早く更新来ないかなぁ
私が赤子の頃、家を怪人が襲った。
ヒーロー協会などまだ影も形も無かった頃の話だ。
今の怪人レベルで判定するなら、竜といったところだっただろう。
当然ヒーローなど現れるはずもない。
なす術なく私の両親は殺された。
なぜ私の家を襲ったのかは分からない。
偶々だったのだろう。
だが、生き残った老人が見たという。
私の両親を八つ裂きにし、家を周囲の建物ごと崩壊させたその怪人を。
崩壊は私の家から始まり町は壊滅したそうだ。
瓦礫の上に立ち、高笑いをしていたという。
私は瓦礫の間に出来た空間で泣きながら生き残っていたという。
覚えていないがな。
恐怖で泣いていたのだろう。
その老人は私を育ててくれた。
そう、私の父だよ。
父は私に教えてくれた。
強い眼差しで語ってくれた。
何故私が父に拾われたのかを。
物心付いたと分かった時から教えてくれた。
私が泣いて怖いと言っても教えてくれた。
何て言っていたかは今でも思い出せる。
いや、そんなことはどうでもいいか。
私は力が強かった。
幼稚園に入って遊んでいたら鉄棒を破壊してしまった。
周りの子の中には怯えて逃げてしまう子もいた。
逃げなかった子らは私を怪人と呼んで石を投げてきたが耐えた。
父は迎えに来てくれた。
帰りの車の中で言い聞かせられた。
お前は特別な力を持っている、だけどお前は特別では無いという事をよく覚えておきなさい、と。
よく分からなくて、怖くて、泣いてしまった。
そんな私を父は撫でてくれた。
そして力を振り回さなくて、力に振り回されなくて偉かったぞ、と。
訳がわからないまま私は泣きながら頷いていた。
幼稚園は入園したその日に退園した。
父は私に何も言わなかった。
分かっていたのだろう。
人の身に余る力を持つということがどういう事か。
幼稚園には行けなかったが父は私をキチンと育ててくれた。
力の操り方を教えてくれた。
拳の振り方を教えてくれた。
足運びの方法を教えてくれた。
何でそんなことをやるのかと聞いた。
父はこう答えた。
力には向けるべき正しい方向がある。
正しい方向に向かうには使い方を覚えなくてはならない。
やはりよく分からなかった。
父は笑いながら言った。
大きくなれば分かる。
そう言われるとどうにもならない。
私は頰をむくれさせながらも父の言うとおりにした。
小学校に入れる年齢になった。
父のおかげで私は力の抑え方を分かるようになっていた。
小学校に行っても良いと父に認めてもらった。
とても嬉しかった。
ワクワクしていた。
友達というのを作ってみたい。
ドッジボールという遊びをしてみたい。
色々なことをしたい。
だけど、と最後に付け加えられた。
私がいつも助けられるとは限らない、自分でどうにかしなければならないこともあるんだぞ、と。
私は分かった、と頷いた。
入学式の日になった。
周りには同じように子供がたくさんいた。
幼稚園以来の出来事だった。
とても嬉しかった。
椅子に座りながら後ろを振り向いて父に手を振った。
父は手を振り返してくれた。
その時、前方で轟音が響いた。
慌てて前を向く。
今まで校長がいたはずの場所に異形が立っていた。
場が硬直する。
一瞬誰かの息が詰まった音がしたかと思うと、悲鳴が響き渡る。
誰もが半狂乱になった。
体育館の出口に人が殺到する。
俺も逃げようとしたが、父の言葉を思い出した。
自分で何とかしようと思った。
駆け出そうとしていた足を止めて怪人に向き直った。
怪人もこちらに気付いた。
「何だぁ?俺様に用でもあんのかクソガキィ」
「お、お前なんか俺が倒してやる!」
「はぁ?…………ギャハハハ!お前が俺を倒すぅ?ギャハハハハハハ!は、腹がいてぇ!オイオイ頭おかしいんじゃねぇかこいつ!」
「うるせぇ!ぶっとばすったらぶっとばすんだ!」
「あぁ?うるせぇなぁ、じゃあやってみろよ。ほら……んん?殴りかかってこないのかなぁ?おい、どうしたんだよ!」
「う、うぅ……」
「はぁ〜ダッセー……おい!こいつの親は誰だ!今からこいつを見せしめに殺す!ギャハハハハハハ!」
「私の息子をいじめるのはやめてもらおうか」
「あぁ?なんだジジイ。まさかお前がこのガキのお父様ですかぁ?」
「そうだ、私の事はブラストと呼んでくれ」
「しらねぇよお前みてぇなジジイの名前なんか。さーてぶっ殺すか!」
「ふむ、ものは相談なんだがここは退いてはもらえないだろうか?息子の教育に悪いものをあまり見せたく無いのでね」
「はぁ?教育なんかいらねぇよ。だって今から二人ともあの世に行くんだからなぁ!シャァァァァ!!!」
「フンッ!」
「グォバァァァァァア!!」
「困ったものだ全く……」
虚勢を張ったは良いが覚悟が決まっておらず固まってしまった私は逆に殺されそうになってしまった。
だがそこで父が立ちふさがった。
父が怪人にブラストと自己紹介した。
だが怪人は意に介さず私と父の二人を殺そうと襲いかかってきた。
恐ろしくなってしゃがんでしまった私は何が起こったのか一瞬分からなかった。
だが少し経って歓声が上がると同時に理解出来た。
父があの怪人をやっつけたのだ。
父に何か言葉を掛けようと思ったが周りに集まってきて父を賞賛する新入学生の父母達に弾き出されてしまった。
少しすると騒ぎも収まり父が私に近づいて来た。
「私が自分でなんとかしなさいと言ったから立ち向かったのかい?」
「うん……でも何にもできなかったよ……」
「ハハハ、当然のことだ。すまなかったね、まさかお前があんなに勇敢だとは思っていなかったんだ」
「僕は何にも出来なかったのに勇敢なの?」
「それでもだ」
「そっか……」
「さぁ、我が家に帰ろうか。今夜は焼肉だ!」
「…………」
「ん?どうしたんだ?帰るぞ?」
「あ、うん!」
父に褒められてとても嬉しくなった。
それと同時にあんなに強い父が誇らしくなった。
先に歩いて行く父の背中がとても大きく見えてボーっとしてしまった。
入学式はハプニングに見舞われたが小学校生活は恙無く過ごす事が出来た。
いや、恙無いというのは少しばかり穏やかな表現か。
入学式で怪人を倒したヒーローの息子という事で私はモテた。
父の日に老人の父が来ても何ら恥ずかしいことは無かった。
上級生の中には私の父が年老いていることを揶揄する者もいたがむしろ誇らしかった。
父が鍛えてくれたおかげで力も抑える事が出来た。
例え喧嘩をふっかけられても我慢する事が出来た。
我慢をしている間は若干の苦しさはあっても、終わってみれば大した事は無い。
むしろ父の正しさが身に染みていた。
力に振り回されてはならない。
父に対する尊敬の念が積もるばかりだった。
父は家では至って普通の老人だった。
買い物に行くと時々怪人の返り血を浴びてくる以外は。
最初は驚いたがすぐに慣れた。
小学校時代が終わり、中学生になった。
中学校というのは小学校よりも差が大きく出る。
男女の差、性格の差、腕力の差、頭脳の差。
そういった要因が人間の間に軋轢を生む。
ある時掃除係の仕事でゴミ捨て場にゴミを捨てに行くと一人の少年が三人組につめ寄られていた。
ここでこそ力を振るうべきなのかと感じた。
近付いてみる。
向こうは三人組だ。
体格も大きい。
こちらに罵詈雑言を浴びせてくる。
「可哀想だろ、やめてやれよ」
「なんだてめぇ?やんのかコラ」
「おいこいつもノシちまおうぜ」
「ん?……あ」
「どうした?さっさとぶっ飛ばそうぜ」
「こいつあいつだ!あの怪人を倒したっていうジジイの息子だよ!」
「何!?……い、いや、だからどうしたってんだよ。こいつが強いわけじゃ無いだろ」
「いやでもあのじじいが出てきたら……」
「うっ……うるせぇ!良いからぶっ飛ばしまうぞ!」
「お、おう!」
「「「うおらぁぁぁ!!」」」
「フンッ!」
「「「グハァァァ!」」」
何だったんだあいつらは。
やめてやれ、と言っただけで殴りかかってきた。
いや待てよ?これはあれだ、不良というやつだ。
やはり声を掛けて正解だった。
ゴミを捨てて家に帰ろうと歩き出すと不良達に詰め寄られていた少年が声をかけてきた。
「あ、あの!」
「ん、何?」
「あ、ありがとうございました!」
「あぁ、気にしないで良いよ。父さんの言う通りにしただけだから」
「あと、その……」
「さっきからもったいぶるなぁ。言いたい事があるならスパッと話してくれ」
「わ、分かった、じゃあ一緒に帰らない?」
「良いけど……」
「けど?」
「帰る方向一緒なの?」
「あ……」
こうして中学生時代は喧嘩三昧だった。
とはいえ別に好んで戦ったわけではなく、最初の不良以降学校の不良が勝手に勝負を挑んでくるからそうなっただけだ。
勉学はそこそこ励み、高校も有名な進学校に入る事が出来た。
最初に助けた彼も同じ高校に入ったようだ。
「や、やったね〇〇君!一緒の高校だよ!」
「そうだな、父さんにも教えなくちゃ」
「そう言えば君のお父さんはなんで来てないんだい?楽しみにしてたんだろう?」
「ゲートボール大会が開かれてるってんでそっちに行ったよ」
「えぇ……」
高校は力を振るう機会もなくひたすら勉強の毎日だった。
父にそれについて聞いてみると、良い事だと笑っていた。
怪人の返り血がついた状態で。
高校を卒業して大学に入ってすぐにそれは起こった。
大学の帰り道、怪人が現れたのだ。
その怪人は巨大化したゴリラのような姿をしており、軽く腕を振っただけでビルを粉砕していた。
父がいたならば父に頼るのだが、今はいない。
そこで思い出した、いざというときに誰かが助けてくれると思ってはいけない。
周りには怯える人々がいる。
俺は戦える。
そう訓練してきた。
だから戦おう。
「俺様はキングゴリラ!元は人間がアマゾンを伐採した事でできた僅かな森に住んでいたゴリラだった!だが生き残ろうとする意思に反応した体の突然変異により俺様の肉体はこれほどまでに巨大化する事ができた!今から貴様ら人間の住むこの場所を破壊し尽くしてやる!」
「おい」
「ん?……なんだ貴様は!俺様に楯突く気か!」
「俺は……俺は趣味でヒーローをやっているものだ。名前は……そうだな、名前はブラストだ」
「舐めているのか!もう良い!ぶち殺してやる!グルルルァァァァ!!」
「ヌンッ!」
「ゴバァァァア!!」
こうして私はヒーロー活動を趣味にすることにした。
大学の授業が無い土日や講義の少ない平日なんかには衣装を着て街に出てヒーロー活動を行なった。
大学も卒業して普通の企業に就職した。
最近は前よりも怪人を見る事が増えた。
この前も電車に揺られて家に帰る途中、大規模な爆発に巻き込まれて、趣味の時間では無いのだが元凶の怪人を倒すことになってしまった。
悪い事はしていないがスーツが破れてしまったのが残念だ。
いざという時に誰かが助けてくれると思ってはいけない、父からの教訓だがスーツの修繕は誰かに助けてもらわなければならないな。
今日は日曜日だ。
私の趣味であるヒーロー活動に精が出る。
怪人を倒して次はどこへ向かおうか考えていると何やら誘拐じみたことをしている黒服二人組を発見した。
「君達、何をしているんだ?その子を離しなさい」
「チッ、見られたか」
「仕方ない、始末するぞ」
「全く、なんでこう血の気の多い輩が多いんだ……」
二人を取り押さえて話を聞き出すと、どうやら超能力を研究する組織で働いており、人類の発展に超能力を有効活用するためにサンプルを集めているそうだ。
サンプルというのは当然超能力者の事だろう。
優しく組織の本拠地の場所を聞いてやると、丁寧に場所を教えてくれた。
お礼に警察に放り込んでからその場所に向かう。
先程黒服に聞いた場所の近くに来たが正確な場所が分からない。
どうしたものかとまごついていると破砕音が聞こえる。
怪人でも現れたかと思い、高く飛んで周りを見回しても破砕痕も土煙も見えない。
これはどういうことだ。
未だに破砕音は聞こえている。
まさか地下か?
地面に耳を当ててみると音が強く聞こえた。
やはり地下のようだ。
よく考えてみれば誘拐を行うような非合法の組織が堂々と地上に施設を建てる訳がなかった。
地面を掘り進むとやがて地下空間に出た。
どうやら建物の中の一室のようだ。
未だに破砕音は続いている。
部屋の中にあるテーブルに書類が置いてあった。
被験体の顔写真と番号、名前、能力について書かれている。
左上に特と書いてある書類がある。
タツマキという名前のようだ。
能力の強度についてグラフ化してあり、ほとんどの値が測定不能となっている。
他の超能力者と比べても飛び抜けているのがわかる。
だが今はどうでも良い事だ。
建物の壁を破壊して外に出る。
どうやら先程から聞こえてくる破砕音はあの醜い怪物が出していたようだ。
体毛はほとんど無く、頭部に少し生えるのみ。
巨大で四足歩行、3本指に鉤爪あり。
目にあたる部分は蜘蛛のようであり、口には鋭い牙が無数に生えている。
内側から破壊されたような建物が一つだけあり、その奥に引き千切られた鉄の檻のようなものがあることからこいつは恐らくこの組織で研究していた怪人かあるいは実験動物なのだろう。
そこら辺に散らばる肉片や血に塗れた白衣を見るにどうやら暴走しているらしい。
今はちょうど鉄格子のついた扉の前で唸っている。
中に人がいるのだろうか。
急いで接近し、腹に一振りパンチを喰らわせる。
いつも通り一撃で仕留める事ができた。
後ろで物音がした。
「誰?」
「私はブラスト。趣味でヒーロー活動をしているものだ。まぁ…ヒーローといっても普段はちゃんと働いていて…これは趣味なんだがね」
「ヒーロー…」
「ところで…なぜ“力”を使わなかった?」
「……超能力が出せなくなって…」
「嘘は良くないな」
「……」
「いいかい…今後のキミのために一つだけ教えておくよ。いざというときに誰かが助けてくれると思ってはいけない」
「……」
「ではさらばだ、キミなら超能力で抜け出せるだろうからね。私は他の人たちを助けてくる」
顔写真を見ていたので分かった。
あれがタツマキという少女だろう。
どうやら超能力が出せないと嘘をついていたらしい。
私も父が育ててくれなかったらあぁしてどこかの研究所に閉じ込められていたかもしれない。
だからこそアドバイスとして父の言葉を贈った。
見れば分かった。
凄まじい超能力の持ち主だ。
あれ程の使い手ならすぐに自分のことは自分で出来るようになるだろう。
さて、家に帰って今日のことを父に話すか。
父が死んだ。
老衰だった。
寝たきりの状態だったが最期にこれまで秘密にしていたことを教えてくれた。
「お前の両親についてだ。私は昔からお前に一つ隠していた事があった」
「隠していた事?一体なんだい?」
「私は偶々生き残ったからお前を育てたと教えてきたな?あれは嘘なんだ」
「え?う、嘘だったのか?」
「そうだ。あの時私は、偶々生き残ったわけではない。お前の両親を殺した怪人を倒した時、近くに偶々お前がいたから引き取ったんだ」
「そうだったのか……でもなんで嘘なんか」
「あの日私は偶々散歩をしていたら爆発に巻き込まれた。だが知っての通り私は爆発程度でダメージなど受けることはない。暇つぶしにそのまま瓦礫の中で寝ていようかと思った。だがふと悲鳴が聞こえた。瓦礫の中から飛び出すとお前の両親が殺されるところだった。すまない〇〇、私が……もっと早くに気付いていればお前の両親も……。いや、違う。私に正義感がもっとあれば……すまない、本当にすまなかった……」
「…………良いよ」
「え?」
「だって父さんは俺を助けてくれたじゃないか。それに、怪人を恨みこそすれど助けてくれた父さんを恨むのはお門違いってもんだろ?だから、ありがとう、俺を助けてくれて」
「……私こそありがとう。なんだか気分が軽くなったよ。最期に話しておいて良かった。ありがとうな……ありがとう……あり……がと……う……」
「◻︎時×分。ご臨終です」
父が居なくなってからは暫く喪に服す意味も込めて自粛していたが、最近久しぶりにまたヒーロー活動を再開した。
父の口癖でもあった「いざというときに誰かが助けてくれると思ってはいけない」というのに則り、ヒーロー活動はあくまで趣味の範囲に留めているが最近ヒーロー協会なるものが出来たことを知った。
というのも趣味の時間内に街に現れた巨大なムカデ型の怪物を退治したら、次の日に人が訪ねてきたのだ。
「すいません。こちらはブラストさんのご自宅でしょうか?」
「……そもそもあんたは誰だ」
「申し遅れました。私こういうものです」
「……ヒーロー協会?聞いた事ないな」
「えぇ、最近出来たばかりですので。単刀直入に申しますとプロヒーローへのスカウトに来ました」
「プロヒーロー?なんだそれは」
「はい、我々ヒーロー協会はヒーローの知名度アップと公正な評価をするためにプローヒーロー制度というのを設けておりまして……」
話を聞くと、どうやらヒーローをランク付けするらしい。
ランクが上がるごとに待遇が良くなり、ランクはABCという順になっているようだ。
「申し訳ないが帰ってもらえるか。私は趣味以上にヒーロー活動を追求するつもりはない」
「えぇ、えぇ、存じております。そのスタンスは貫いていただいても一向に構いません。我々としましてはブラストさんには看板になってもらいたいのです」
「看板?」
「はい、正体不明のトップヒーローという肩書きでやってもらえれば、と思いまして」
「聞こう」
どうやら先ほどの資料には載っていなかったがSランクというランクを近々設けるらしい。
そこの一位になって欲しいとのことだ。
ヒーロー協会が付けた災害ランクというものの中の竜という強さの怪人を俺が倒しているのを目撃していたとのことだ。
「私の素性が公に一切出ない。私の出動は私の任意で行う。私の行動に一切関与しない。これらの点が守られるなら良いだろう」
「えぇそれはもう是非共よろしくお願いします」
こうしてヒーロー協会に所属した私は今日も今日とて会社に出勤するのであった。
なんだろうこの……すごく読みづらい
後深夜テンションで書いたから何書いてたのか全然覚えてない。