作:goldMg

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二次創作描こうと思ってたらいつの間にか一次創作になってた。
ラノベ読まなきゃなぁ。
買わなきゃなぁ。



オリジナル1

 高2の冬、両親に、オーストラリアに行くぞ、と唐突に言われた。

 冬休みだからだそうだ。

 いや、俺にはコミケに行くという崇高なる野望が……

 馬耳東風でした。

 まぁ、寒いのが大嫌いな俺の両親が南に向かうのはなんら不思議なことでは無いか。

 渡り鳥並みにフットワークが軽いなぁ。

 そういうわけで空港にタクシーで向かっている。

 電車使おうよ……

 俺は今空港にいる。

 ふん!いいもん!さぼ天で一番高いカツサンド買ってやる!

 うめぇ……っ!

 え、なに?コーラも買ってくれるの?

 あーオーストラリア楽しみだなー。

 

 

 

 飛行機に乗った。

 ポケモンの映画がやってる。

 ヒロイン可愛いんだけど年齢がちょっと……

 でもポケモンの世界って楽しそうだな。

 俺も行ってみてーなー。

 イーブイ超可愛いし、なんなら1日中一緒に原っぱで寝てたい。

 スチュワーデスが機内食を持ってきた。

 あ、今はキャビンアテンダントって言うんだっけ。

 俺ってば博識だからな。

 飯食ったら眠くなってきた。

 おやすみー。

 

 

 

 気付いたらオーストラリアの上空だった。

 めっちゃ海が綺麗。

 テレビとかで見るけどやっぱ本物はすげーわ。

 東京湾とか見てみ?

 ワカメみてぇな色してるから。

 あーでも海水温上昇でオニヒトデが異常増殖してサンゴ礁がやばいみたいな話聞いたことあるな。

 海水温上昇も人間のせいでしょ?

 人間って酷いなぁ。

 空港を出た。

 取り敢えずタクシーでホテルに向かった。

 トイレが綺麗!

 飯が美味い!

 風呂が広い!

 ベッドが大きい!

 夜景が綺麗!

 あ、やっぱトイレは日本の方が上だわ。

 寝る!

 

 

 

 朝日が美しい。

 俺は眼に映る今のこの光景を一生忘れないだろう。

 地平線から輝く火の玉が現れると同時に地に伏す巨大な岩塊が黄金色に染まり、大地は黄金を彩る梔子色のカーペットとなった。

 5分ほどでその光景は消えてしまったが、あれこそが地上の宝なのだと確信した。

 

 

 

 ビュッフェやべぇ!

 朝から焼肉だよこれやべぇよ!

 え、味噌汁も飲めるの!?

 このホテルこそオーストラリアの宝や!

 飯を食い終わったので部屋に戻る。

 このホテルはwifiが通じてるのでマリオカートを日本の友達とやる。イヤッフゥゥゥゥ

 マリオカートをやっていたら父にエアーズロックに行くぞ、と言われた。

 うるせぇ俺はマリカーやるんだ!とゴネていたら電源切られた。

 しょうがないのでエアーズロックに行くことにした。

 よく考えたらマリカーはいつでもやれるしな。

 レンタカーで向かう最中、父が、気分はどうだ、と聞いてきた。

 敢えて言うなら焼肉食いすぎて気持ち悪い。

 マリカーやって消化する計画だったのになー、チラチラ。

 ハハハ、と流された。

 なんで聞いてきたんだよ!

 何故か母と父がフゥ、と息を吐いた。

 何やねん。

 

 

 

 エアーズロックに着いた。

 なんか凄い力を感じる。

 こう、なんて言うか、富士山とか出雲大社とか行った時みたいな感じだ。

 マイナスイオン出てるぅ。

 俺が辺りを見回していると、父と母がまたもや気分はどうだ、と聞いてきた。

 絶好調である。

 今なら月光蝶システムを起動させて地上の人工物を砂に帰すことも出来るような気がする。

 父に頭を叩かれた。

 冗談の通じない大人にはなりたくないものである。

 写真を撮ろうとしたら現地の人に止められた。

 俺のあやふや英語で聞き取る限り、ここは神聖だから写真ダメよ、って事らしい。

 聖地ならしょうがない。

 聖地には大いなる力が宿っているからな。

 いや、マジで。

 真剣と書いてマジと読むぐらいマジだ。

 しょうがないので現地の人と写真を撮ってから車で寝た。

 暫くしたら父親が起こしに来たけど、いつまでここにいるんだ?

 寝起きのぼんやりとした頭でそんなことを考えていると先住民族!って格好をしたお爺さんが目の前に来た。

 他にも先住民族の方々がお越しになっているようである。

 ふと、お爺さんの格好がやたら物々しいことに気付いた。

 いや、他の人達も物々しいと言えばそうなんだが、一人だけなんかシャーマン感がある。

 意識をお爺さんに向けて、一気に目が覚めた。

 エアーズロックのパゥワーに隠れて気付かなかったが、このお爺さん、相当なオーラのようなものを発している。

 エアーズロックの力にも似た性質を感じ取れる。

 アボリジニすげぇ!

 流石数万年の歴史を持つ由緒正しい民族!

 信仰を大事にしているからだろう。

 出雲大社の巫女達はなんか全然力を感じなかった。

 あんなのただの一般人じゃん。

 まぁただのバイトだからしょうがないんだけど。

 そうボソッと呟いたらどうやらガチで由緒正しい本家の巫女さんだったらしく出禁にされた。

 何高校生の呟きに本気になっちゃってんの?って感じである。

 さすが巫女さんだ、俺の発言が本気かどうか見抜けるんだな、って言ってやった。

 その後全力のオーラを一瞬だけ解放したら老婆に崇められた。

 全力で逃げた。

 その巫女に比べてこのシャーマンはマジでヤベェ。

 俺が見たことのあるパワー感じる系ヒューマンの中で俺を除けば堂々の一位だ。

 俺?俺はほら、最強だから。

 シャーマンがなんか俺の手を引っ張る。

 おお、力が意外と強いな。

 父と母の顔を見ると神妙な顔をしている。

 何見てんねん助けろや。

 安心しろ、と父が言った。

 しょうがねぇ。

 シャーマンの手を払いのけると、here we go!!と言ってエアーズロックに向かってダッシュする。

 足音でアボリジニが一斉に走り始めたのがわかった。

 そうだ!俺に付いて来い!

 エアーズロックまで来ると立ち止まり、アボリジニの人達が来るのを待った。

 シャーマンが俺に語りかけてきた。

 ……なに!?このシャーマン、アボリジニの中で来るのが一番早かったぞ!?

 取り敢えずシャーマンの話を聞いてみると。

 大いなる力を感じる。

 災厄が俺に訪れる。

 流れに身をまかせるべし。

 みたいなことを言っていた。

 すげぇ!

 これ多分マジもんの予言者だ!

 俺だって予言はできないのに!

 やはり特化型の能力ってのはその道に進むなら凄い優秀だよなぁ。

 俺なんかオールマイティにパラメーター振られてるからなんでもできるけど何もできないみたいな感じだ。

 予言関連だと、本気を出せば数秒先が見えるくらいしか出来ない。

 適正が低いに違いない。

 きっとこのエアーズロックという聖域自体が予言系統の力の集合体みたいなものなのだろう。

 聖域と一口に言っても場所によって感じ取れる力の量や性質には違いがあるのだ。

 オーケーオーケーオーケー牧場、津波でサーフィンしろってことだな。

 そう英語で返すと微妙そうな顔で頷かれた。

 なんやねん。

 でも一人だけ爆笑してる奴がいる。

 頭を叩かれてる。

 あいつ俺と同じポジションだ!

 まぁそんな感じでエアーズロックから父と母の待つ場所へ戻った。

 何故かまた父に頭を叩かれた。

 DVだ!訴えてやる!

 また叩かれた。

 もう良い僕寝る!

 いつのまにかホテルに着いていた。

 少し散歩することにした。

 悔しい。

 この世界には俺のこの力を活かせるところが存在しない。

 そもそもこの世界には神はいない。

 神域と呼称されるところで感知能力を全力で使っても、その地から溢れる力の大きさしか感じない。

 いや、もしかしたらあれは眠っている神の気配なのかもしれない。

 だが、俺の目の前に現れない以上それはいないのと同じだ。

 悔しいがもうしょうがないのかもしれない。

 俺が感じている悔しさは非常に贅沢なものだ。

 特別な力を持っていて、それを振るう機会が無いことを悔しがる。

 全国の中二病の少年少女が聞いたら発狂すること間違いなしだ。

 だが、それでもやはり、と思ってしまうのが欲深い人の業なのだろう。

 などと、道で肩を痛そうに叩いていたので力で治してあげたおじさんからもらったハンバーガーを食べながらそれっぽいことを考えてみる。

 そう、いくらでも力の使い道なんてあるのだ。

 ハンバーガーをタダで手に入れる時とかな。

 さて、ホテルに帰るか。

 うーんオーストラリアの飯は日本食とはまた違った味付けで本当に美味しいなぁ。

 さて今日も一日頑張った。

 おやすみー。

 

 

 

 父に早朝起こされた。

 窓の外を見てみろ、と言ってきた。

 日の出だ。

 どうだ、美しいだろう、と言ってきた。

 そのくだりはもう昨日やったんだよなぁ。

 取り敢えず頷いておく。

 だがやはり美しい。

 そこに嘘をつくことは出来ないようだ。

 父が光景を写真に納めている。

 うーん。

 違うんだよな。

 確かに記憶は色褪せていくものだ。

 だからこそ写真に収めていつでも見れるようにしたいのだ。

 確かに食べ物とかはそれでも良いかもしれない。

 消費されて無くなるものだからだ。

 だけど美しいモノはそれじゃダメなんだ。

 自分が美しいと思ったモノは心に刻むべきモノだ。

 写真にしてしまったらその偽物がやがて真の美しさだと思ってしまうようになる。

 まぁ、ただの記念写真なんだろうけど。

 インスタ映えってやつだろ?

 知ってる知ってる。

 

 

 

 今日の朝飯はミネストローネ、バターロール、ジャム、コンソメスープ、生ハムのサラダだ。

 昨日とは随分違うな。

 オーストラリア料理も食べてみたいなぁ。

 オーストラリア料理とか聞いたこともないけど。

 昔、俺のおじいちゃんもオーストラリアに観光に行ったと聞いた。

 そこでなんか凄いことをしたらしい。

 なんでも伝説的な活躍をした偉人だと父が教えてくれた。

 父の実家に帰るといつも将棋ばっか打ってるただの好々爺なんだけど。

 まぁ、筋肉ムキムキだから凄いことやっていてもおかしくないけど。

 おじいちゃんが教えてくれたのは、俺の力はおじいちゃんから継承されたモノで、代々受け継いできたのだとかなんとか。

 遡ると神代にまで行き着くらしい。

 流石にそれはホラだわ……とか思って笑ってたらおじいちゃんも笑っていたのでただの与太話だったのだろう。

 まぁそんなことはどうでもいい!

 ちょっと走ってこよう。

 オーストラリアは東京の100倍ぐらい空気が美味い。

 30分ぐらい走ったら海に着いた。

 子供がはしゃいでいる。

 おれも楽しくなってきて砂で城とか作っちゃう。

 五時間かけて完成した。

 ヤベェなこのクオリティ。

 テレビで取り上げられちゃう。

 腹が減ったので子供に城をあげてホテルに帰ることにした。

 部屋で体を洗ってから昼飯を食べる。

 こ、これは!

 寿司!

 こっちの魚もなかなか美味いな。

 父がやってきた。

 なんか用だろうか。

 聞くところによると、両親はグレートバリアリーフとかストロマトライトを見に行くらしい。

 おれも行くか。

 さっき海行ったけどな。

 

 

 

 車で行く途中父が、グレートバリアリーフに行くのはおじいちゃんが薦めたからだと言ってきた。

 いや有名なんだから薦めなくてもどうせ行くだろ。

 母が、おじいちゃんに聞かせてもらったらしいグレートバリアリーフの話を聞かせてくれた。

 いや、グレートバリアリーフぐらい俺だって分かる。

 サンゴ守るマンだろ?

 違うらしい。

 なんでもグレートバリアリーフというのは本当に緑を守る的な意味が込められているとか。

 いや、だからサンゴ守るマンじゃん。

 スマホでストロマトライトのある場所について調べてみた。

 方向真逆じゃねぇか!

 

 

 

 グレートバリアリーフに着いた。

 俺は目隠しをしている。

 なんか母がビックリさせたいとか言って俺に目隠しをするように言ってきたのだ。

 いや、海が綺麗なんだろ、知ってるよ。

 目隠しを取った。

 息が止まった。

 緑だ。

 緑が広がっている。

 これが母が俺に見せたかったモノなのか。

 振り返って母を見る。

 母は俺に頷いた。

 父を見る。

 父も頷く。

 顔を前に戻す。

 なんだこれは。

 見た事が無い。

 目の前には海が広がっている。

 サンゴ礁も広がっている。

 だが、海のある一点から緑が吹き出している。

 まるでオーロラのように光り輝く虹の霧が海から噴水のように現れ、空に吸い込まれていく。

 視力を拡大した。

 霧はある高さまで上がるとそこから地球全体に広がっているようだ。

 これまでは気付かなかった。

 人が空気の存在に意識を割く事がほとんど無いように、俺もこの霧に意識を割いたことがなかった。

 なんて美しいんだ。

 これは地球の意思なのか。

 星を守る。

 緑を守る。

 命を守り抜く。

 海を走って霧の吹き出る地点まで来た。

 霧に触れる。

 その膨大な力に圧倒された。

 これは記憶だ。

 星の記憶。

 記憶であり生命力だ。

 これまで生きてきた全ての生物の生命力。

 彼らが死した後、星に還元されて蓄積されたモノ。

 連綿と紡がれてきた生命の二重螺旋。

 いつしか涙が溢れていた。

 これが美しいということか。

 俺の力をこの星に捧げたい。

 俺も彼らの中に混ざり合いたい。

 

 

 

 両親の元に戻ってきた。

 彼らにはこの素晴らしい光景が見えているのだろうか。

 尋ねてみるが二人とも寂しそうに首を振った。

 それはダメだ。

 この光景は見なければならないモノだ。

 俺の力を少し分ける。

 二人は驚いている。

 自身の体の中に流れ込んでくる力の感覚に驚いているのだろう。

 自らの手を握ったり開いたりあちこちを触ったりしている。

 二人の肩を叩いた。

 二人が顔を上げて、固まった

 父が、父さんの見せたかったモノがこれか……、と呟いた。

 母はその場に崩れ落ちた。

 口元を両手で抑えている。

 二人の目からも涙が溢れていた。

 この素晴らしい光景を生み出してくれたこの世界に感謝を。

 おいバカ親父、写真を撮ろうとするな。

 そもそも写真に写らねぇよ。

 

 

 

 感動冷めやらぬままホテルに戻る。

 二人ともまだ泣いている。

 きっと耐性が無いのだろう。

 俺は富士山とか登った時にアレよりはショボかったが美しいものを見たからな。

 いや、美しいっていうよりはカッコよかったか。

 このオーストラリアはなんなんだろう。

 おじいちゃんが昔来たというのもこうなってくると何か気になるな。

 まぁそれは俺には関係の無い事か。

 

 

 

 ホテルに戻った。

 流石に今日はストロマトライトのあるシャークベイには行かないらしい。

 ですよねー。

 まぁ遠いしまだ日にちにも余裕があるしな。

 一人で夕飯を食っていたらなんか隣に紳士然としたお爺さんが座った。

 なんだろうと思っていたら名前を尋ねられた。

 取り敢えず苗字だけ伝える。

 お爺さんは得心がいったように頷いた。

 話を聞くと、このお爺さんは昔おじいちゃんに助けられたらしい。

 面影が似ているらしく、つい嬉しくなって座ってしまったとか。

 一体どういう状況で助けられたのか聞いてみた。

 

 

 

「ふむ、私がどういう状況で助けられたかを知りたい、か」

 

「え、日本語話せたんすね」

 

「HAHAHA、まぁまぁ、そうだな、教えてあげるとしよう。君のお爺さんが為したことを。私もあの時の感動を久し振りに分かち合いたい」

 

 

 

 

 

 私はあの時、消防士をやっていた。

 まぁいたって普通の消防士で、特にどこが優れているというところもない男だったよ。

 今となってはもう昔のことだがな。

 私は正義感に溢れていた。

 職務柄もあるのだろうが、困っている人がいたら誰彼構わず助けていた。

 いや、それはいいか。

 あの日は、そう、雨が降っていた。

 私も年に何回かの休みという事で出掛けることにした。

 街にただ行くのではつまらないと思った。

 どうせならもう少し自然に触れたかった。

 そこで、ガンビア山というところに行くことにしたんだ。

 知らないかい?オーストラリアの最も新しい死火山さ。

 そこには綺麗な湖もあるからね。

 いざ行ってみると、休日ということもあってかかなり多くの人がいたよ。

 私もかなりはしゃいでいた。

 ははは、若かったからな。

 昼前、地面が揺れたような気がした。

 まぁ、気のせいだと思ったよ。

 周りの人も不思議そうな顔はしていたが特になんという事は無かった。

 だが、すぐに間違いだったと気づいた。

 今でも思い出せる。

 1989年12月28日の事だった。

 ニューサウスウェールズ州で大地震があったんだ。

 ニュースでやっていたからね、それの余震かと思った。

 昼飯を食べ終わった。

 次の瞬間、世界が揺れた。

 少なくとも私はそう感じた。

 周りも騒然とし出した。

 誰もが恐怖を感じていた。

 何が起こるんだ、とね。

 そしてまた世界が揺れた。

 人々は一斉に逃げ出した。

 押し合いへし合いで大変だったよ。

 私は必死に声を張り上げた。

 大丈夫だ、ここには建物は無い、落ち着くんだ。

 周りの人には伝わったようだが全体には行き届かない。

 歯痒かったよ。

 所詮一消防士の力などそんなモノだ。

 どうすればいい。

 このままではパニックになった人たちで大混乱が起こる。

 考えたが分からなかった。

 突然、波動が空気を伝わった。

 何言ってるんだって?

 いや、そうとしか表現できなかったよ。

 味わった事のない感覚だった。

 体の中を何かが突き抜けていく。

 衝撃とは違うモノだった。

 あれはもっと暴力的なモノだ。

 私は消防士だったからね。

 爆発に巻き込まれることもあったから違うと分かった。

 もう一回波動が伝わった。

 周りは静かになっていた。

 好機だと思って皆に伝えたよ。

 落ち着いて行動するんだ、ここに地震の被害は来ない。

 ようやく人々は落ち着きを取り戻した。

 え?それじゃあ本当に君のお祖父さんかどうか分からないって?

 ははは、まぁ最後まで聞いてくれ。

 人々は落ち着いたが、恐怖まで無くなったわけではない。

 実際その後も何回か揺れたしな。

 だが、本当の恐怖はそこからだった。

 連続的に地面が揺れだしたんだ。

 何だ、何が起こっている。

 私たちはどうすればいいんだ。

 神に祈る者までいた。

 私も祈りたかったよ。

 消防士としてのプライドが許さなかったがね。

 誰かが叫んだ。

 湖がおかしい、と。

 皆が一斉に湖を見た。

 湖の表面はボコボコと泡立っていた。

 近くにいる人は叫んで逃げ出した。

 噴火だ、逃げろ、とね。

 馬鹿な、と思うだろう。

 私だって思ったさ。

 あそこは死火山だ。

 噴火なんてするはずがない。

 だが次の瞬間、湖を切り裂くようにして火柱が噴き上がった。

 火柱は蛇のような形をしていた。

 ような、というのは蛇にしては刺々しい形をしていたからだ。

 今となっては分かる。

 あれは龍だったんだ。

 噴火につきものの爆炎はなかった。

 信じがたい光景だった。

 死火山が噴火するだけでなく、得体の知れないものが出現するなんて、と。

 誰も動けなかった。

 動いたら狙われると思った。

 次々と別の場所からも火柱が立ち上がるのが見えた。

 それの何れもが龍の形をしていた。

 益々揺れは大きくなっていた。

 この世の終わりが始まると思った。

 誰もが悲壮な顔をしていた。

 火の龍がこちらに向かってきた。

 神よ……そう思ったと同時、龍が何かにぶつかったかのように大きく広がった。

 こちらを包囲して焼き尽くそうとしているのかと思った。

 目を瞑って終わりの瞬間を待った。

 だが待てども待てども熱くならない。

 目を開けてみた。

 火は半球状にこちらを取り囲んでいる。

 だがそれだけだった。

 何が起きているんだと思った。

 次の瞬間、声が聞こえた。

 

 

 

『鎮まれ』

 

 

 

 穏やかな声だった。

 荘厳さすら感じさせる声だった。

 火が一旦引いた。

 周りが見えた。

 他の場所も同じように火が引いていた。

 木々は焼き尽くされ湖の水は干上がっているのに人々が集まっているところだけは守られていた。

 また声が聞こえた。

 

 

 

『怒りを鎮めるんだ』

 

 

 

 火がまた怯んだかのように後ろに下がった。

 私はまるでSF映画の中に迷い込んだかのような気分になったよ。

 そうして火はどんどんと後ろに引いていき、地中に戻った。

 終わったのか?

 そう思ったが揺れはどんどん大きくなっていく。

 次の瞬間私は宙に吹き飛ばされていた。

 いや、私だけではなかった。

 火が半球状に囲った範囲の全員が地面と一緒に吹き飛ばされていた。

 訳がわからなかったが周りを見て気が付いた。

 あの龍はどうやら地中から我々をバリアごと押し上げたのだ。

 そう、バリアだよ。

 我々に火の攻撃が来なかったのは我々が球状のバリアで囲われていたからだった。

 違う場所にいた人達を囲っているのをみて分かったよ。

 だが我々が飛ばされたのは地上の遥か上空だ。

 このままでは激突して死んでしまうと思った。

 やけに意識がクリアなのを感じた。

 あれが死ぬ直前の人間の状態なのだろうね。

 ゆっくりとした時間の中で誰かが凄い勢いでバリアの外に飛んで行ったのが見えた。

 その誰かは手を掲げた。

 手から幾筋もの光が放たれた。

 緑色の美しい光だった。

 それらが火の龍に当たると紅い体色が段々と薄くなっていくのが見えた。

 紅から赤へ、赤からピンクへ、そしてやがて透明になり、一気に緑に変化した。

 緑の龍はその手の元に集まると今度は我々に向かって放たれた。

 それは我々の胸の中に吸い込まれた。

 気持ちが落ち着いていくのを感じた。

 だんだんと眠くなっていった。

 気付いたら我々は病院のベッドの上だ。

 夢だったのかと思った。

 医者にも集団幻覚だと言われた。

 だが私は違うと気付いた。

 その日以降不思議なものが見えるようになったからだ。

 周りの人に言っても不思議そうな顔をされた。

 私は溢れる好奇心を抑えきれなかった。

 色々なツテを頼ってアボリジニの最高司祭に会えることになった。

 彼に経緯を話した。

 アボリジニはこう告げた。

 黄金溢れる極東の桃源郷に行け。

 自らの心の赴くままに進め。

 探し物はそこにある。

 私はすぐさま日本に飛んだ。

 消防士などどうでも良くなっていた。

 そして、彼を見つけた。

 

 

 

「こんにちは、いい天気ですね」

 

「えぇそうですね、観光ですか?」

 

「はい、ある人を探しに」

 

「ほう、人ですか。生き別れた女房とか?」

 

「ははは、違います。あなたに会いに来ました」

 

「…………なるほど」

 

「オーストラリアで助けて頂きました」

 

「なるほどなるほど」

 

「あの日以降私は不思議なものが見えるようになりました」

 

「……」

 

「好奇心を満たすために来た愚かな私ですがどうか教えていただけないでしょうか」

 

「……まぁいいだろう、うちに来なさい」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 そこで私は色々教えてもらった。

 彼が持つ力。

 あの日起こったこと。

 私の症状。

 どうやらあの時私の中に流れ込んできた緑の龍と私との適合率というやつが高かったようだ。

 ああいうことは稀にあるらしい。

 先程面影が似ているから声を掛けたと言ったな。

 すまない、あれは嘘なんだ。

 本当は君の力があの人に似ていたからだ。

 なぜ嘘をついたかって?

 もし違ったら頭がおかしい人だと思われるからその保険だな。

 お詫びに何かした方がいいかな?

 む、そうか。

 やはり君の一族は謙虚だな。

 さて、そろそろ私は行くとするよ。

 君のお爺さんによろしくと言っておいてくれ。

 

 

 

 

 

 飯を食い終わってのんびりしていたら父がやってきた。

 どうやら風呂に行くらしい。

 あぁ、行ってこいよ。

 父に駄々をこねられた。

 一緒に行きたいらしい。

 しょうがないから一緒に行くことにした。

 露天風呂やベー!

 夕日やべー!

 全部大理石!

 サウナまである!

 父がぶっ倒れた!

 脱衣所で冷ます。

 何がしたかったんだこいつ。

 部屋に戻って寝た。

 

 

 

 さて、今日はシャークベイだ。

 ん?なんかダースベイダーと似てるな。

 シャークベイダー、なんつって。

 俺の期待を裏切るどころか上回ってくる超魔境オーストラリアに戦慄が止まらない。

 シャークベイも恐らくヤバいのだろう。

 今度は神様とかに会えたりして。

 いや、それはないか。

 期待のしすぎは良くない。

 今日の朝飯はビュッフェだ。

 カンガルー肉のソーセージがあった。

 なんかこう、独特な味だ。

 美味しいけどな。

 

 

 

 

 

 シャークベイに向かう車の中で一応どんなところか聞いてみた。

 何も知らないらしい。

 俄然ワクワクしてきた。

 そういや紳士からおじいちゃんの話を聞いたと言ってみた。

 

 

 

「そうか、どう思った?」

 

「まぁそんだけ力持ってると助けたくなっちゃうよなって」

 

「そうか、お前ならどうする?」

 

「助けるんじゃね?」

 

「別に助けなくても良いんだぞ」

 

「いやそういうわけにもいかんでしょう」

 

「義務は無いぞ」

 

「でもカッコいいじゃん」

 

「そうか」

 

 

 

 なんだったんだ今の会話は。

 我が父はどうでも良い話を唐突に振ってきて唐突に終わらせるから困る。

 しかも偶に大事な話が紛れ込んでいるから始末が悪い。

 今の話にも何か意味はあったのだろうか。

 そんなことを考えていたらいつの間にかシャークベイに着いていた。

 

 

 

 うーむ綺麗だ。

 だがここには一体何があるんだ?

 見た感じいたって普通のストロマトライトがあるが。

 取り敢えずストロマトライトに触ってみた。

 …………は?

 気付いたら一面水だらけだった。

 いや別に高波が来たとかじゃなくて。

 ウユニ塩湖みたいな感じだ。

 しかも水とは言っても、歩いたら波紋は出るが、水を踏んでいる感覚は無い。

 さらにさっきまで昼だったのに夜になっている。

 空には月が二つ浮かび、片方はいつもの月、もう片方は青い。

 その間に天の河銀河がある。

 なんだろうここ。

 綺麗なんだけど違和感がある。

 俺のいるべき場所じゃ無い気がする。

 そもそも月が二つの時点で現実じゃ無いのは確定だ。

 後ろから衣摺れの音が聞こえた。

 振り向くと、ナニカがそこにいた。

 人型をしているのは明らかだ。

 だが、顔を認識できない。

 視力を強化しても変わらない。

 途方もなく存在としての格が大きいのか?

 こちらに近づいてくる。

 

 

 

「やぁ、君がくるのを待っていたよ」

 

「おう、俺も探してた」

 

「ははは、中々冗談がうまいね君は」

 

「ところでお前何?神様?」

 

「僕は、そうだね、記憶かな」

 

「記憶……グレートバリアリーフのあれか」

 

「うん、あれに残った人格の残滓の集合体さ。だから君達には認識出来ない」

 

「ところで待ってたってのは?」

 

「うん、別に大したことじゃ無いんだけどね。君たちの一族は代替わりすると必ず一回は来るからね。だから、僕が用があるってわけでは無いんだけど待ってたんだ」

 

「運命を感じるな」

 

「ふふ、そうだね。君たちの話はいつも面白いんだ。僕は記憶だから、地球上で起こった事は全て知ってるけど、それはあくまで記録に近いから、味気ないんだよね。それに、人と話すのはとっても楽しいんだ」

 

「へぇ、じゃあ俺もなんか話してくよ」

 

「わぁ!楽しみだよ!何から話してくれるんだい?」

 

「そうだなぁ、まぁじゃあ最近の話で行くと……」

 

 

 

 なんか地球の記憶に俺の思い出を話すというわけ分からなさすぎる展開がシャークベイで俺を待っていたが、暫く話したらノア(地球の記憶とか言ってるからそれっぽく名付けた)が空間から出してくれたのでホテルに帰る事にした。

 俺もなんか聞こうかと思ったがそれもなんかつまらんからなぁ。

 ちなみに父と母は俺のことを探しもせず魚と戯れていた。

 酷すぎる。

 

 

 

 

 

 俺は今帰りの飛行機に乗っている。

 窓側の席なのでオーストラリアが見える。

 それにしてもオーストラリア……世界最強の能力者であるこの俺の想像をはるかに超える地だった。

 もしかして他にもすげぇ場所いっぱいあるんじゃね!?

 ヤベェなそう思うと途端にワクワクしてきた。

 次は一人でどこか行くか……




なんか尻すぼみな作品になっちゃったよ。
フラグっぽく見える部分もあるのに回収する気起きなかったし。
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