ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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当日の来賓と舞台裏の苦労です。



ホグワーツ城のお茶会にご招待の舞台裏➁

「バーノン・・とうとうこの日が・・」

「うんむ、ウィーズリーさん達が付いている、向こうにはハリエットと・・」

「ロンもいるから大丈夫だよママ。今日はしっかりと休んで、明日は-煙突移動-をすんだろう。」

夏休み期間、ハリエットが出掛けている間に一家は会議をした。

新学期のホグワーツ城主催のお茶会に行くかどうか。

 

ダドリーのスメルティング校には日曜日に出掛ける許可をとればいいが、問題は自分達のしてきた所業だ。

ハリエット本人とマルフォイ家・ウィーズリー家とに許されたが、魔法界の英雄もさることながら、幼子にしてきた数々の事を思うと楽しんでいいのかと罪悪感が湧く。

 

「・・それを乗り越えようよパパ。ハリエットと本当の家族になりたいんだ・・」

一人息子のながった事を可能にする為にも、彼女の世界を知って受け入れるところから始めなければならない。

一家は当然ルシウスを頼った。

魔法界と彼等の扉を繋いでくれるのはルシウスとアーサーのみだ。

 

「厳しい事を言うようだが、シリウス・ブラックにきちんと会う覚悟が必要ですな。」

ホグワーツ城に行けば必然彼に会う。彼は名付け子と、ロン達を愛している。

今回の大規模お茶会は、闇の勢力たちがテロを起こすには格好の的に映ろう。

そこの警備にはがっつりと付く予定だ。

「構いません・・むしろ会うのが遅すぎたほどだ。」彼に会って、ハリエットの話をするのが。

「分かりました。では当日迎えに行き、我が家から煙突移動をしていただく。」あれはマグルでも可能だ。

 

かくして当日の段取りは決まり、マルフォイ家とダーズリー家は揃ってホグズミードの煙突に出現をした。

「・・・ここが魔法界・・あまり我々と違わない・・」-ヒュ~ン-

「魔法界にようこそ!歓迎しますぞマグルのご一家!!」

表に出たバーノン達を、老魔法使い達が箒に乗って横断幕を掲げて挨拶をしてきた

 

             -ようこそ魔法使いの世界へ-

 

 

「ボス!横断幕の歓迎は、今のところ好評のようです。」

「うん、マグルにとっての僕等のイメージは箒に乗っている事らしいからね。あまり羽目を外しすぎないように、無理に二人乗りを迫らない様に要注意だ・・バーノンさん達が来たか・・」

「何か言いましたかパーシー?」

「あ――何でもない。引き続き頼む。」 「了解!」

 

小さな挨拶会にもパーシーたちは目を光らせ、今回は魔法省の両面鏡をありったけかき集めて支給されている。

クィディッチ・ワールドカップで味わった屈辱は二度と味わいたくないという大臣のお達しである。

 

「怪しいものはひっくくれ、間違っていたら後日謝ればいい!」

ルーファウスに苛烈なお達しもばっちり出して、闇払いの精鋭たちが目を光らせている。

 

 

「・・これはたまげた・・」

「ハリエット達はどこに・・」

「ルシウスさんとはぐれない様に・・」

 

とにかく人人人のごった返し!ルシウスに連れられてスリザリン寮の出入り口でようやくハリエットに会えてホッとした。

「叔父さん!叔母さん!ダドリーも!!」ハリエットは飛びついて喜んで城の外でダンブルドア校長の挨拶で始まりとなった。

 

 

 

「裏口からこそこそとしていた死喰い人発見です!左腕にどくろマーク!!」

「ボコってアズカバン超特急な~-特別プログラム行き-だ。」

 

 

「エエ~皆さん、ここが動く階段でも一番大きな動きをする階段です。これに迷う生徒は・・」

 

 

「食料に薬入れようとした屑野郎・・いえ!怪しげな女を捕えました!!」

「それが捕まえたのがオーガスト・ロングボトム女史のようでして・・犯人は説教され過ぎていて精神的にさよならとなりました。」

「・・・一度聖マンゴでヒーラーに見てもらったのちに取り調べ・・ったくあのばあさんは・・」

 

 

 

 

「ご覧ください。魔法界にはあのような美しく雄々しい動物が多数いるのです。

あれはヒッポグリフと言って・・」

 

 

「大変です!どこで聞きつけたのか、ニュート・スキャマンダー氏が来校され!もっと素晴らしい魔法生物をマグルに広めると言いながら、グリフォン出させろと言ってきました!!」

「誰か彼の相棒をお呼びだてしろ!!あんのいつまでも頭の中が魔法生物だらけの老人が!!!」

「・・ドラゴンも呼びたいとハグリットが・・」

「アズカバンにぶち込まれたいなら許可してやると言っておけ!」

 

 

 

 

ホグワーツ城で優雅なお茶会をしている裏では、この様に凄まじいやり取りがなされていると知っているのはごく一部の教職員だけである。

 

闇の勢力としては、鉄壁の守りを誇るホグワーツ城に闇の印を打ち上げて恐怖のどん底に落とすべくあの手この手を仕掛けてくる。

そうは問屋が卸さない!魔法省とシリウス・ブラック・ルシウス・マルフォイが目を光らせ、子供の家のスタッフもやる気は十分!

さあどんとこいかと思ったら「こちらは通行禁止です。」

「隠し扉にマグルが迷い込みました!」 「えっと、地図によれば出口はあっちで保護をしろ。」

「ペロペロ酸アメをマグルが間違って・・」

「禁じられた森からはぐれゴブリンが!」もうしっちゃかめっちゃかのてんてこ舞いだ!

 

それでも楽しい、魔法界にマグルが多数入ってきて皆が笑いさざめいている。

自分達の時代では全く想像だにしなかった。

種族の違いどころか、同じ魔法族同士でも寮の違い、血筋の違い、光か闇かに分かたれ、狭い世界でも争っていた自分達が、魔法族の親になったマグル達を招待をしている。

ホグワーツの生徒達は寮の違いを気にしている風はなく、レイブンクローとハッフルパフどころか、グリフィンドールとスリザリンの生徒達がきゃいきゃい言いながらお菓子を食べている。

 

-貴方達のいたころと今のホグワーツは全く別物です-

 

ティー・パーティーのリーダー、パーシー・ウィーズリーの言った通りだと、ミレス・アンダーソンは戸惑いながら思い出す。

少しは争いが減ったくらいにしか考えていなかった。

自分達の頃は闇の力が深かった、モリソンの頃もヴォルデモートの全盛期で、スリザリンに対して疑心の目で見ては衝突をしていたのがつい昨日の事のように思い出されるが、ここではそんな諍いの気配すらない。

 

良き時代が来たのかと、老いた心でも信じたいとミレスは涙が出そうになりながら思った。

 

 

クィディッチもどきの試合は、スリザリンのハリエットが勝利をして終わった。

試合の間に珍奇な事が一つあった。

あの-これぞ貴族の鑑!-と謳われる、当代のジェントルマン・ルシウス・マルフォイが、会場内を鬼の形相で反対の席に爆走をして、屋敷しもべを駆使してシリウス・ブラックとマグルの一家を埒ったのだ!!

 

「どうしたんですかルシウス・マルフォイ!」キングズリーは滅茶苦茶焦る!

まさかルシウス・マルフォイがまた闇の陣営に・・「ハリエット・ポッター嬢の話はしたな。」

「はい、マグルの・・彼等が⁉」

「その通り、彼等は正直に自分達の罪を告白しようとしたのだ。」

「・・この場でですか?」信じられん!あの魔法界の英雄を虐待した者達と知られれば、あのマグルの家族は下手をしたらリンチにあうぞ!!

「・・貴方の判断は正しい。疑って申し訳ない。」

「分かってくれればいい、私もシリウス・ブラックに合流をする。」

 

様々な出来事を火種の内に消火できて、裏方隊は死ぬ程くたくただが満足だ。

特に「-情報通り-バーデミウス・クラウチ・-ジュニア-が来ましたので捕まえました。」

 

この収穫が一番だ。

クィディッチ・ワールドカップの直前辺りでバーデミウス・クラウチ・-シニア-の様子が明らかにおかしかった。

何か焦っているような焦燥感に駆られており、息子はどうとかブツブツと言いはじめ、ワールドカップの直後には「奴はホグワーツの・・もしかしたら茶会に・・」

怪しげな裏路地で、まともではなさそうな情報屋に見える男と話しているのを、非番のティー・パーティーの一人に見つかり、すぐさまパーシーに伝えられた。

「確か・・クラウチさんのご子息は・・」

「そうじゃヒヨッコ、奴の息子は死喰い人でも相当の地位におった。

今は-更生プログラム-とやらでまともになったらしいが、さて本当のところはどうじゃか・・」

ミレス老の言葉に、パーシーは?になった。

死喰い人の特別更生プログラムを教わって本当に驚いた。

 

死喰い人達に真の純血の意味を根気強く教えて、遂には闇の勢力と手をきらせるとはすばらしいと。

だが実態はもっと違い、その怖ろしい案を出したのが実の弟だと知らないのが、パーシーにとっては幸せなのかもしれない。

 

とにもかくにもそのプログラムをクラウチ・ジュニアが破り、ホグワーツに来ようとするのならば対抗策をとらねばならない。

ジュニアの似顔絵を警備全員に配布して、本当ならば入り口を通れば魔法の化けの皮を剥ぐグリンコッツのあれが欲しいところだが、彼等が貸してくれるとはとても思えない。

魔法生物の中には、アニメ―ガスやポリジュリース薬で化けた者の匂いに敏感な者がいる!

マグルには警察犬というのがいるらしい、ならばこちらは魔法省付き探知動物だ!

張ってみたら開始30分で引っ掛かかった者がいた!

 

「現れたバーデミウス・クラウチ・ジュニアを捕えました!!」

引っかかったジュニアを裏に連行しようとしたら、杖がなくても強かった!

殴るは蹴るはでこちらも歯が折れ、鼻が曲がって、すったもんだの予期せぬ大取物となってしまったが、「よりにもよって-マッドアイ・ムーディー-に化けるか?」

「あの偏屈マッドが来た時点で怪しいわ。」

「大方ダンブルドア校長にでも近づこうとしたんだろう。」

「本物どこだ?」

「あ~、クラウチ・ジュニアの持っていたトランクが地下牢になっていて寝こけてました。」

「水をかけて叩き起こして説教しました。」捕まったのを同情せずに、元であろうが闇払いやってた人間が何やってんだと。

「健康被害がなければ後は放って置け、お客人達が全員帰るまで気を緩めるなよ。」

 

後日息子の監督不行き届きとして、バーデミウス・クラウチ・シニアは閑職に回される。

 

 

ホグワーツの大お茶会はティー・パーティーメンバーを中心とした魔法省の職員と、私設警護団のお陰で無事に終わりを迎えた。

ノウハウを手に入れたので、-来年-はもっとスムーズにできるだろうと打ち上げ会でのたまうほどの楽しさだった。

 

 

そして彼等は知らない、自分達が-炎のゴブレット-の準ボスを未然に捕えて、一つのフラグを叩き折った事を。

 

 

 

とにもかくにも、ホグワーツの大お茶会は無事に終了をしたのであった。 




炎のゴブレットフラグを着々と折っています。

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