作:goldMg

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頭脳明晰系主人公を描いてみました。でも一次の主人公だってもっと凄いのいっぱいいるし別にいいっしょ!それに頭脳明晰系主人公って成長しないしチートとは言えないはず。


けんじ
俺の名前は江戸川コナン、探偵さ!
大科学実験とかやってみなくちゃ分からない事をやるのが大好きだ!

しんや
この中で一番普通の山田太郎君ポジだよ
だけど普通の人間だから精神強度的にも普通なのでイレギュラーには弱いかもね!
これは勇気の決断や!

しょうた
まぁ、うん……
世の中には理不尽が溢れてるけど、欲望に負けたらダメだと思ってるから頑張れ


クトゥルフ1

 友達2人と俺、合わせて3人で近くの神社に遊びに行ったらなんかよく分からんものが浮いていた。

 すわ幽霊か、と一瞬びびったが、濃い靄みたいなやつなので、焚き火で出た煙かと思い直して周りを見ても特にそれらしいものは見当たらない。

 2人にも見えているか聞いてみると

 

「いつも浮いてるぞ」

 

「あぁ、お前神社には来たこと無かったもんなそういや。俺たちは前から見えてたけど、母さんとか連れてきた時は見えてなかったぞ」

 

 と、返事が返って来た。

 いつも浮いてて他の奴には見えないとかやっぱり幽霊じゃ無いか!

 何でそんな面白いこと教えてくれなかったんだこいつらは、と思ったが、いつもは神社に行こうと誘われた時は、神社でなにして遊ぶんだよ、と断って家でゲームをしていたのを思い出した。

 取り敢えず、2人に此処にいるように言ってから家に一旦帰り、団扇を持ってまた神社に来た。

 

「なんで団扇なんか持って来たんだよ」

 

「いや風で飛ばせねぇかなぁと思って」

 

「けんじはバカだなー、そんなことできねぇよ。団扇の風程度で飛ぶなら台風の時とかやべぇだろ」

 

しょうたが煽ってくるので言い返す。

 

「バカはお前だ。やってみもしない内から決めつけやがって。俺はこいつを消すと決めたんだ、団扇でな。あとお前は台風を授業で習ったから言いたかっただけだろバカ」

 

「おいなんで二回バカって言った」

 

 取り敢えず幽霊を団扇で扇いでみた。

 

「(や、やめろ、飛ぶ、飛ぶから!お願いしますやめてください何でもしますから!)」

 

「お、なんかちょっと揺れてねぇかこれ、飛びそうだぞ」

 

「いや気持ち悪っ!なんか頭ん中直接触られてるみてぇにムズムズするぞこれ!」

 

しんやが頭を掻き毟る。

 

「(おーい聞いてるか?やめてk…あ、だめだこれ、もう飛ぶわ、我もう浄化されるわ。)」

 

「マジかよ……お、おい、それよりなんかそいつ嫌がってるぞ。やめてやれよ」

 

「バカ、そうやって涙を誘っていつまでも悪いことするつもりだぞこいつ」

 

「あ、知ってるぞ俺。そういうのあくりょう?とかおんれい?って言うんだってな、本で読んだぞ」

 

「(え、我悪いこととかしたこと無いんだけど!?むしろ我を問答無用で消そうとしてる小僧、お主の方が邪悪じゃ無いのか)」

 

「いや、ほんと一旦扇ぐのやめろって。頭ん中に直接話しかけられてるみたいで気持ち悪いから」

 

「(おぉっ、そうじゃ言ってやれ。あと、頭の中に直接話しかけてるみたい、ではなく直接話しかけておるんじゃ)」

 

「ちっ、しょうがねーなー。助けてやるかわりにお前一生俺たちの奴隷な?」

 

「(え、なんか此奴すげぇ恩着せがましい……そもそも我はただ此処に居ただけなのに……)」

 

「なー、お前ってなんなの?これまで俺としんやで来た時は話しかけてこなかったのにいきなり話しかけてきたし」

 

「(人に名前を訪ねる時は自分からと親に習わなかったのか?)」

 

「小学校でも家でも人じゃないやつに名前を名乗れとは習ってないよ」

 

「まぁいいじゃん。俺はけんじ、こっちのバカがしょうた、そしてこいつがしんや。ほら、名乗ったんだから教えてくれよ」

 

「(ふむ、まぁいいだろう。我は『門』にして『空虚』。時間と空間を超え、遍く次元の全ての存在であり全てを観測するモノ。『門』にして『鍵』。『選ばれし鍵』を待つモノ。あらゆる事象を『彼方』に置き、受け容れるモノ。求めんと欲する者の隣に表れ、その望みを聞こう。求めんとするならば与えよ。我は開かれん。『空想』と『現実』は曖昧模糊となり、凝縮し、繋がれん。滅びの時はいずれ訪れ、光あれと囁いた芥は滂沱の涙を流し、奇跡は現出する。『夢』と『現実』と『空想』と『理想』を繋ぐことを望むモノよ、心の儘に願え。我は応えよう。苦しみと悲しみに全てを投げ出せ。汝の心は何時でも開かれている。全てを理解する時。真理であると汝の魂が投げかける時。願いし者が全てを願う時。全ては遅く、全ての『門』は開かれる。まぁ、我は端末だがな。端末であるが故にお主らを認識できる。そしてお主らに理解できる言葉で話すならこんなところじゃ。どれ、気紛れに警告してやろう。我を求めようなどと思うな。止められぬ滅びが時の果てに訪れるとしても自らの手で齎すのは嫌じゃろう。我は別に構わんがな)」

 

「なぁこのあとなにして遊ぶー?」

 

「俺のじいちゃんが将棋やってるから教えてもらおうぜー!」

 

「けんじのじいちゃん強すぎて俺らじゃ相手になんねーじゃん」

 

「だから練習してあの髭面をけちょんけちょんにしてやるんだよ!」

 

「それいいな!よし、行こう!」

 

「(全然聞いとらんし……)」

 

 

 

 それ以降、神社に行くとあいつが居るので、3人で遊ぶ時は神社に遊びに行くことがお約束になった。

 当然ながらあいつの存在は3人の秘密だ、広まっても面白くないし、そうでなきゃ頭がおかしいと思われるだけなのは俺たちでも分かったからな。

 小学校に行ってつまらない授業を受けて、家に帰って、友達を誘って家でゲームをするか、ゲーセンで遊ぶか、外で駆け回るか、そして家に帰って飯を食って風呂に入って寝る。

 そんなサイクルで頭を空っぽにして日々を過ごしていくのも別に悪くはなかったが、やっぱり俺らは楽しいことや珍しいモノが大好きなんだ。

 別に友達とゲームをしたり外で遊ぶことがつまらないってわけじゃ無い。

 だけどお前らも分かるだろ?俺らが生きているこの日常は凡そ定まった平穏の中に存在している。

 テレビでアニメや強盗・殺人のニュースなんかが放送されようが俺達の生活のなにが変わるってんだ、少なくとも俺たちの好奇心は満たされない。

 そんな中で、非日常、それもとびっきりのものを提供してくれるあいつは、俺たちにとって最高のオモチャだった。

 なんせ幽霊だからな。

 なんか自己紹介の時に小難しいことを言って煙に巻こうとしていたが、俺たちの目は誤魔化せない。

 フワフワしていて、他の人間には見えなくて、生き物じゃなかったらそいつはもう幽霊なんだ。

 しかも幽霊のくせにリアクションが上手い。

 たまにいきなり小難しいことを言ったり異世界?とかいうわけわかんない所の話とかを勝手に話し始めるけどじいちゃんの長話でそういうのには慣れてる。

 適当に相槌を打ってやればいいんだ。

 まぁそんなわけで、もう毎日のように小学校が終わったら神社に行くのは当然のことだった。

 勿論3人でだ、いや実際は3人と1匹だが。

 しんやが猫を拾ったのだ。

 なんかやたらとデフォルメされたような姿をしていてしかも鳴かないという心底可愛くない白猫だが、しんやが連れて来たいと言うので最近は猫も一緒なわけだ。

 本当に猫か?

 

「わっ!」

 

「(ふむ……では話を始めるとするかの)」

 

「お前全然驚かねぇなー、つまんねーの。あと何で俺らが今日は話を聞きに来たって分かるんだよ?確かに帰り道で3人で今日は話を聞こうって決めたけど、お前帰り道一緒じゃねぇだろ」

 

「(前にも言ったが我は時と空間を超えるモノ。『全にして一』。『一にして全』。『虚無』と『現実』の境界に存在し、あらゆる事象の観測者にして記録保管所でもある。お主に分かるように言うと、我はいつでもお主達を見ている)」

 

「ふーん、なんか不審者みたいなこと言ってるけど、お前らどう思う?」

 

「いや、なんか神様みてぇだな」

 

しょうたがまた適当なことを言いやがった……と思っていると

 

「(お主達からすれば我という存在は神と同義じゃ。実際神じゃしな。そもそも神とやらが、この惑星に存在する中で最も信奉者の多い神である神聖四文字のことを言っているのならば、我はその神よりも上の存在ということになる。あの芥はこの惑星から誕生した神の中では強い部類には入るが所詮は旧神。我に敵う道理も無い。まぁ、仮にじゃが信奉者らの信仰心を芥の元に集めた上で神性が現出し、芥とその他の神性が協力するという荒唐無稽な事が起きたなら、端末であるが故に完全なる『虚無』というわけでは無い我を抑え込み、本体の観測を一時的に止める事は出来るやもしれぬがな)」

 

「まぁそんなことはどうでもいいからさ。どんな話をしてくれるんだよ」

 

「そうだよ、せっかく話聞いてやろうってんだからお前の話じゃなくて面白い話聞かせろよな」

 

「(其の世界のこの惑星の同位体では『門』という存在が周知の事実となっており、『門』の端末の紛い物が『アカシャ』の一部を認識した者達によって現出している。ありとあらゆる可能性が存在する多元並行宇宙において、『門』や他の神性を一部とはいえ其の種族全体の認識として共有出来る文明を持つ種族が現れるのは当然のことだ。其の世界の種族もそうした種族の内の一つだ。とはいえ、其れが『門』であり『アカシャ』であることは知っていても、其処に辿り着く方法が確立されていない、つまり完全なる『銀の鍵』が無いが故に、『アカシャ』から正当な方法で内部の情報を取り出すことが出来ず、『門』を通る際に情報の劣化が起きてしまい、結果として紛い物が現出しているというわけだ。しかし、其奴らは『銀の鍵』を意図的にでは無いにせよ劣化させる事で、『門』を清浄の彼方程少しだけ開け、『アカシャ』を引き出し、利用してノーリスクで世界の『理』を一時的に変質させて物質変換をすることができる。これはその能力とでも言うべきモノを利用することができる近並行宇宙群の種族にしか出来ない事だ。その種族は刹那の厚さの薄氷の上に成り立つ其の愚かなる能力の事を《錬金術》と呼称しておった。他の並行宇宙群にも同じようなことができる種族が存在している事はあるが、それらは全く別の技術に依るものだ。別の宇宙に於いても神性の属性と存在其のものを認識できたとしても、神性が何処から、何の為に現れるのかを理解できないが故に、自らの内から溢れる探究心に負け、滅びる。探究心とは、哲学者や世の理を詳らかにしようとする者等にとっては、窮極的には『門』に辿り着く鍵を手に入れるためのものであり、この宇宙の深淵其のモノにして最も深き者である我等に辿り着く迄に不幸な事に他の神性と接触する事は何ら不思議なことではない。錬金術を用いる種族はその不幸を一切経験する事無くして錬金術に辿り着いた、ある意味では我等に最も近付いた者なのだ。そして其奴らの中には極稀に、『門』を潜り抜ける方法に辿り着く者達が居る。然し、所詮は奴等が扱うのは『銀の鍵』の劣化版。代償が足りずに途中で引き返す事になる。『案内するモノ』が介入しないのは、正規の方法で無ければ『玉座』に辿り着く事は決して出来ないと分かっているからだ)」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……だぁーーっ!!やっぱり何言ってるか分かんねー!」

 

「もっと分かりやすく言ってくれると嬉しいゾ」

 

「…………」

 

「おい、どうしたけんじ。まさか言ってる事分かったのか?」

 

「いや、全部は分かんなかった、というか殆ど分からなかったけど……な、なぁ、聞きたいことがあるんだけど、れんきんじゅつ、だっけ?」

 

「(お主らに其れを教える気はないぞ)」

 

「な、何でだよ。よく分かんなかったけど要はあんたがいればそれが使えるんだろ?なら教えてくれても良いじゃん」

 

「(理由はただ一つ、面白くないからだ)」

 

「なんだよそれ、つまんねえなー」

 

「ていうかけんじー。お前このモヤモヤの言ってること真に受けたのかよー。こいつがそんなすげぇやつなわけねぇじゃん」

 

「うるせえぞしんや、前から言ってんだろ。やってみなきゃ分からないって。やる前からうだうだ言いやがって、こう言うのは騙されたと思ってやってみるんだよ」

 

「お、おう。そうか……いやでもそいつ教えてくれねぇらしいけど?」

 

「(我には無いが、時間の流れの中で生きる種族にはタイミングというモノがある。お主らにとってはそのタイミングが今ではないという事だ)」

 

「はーあー、こいつ自分のこと神様とか言っておきながらお恵みは与えてくれないんだってよー」

 

「ケチだなー神様のくせに〜」

 

「今日は将棋やりにもう帰ろうぜー」

 

「ったく、せっかく聞いてやったと思ったらこれだよ」

 

「(…………時は近い)」

 

「時は近い、だっておwww」

 

「ちゅーにびょーは放っといて帰ろーぜwww」

 

「よし、競走だ!」

 

「(…………誠になんと操りやすいことか)」

 

 

 

 そしてまた暫く神社に集まり、残りの小学生の時間を俺たちは全て神社に費やした。

 もちろんあのクソ堅苦しい言葉で紡がれるクソつまらん話は金輪際聞かないと決めた。

 しんやとしょうたにはやってみなきゃ分からない、とか言ったがあいつの話は難しすぎてやっぱりほとんどの話は何言ってるか分からない。

 しかも期待させるだけさせてポイ、だからな。

 流石にあいつの話が本当かどうか怪しいと感じてもしょうがないだろう。

 ただの幽霊に期待を寄せたのが間違いだったんだ。

 だから俺たちは卒業式まであいつで遊び、たまにじいちゃんを将棋盤ごと連れてきて、あいつに代打ちをさせ、じいちゃんの歪んだ顔を見たりして楽しんだ。

 帰ってからは俺だけ将棋でボコボコにされたけどな。

 

 

 

 そして俺たちは小学校を卒業した。

 今から俺たち3人で、小学生最後の思い出的なアレ作りに神社に行くところだ。

 まぁ、小学校を卒業したぐらいであいつの所に行くのを止めるわけがないからあくまで区切りだ。

 神社に着いた、どうやらあいつはいつも通りの場所にいるようだ。

 あいつは寝たりするんだろうか、何度も考えた事だが、聞いたことはない。

 どうせ聞くならもっとすごいことを聞きたい。

 何を聞いても答えられるあたり、あいつは本当に何でも知ってるような気がする。

 俺のその日の朝御飯やクラスの人気者の女子のパンツのガラ、俺の父さんが勤めてる会社など、聞いたものは全て当たっていた。

 本当にあいつはなんなんだろう。

 …………まぁ、なんでもいっか。

 

「おーいモヤモヤー今日も来たぜー」

 

「おっ今日もいるなー」

 

「おめぇら速ぇよ……」

 

「(待っていたというべきか、知っていたというべきか、全ての時間と空間を超える我にそれらの表現は合わないが、敢えて待っていたと言っておこう)」

 

「ん?いつも待ってるじゃんそこで。なんでわざわざそんな事に小難しい言葉使ってんだよ。ほんと、頭いい奴は無駄なことに頭使うんだよなあ、もっと楽に生きろよ」

 

「(我は生きていると同時に死んでいる。生死を超越した存在であるが故に、苦楽といったモノに対する考察は存在しても実感することはない。本来はな)」

 

「うっせーなーこのコミュ障、まだ変なこと言ってるよ。待ってるってわざわざ言ったってことはなんかあるんだろ?」

 

「(「錬金術」の事だ。お主達はまだ「錬金術」をその手で操りたいと望むのか?)」

 

「えっ今更!?いやまぁ……確かに興味はあるけど」

 

「いやでも、こいつが自分から何かを俺たちにくれるとか怪しすぎじゃね?」

 

「ヘヘッ、ほれ見ろしんや、しょうた、やっぱりこいつは「錬金術」教えてくれるんじゃねぇか。やいモヤモヤ!散々待たせたんだからしょっぼい手品とか見せんじゃねぇぞ!もし見せたら団扇で扇いでやるからな!」

 

「大丈夫かほんとに……」

 

「(怖い怖い、ならば授けてやろう。不完全なる『銀の鍵』をな)」

 

「やめて欲しいな、『理』を無闇矢鱈にいじくり回そうとするのは」

 

 唐突に変な声が聞こえてきた。

 なんかやたらと響く声だが、辺りに俺ら以外に人はいない。

 居るのは俺ら3人とモヤモヤ、しんやの連れて来た猫だけだ。

 そして次の瞬間、『Yog-Sothoth』という音が耳に届いたかと思うと、意識が朦朧とし始め、体が言うことを聞かなくなり、隣でドサッという音がしたのを最後に俺の意識は消失した。

 

『Yog-Sothoth、そういった軽率な行動はしないでもらいたい。その少年達が願いを叶えるのは特に気にしないけど、理を曲げられると反動で少しずつエネルギー自体が削れていっちゃうんだよね。エントロピーの増大に加えてエネルギー総量が減った時の相乗効果は計り知れないんだ。それにしても初めて見た時は驚いたよ、まさか君が彼らを存在として認識出来るのだとは思わなかった。君にとって人類というのは今ここに流れる空気と同じ。通り過ぎただけで形を崩してしまうから脆すぎて接触はおろか接近する事だって出来ないはずなのに。しかも君は僕の本体にすら見つける事が出来ないからね。それにまさか僕を見ることのできる素質を持った少年が存在していて、しかもそれが3人も同じ場所に集まっているとは、これが定められた運命というやつなのかな。そしてさらにその集まっている場所にはYog-Sothoth、君がいると来た。正直僕らとしては君が行動を起こさないように懇願することしかできないわけだけど、どうだろう?」

 

『ふむ、理に重きを置き、管理者を僭称する芥か……自らの星の中でうずくまって怯えていれば良いものを……端末である我はこの宇宙に降り立っても宇宙が砕けない程度まで格が下げられておる、それこそ言わずとも分かるはずだ。そもそも我が彼奴らに「錬金術」を授けようしたのはただの気まぐれだ。より面白いモノを我に見せられるというのならば授けずとも良かろう』

 

『……それだよ、君達は生物とか存在とかを超越したナニカのはずだ。それなのに、君は「面白い」などと宣う。Nyarlathotepならばまだ理解も出来るけどね、そもそも、文字通り時間に縛られない君にとって全ては掌の上なんだからこんなことをする意味はないはずだけど?』

 

『それも、気紛れだ。無貌のやつがやっていることを我も真似てみようと思うてな。多元平行宇宙の観測の一部機能及びこの座標からの移動、魔力の解放は封じておる。これが中々良い思い付きでな。我も面白いという感情を解することが出来た。既知と未知は両立するということを知った。貴様ら神を名乗る芥どもはいつもやることが同じゆえ近づく価値は無いが、この星の種族は数の多さゆえか此奴らの様に面白い反応を示すものが存在する。これを本体に反映する事はないが、我は楽しませてもらおう』

 

『…………本当に厄介だね、君たち邪神は。出来ればそのまま何もしてくれなければいいんだけど。それと僕たちは神を名乗ったことは無いよ』

 

『安心せずとも我は一旦の役割を終えた。ここから去ろう。貴様らのやろうとしている足掻きなど我にとっては取るに足らんことだ。満足いくまでやるが良い』

 

『邪神が優しい言葉を投げかけてくるなんて、違和感しか感じないね。どうせ何かやらかそうとしているんだろうけど、僕達にとってはエネルギーの回収の邪魔さえされなければ何の問題も無いからね。早く何処かに行ってくれると嬉しいな』

 

『さらばだ、哀れな運命の奴隷よ。既にアカシャの種は植えられた。我はこれより先定められた時まで介入はしないと誓おう』

 

『キチンと約束を守ってくれるなら良いんだけどね……』

 

 

 

 

 

「…………ここは?」

 

 目を覚ますと、ベッドの上だった。

 何故こんなところに?

 確か、卒業式の後に神社に行って、それから…………それから……っ

 酷く頭が痛む。

 しばらくすると痛みが和らいできたので周りを見てみると、俺のベッドの両脇にもベッドがあり、2人の少年が寝ていた。

 こいつらは誰だ?

 もしかして俺に関係あるのか?

 そんな思考はガラガラガラという扉を開ける音で中断された。

 

「しんやー、お母さん来たわよー」

 

「……」

 

「えっ……け、けんじくん?」

 

 けんじ…………

 そうだ思い出した、俺の名前はけんじだ。

 頭が痛くて自分の名前の事まで意識をやれなかった。

 

「けんじくん起きたのね!?身体は大丈夫!?あぁ、それよりも看護師さん呼ばなきゃ!」

 

 女の人(しんやという奴のお母さんらしい)がナースコールを押した。

 遠くで音楽が鳴っているのが分かる。

 暫くすると看護士が部屋に来て色々質問をしてきた。

 始めのうちは、家族の名前とか学校の名前とか色々抜け落ちてたけど、質疑応答を繰り返すうちに段々思い出してきた。

 ただ、何故神社にいたのかは全く思い出せない。

 聞く話によると、俺と両脇のベッドに寝てる2人は神社の境内で全身の穴という穴から血を流して倒れていたそうだ、しかも病院で検査をしても異常は見受けられなかったそうだ。

 …………怖っ、何があったんだ俺たちは。

 そして両脇の2人も起きた。

 

「んっ、んん……?」

 

「うぐっ、ぐぐぅ…………グゥ……ハッ!」

 

 ホッとしている自分がいるのを感じた。

 やはりこいつらは友達なのだろう。

 またもや看護士が飛んできて、俺と同じような質問をしたが、結果は俺と同じで神社にいた理由だけは2人とも覚えていなかった。

 

「お前ら……」

 

「あぁけんじ、良くわかんねぇけどなんかあったみたいだな」

 

 しょうたの言葉はまさに今の俺たちの心境を表していた。

 何が起きたかは分からないが俺たちは病院にいて、なんだかよく分からないがなんの怪我もしてないのに親や医者は俺たちが元気なことに驚いている。

 何かに巻き込まれたという実感が無いのだ。

 医者は俺たちが神社にいた記憶を無くした理由を、かいりせいけんぼうとか言っていたっけか。

 親達はそれでも原因を探りたがっていた。

 犯人探しでもしたいのだろうか?

 そういや俺たちが忘れたのは卒業式の日に神社にいた理由だけじゃないようだ。

 なんでも俺たちは小学生時代、神社に足繁く通っていたそうで、地元では信心深い子供達と見られていたそうだ。

 神社通いする小学生ってなんだよとは思ったが、みんなそう言うので俺たち3人は互いに顔を見合わせた。

 なんだか本当に頭がこんがらがってきたので、トイレに行くことにした。

 スッキリして手を洗おうとして蛇口を捻ったら蛇口がギギギッという音ともに潰れた。

 ………………?

 もう一度蛇口を見てみる。

 潰れている。

 …………?

 ……なんだこれ。

 俺たちは記憶を無くしただけだと思っていたが、想像以上にヤバいことになっていたようだ。

 その後しんやとしょうたもそれぞれトイレに行ったあと真っ青になって帰ってきたので、どうやら同じらしい。

 家族や看護士がいなくなったあと、3人で話すことにした。

 

「なぁ、やばくね?」

 

「あぁ、やばいな」

 

「オリンピック出れるだろこれは」

 

「まぁつまりはそういうことだよな」

 

「で?どこで練習する?」

 

「まぁ神社で良いんじゃね、石とか木とか沢山あるだろ」

 

 

 

 怪我もないということで、目覚めた次の日にもう一回検査をしてから俺たちはすぐ退院することができた。

 神社にすぐ向かいたかったので、一応母さん達に言うと、

 

「何考えてんの!?行かせるわけないでしょ!馬鹿なこと言ってないで早く帰るよ!」

 

 なんて言われてしまった。

 ぶっちゃけ今の俺たちに勝てる人類とか多分存在しないから何も心配することないと思うんだけどなぁ……

 まぁあんまり反抗しても良いことは無いので、大人しく家に帰ることにした。

 でもこのままだとまずいな、ということで、石で練習だ。

 何をするかというと、石を握る、粉砕する、握る、粉砕する、握る、粉砕する、を力をセーブ出来るようになるまで練習する。

 まぁ要するに力を制御する練習というわけだ。

 出来るようになったら今度は……何すっか。

 力を制御する練習というわけだ(ドヤァ)、とか言ってたが石の次はどうしよう。

 より小さな力を必要とする練習をすれば良いわけだから……あれでいいか。

 折り紙という究極のジャパニーズコマカイ手作業があったので、やる事にした。

 

 

 

 ソーッビリッ、ソーッビリッ、ビリリリッ

 

 

 

 石の次に折り紙とかできるわけねぇだろ、心折れたわ!

 竹でやる事にした。

 

 

 

 グッ、メシャア、グッ、メシャア、グッ、メシャア

 

 

 

 そんな調子でワンナップしていくうちに、すぐに1週間が経っていた。

 

「ようしょうた、しんや。オメェらどんな感じだ」

 

「よう、ものぶっ壊しまくって大変だぜ」

 

「俺は、まぁ大丈夫だゾ」

 

「しょうたお前……あの時の会話の意味分かってなかったのかよ……」

 

「会話?あぁオリンピック選手になれるって話?あれになんか意味あったの?」

 

「バカお前子供でそんなことできるやつなんかどう考えてもおかしいんだから捕まるに決まってんだろ。もの壊さないように練習しようって話だろうがこのバカ」

 

「いやーそれならそうと言ってくんねぇとよぉ」

 

「あの場でそんなこと言えねぇだろこのバカ」

 

「お前さっきからバカバカ言い過ぎだろ!バカって言った方がバカなんですぅー!」

 

「うるせぇぞバカ。バカって言われたくなきゃ練習してこい」

 

「んだとこらぁ!ふざけんなぁ!」

 

「お?やんのか?お空まで吹っ飛ばしてやんよ!」

 

「ちょっと待てお前ら、自分の力考えろ」

 

「あ……うん……」

 

「ごめんなさい……」

 

「取り敢えず、これからは俺ら3人で練習な?」

 

「おぉ、なんかしんやが光り輝いて見える……」

 

「一生付いて行きます!おらさっさと神社行くぞ!」

 

「いや、俺に付いて来んじゃねぇのかよ」

 

 こうして俺たちは小学校を卒業して暫く修業に明け暮れるのだった。




あー10万文字書きてぇー
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