べたです、捻りも壮大さも全くないべたべたなお話です。
ほんの少しヴォル様主従の近況も入っています。
「だから教えてくれよクィリ先生!俺何でこんなに苛々とするんだ?」
「その答えは君自身が分からないと意味が無いものだ。
私から言えることは特にはないよ。」
別にロンが誰と踊ろうといいではないか、普通に日常的に甘やかしをしてくれるし優しいし、何も問題が無いのに!ない筈なのに苛々とするのはなぜかとクィリ先生にお悩み相談に来たら、ニコニコとお茶を出されて終わりだった。
「先生~意地悪しないで・・」
「意地悪ではない。君の成長は喜ばしい事だ、その苛立ちも含めてね。」
「クィリ先生なんか変わった、前は何でもかんでも教えてくれたのに。」
「君が自分で分かると思ったからね。そろそろ大人の準備をする時期だ、雛が飛び立つのをあれこれ言って邪魔をするのはよくはない。」
「それって俺の為って事か?」
「さて、それも考えてみるといい。」
クィリ先生は本当に変わった。
最初に会った時にはおどおどとした喋り方でも強さを感じて、時折狸校長をぶっ飛ばすって一緒に言っていたのに、急に大人の頼れる・・そう、セブ先生の落ち着きにドラコの紳士さが付いたもの柔らかい大人になった。
俺としては-俺様-の先生も好きだったのに、でも時折校長を狸と呼んで鍋にするってにこやかに言ってる方が怖い気もするけど嫌いじゃない。
今も俺の事を一人前に扱おうとしてくれている。
何でもかんでも聞いて終わりの子供は卒業しないといけないと優しく教えてくれている。
「分かった!自分で考えてみる!!」
「その意気だハリエット。それでも分からない時はお友達に相談をしなさい。」
「はい!ありがとうございました!!」
元気な女の子になったな、しかし「注意力しゃんまんなままだな、我がいた事に全く気が付かずに行ってしまったじょ。」
「仕方がありません、あの年頃は自分の事で手いっぱいになるものでしょう。」
「そうじゃな、それにしてもお前はほんちょうに教師になちゃのだな~。」
「お褒めに預かり光栄ですが、ことハリエットとネビルは格別に愛おしいのです。」
あの二人のお陰で本当の愛とはを知る事が出来たのだから。
「ご主人様の目くらましは完璧でございましたね。」お陰で部屋に主が居てもバレなかった。
「うむ、体と話し方以外はもちょにもどりちゅちゅ・・えい!いつまじぇこの言葉!!」
幼いヴォルデモートは話をしていてだんだんと腹が立ち癇癪を起す。
魔法は完璧に戻りつつあるのに、体も言葉も幼児とはもどかしい!!
腹が立つ!己の非力さ無力さ・・おのれの精神の幼さを突き付けられているようで・・
「我が君・・」そんなヴォルでモードをクィレルはそっと包み込み抱き上げる。
「どうか焦らずに、私がお守りいたします。
どの様な貴方様でも付いて行きます-最期-まで。」
「クィ・・しゅまぬ・・もう泣き言は・・」
「いいえ、申してください。」本当の幼き日に言えなかった分までも。
癇癪を起しても受け止める、闇の魔術で発散をさせなくて済むように全身全霊を持って。
「どうか隠さないでください、我が君。」
「クィ・・しゅまぬ・・しゅまぬ・・」
クィレル一人ならば、いつでも光の道を堂々と歩けるほどの功績はある。
あのアクロマンチュラ騒動のおりの、蜘蛛殲滅とハリエット・ポッターを守りとおした事。
それがあれば・・それでも・・手放せない。
愛を知って弱くなったのだろうか?自分が誰かに縋りつこうとするなんて、昔の自分が知れば侮蔑の笑みで「くだらん」と吐き捨てているだろうに。
それはこの温もりを知らなかったから、この安らぎを・・自分は壊して奪ってばかりいたのに・・それでもこの温もりの中で泣くのをどうしても止められない。
俺は何でロンにイライラするんだろう?
「そんでな、ずっと考えてようやく分かったんだ!
今からロンの所に行ってくる!!」
「ああ言ってきたまえハリエット!あの朴念仁にはガツンと言わないと伝わらないぞ!!」
「応援してますわよ!行ってらっしゃい!!」
「まって!このリボンつけて・・良し!可愛いわ!!」
「言って分からなかったら俺が実力行使だ・・」
「帰ってきたらお菓子パーティーで祝うか・・」
「とっておきのチップスも・・」
「大袈裟だな皆は、行ってくる。」
「ふっふっふっふ!!勝った!!!諸君!遂に我々の努力が実り、勝利した!!!」
ハリエットを見送ったスリザリン寮はドラコを筆頭にお祭り騒ぎ!!
「遂に我等のハリエットが恋心を自覚する程までに成長をした!!・・長かった・・本当に・・しかし諸君らの努力が遂に実ったのだ!!」
スリザリン寮一同は、ハリエットの恋人・夫はロナルド・ウィーズリーしかいないと定めて日夜ハリエットにロンの良さを吹き込み、それとなく恋人・奥さんにワードを散りばめて話をして刷り込んでいた。
だがいかんせん相手は奥手どころか恋愛のレの字も知らない赤ん坊相手、長かったが遂に・・その思いを代弁するように、ドラコはスリザリン寮で右手を高々と上げて大演説をしたが、
-あ、これって失敗フラグじゃん-どこぞのグリフィンドールの若獅子様が今の光景を見たら、のたまいそうな光景だった。
「・・失敗した・・」
「・・はい?」
「どうしよう!ロンを完全に怒らせた!!」
「「「「はいい⁉」」」」
寮を出る時は元気一杯のハリエットが、すごすごとしょぼくれて泣いて帰ってきて言った言葉に激震が走った!
あのロンが!ハリエット・ポッターに激アマなあのロナルド・ウィーズリーが⁉
「きっとそれはロンの偽物よ!」
「そうだ!ポリジュリース薬とか、魔法とか・・」
「・・違う・・あれはロンだ・・」
がっくりとしたハリエットは何があったのかを皆に話した。
「ロン!話がある!!」
「ああハリエットか、今ようやく逃げ切ったところだ。どうした?」
数~はあ~落ち着いて、言いたい事は目を見て!
「ちゃんと女の子の気持ちを受け止めないで逃げてちゃ駄目だぞ!!」
-ピクン-
「あの子たちは真剣なんだろう?いつもロンが人の気持ちを軽んじたら駄目だって・・」
「ハリエット。」
「・・・何だよロン、おっかない顔して・・」
「今回の件には口を出すな。分からなかったら縁きりだ。」
「え?」
「二度と口を出すな。」
「・・それで怒ったロンが行ってしまったと。」
「うん!俺・・あいつが逃げてばっかりいるから嫌なんだと思って・・。ロンはそんな弱虫じゃないって、強い奴だって、そうしないから苛々して・・」
・・まじかい・・345度位ねじ曲がった解釈をして、ロンの地雷を見事踏んだと・・
「とにかく謝りましょう。ロンだって言ってほしくない事もあるのよ。」
「きちんと謝れば・・」
ハリエットが女子達に慰めれている間、ドラコは心の中で悶絶をする。
一体どこでどう間違えたんだ!!
失敗フラグがたち、回収をされた回でした。
赤ん坊から小学生くらいになったハリエットがやらかし初のロンの激おこよりも怖い本気の怒りに触れてしまいました。
次回は怒りのロン君から始まります。