どこでどじったか、ロナルド・ウィーズリーがフェンリール・グレイバックを倒した後に自分はグレイバックの体の一部を持ち去って、すたこらと逃亡の旅にゴーしようと算段をしていたはずなのだが。
「クィリ先生が来てくれなかったら俺もロンもスキャバースも死んでたんだよセブ先生!!」
ハリエットの説明に、こめかみに青筋をひくつかせながら鬼の形相をしている同僚の顔を見ながらつらつらと考える。
セブルス・スネイプの考える通り、ハリエットの言っている事は荒唐無稽であり得ない。
自分は二人は助けられたらいいな、グレイバックの肉体の一部を回収するついでに位にしか考えては・・いなかったか。
あの時点ではグレイバックの事が3・二人の救出が7の割合であったのは否定しない。
否定はしないがハリエットの言うような善人では無いのだが、否定も肯定もしない。
変に言って言質を取られるようなへまをするのは面白くはない。
あの後、スキャバースを脅した咆哮には魔力がたっぷりと詰まっており、グレイバックの張ったマフリートが破れてホグズミードの魔法族達が集まって来てしまった。
まあそうなる前にスキャバースの生還を喜んでいる二人に気が付かれない様にグレイバックの右腕は切り落として中を拡大した収納袋に入れて懐に回収する事が出来たのは幸いだったか。
その後にコンフリンゴでバラバラにした、二人には二度と蘇れない様にとか適当を言って。
実際の人狼は生命力が強すぎる。この位しないと安心できないのも本音だ。
血肉が自分達に掛からない様にプロテゴを張ったのでローブも汚れはなく、確認をした後さあ行こうと姿現しをする前に、ハリエットにローブをしっかりと持たれしまい、振りほどく前にホグズヘッドの主アバ―フォース・ダンブルドアが来てしまった。
杖を構えて、こちらが少しでも魔力を発露させようものならば瞬時に攻撃する気満々の顔をしてる。
「そのライオンはなんだ!先程の爆発音も!!一体何があった!」
相当動揺しているようだな。無理もない、闇との戦争から早13年が経つ。
このダンブルドアの弟も平和ボケしていて当たり前か。
一応逃亡前なのでホグワーツの教員である事を名乗り、自分の事は一切言わずに経緯を話した。
時折同意を求めるようにハリエットの方をちらちらと見て、ハリエットも無言ではあるが私のローブを掴んだまま頷き、そうこうしている間にここを嗅ぎ付けた大蝙蝠殿とマクゴナガル女史とフリットウィクが屋敷しもべと共に姿現しをしてきた。
校内はゴースト・しもべ達を総動員しても見つからなかった。
外ならば暴れ柳の下の抜け道をを通ったと、遅まきながら気が付いたようだ。
アルバス・ダンブルドアも余程動顛をしていたか、あれはご主人様を貶める嫌な奴だが生徒を気に掛けているのは癪だが認めてやる。
「聞いているのか!クィリナス・クィレル!!」
「・・ああ・・すまない、なにを・・」
「心ここにあらずのようだな!」
セブルスは本当に短気だ。
「なぜ侵入者を粉々にした!」
「先程ハリエット達にも言ったが相手は人狼だ。その位しないと安心はできない。」
私の説明に何も知らないマクゴナガル女史とフリットウィクも同意をしてた。
「セブルス、二人を早くホグワーツのマダム・ポンフリーの下へ。」
「事後処理は後程するとして、クィレル先生も一言私どもに言って欲しかったですぞ。」
「申し訳ない、フリットウィク先生。確信のない事に人数を引き裂きたくはなかったのです。」
「そうであってもせめて屋敷しもべくらいは連れて行くべきでしたぞ。」そうすれば敵か攫われた二人が見つかった時に連絡要員として安全性が増せたのに。
「・・以後気を付けます。」本当はグレイバックにアバダして唖然とする二人を置いてホグワーツからおさらばする気だったのに、安全性もへったくれもない。
セブルスは私の言う事なぞ微塵も信じていないようだが仕方がない、一度ホグワーツに戻らねばなるまい。
幸いにもまだご主人様はホグワーツの部屋に隠れられている。
「さて、ロン君。いい加減に人の姿に戻りたまえ・・ああマクゴナガル女史とハリエットがいて恥ずかしいか。」
獅子になった瞬間衣装は全て破れたから、今元に戻ったら全裸か。それは恥ずかしいお年頃だろう。
「ロン、吾輩のローブを貸してやる。今すぐに戻れ。」・・大蝙蝠は本当に短気だ。
だがこれで全裸の心配も無くなり、ロナルド・ウィーズリーが人間の姿に戻ると誰もが思い、
大蝙蝠がローブを羽織らせてやろうと待機をしたが、待てど暮らせど獅子は少年に戻らない。
それどころかウロウロとして首をかしげながら困惑をしているように見える。
「・・ひょっとしてロン、戻り方が分からないのか?」
ハリエットのぽつりとした一言に、大人達は内心でため息を吐いた。
アニメ―ガスになれるものが戻り方が分からないってない。
そう思ったのだが、獅子はハリエットの前に来てこくりと首を縦に振った!
「「「「えええええええ―――――!!!!!」」」」
「冗談は大概にしろロン!今回はお前が無茶をしたわけではないのだから叱らないでやる!!
だから早々に人に戻れ!!」
「Mr.ウィーズリー!アニメ―ガス登録後に獅子の姿にはまたなればよろしいのですよ!」
「皆が死ぬ程心配をしている!早く元に戻って元気な姿を!!」
「ロン君、その冗談は笑えないよ?」
「いつものロンの方がいい!」
やんややんやと言われても、戻れないいったら戻れない。
10分ほど説得をしたが、獅子・ロンはうなだれてしまって本当に元に戻れなくて困っているのが分かった。
仕方がない、一度ホグワーツにそのまま戻るしかなくなった。
「ハリエット!!って・・このライオン何⁉」
「無事・・じゃないの⁉なんでライオンが!!
「ハリエット!ロンは?一緒じゃ・・」
「先生!うちのロニー坊やがいなくて何でライオンを連れてきたんですか!!」
「理由いかんによっては明日の朝日拝めないと思ってください!」
「お兄ちゃんどこ⁉」
ザビニが死にかけましたの方よりも、ロンがおらずにライオンがいましたの件の方が大広間で二人を待ちわびていた生徒達は取り乱した・・・もっとザビニを心配してやれと、ロンが口をきけたら突っ込みそうなほどの大騒ぎ。
「これロンだよ。」もみくちゃされた後、ダフネにひっしりと抱え込まれたハリエットは、胸の中で窒息をしない様にしながらロンがアニメ―ガスだと話した。
「マジか、かっけええ。」セオドールは怖れげもなく獅子に近寄った。だって中身は親友のロンだから。
「・・・お兄ちゃん?」おそるおそるとジニーが近づくと、獅子は優しくジニーの頬に鼻先をこすりつける。
まるで安心するよう宥めるように。
兄達も仲間も獅子に近寄り、労わるように思い思いに撫ぜ始める。ザビニが瀕死の重態をとなり、
ザビニに呼び出されたハリエットと、それを聞いて追いかけたロンの姿が見えなくなった時、アクロマンチュラ騒動以来の大騒動になった。
特にロンの兄達を筆頭としたグリフィンドールとドラコを筆頭にしたスリザリンの両生徒たちが夜の暗い中を構わずに捜索隊の編成が瞬時に組まれたのだ。
ダンブルドアも瞬時に指示を飛ばした。全ホグワーツに関わる者達に二人の捜索をさせ、生徒達はいかなる理由があっても大広間で待機をする事を。
侵入者は一人とは限らない、城の安全の為に瞬時に両面鏡で闇払い局長・ルーファス・スクリムジョールと連絡を取り合い、すぐさまキングズリーと数名の部下たちが駆けつけて
夜のホグワーツはひるのよな喧噪のるつぼと化しかけたが二人の・・一応無事を目の当たりにしてホッとした。
「先生、弟はいつ元に戻れるのですか?」
獅子の喉笛をさすってやりながらパーシーはマクゴナガルにもっともな質問をする。
無事で生きていてくれたのは嬉しいが、このままだったら父さん達が驚いてしまう。
「・・きっと、魔力が尽きれば自然に戻ります。」
そうか、だったら明日くらいには・・
「甘いぞお前達、ロンの魔力はほぼ底なしだ。短くとも10日は見積もっておけ。」
日参をして、今回の騒動をひとしきり聞いて顛末も分かったシリウスは甘い見積もりをバッサリとぶった斬った。
あいつの魔力量は純血なのを鑑みても尋常じゃない。
「そんな~・・ロン!!俺お前の膝に乗りたい!そこでかぼちゃジュース飲みたい!!」
如何にかわいいハリエットの頼みでもできないものは出来ないと獅子は悲し気な顔で応じるしかできない。
「気長に待ってやれ、フェンリール・グレイバック相手にしてその程度で済んだのははっきりと言えば幸運だぞ。」もっと言えば奇跡に近い。
「お前達を助けに来てくれたクィリナス・クィレルにも礼を言っておく。落ち込むなよロン。」
自分の親友は、奴に噛まれて一生を半人狼で過ごさなければならない。それに比べれば、アニメ―ガスなぞ一時の事だ。
シリウスの予言通りにロンは一週間以上も獅子のまま。最初は驚き戸惑っていた生徒達だったが、次第に慣れてマスコット並みの扱いを受ける事になった。
お風呂に入らずに川で済まそうとすればディーンとシェーマスに捕獲をされて、ネビルに優しく洗われた。気持ちがいいのか大あくびをしながらなすが儘になった。
話は理解できるようなので授業は全部そのまま出た。ハーマイオニー達がロンの分も書き、
筆記試験や実践呪文は出来なかったがどの教科の教師たちも追試はしないと明言をした。
この状態になったのは、ひとえに大人達が不甲斐ないせいでロンが動かざる得なかったからだ。
その恩もそうだし、そもそもアニメ―ガスになれる魔法族自体が少ない程で三年生のロンが超高度な魔術を行使し続けている時点で、五年生のO・W・Lどころか、六年生のI・M・E試験を満点で突破したに等しい。
なので小テストは見逃すことにし、ロンであるがゆえにホグワーツの生徒から非難の声は上がらなかった。何故ならば彼はロナルド・ウィーズリーだからだ。
どこに行っても大人気、下級生は背中に乗せてやり上級生にも黙って撫でられ、ご飯は毎日レアのステーキだ。
「それで、君は来期もこのホグワーツに留まると?」
「何か問題がありますかな?」
生徒達が平和にしている間に、校長室では狐と狸の化かし合いをしていた。
ダンブルドアしてはそろそろクィリナス・クィレルの危険性をセブルス以外の教師に伝えるべきかどうかを悩んでいるところに、残るとクィレルに言われてしまった。
彼にヴォルデモートが付いているのは間違いのない情報だが、如何せんきちんと確認をした事はない!ならば!!
「そのターバンを外す勇気があれば残留を認めよう、クィリナス・クィレル。」
これで断れば怪しきものとして取り押さえられる。外してもヴォルデモートが確認を出来る。
どちらに転んでも損はない・・はずが「いいですよ。」クィレルはあっさりと返事をし・・そして・・「なんと・・・・」ターバンの下は-なにも-なかった!
「どうかしましたかな、ダンブルドア校長。」黒髪を短髪にしたすっきりとした端正な男が立っているだけ・・「認めよう・・クィリナス・クィレル・・先生・・」
「では失礼します。ターバンはもう飽きましたので差し上げましょうダンブル校長。」
クィレルは一礼をして校長室を後にした。ターバンを残して。
「先輩、あの二人は無傷で助かり狼が死んだだけのようですよ。」
邪神の目論見はある意味潰えたといえよう。
ロン自身もハリエットも、ロンが大切にしているスキャバースも生き残り、ついでにザビニは助かったが退校をして別の国の魔法学校に編入したらしい。
ある意味ハリエットの敵が一人減って終わったと言えよう。
「ふぉふぉふぉ~楽しみはこれからじゃて。」さて、あの従者は今後どうするのか、ロナルド・ウィーズリーよりも楽しめそうじゃて。
案外うっかり屋のロンでした。