もう僕の口からはマー髭しか出ないけど赦して欲しい。
だってさ、あんなに僕とは違いすぎる、俺一人称の僕と会ったんだからしょうがないよね?
とある五年生の夏休み、僕等は普通にホグワーツ特急でそれぞれの家に帰っていった。
その前にあった三大魔法学校対抗試合のせいで、ハッフルパフのセドリック・ディゴリーが死んで、-例のあの人-が戻ってきた。
ハリーの言葉を僕は信じる。ハーマイオニーだってグリフィンドールの皆だって信じたのに、大人は半分以上は信じなかった。あの魔法大臣ですら怯えたようになって喚き散らして。
夏休み期間を少し過ごしたら、ダンブルドアの不死鳥騎士団の本部の行くって父さんが言ってたその日の夜に、僕はマー髭だらけな事になって・・・今とっても困ってる。
こっちのロナルド・ウィズリーが戻ってきて、僕は初めてスリザリン寮に招き入れられた。
一度入った事はあるけど、あれはポリジュース薬でゴイルに変身してなので、今回きちんと入ったの初めてだ・・・・そもそも他寮に入る事自体がおかしい気もするんだけど、そこは突っ込まないでおくほどの賢明さは流石に発揮した。
「俺と入れ替わって随分戸惑ったろ。俺もさ、向こうのドラコ・マルフォイに物凄く冷たくされた時死にたくなったわ。」
「僕なんて・・・ドラコ・マルフォイに物凄く親しげにされた時さ、あ~彼が悪いんじゃないのは分かるよ?でもさ、物凄くその・・」
「向こうの俺とドラコ・マルフォイは犬猿の仲だったな。俺だってそんな奴がいきなりフレンドリーかましてきてた吹っ飛ばすな。」
「其れって相手死んじゃわない?」
「お前は存外真面目で優しんだな~。」
僕が?ハーマイオニーからはハリーと同じで何でもかんでも規則を破りたがる癖がある撃て謂われている僕が真面目って・・「君が物騒過ぎるだけだよ。」
そう反論しても、こいつはそうかもなってヘラりと笑っておしまいだ。
「あのさ、向こうで色々とやらかしたんだろ?僕は戻った時どうすればいいのさ?」
「あ?どうって、普通にお前らしくすればいいんじゃねえの?争いの元はもういないし、ハリー・ポッターを目障りにしようとしてた魔法大臣とその周辺の屑共も掃除してきたから風通しは良くなってると思うぞ?お前の残りの学園生活普通に満喫すればいいんだよ。」
「それでいいのかな・・・」
こいつは大活躍してる中、僕は何がどうなっているのか分からないで騒いで終わり・・あまりにも惨めじゃないか。
僕はどこに行っても主役にはなれない。精々ハリーとハーマイオニーの後を追っていたに過ぎないのかと思うと嫌になって来た。
向こうに戻っても、こいつの功績を並び立てられて、将来の僕はそうなるのだから頑張れって的外れな葉っぱを周りからかけられうんざりとするんだろうな~。
ロンは向こうに戻った時の事を考えると嫌になり、いっそここに居させて欲しいとまで思ってしまった。
向こうに戻ればきっとそんな煩わしく、自分に出来たい事を要求されるのが嫌で。
そんなロンの厭世感を感じ取ったのは意外にもロンに侮辱され怒り心頭に発したドラコであった。
彼としては、この手合いにとっても慣れている。ロナルドウ・ウィズリーが動いた事によって敗北感を味わってきた人間を山ほど見て来たからだ。
例えばロンが子供の家を作った事で、シッターとしての職を失った者達が列をなしてマルフォイ家とブラック家に窮状を訴えて来た。
子供の家のせいで働き口が無くなった事、自分達の誇りある仕事が失われ自分達は不要なのかと嘆く者を見て。
やり方は違えど経験はあるので子供の家で働かせてくださいと言えばいいのにと、窮状を訴えおろつく者達を横目で見ていた。
しかし父達の対応は違っていた。まずは訴えを聞き、苦しかったろうと労わっていた。
話を聞き合いずつを打ち、合間合間に助言を入れて、何時の間にか窮状を訴えていた者達は父の話をきちんと聞き入れ、否定していた子供の家のスタッフになる事になっていた。
「これが大人の話し合いって奴だ。」とか、シリウス等は鼻高々に自慢してきたが、その通りになっているので一応は頷き、上に立つ者たるものこそ偉そうに物事を押し付けるものでは無いと学び、幾人か自分でも台頭させてもらった。
其の力が今役に立ち、自信喪失してしまったロナルド・ウィズリーの話を熱心に聞き出した。
聞いてみればなんとも卑屈の塊で、我らが親友殿と何という違いなものかと呆れ果てたが、貧乏子沢山の六男ともなればこんなものかとも納得する。ようはこちらの親友の方がおかしい・・ゲフンゲフン!前向きなのだと。
しかも親同士が過去の諍いを子供に吹き込み、光の陣営と闇の陣営があるとか・・ジャパニーズのヒーロー番組でもあるまいし、そんな明確な敵対組織を浮き彫りにしているのだから始末に負えない。
言われた方にそこまで明確な悪意が無くとも、追い詰められてその気になってしまった感が強すぎる・・・・僕はこの世界に生まれて幸せだ。
「其れならばこうしよう。」
「どうするの?」・・・・・人が話す前に応え奇行とするとはこの子供は物凄く幼すぎやしないか?
とは言え聞く気があるだけ良しとすべきか。
「向こうでロンは悲惨な未来から来たとでっち上げたと言っていただろう。」
「おう、大半は天下とっても満足しないヴォルデモートの癇癪に触れて殺されちまって、他の生き残りは闇陣営の愚かさ知って目が覚めて、超強力なタイムターナー作って、悲惨な未来を一つでも減らそうとしたってでっち上げて来た。」
「それを利用しよう。」
え?どういう事?
「・・・ン・・・ロン!!」
「わぁ!!・・・・ハリー⁉ハリー!!!」
「あぁロン!!君が戻ってきてくれたんだね!!!良かった!!本当に良かったよ!」
「・・・良かったって・・君僕が戻ってきて嬉しいのかい?」
「当たり前だろう!僕の親友は君じゃないか!!」
「え?だって-未来の僕-は凄かったんだろう?」
「ロン!こっちで何があったか知ってるの?」
「うん。未来で作られたタイムターナーは、入れ違う時に時間を少し止める効果があって・・・」
向こうのロナルド・ウィズリーとドラコ・マルフォイから入れ知恵されたロンは、そのまま教わった設定で話を進めた。
未来では誰も光の陣営だの闇の陣営だの口にせず、出来る者がタイムターナー作りに勤しみ、出来ない者はそれを詰られる事無く他の事をして食いつないでいけるように生き残った者達は兎に角団結していたと。
魔法使い達も、闇の陣営とはっきり目されるものがマグルを非道に扱おうとするのを裏で攻防戦をし、助け合って生きていたのだと。
それを見ていたら、ホグワーツという小さな城の中でさえ子供同士が偉そうに光だ闇だと本当の意味で知りもしない事をさも訳知り顔で言い合い、罵り合っているのが馬鹿らしくなって嫌になったと。
「・・・なんだか、未来のは悲惨でもここよりも皆仲がよさそうだ・・」
命の危険はあっても、少なくとも心がギスギスし合っている今の現状の方が悲惨だと、聞いていたハリーにも思えて来た。
「だからさハリー・・・・未来の僕みたいに凄いことは出来ないけどさ・・その・・」
「そうだね、少しずつ僕等自身から変わってみようか。」
何となくロンの言いたい事が分かる程付き合いの長いハリーは、しどろもどろなロンの言葉をきちんと拾い上げ理解し、その提案に賛同する。
賛同するが釘は刺さないといけないよだが。「僕が大好きで親友なのは今目の前にいるロン、君なんだよ。」
「ハリー、いいのかい?こんな頼りなくて焼きもち焼きだらけで、役に立たない・・」
「何度も僕を助けてくれた。去年は焼きもちのせいだけど、僕がおかしなことを言っても信じてくれた。一緒に冒険した君が僕の親友なんだよロン。」
「ハリー・・うん、うん・・」ハリーの言葉が嬉しくて、ロンはボロボロと泣きながらハリーに抱き着き、ハリーも邪険にせず受け止める。
「さぁ、ハーマイオニーに会いに行って、今決めた事を彼女にも伝えよう。こういうことはハーマイオニーの方が・・・・・まぁ屋敷しもべ妖精の件は兎も角さ・・」
「その事なんだけどさ、向こうの僕が止めさせたって聞いたけどどうやったの?」
ロンの質問に、ハリーはなんとも言えない顔をしながら教えてくれた。
彼女は去年から、何を考えたのか屋敷しもべ妖精の待遇改善を世の中に要求して、当の屋敷しもべ妖精の怒りまで勝ってもやめなかったというのに。
「丸一日彼女を何もない部屋に放り込んだんだよ。」
食事と水分補給できて簡易トイレがある部屋に、教科書も筆記用具も杖も全部取り上げて。
彼の言い分はこうだった。「屋敷しもべ妖精が、無償で働くのがおかしいんだろう?だったら俺は、体を壊す程に勉強しても何も要求しないハーマイオニーもおかしいと思って取り上げたんだ。ハーマイオニーが屋敷しもべ妖精の為を思って活動してんだから、俺もハーマイオニーの体の為を思って勉強をさせない。これで御相子だろう?」
勉強が出来ない事に大泣きしたハーマイオニーに告げた沙汰が、あまりにも理不尽で無茶苦茶で非論理的であったが、相手の言い分も思いも聞かずに、他者の思惑を理不尽な形で押し付けられた場合意の苦痛を、少なくともハーマイオニーは身をもって学ばされ、その足で屋敷しもべ妖精に、自分の行いがどうかと尋ねさせられ、彼等の不満を大いに聞いたハーマイオニーは、その活動をすぐさまやめたのだ。
少なくとも屋敷しもべ妖精本人には。
ようは本人が好きでやっている事を、他者の勝手な思いで嘴を突っ込まれる事の不快さがどれほど苦痛となるかを教えたかったらしい。
「やるんだったら劣悪な環境過ぎると思ったところにやるんだな。」
例えば人体実験紛いとか、体を欠損させるまで仕置きするところとか。「それを取り締まる地位につくまで少なくとも押し付けるような活動は単なる迷惑だぞ。魔法省の魔法生物譚とになって、禁止条項作れるようになってからやれ。」と、超具体的な案まで出されてぐうの音も出なかったのだとか。
・・・・ハーマイオニーも苦労したんだろうなと、ロンは本気で同情した。あのとんでもロナルド・ウィズリーに目を付けられたばっかりに。
とは言え、そんな目に遭ったハーマイオニーならば、程の良い改善案を作るのに手を貸してくれよう。
原作の方も、とんでもロナルド・ウィズリーに影響されたドラコ・マルフォイが、正統派ロナルド・ウィズリーに助言を与えた事で、とんでもロナルド・ウィズリーショックがまだ効いている内にホグワーツ城内の人同士の繋がりの関係改善策を実施した。
他愛無い挨拶から、困っている下級生を寮別なく助ける事から始まったそれは、意外にもスリザリンのドラコ・マルフォイも少しずつだが受け入れたのが功を奏し、予想よりも早く広まりを見せた。
彼もまた、とんでもロナルド・ウィズリーから言われた事が忘れられないのだ。
-真の貴族がちゃちな事でガタガタと言うな!品性が落ちるぞ!!-
-もっと自分を大事にして発言に気を付けろ!せっかくの美形が台無しだ!!-
本当に自分を案じていた声音に、否定してせせら笑おうと舌が出来ずに恥ずかしくって逃げ出したあの時の事が。
真の貴族・・・僕は聖二十八一族の・・・・違うか、彼が言ったのはそんな小さな事ではなく、連綿と続く家柄の事を言ったのだろうか?伝統ある家の者が小さな目先で争い、遂には悲惨な未来を招いたのであれば・・・僕も愚か者の儘でいいのか?
父に言われるままに何となくヴォルデモートを辛抱し、スリザリン至上主義で、よく分かりもしないマグルと混ざり者達を馬鹿にしてきたが・・・その先に地獄が待っていれば話は別だ。
彼は虚栄心と尊厳は高いが愚か者な馬鹿ではない。地獄が待っている世の中にすみたいという愚か者で決してなかった。ヴォルデモートが始末されたのもまた良い方向に働き、理不尽な力の前では陣営争いだのの愚かしさを父もまざまざと見せつけられ、目が冷めかけらるとか、母からのフクロウ便で知っている。
これをきっかけに彼もまた、積極的に受け入れないまでもマグル生まれとハーフの子達を少なくとも差別することは無く、すみわけはすれども溝を作らない道を模索し、後の世に、マグルとハーフと純血の者達の程良い距離を作った功労者として称えられることになる。
とんでもロナルド・ウィズリーの置き土産が、原作も程の良い未来へと導けたようだ。
他作品との兼ね合いと、今後どうしようかとプロットに躓き更新していませんでした。
外伝の方も終わりが片手落ちな気がしていたので、リハビリがてら原作の方もよい方向にして示させていただきました。
不定期更新となりますが、週に二度は更新できるように頑張ります。
目指せ本編の方も幸せエンドに( ´艸`)