マー髭、それは驚きが強い時によく-僕-が使う口癖。
-ハリー-と親友になった時からよく使うようになった。
だってそうでしょう?
彼と出会うまで僕はごく普通の魔法使い一家の六男で、僕自身と生活は平凡な生活を送っていたのに、彼と一緒になってからは大冒険の日々だった。
トロールを倒し、例のあの人から賢者の石を守り、バジリスク胎児の一端を担ったり、裏切り者ピーターを取り逃がしはしたけれど、あのシリウス・ブラックを助けたんだ。
去年は僕はハリーの役には立てなかった、それでもすごい人生を歩んでると思ってたのに・・
「俺のロンを返せよ!!」女の子版のハリーに胸倉つかまれるは、
「君がロナルド・ウィズリーとはね。」人の事をファーストネームで呼んでくるマルフォイとかってあり得ない・・朝起きていったい何度マー髭を叫んだのかもうわかんないよ!
「僕がロナルド・ウィズリーでそんなにおかしいの⁉」
ホグワーツの朝の大広間はもはや大パニックだ。
朝から-ロナルド・ウィズリー-の様子がおかしいことから端を発して。
「どうして-僕-はホグワーツにいるの⁉」
大広間にパジャマ姿で降りてきたロンの第一声からしておかしかった。
あのロナルド・ウィズリーが自分を僕ってなんじゃそりゃ?
彼は口が凄絶に悪いので有名で、常に一人称は俺である。
そもそもパジャマで現れたこと自体がおかしいのだが。
「ロン、その恰好どうしたの?」
「あ!ハーマイオニー!!僕達昨日から夏季休暇に入ったのに何で君も僕もホグワーツにいるの⁉」
「はい?ちょっとロン、今は」冬ではないかとハーマイオニーはあきれながら指摘しようとした。
何を寝ぼけているのかと。
「ロン、寝ぼけていないで着替えてきたまえ。その恰好で食事なぞ君の品性が疑われる。」
ハーマイオニーが指摘する前に、ドラコ・マルフォイがロンの肩に手を置きながら優雅に笑って指摘をした。
親友も時折寝ぼけてそそっかしいことをするのかとほほえまし気に。
それはいつもの親友同士のやり取りで、セオドール・ヴィンセント・グレゴリー等のやんちゃ坊主一同もクスリと笑い、ネビルも微笑んでみている。
彼らのやりとりからするときっと、あ・・俺間違えた?とか愉快なやりとりになるはずだと。
-バシン!!-「マルフォイが僕に気軽に触るなよ!スリザリンの蛇野郎!!お前らも何がおかしい!!!!」
ロナルド・ウィズリーが楽しい雰囲気を打ち破った。
「インカ―セラス!!」-ズダン!!⁻
「何するんだ!放せよ!!ハーマイオニー!見てないで助けて・・」
「あなた誰なの⁉ロンをどこにやったの!!」
「何言って!!」
「正体を現したまえ、それとも・・その化けの皮をはがされたいか?」
「こいつ半殺しにしちまっていいすか、タヌキ校長?」
「これこれ、Mrノッドもっとスマートに魔法を剥がせばよかろう。」
ドラコは人生で初めて怒りに狂った。
親友で、彼のためならば命は惜しくないと思い定めているものと同じ声・同じ姿のものが、彼が一番嫌う言葉を使って自分を拒絶したのだ!!!
誰かは知らないが塵にしてやりたい!
「ロン!どうしたんだよ!!」
ああ~、彼をとても慕っている彼女が来てしまった。
ここ一週間何故か拒絶されているとはいえ、彼をだれよりも何よりも愛し慕っているハリエット・ポッターが。
ドラコはハリエットを止めて、これはロナルド・ウィズリーの偽者でありこれからセブルス先生が化けの皮が剝がすところだと説明をしようとしたのだが、「こ奴は化けてはいない・・ありえん。」
なんか先生がとんでもないこと言った!!
え――!!そんな―――――!!!!
「セブルス!!それは確かなのですか⁉」
「あなたも見ていたであろうミネルバ!吾輩は確かに解呪の呪文を唱えたのを!!」
「そしたらこいつは誰なんだよセブ先生!!」
「だから僕はロナルド・ウィズリーだよ!!!」
すったもんだの決着はぴしゃりとした一言で片付いた。
「さっさと真実薬を飲ませて質問しましょう。」
グリフィンドールどころか、近頃はホグワーツの才女の名をほしいままにしているハーマイオニー・グレンジャーの冷たい一言によって。
近頃の彼女はどこかロナルド・ウィズリー化している気がする。
彼の飛んでも発想が彼女の英知と合わさったらなんか怖いが、今回はその案は大広間の満場一致で受け入れられた。
騒ぎそうなロナルド・ウィズリー(仮)には、
「あなたもさっさと疑いを晴らしたいでしょう。」と冷たい一瞥付きでさらりと勧告。
どうやらハーマイオニーにとってもこのロンもどきが許せないようだ。
自分の知っているロンとおおよそかけ離れた未成熟なガキっぽいものがロナルド・ウィズリーを名乗るのが不愉快だと。
騒ぐ本人は丸っと無視して、セブルスは口に薬を突っ込んで飲ませた。
真実薬で言ったことはすべて真の事であり、仮にこのものが服従の呪文でこの大騒動を引き起こさせられたとしても、真実薬の効力で本当のことを話せるようになるのに、みすみす自分の無実証明を逃そうとしている馬鹿者にうんざりとしつつ。
本物の彼ならば、自ら飲んで騒ぎを沈めにかかっているだろうにと思いをはせて。
「信じられない・・」
「彼が本物だなんて!」
「「僕等のロニー坊やと似ても似つかないのに!!!!」」
五分後の大広間はお通夜の如くなった。
真実薬で聞いても彼の名前はロナルド・ウィズリーであり、-今は五年生-であるという。
では何か⁉彼は何かの拍子で未来から来たロナルド・ウィズリー出るのか?
一年後の彼は何かがあって馬鹿で未熟者になってしまうのか!!
その絶望感にあるものは怒り、あるものは悲嘆にくれて泣き出してしまい、それを慰めるもの、今から何とかしようと考える者様々であった。
当の本にをほったらかしにして。
「・・・なんだよ・・僕がロナルド・ウィズリーで悪いのかよ!!!」
「「「「「悪いに決まっている!!!」」」」
ロンの悲嘆にくれた抗議の声は、ものの見事に粉砕された。
ロナルド・ウィズリーがこんなものであっていいはずがないと、教職員席からも嘆きの声が上がっているのだ。
「・・待ち給え諸君、こ奴は先ほどからいくつか不可解なことを言っている。
質問の答えてもらおうウィズリー、先程-ハリー-はどこにいるとしきりに言っているが。」
「そうだよ!ハリー・ポッターだよ!!あんたが何でか嫌っている僕の親友だ!」
「・・・それは生き残った女の子の事かね?」
「は⁉あんたこそどうかしたのかよ!ハリーは生き残った-男の子-だろうが!!」
その言葉に今度こそ大広間一同が愕然としたが、
「成程、そういうことかね。」
「まったく、あれはいつもあり得んレベルで騒ぎを起こす・・」
「そうすると、あとはいつ戻ってくるかじゃのう~。」
「ええまあ、彼ならば戻ってくるでしょう。」どんなありえない手段を使ってでも。
何やら白髭大狸と、大蝙蝠が納得をして話を進めている。
-クイクイ-「セブ先生・・ロン・・どうしちまったんだよ・・」
話がさっぱりと見えない生徒一同代表で、ハリエットが泣きながらセブルスのローブを引っ張て尋ねる。
「はぁ~。」
ハリエットに極甘なセブルスは、四年生になっても小柄なままなハリエットを抱きかかえてあやすように導き出した結論を話し始めた。
「こ奴はおそらく-チェンジリング-だ。」
「それって、妖精の取り換え子ってやつか?」
「この場合は-異世界-のロナルド・ウィズリー同士が入れ替わったようだ。」
「「「「え――――――!!!」」」」」
「マー髭!!!!!!!!!」
ホグワーツの一同の声と、異世界人のロンの驚きの声はなんとためを張ったのであった。
今日は授業にならんじゃろうと、校長の鶴の一声で休校と相成った。
それからというものロナルド・ウィズリーはひっきりなしに質問攻めにあった。
話題は無論向こうでのことだ。
話聞けば聞くほど、向こうとこっちは果たしてどちらが平和なんだろうか?
しかしあちらのほうが平和だろう。
あっちはハリー・ポッターが集中攻撃を受けているのであって、こちらはホグワーツ総てが大変な事が多いいのだから。
しかしこのロナルド・ウィズリーはまったくもって頼りない。
何をこたえるのにも自信なさできょどきょどとして、すぐに赤くなって子供っぽい。
彼ならば、状況把握に努めていろいろと動いているだろうと思うと、ドラコとしては親友と同一人物だというやつに腹が立つ。
シリウス・ブラックを見ては驚き、ハリエットのことに驚き、何でもかんでもマー髭とうるさいことこの上ない。
今頃親友はどうしているだろう?これの話によれば、向こうの自分は酷く嫌な奴で寮も仲が悪いという。
向こうの事で困っていなければいいが。
そんな事をマイ天使に思ってもらっているとは露知らないロナルド・ウィズリーは元気に過ごしてたりする。
状況をさっさと理解した彼は、法廷劇後、不死鳥の騎士団の本部には行かずに行かず家で夏休みの宿題を終わらせた。
何度ハリーが誘っても「学生の本分は勉強だろう。」の正論一点張りで、ハリーを泣く泣く諦めさせた。
終わった後にようやくグリモールド・プレイス12番地にあるシリウス・ブラックの家であり、不死鳥の騎士団の本部にハリーとともに訪れた。
「遅いぞロン!宿題なんかほっておけ!!」
「そうもいかないけどロン、皆でやればいいのに・・」
出迎えてくれたシリウスとハーマイオニーのご機嫌斜めを宥めすかして、ロンはこの家の本当の主に挨拶に行った。
「初めてお目に掛る、Mrsブラック。俺の名前はロナルド・ウィズリーという。
この家に滞在する許可をいただきたい。」
右手を胸に当て、肖像画のヴァルガブルに礼を尽くす。
「・・・・お前何やってんの?」
玄関に永遠に飾られる羽目になった気狂いの肖像画相手に。
シリウス達はそんなロンに呆れた様子だが、ロンの方こそシリウス達に呆れた。
女主の肖像画に挨拶する礼儀もないのかと。
「・・こんな肖像画に頭を下げるのですか?」
ウィズリーは血を裏切る礼儀知らずぞろいのはずだがと、ヴァルガブルも訝しげに尋ねる。
「ここは貴女家でしょう、主に挨拶するのは当然だ。」
「・・・・分かりました、クリーチャー。このロナルド・ウィズリーには屋敷に滞在している間世話をして差し上げなさい。」
「・・・・・・・・・かしこまりました奥様・・・」
肖像画のヴァルガブルを一発で陥落させた後、後は平穏に過ごしている。
周りには肖像画の主のこと以外でもいちいち驚かれていた気もするが気のせいだろう。
今もちょっと騒がしいな、ホグワーツが始まったから来て、たかだが・・
狸校長の片腕切り落としたくらいで騒ぐだなんて。
パソコンの調子が悪くようやく直って投稿できました。
外伝はあと1・2話で終わらせたいと思います。