俺にも恋の季節はやってくる   作:天核

1 / 1
第1話

桜舞う季節

俺は県内トップレベルの進学校「朝ノ宮高校」に合格し、入学を果たした。

それから約3ヶ月。クラスにも慣れてきて友達も出来た。

学校内でもクラス内でも目立つような事はしておらず中学と変わらず平和な高校生活を送れている。

だが中学の時と変わった事が一つだけある・・・

 

「あのっ・・・桜宮さん!」

ただ女子の名前を呼ぶだけにここまで緊張したのは生まれて初めてだった・・・

「・・・?」

肩にかかるぐらいの髪がフワッと風に揺れ彼女がこちらを向く

彼女と目が合いドキッとしたが意を決して放った言葉。

「あっ、あの!す、好きです!桜宮さんが好きです!!もし良かったら・・・付き合ってもらえませんか?」

自分の顔が真っ赤になっているのは鏡を見ずとも分かる。

それに耳たぶもすごく暑い。

「好き・・・かぁ・・・。」

彼女はいつもの優しい顔で微笑む

「私の事は好きにならない方がいいよ・・・?君に嫌な思いをさせてしまうかもしれないし・・・」

「桜宮さんと一緒に居られるなら嫌なことなんて・・・っ!」

「そう言って貰えると嬉しいよ・・・。でも・・・ごめんね・・・」

そう言って彼女は美しく艶のある髪をこちらに向けて去っていった。

「・・・・・・」

5分ぐらいだろうか、俺は呆然としていた。彼女が去っていく様があまりにも美しかった

 

鷹岡 晴仁こと俺は生まれて初めて恋をした。

 

俺が桜宮さんに告白した次の日、彼女は学校に来ていなかった。

少し心配になったが「まぁ良くある風邪とかだろう」と思って過ごしていた。

だがしかし、彼女はそれから約3ヶ月ほど学校に来なかった。

流石に心配になった俺は彼女と仲のいい広岡から連絡先を聞いて彼女の家に行ってみようと思った。

「広岡さん、少しいいかな?」

あまり話したことがなかったからか少々話しかけるのが恥ずかしかった。

「んで、なに?」

桜宮さんとは違って少し迫力のある女の子だ。けれどその顔は整っており髪にも艶があり、美人であった。

「そのー、広岡さんって桜宮さんと仲がいいじゃないですか。それで、その、桜宮さんの連絡先を教えて貰いたくて・・・」

「はぁ?そんなの自分で聞いたらいいじゃない?」

迫力満点だ。

「いや、桜宮さん最近学校休んでて・・・、それで・・・」

「あー、そう言うことね。んー、ちょっと待って、里帆に電話で聞いてみるから。」

彼女はそう言うとポケットから携帯を取り出し耳に当てた。

10秒程だろうか、沈黙が続く。

それから桜宮さんは電話に出たらしく、

「あ!もしもし里帆?うん、私だよ〜。そんでさ、話があんのよ。

ほら・・・えーと・・・」

「鷹岡です」

「そそ、鷹岡君。彼から話があるって」

そういって広岡さんは僕に携帯を渡す。

流石に女子の携帯を使うのは躊躇ったがまぁ仕方ない。

「も、もしもし。鷹岡です」

恥ずかしくて声が小さくなってしまった。

正面では美人な女の子が声を出さないようにクスクス笑っている

「もしもし桜宮です。」

彼女の声が聞こえた。いつぶりだろうか、告白した日以来だろうか

「久しぶりです。それでそのー・・・」

「うん、久しぶり〜」

「もし良かったら・・・連絡先教えて貰っても良いですか?」

「えっ・・・とぉ・・・」

自分でも馬鹿だと思ってる。久しぶりに話したと思ったら連絡先を教えてくれだなんて・・・。

「うん、大丈夫だよ!そしたら連絡先は薫に教えて貰ってね!」

薫とは誰だろうか。

聞こうと思った瞬間電話が切れた。

「あっ・・・」

「で、里帆は何だって?」

「連絡先は薫から教えて貰って・・・だそうです。」

「そ、じゃあ、携帯貸して」

いきなり携帯を貸せと言ってくる彼女。白くて綺麗な手が僕に向かって真っ直ぐ伸びてくる

「え、でも薫さんって」

「それ、私だから。私、広岡 薫。フルネームぐらい覚えときなさいよ、鷹岡 晴仁」

「え、なんで僕の下の名前を・・・」

純粋に疑問に思ってしまった。

「里帆からよくアンタの話聞かされてたのよ。里帆、アンタの話ばっかりするんだから・・・」

しかめっ面だった彼女がニコッと笑う

すごく綺麗な笑顔だった。

僕は彼女に携帯を渡し桜宮さんの連絡先を教えて貰った。

「そうだ、アンタには言った方がいいかもしれない」

彼女は改まって僕の方を見る

「はい?どうかしたんですか?」

彼女の瞳は真っ直ぐ僕を見つめていた

が、しかしすぐにいつも顔に戻った

「いや、この話は里帆から聞いた方がいいかもね。」

そう言い残して彼女は教室へ戻って行った

 

その日の夜、僕は桜宮さんとメールのやり取りをしていた。

最近の学校について、桜宮さんがいない間にどんな授業をしていたのか、クラスのみんなは元気か、とか好きな芸能人の話とか本当に他愛もない話をしていた。

ある日僕は彼女に「久しぶりに会って話がしたい」とメールを送った。

返事は予想以上に早かった。

「私も会って話がしたい。鷹岡君に話がある。」

と書かれていた。

そして桜宮さんと僕は会う事になった。

この時僕はもう一度桜宮さんに告白をしようと思っていた。

 

約束の日の10月19日

中心に噴水がある公園で待ち合わせをしていた。噴水を囲む木々は赤だったり黄色だったりと紅葉していた。

僕は待ち合わせの時刻よりも5分程前に待ち合わせ場所についた。

しかしそれから30分待っても彼女は来ない。

何かあったのだろうかと心配になって探しに行こうと思ったその時、彼女は僕の前に現れた。

足首程まである長さの少し桃色のスカートを履き、上には白っぽいシャツの上に小さなジャケットのようなものを着ていた。

やはり彼女はとても美しかった。

「久しぶり・・・です・・・」

「・・・久しぶり・・・だね・・・」

お互いに恥ずかしがっている。それはそうだ、会って会話するのは告白した時以来だからだ。

「桜宮さん、話があり・・・」

「ごめん、先に私からいいかな?」

僕の言葉を遮るように彼女は言い放つ

「え、う、うん。」

「ありがとう、それでね、私からの話っていうのは鷹岡君が私に告白してくれた時に何故断ったのか、を伝えたかったからなの」

「え、別にそんなの・・・僕の魅力不足なんじゃ・・・」

「違うの、私と付き合ったら嫌な思いをさせてしまうかもって言ったでしょ?それについてなの・・・」

彼女はすごく真剣な顔つきで僕を見つめる。

その瞳はとても綺麗だった。

「実は私ね・・・」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。