上とマルフォイ家の恩恵を受けている者達ばかりだ。

彼等が僕を褒めるのは父上へのご機嫌取りだと丸分かりでうんざりとする。

 

綺麗に着飾ったご婦人たちも、母上の生来の美しさには勝てまい。綺麗なプラチナブロンドに

湖水を思わせる美しいブルーの瞳。僕という子供がいるようには見えないいつまでも若々しく

愛らしい母上。

紳士を気取った者達がどれほど偉ぶっても、本物の威厳を持つ父上には敵うまい。

僕なんかよりも父上と母上を褒めるべき点が多々あるだろうに。

 

バルコニーに出て中でのわずらわしさを、冷たい風で洗い流す。

この場に赤毛の一家が来れば、あらゆる意味で見ものだ。

彼等の赤毛はくすんではおらず、皆一様に真っ赤に燃えた炎のようだ。中身も髪の色と同じで様々な炎を内に秘めている。

この場にいる大人達なぞ瞬時に焼き尽くしてくれるはずだ。

 

「ドラコ坊ちゃま!このような所にいてはお風邪をお召しになってしまいます!!」

「・・ドビーか・・そろそろ寝室に帰ってもいい時刻になっているか?」

「はい、もう坊ちゃまの就寝時間となっております。安心をしてお部屋にお戻りくださいませ。」

「分かった、教えてくれてありがとうドビー。」

「・・坊ちゃま・・勿体なきお言葉!!ドビーめはどのような事をしても坊ちゃまをお守りいたします。」

大袈裟だな、でも言葉には熱を感じてドビーの心からの言葉だと分かる。

「ありがとうドビー、送って・・」

「はい!お送りいたしますです!!」-バチン-

この姿現しは本当に便利だ、将来絶対に覚えよう。

母上も先程話を楽しまれていた、父上もそのまま下がっていいと言っていた。

たまには当主の息子の立場をサボタージュしよう、明日父上と母上に詫びればいいか。

「坊ちゃま、何か温かい御飲み物は?」

「いい、父上達が僕の事を聞いたら疲れたから寝ていると伝えてほしい。」

「かしこまりました。おやすみなさいませ坊ちゃま。」

良い夢を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どの家庭も子供達が眠る頃、マルフォイ邸のパーティー会場に防音呪文が毎年施される。

中ではどのような悪事・密談・権謀術数が渦巻いているのか聞いてみよう。

 

 

 

「あの古狸が!!あいつみたいな腐れ教師が何で校長職についているんだ!!」

「その通り!我等がスリザリンというだけで目の敵にしてくる贔屓爺が!!!」

「この前のホグワーツのアクロマンチュラ騒動ではもう少しで吊し上げ大会を開催できるところまで漕ぎ付けたというのに!」

連れの妻たちを寝かせた男達はとある爺を標的に盛大に気炎を吐きだし始める。

「申し訳ない・・もう少しでホグワーツの校長職を解任できたというのに・・私の配下が余計な事をしでかしたせいでご破算にしてしまって・・」

「ああ~あのカエル女か。だから言ったろうファッジ大臣、あの女はさっさと切れって。」

「どっかに捨てて来いって言ったのに、おべんちゃらに負けてんじゃねえぞ!」

さっきまでドラコや奥方達に紳士を気取っていたとは思えないほどの変わりような口の利き方だ。

「その通りだ!!あの真っ黒狸の退治方法を皆で考えるぞ!!」ここで闖入者が乱入!!

 

「げ!!シリウス・ブラック⁉何を光の不死鳥の騎士団に入っていた奴が抜かすか!」

「Mr.マルフォイと付き合っているからと言って、毎年毎年うっとおしい!!!来るんじゃない!!」

「うるせえ!おれは今年こそ決めたんだ!!あの腹黒狸を退治しなくちゃ大切なものは守れねえって分かったんだ!そうだろ野郎ども!!」

 

そう、このパーティの半分は毎年の顔つなぎの場であり、もう半分は-腹黒爺吊し上げの会-

であったりする。

あの校長は碌でもない奴だ。グリフィンドール生が少しでも困ればさっさと助ける癖に、

他寮の、それもスリザリン生が虐められていても放っておく最低野郎だ!!

分かりやすい例がジェームズ・ポッター達がセブルス・スネイプを虐めてもやり過ぎて殺しかけても退学にはしないという甘い事を平気でする屑狸野郎だ!!

 

この十年、闇の帝王倒れて以来、その校長様は増々調子に乗りやがって発言権を増しているという

気に食わない事態に、いつしかマルフォイ邸でのパーティの趣旨が半分様変わりをした。

当初はウィーズリー家と付き合いつつも、闇の勢力と関係を完全には断っていない家とも

ビジネス関係で繋がる為の情報交換の場だったのが、子供達が寝静まり妻たちも寝た後に昔からのダンブルドアへの恨みつらみを吐き捨て、シリウス・ブラックの言う通り、常にどうやってダンブルドアを引きずり下ろすかを目論んでいる。

ここ数年はルシウスと行動を共にするようになったシリウスも、この爺吊し上げの会に出席をするようになった。

毎回お互いに悪口合戦を繰り広げつつも、何だかんだと狸退治の話をヒートアップで話し合い、

狸に隙あらばいつでもどんな事をしてでも食っちまえと言うのが合言葉化している。

 

先日のアクロマンチュラ騒動は格好の的となっただろうに、カエル女が邪魔をした!

今頃はアズカバンで一人寂しいクリスマスを送っている事だろうが、自業自得だと誰も同情はしない。

千載一遇のチャンスを不意にしたきっかけになったのだから。

 

「だからごめんよ!セブルス!!スニベルス何って酷い事を言っちまって!!!」

「・・うるさいぞ駄犬・・もう子供の頃の事なぞどうでもいいから、あの耄碌爺を葬る考えを

出せ。」

酔いも手伝って、シリウスは毎年セブルスに懺悔をし、大人になった大蝙蝠は駄犬の愚かさを寛大にも許してやる。

そんな事よりも、-大切な子供達-が狸に誑かされないうちにさっさと葬りたい。

「俺が棺桶に叩き込むのはどうよ!!」物理的に本当の意味で!

「・・・またアズカバンに逆戻りしたいのかね?」今度は本当に有罪で救いようがない。

「ハリエット達が泣いて、ロン君にお説教をされたいのですかシリウス?」

「・・駄目か・・だったら過去の方の調べはどうなってる?」

「ゲラート・グリンデルバルトと個人的な繋がりがあったという証言がありますが、それも曖昧な者しか出てこない・・」

「それを討ち果たしたのもダンブルドアか・・そんな曖昧なもんじゃ駄目だろな・・」

隙が少なさすぎるんだよ!!尻尾をサッサと出しやがれ!!!

 

今年も狸退治の決定打が出なかったと野郎一同は嘆いたが、クリスマスの翌日のダンブルドアも

世を呪いたくなった。

毎年自分を慕う者から沢山のプレゼントを貰う反面、とんだもない物も贈られるからだ。

呪いのグッズであったり、不幸の手紙なぞ数知れずで、毒入りのお菓子は山のように届いて、

今年は更にものすごいものが届いた

 

 

      「ハリエットの幸せを邪魔したら地獄に叩き込むぞ爺!!!!」

 

 

クリスマスの朝一を咆えメールで叩き起こされた・・咆えメールは燃え尽きてしまうので誰の仕業か分からずに報復は不可能・・もう儂嫌じゃ、今年はふて寝しようと引きこもったダンブルドアであった。




前半でいつもの通りの幸せいっぱいのお話と思いきや、狸退治のお話でした。

闇の皇子様、とうとう頂いたネタを書く事が出来ました!
腹黒狸に翻弄されて、恨みつらみを吐き出しながらも虎視眈々と狸の首を狙う者の話と、
その狸の嘆きの話でした。

この場をお借りして、お気に入りが700名様となり、嬉しい限りです。
駄文で誤字脱字が相変わらずに多い筆者を見捨てることなく読み続けてくれる皆様にも感謝の言葉を述べさせていただきたいと思います。

闇の皇子様の様に、何か面白そうな話のネタがございましたら、頂ければ幸いです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。