ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい   作:ドゥナシオン

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某指輪物語風の題名ですがよろしくお願いします。



王族の帰還

ロナルド・ウィーズリーはシリウス・ブラックと出会って思考回路がぶっ飛んだ。

原作では現時点でアズカバンにぶち込まれている男が目の前にいたらそれは当然の考えで、それを面に出さなかったロンは偉いと褒められてもい程原作と違い過ぎる。

 

邪神野郎の差し金か?この世界引っ掻き回して俺を困らせて愉しむ類か?

それとも世間様の誰かがシリウスの無実を訴えて通ったのか・・ありえね~マジ何でだ。

 

ロンの考えはどちらも外れている。この現象の理由ははた迷惑な邪神でも、シリウス無罪の訴えでもなく、全てはロナルド・ウィーズリー自身の仕業であったりする。

だからと言って彼に全く非はなく、子供の家創設の時と同じく思った事をポツリとルシウス・マルフォイに言ったのが原因で、その内容というのが子供の家のきっかけよりもぶっ飛んでいた。

 

   「何でマグルには忘却呪文平気で使うのに魔法族には使わないんだ?」

 

「・・ロン君・・何を言ってるのかね?」

「いやさ、魔法族がマグルの前で魔法使った場合って使った奴は、魔法省の役人に捕まるんでしょう。」

「その通りだ。」

「そんで目撃したマグルの記憶は消すんでしょう。」

「それも合っているがつまり君は何が言いたいのかね?」

 

ドラコと一緒にルシウスによる魔法界の仕組みを教わっている時のロンの発言だった。

内容が少々複雑で三日に分けて教えていた最終日に、ロンがへんてこな疑問をルシウスに投げかけてルシウスは困惑をするしかない。

ちなみに一緒に勉強しているドラコは、ロンが何か面白い事を言ってくれるのかと完全に見物モードで観戦している。父親を助ける気は皆無だ。

 

「ええと・・何が言いたいかっていうと、忘却呪文使って今アズカバンにとっ捕まってる囚人に対して使えないかな~って。」

「・・何だと・・」

「ああ~分かった、魔法族は基本マグルには厳しく同族には甘いんだな。」

ルシウスさんの反応で分かった、忘却呪文をマグルで使っても魔法族にあまり使われない理由が。

「いやな、何も問答無用で使えって言ってるんじゃなくてさ、魔法界には真実薬って便利道具があるんだよね。」

「・・確かにある。」

「その薬の効能で白状した事って証拠になる?」

「・・余程の大悪事で証拠がないときやむなく使う。」

「そこが甘いと思うんだよ、犯罪者全員に使わなくてもせめてヴォルデモートに与したってやつらに使って、完全黒で更生の余地なしの奴等だったら記憶消して再教育した方が世間様の役に立つんじゃねかな。」

「君は・・一体何を言っているのか分かっているのかね・・」

 

何時もロンの話を面白く、時には有益だと聞いているルシウスの背筋に冷たいものが走った。

ロンの言っている事は魔法族の常識の範疇を逸脱し過ぎている。マグルに忘却呪文を使うのは魔法族の秘密保持の為と、ひいては魔法界をマグルから守る為だ。

それは中世ヨーロッパの魔女狩りから端を発し、マグルの理不尽な嫉妬・悪意・害意から魔法界を守る為に連綿と続けられている。

それは魔法法律評議会の法律に定められ、魔法省には専用の部署がある公的な決め事だ。

対して魔法族が同族に使った場合は問答無用で犯罪者となりアズカバンに送られる重罪である。

許されざる呪文ほどでなくとも重犯罪と定められている。

それを使って犯罪者の更生をしようなぞと考えたものは誰もいない!それこそ正義面したあのアルバス・ダンブルドアとても考えつかないと断言できるほどの事を、目の前の子供は口にしている。

魔法族が同族の記憶を消すという、闇の考えに類することをだ。

 

しかしだ、この考えはきちんと考える価値はある!

「すまないが-今の私-では答えかねる。」

「そっか、変な事聞いて悪かったです。勉強の続きお願いします。」

 

ロンにとっては新しく習っている勉強の中で発生したことの一つに過ぎないが、ルシウスにとっては今後のマルフォイ家を守る重要案件と化した。

 

ルシウスは常に怯えている。ヴォルデモートが完全に滅んだとは信じていない。一部の闇の信望者たちが彼の復活を信じ待ち望んでいる。自分もあのかつての主が復活をすると考えている。

アルバス・ダンブルドアをもってしても倒せなかった者が、赤ん坊によって倒されたと考えている大勢の魔法使いの認識の甘さには心底呆れ果てた。

-何か-があって弱っているがいつかは戻ってくる方の公算が高い。

だからといって待ち望んではいない、むしろ戻ってくんなだ!

 

だがその何時かをくい止められないのであれば、今できる対策をこれでもかというほどとっていく。

光の陣営のウィーズリー家と付き合っているのもその一つだが、もっと決定的な対策をとりたいと常々考えていたが、またもやロナルド・ウィーズリーの一言から天啓を得た!

あの発想は柔軟な子供にしかできない、やってみる価値はある。

アズカバンが難攻不落で脱走者が今までいないとされてきたが、今後もそうとは限らない。

ヴォルデモートが復活を果たし、闇陣営に陥落をされて戦力強化なぞ考えただけでもぞっとする・・とくにあの-ベラトリックス・レストレンジ-が野放しになぞなったらと考えると洒落にもならない・・なぜ我が愛妻のナルシッサとあの烈女とが血がつながっているのか摩訶不思議だ。

確かに同じブラック家で世間の女性とは一線を画した美しさは両名ともにある。

だが中身が全く違う!ナルシッサは白百合の如く清く嫋やかで、たいしてベラトリックスは毒の花。

学生時代は大輪の赤いバラの如くで気性が強かったが今ほどではなかった。ヴォルデモートを知り心酔をし始めてから毒性を強め、ついには狂信者になった。夫のロドルファスも似た者同士で二人の脱獄なぞ想像もしたくはない!マルフォイ家と妻と息子の敵となるものは芽のうちに潰す!!

 

速やかにルシウスは行動を開始し、その案をいきなり魔法省トップのコーネリウス・ファッジに話をもっていった。

 

危険な者を排除すれば今の地位は脅かされることなく長く居続けられると甘言も弄して。

「私は貴殿を高く評価している。世にはあのダンブルドアをという者がいるが、それは彼の老人のかつての栄光に目が眩んだ愚か者達だ。

今の時代は貴殿の様な柔軟な発想と新しき事をする英断を下せる人物こそがふさわしい。

どうだろうか、共に私と魔法界の為にやっていく気はあるだろうか?」

 

それは蛇の甘言で、魔法大臣になりたてのファッジの心をがっちりと掴んだ。

彼は今でこそ魔法大臣と呼ばれているが、就任前と今もダンブルドアこそがふさわしいとうるさく言われている。自分なぞお呼びではない、彼が就任を断ってそのおこぼれに預かったハイエナとまで言われている事も知っている。

その自分に、聖28一族の現筆頭とも呼んでも過言ではないマルフォイ家の当主が認めてくれている。コーネリウス・ファッジこそが今の時代の魔法大臣にふさわしいと、そして共にとも言ってくれた。

この案を成功させられたとしても公にはできずに自分の手柄には決してならないとは分かっている。反対に知られれば辞職ものだとも、マルフォイ家は闇陣営のトップで裏切り者なのも知っていても囁かれた言葉はとてつもなく甘美でファッジはまんまとからめとられた。

 

そこからは早かった。ファッジは闇の魔法使いを憎み厳罰を下したいと願う-年老いたライオン-こと、ルーファス・スクリムジョールに相談をした。

ルーファスはファッジの案を天才的だと褒め上げてさっそくチーム作りを開始する。

闇払いの中に少数精鋭の秘密を絶対保持できる者を選抜をして。

真実薬を作るのも忘却の呪文を行使する者も、日頃から目を掛けていた子飼いの中から選りすぐりの者達を集めた。

何故ならこれからやろうとしている事は-現法-からすれば犯罪であり、魔法族にとってはタブーとされてきたことをしようとしているのだから無理はない。

あの少々愚直なファッジがよくこんな凄い案を出したなと正直驚いたいたが、そこは知らぬがなんとやらで発案者がルシウスだと聞いた時点でルーファスは話も聞かなかっただろう。

ファッジもその辺りはきちん心得ているので自分が懸命に考えて出した案だと言い続け、スクリムジョールもやってみたいので深くは聞かずに、発案から半年後に実行となった。

 

チームはスクリムジョールを入れた五人のみ。一人は薬作りで残りは聴取と忘却呪文の担当で、細かい規則も作っている。

 

ー、このチームはヴォルデモートの陣営のみに行使力が発生をする

ー、闇の魔法使いとなった経緯を知り、闇に染まった時期から半月前の記憶から消すこと

ー、秘密厳守、背いた時は忘却呪文を掛アズカバン送りとする

ー、無実の者が見つかった場合は徹底して調べる事、もしも隠蔽をした時は上記と同様

 

徹底した秘密主義のチームが誕生をした。行使者第一号はルシウスが怖れていたレストレンジ夫妻。この二人は闇払いのロングボトム夫妻を襲い廃人にした許しがたい者達だが出自の高さでデイメンデターのキスを免除された許せない奴等として。

真実薬はアズカバンで弱った囚人にはよく効いて通常の半分で効果が出た。

朝の配る水に混ぜ、飲んだのを監修が見届けチームの者が尋問をする。

彼らは知られていない犯罪者よりも、何時頃から闇の魔法に傾倒をして信望するようになったのかを重視し、それよりも半月前からの記憶を刈り取った。

夫妻はホグワーツの六年生で記憶を消された。

 

そして同じような作業をチームは淡々とこなして終わるのに半年と掛からなかった。

記憶を消されたものは-更生施設-に運ばれて再教育を受ける。

彼らは記憶を消され気を失った間に身綺麗にされ、一様に「悪の魔法使い達が君達に服従の呪文を掛けて悪の手先としていたのを我々が保護をした」と聞かされた。

「君達の他にも何人も同じような被害者達がいる、そこでまとめて保護させてもらう」と説明をされて。

 

当然闇の記憶の亡くなった彼等は善の心を取り戻し、家族の元に帰りたがった。

それも想定済みで「君達の所業は犯罪として認定されてしまっている。服従の呪文を掛けられたとしてもだ。」それぞれの罪を残酷にも善の心を取り戻した彼等にはあまりにも酷な事だった。

一部の本物の闇の者達を除いた大半の者達はヴォルデモートに心酔をし、-我が君-の為になると信じて善の心を麻痺させたからこそできた所業であり、正気に戻った彼等には耐えられるものではなかった。

ベラトリックスとロドルファスとてもヴォルデモートを忘れ去った今となっては罪の意識に打ちひしがれ、家族との再会を望まなくなり、中には耐えきれず詫びの遺書を残して自殺する者も出たが、チームもスクリムジョールも報告を受けたファッジも同情せず関心を寄せなかった。

彼等の所業を考えれば当然であり、それでも更生の機会を与えたのをふいにしたのは己自身だと。 

 

 

かくして子供の純粋な疑問と大人達の穢れた独善的・利己的な考えが合わさりとんでもない化学変化がおこり、後世に語られる事は無い魔法省の闇のページが更新をされた。

 

恐ろしい事は子供の純粋な疑問を振りまいた本人ことロナルド・ウィーズリーが一連の出来事を聞いたら「自業自得だろ」と容赦なく冷たい声でバッサリと斬って捨てるところだが、当人は知らず、関わった大人の一人ルシウスは知らせる気は全くなく、ロンの恐ろしい一面を知らずに済むこととなった。

 

 

さてチームの四つ目の決まりに-無実の者-の項目があったが、これは百万が一にいた場合でまさか本当に居るとは想定されずに作ったおかざりのはずが・・本当に居てしまった。

それも最悪な事に-魔法界の王族-と名高い一族の嫡子であるシリウス・ブラックその人だった!!

最悪だ!ブラック家だから闇陣営の筆頭と目された者が、真実薬の力で無罪が証明をされてしまった!!

彼は闇の魔法使いどころか、アルバス・ダンブルドアに心酔をし、ポッター夫妻を心の底から愛していたのだ。

夫妻の-秘密の守り人-も彼ではなく、ピーター・ペティグリューだと判明もした。

事がことだけに、真実薬だけではなく本人の了承を得て記憶を取り出し記憶の篩にかけて

慎重に検証をして、彼の無実は証明をされた。

 

事態を重く・・というよりは手に余ったファッジはルシウスにすべてを話して解決策を委ねてきた。

 

「成る程、ならばこうしよう。」

シリウス・ブラックはアズカバン送りとされたが学校時代にのジェームス・ポッターとの間柄を考えて引き続き捜査をしていたのだと。

そして現魔法大臣が己の職責を賭してシリウス・ブラックの無罪を信じて今回の出来事が起き、見事無罪が証明されたのだと。

何とも欺瞞と嘘に満ち溢れた話だがシリウスをこちら側はに引き込むためだ、身元引受人はマルフォイ家が責任をもってすると申し出た。

同じ聖28一族で従弟であると。

 

「・・彼が受け入れますかな・・」

ファッジとしては無実の証明話はいいとしても、シリウスが身元引受人をマルフォイ家がするのを許すとは思えなかった。ダンブルドアか、それに近しい者指名するだろうと。

「なに、私にも考えがある。」

 

そしてルシウスは単身アズカバンに赴きシリウスに面会をしてファッジにした説明を繰り返しは・・しなかった。

ルシウスは独房に防音呪文を掛けて-全て-を話した、すなわちファッジすら知らないこの一連の発端から経緯全てを、自分の思惑も腹蔵なく。

「私は家族を守りたいのだよ。」魔法界の王族のブラックを利用すると堂々と結んで。

 

 

全てを聞いたシリウスは様々な思いに煮えくり返った。ふざけるな・・親友は死んだのにこいつは家族とのうのうと生きて・・守りたいとほざいて・・殺してやりたくなる!!!

「・・一つ聞く・・」

煮えくり返った思いを抑えてシリウスは唸るようにルシウスに初めて話しかけた。

「ハリーはどうなった、最後に会った時はハグリットに預けたが・・」

「生きているはずだ、ダンブルドアが匿っているという話だが。」

「・・そうか・・そう・・か・・守られて・・」

聞いたシリウスはボロボロと泣き始める。

自分の浅はかな計略で親友達を死に追いやってしまった・・せめて名づけ子はと願ってアズカバンで生き続けた。

目の前の男は確かに殺してやりたい位だが、この男がいなければ自分の無実は永遠に晴らされなかったのは事実だ。

「・・身元引受人になるのを許してやる・・」受けた恩はそれでちゃらだ。

「せいぜいブラック家の威光を使うんだな」精一杯の皮肉を込めて。

 

 

シリウス・ブラックの様な男にはやはり正面突破が有効だった。頭の回転は速く、磨かれた処世術や当主として受けた教育が、言われたことが本当か嘘かを瞬時に見破ってしまう。

ばれると分かっている嘘なぞに価値はなく、腹蔵のない思いこそがシリウスの様なものにはきちんと届く。彼ならば分かるはずだ、自分はもう家族を守る以外の関心はない事を、自分が動くときは全てその為だと。そこに善悪はなく、情によってしか動かない今の自分の状態を。

 

ルシウスの思惑は当たり、かつて親友の為ならば命なぞ惜しくはないと思っていた自分と重なり、ルシウスの事を心底憎めなくなってしまった。

 

 

 

「・・発端の子供って奴に会いたい、会わせろ。」

「よろしいでしょう、彼の名は・・」

「いい自分で聞く。」

「分かりました、ご随意に。」

マルフォイ家の当主であっても、ブラックの嫡男の方が格が上。幼き頃から植え付けられた思想は簡単には消えずに、ルシウスは自然と年下で身元を引き受けたシリウスに対して敬語を使って話をする。

受けたシリウスも傅かれて接せられるのには自然と慣れているので、何の疑問もなく受け入れた。

 

 

かくして諸々の手続きと用意が整いアズカバンを出たその足で、シリウスは真っ先に発端の少年に会いに行った。

魔法界の王族の帰還に、ロナルド・ウィーズリーは立ち会ったのだった。

 




以上が原作崩壊理由でした。
次回は更に崩壊します。
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