今年の夏休みはハリエットに護衛が付くような事態は全く無く、俺の予想通りにハリエット自身がダーズリー家を拠点に動きたいと言ってきた。
「今年は-四人-でロンドンのホテルでディナーするって。皆の事も招けるホームパーティーをしないかって言ってくれたんだ。」
課題を皆でするために、バーノンさん達はなんと家の暖炉を子供の家限定ではあるが煙突ネットワークに登録をしてくれて、毎日の様にハリエットの幸せそうなとろける笑顔を見ながら、
皆で知恵を出し合って、課題をすぐに終えた。
ホームパーティーは七月の半ばに行われた。
それぞれマグルの庭先に相応しい格好をするために、前日に子供の家に集合をしてファッションショーの開催となった。
男子はそれぞれ色は違うが無難なところでパーカー系を主に、女子はスカートにブラウスや
ワンピースと華やかになった。
「お姉さまたち素敵です~。」
ダフネの三つ下のアストリアがうっとりとファッションショーに感想をくれて、
その日の子供の家はマグル界のファッションで盛り上がった。
こうやって純血の子供達がマグル界に興味を持ってくれるのはいい事だ。
その内に子供の家に来る子をマグル界散策に出してはどうかとの案を、ルシウスさんにしてみよう。
ハリエットの家にはルシウスさんが車と運転手を手配してくれて「ダーズリー家の皆さんによろしく伝えてくれたまえ」と言付かった。
今回は子供達だけの方がいいと、あのシリウスが自ら行かないと言ってきた。
「来年にお邪魔をさせていただきたいと伝えてくれ。」ともう一つ伝言を貰って。
お土産も程よく持っていった。女子達は手作りのお茶菓子を、男子達は花束や紅茶のフレーバーを。
ネビルは自作のポプリを持って行った。予めハリエットからバーノンさん達の好みの香りを聞いておいたので喜ばれた。
誰も魔法を使わない穏やかなホームパーティーとなった。
山ほどのご馳走をビンセント・グレゴリーコンビが食べ尽くしてペニチュアさんを喜ばせ、
ドラコはチェスでバーノンさんの好敵手となり、セオはマグルのボクシングの話を興味津々にダドリーから聞いていた。
女子達はハリエットとお料理の話や今度皆で手編みの何かを作らないかと盛り上がり、途中で
ペニチュアさんがアドバイスをしていた。
父さんやルシウスさん、当然シリウスからもクィディッチ・ワールドカップのご招待が来た。
でも断った。理由は不特定多数のところにハリエットとを連れて行きたくないと皆で話し合い済みだ。
「それよりもマグルのクリスタルパレスの植物園に行きたいんです。」ネビルがのんびりと笑って、
「知らない大人達に騒がれるのは御免だ、ドラコの家で遊んでたい。」セオはドラコにひっついて
「課題がもう少しで終わりそうなんです。お出掛けはその後です。」ハーマイオニーはさらりと
「クィディッチは見るよりもやるもんだ。」お出掛け注意の本人ハリエットは力強くお断りをした。
俺もファッジ大臣にまた言い寄られるのも嫌なのではっきりと言ったら、父さん達が納得をしてくれた。
色々と察してくれて大変助かる。ジニーと俺以外がお出掛けになり、その間俺達はドビーたちが切り盛りをしているマルフォイ宅のお世話になって、皆も集まった。
ハリエットは予定通りにバーノンさん達とディナーなので来れなかったが、クィディッチ・ワールドカップの次の日の日刊予言新聞をみて、魔法界に関わらなくて良かったと全員で思った。
-クィディッチ・ワールドカップでの暴動-
昨夜栄えあるクィディッチ・ワールドカップの行われた会場にて、突如として暴動が起きた。
試合がすべて終わり表彰式を終えて後夜祭が行われているところに仮面をつけた集団が現れ、
マグル出身の者達を中心として、卑劣なる手段で襲いかかった。
幸いにも重傷者が出る前に、その場に居合わせたシリウス・ブラック氏・ルシウス・マルフォイ氏とアーサー・ウィーズリー氏を中心にした者達がすぐに駆けつけ暴動を鎮圧をして事なきを得た。
ワールドカップに出席をしていたファッジ大臣も今回の事態を重く見て、闇の魔法使い達への監視強化及び注意喚起をつよめることを・・・-
楽しい祭典が載るはずが、こんなのが一面トップとは嫌になる。
それでも父さん達の活躍で大事にならずに済んで良かった。
朝食前にマルフォイ邸に出かけていた皆がマルフォイ邸の煙突から出現をして俺達を驚かせた。
父さん達も兄貴達も無事のようだ。
「本当は昨日の夜のうちに帰って来たかったのだが・・」残党はいないか、移動をして大丈夫かと確認をするために朝まで待ったのだと父さんが説明をしてくれた。
「心配を掛けたな。」父さんに頭を撫でられ、母さん達からハグをされ、ルシウスさん達も
ドラコにハグをする。
新聞の一面を見てから俺達は安否確認が出来なかった。マグルよけの結界をマックスにしたために、両面鏡が使えなかったからだ。
無事を祈っていた矢先に全員の無事な姿を見られてよかった。
シリウスがあいつら全員アズカバンにぶち込むと言っていたのには俺達も激しく賛成をした。
「おまえちゃちは、いちゅもそういうくりょうをするのか?」その話を聞いたネフライトがしみじみと言ってきた。
確かに父さん達とホイホイ行っていたら、俺達ももれなく巻き込まれていたよな~。
「ご主人様、そうなってもロン君ならばあっという間に敵を蹴散らして、ご友人達を守っていましたでしょう。」
「む、そうじゃな。ロンじゃしな。」何だそりゃ?二人とも俺の事なんだと思ってる?
ホグズミードの少し小さめの家に、にクィレル先生と二人暮らしをしているネフライトの下へはまだ俺一人しか訪れていない。
新学期が始まってから、クィレル先生が預かっている天涯孤独の子として紹介をするつもりだ。
来年の4歳には魔法幼稚園に通わせることも伝えて。
ネフライトは確かに中身は大人で知識もある。だけれども-普通の子供-が味わう幸せは経験をしていない。
見知らぬ子どもと喧嘩をしながらも仲良くなる、嬉しい事を周りと共有をする、苦しい事もだ。
それをきちんと知って欲しいとじじいが言ってたので、ルシウスさんが来年行けるように調整を
してくれることになった。
クィレル先生が淹れてくれた紅茶をのんびりと飲みながら四方山話で日が暮れて帰るのが後半の日課になった。
後はいつも通りに子供の家の子たちと遊び、新学期を迎える子達のサポートをしたりと楽しい忙しさであっという間に新学期の日が来た。
今年は駅のホームにはダーズリー一家が勢揃いでハリエットを見送りに来ていた。
こんな何気ない日常の幸せに、皆は涙ぐむ。
今年はこの何気ない幸せを大切にしよう、絶対にだ。
ロナルド・ウィーズリーと筆者の総意-幸せは何気なく送れられる日常の中にこそある-
の回でした。