「暁よ。よろしく。……何? ああ、分かった。『一人前のレディとして扱ってよね。』これでいいかしら?」 作:水澄 信
4-3突破。港湾棲姫のHPが7残ってA勝利でした。
4-4攻略中。ボスは昼戦で片付くみたいです。ゲージあと一回!
Bismarck dreiが強いです。
俺の絶叫から30分も経った。はっやい。
そして、やっと俺の脳は状況を理解し始めたようだ。
「うん……とりあえず、多分俺は死んだ。で、転生した。そしたら……あれだ、艦これの暁になってた。」
転生したら暁だっ…なんでもない。何か怒られそうだ。
駆逐艦 暁。特型駆逐艦の暁型、その一番艦だ。
艦これでは駆逐艦の中でも心身ともに幼く、「いちにんまえのれでぃ」を目指していた艦だ。
対潜能力こそ低いものの、夜戦火力の高さや優秀な索敵能力を持ち、俺もかなり重宝していた。
……そして、
沈めてしまった艦娘だ。
さて、こんな所で突っ立っててもどうしようもないし、今後の方針でも考えるか。
「まずは住処にできそうな場所を探さないとな。無人島の一つもあればいいんだけど……」
そう、何を隠そう目覚めた場所は海のど真ん中、俺は今水面に立っている。そして太陽の傾きから考えると今は午後2時頃。
何としても日没までには安眠できる場所の一つ位は見つけたい。
そうと決まればやることは一つ。
「暁、水雷戦隊。しゅつげきしますっ!」
とりあえず何も考えずに、自分の足で探す!
※-※-※-※-※-※-※-※-※
「………………。」
と、意気込んでからおよそ2時間。変わらない海、変わらない空。
「あーあ、そろそろ島の一つも見えてきてもいいと思ったんだけどなあ……」
何度目かの独り言、そして何度目かの溜め息。そして、
「それはですねー」
「らしんばんをまわしてないからだとおもいますー」
「わあっ!?」
初めての会話。
「やっときづきましたー」
「はじめましてー」
「……よ、妖精?」
「よーせーさん、とよんでほしいなー」
「わ、分かった。 それで、羅針盤を回すって?」
「それはですねー……」
妖精さん曰く、艦娘は妖精さんの羅針盤に沿って航行するらしい。
妖精さん曰く、それがないと艦娘は海上で自分の位置が分からず、ごく稀に直感で突きすすんで迷子になる艦娘もいるらしい。
妖精さん曰く、俺は隣に妖精さんがいるのにもかかわらず、それに気づかず"ごく稀"な状況に陥った珍しい艦娘らしい。
「……ありがとう、大体分かった。」
「ふふーん、どやっ」
「おやくにたててなによりー」
「それで、あともう一つだけ聞きたいことがあるんだけど……」
「んー?なになにー?」
「こまったときはわれらよーせーさんにおまかせ!」
「じゃあさ……その"困ったときはお任せできる"妖精さんはさ、何でさっきまで、困ってた俺に声をかけてくれなかったんだ?」
「……。」
「…………。」
「………………。」
「「みてておもしろかったからです!」」
「このやろおおおお!!!」
本日、二回目の絶叫。
※-※-※-※-※-※-※-※-※
「しまありました!」
「……おおー。俺が苦労する必要なかったな。」
「どやっ」
妖精さんの羅針盤を回してからおよそ10分。俺の努力を嘲笑うかのように、島影が見えてきた。
「本当あの2時間なんだったんだよ……。」
「どんまいどんまい!」
「ていとくさんすっごくおもしろかったよー」
「そうかい、良かったな……。島に着いたら色々手伝ってくれよ?」
「「はーい」」
日没まではおそらく2時間程度、それまでに何とか一晩くらい安心して眠れる場所が「ありましたー」……あったらしい。
見れば、沿岸から数百メートルのところに半壊した廃墟が建っている。確かに辛うじて雨風を凌ぐことができそうだ。というか、それより……
「……妖精さん、何で俺の考えてることが分かったんだ?」
「ふふーん、てれぱしー・ぱわー!」
「てーとくさんにくっついてたら、なんとなくわかるですー」
「……マジで?」
「うそですー」
「ねどこはさばいばるのきほんですー」
「……そうだな。」
「このしまはだいぶまえにしんかいせいかんにこわされましたー」
「ひととかいないからきにせずきょてんにしちゃおー」
「要はここまで攻めてこられる可能性があるんだな?」
「「だいじょーーぶっ!」」
「……不安だ。」
玄関が崩落していて使えなかったので、崩れた壁を探して中に入る。ちょうど誰かの自室だったらしく、部屋の隅にあったベッドが目に付き、同時に自分がかなり疲れていたことに気付く。
「使っても大丈夫かな……」
ベッドに潜り込むと、やはり長い間放置されていたのか大分固く、毛布も埃っぽかったが、すぐに睡魔に襲われて俺は意識を手放した。
※―※―※―※―※―※―※―※―※
「……かん。」
声が聞こえる。
「……れいかん。」
目の前に誰かが立っているのがぼんやりと見える……
「しれーかんっ!」
俺はその声でやっと目を開けた。
「あ、起きた!全く、さっきからずーっと呼んでたのに、どうして気付いてくれないのよ!レディを待たせるなんて紳士じゃないわ!ぷんすか!」
少し怒っているようにも見える、その少女は……
「……暁?」
自殺する少し前。俺はオンラインゲームに没頭していた。今思えば、"普通"でない人間になろうとしてゲームに浸かっていた時点で、きっと俺は既にどこかおかしくなっていたのだろう。
その時一番没頭していたのは、"艦隊これくしょん"。艦娘を使って深海棲艦を倒すという一見単純なゲームだが、このゲームには一つの特徴がある。
――
いくら積み重ねたものが多くとも、崩れるのは一瞬。そんなゲームシステムがどこか琴線に触れたのか、他のゲームをやめていった中、このゲームだけはずっと続けてきた。
この前のイベント、ブイン防衛作戦までは。
最終海域。
運が悪かった。
何度も撤退してきた焦りもあった。
"もしかしたら進軍しても大丈夫かもしれない"そんな思いもあった。
何と言い訳しようと、結果が変わるわけじゃない。
俺は彼女らを進軍させ、その時大破していた暁が、ボスの砲撃で、
その日から、俺は二度と艦これを開かなかった。
「……暁。」
「ん? どうしたの、司令官?」
だから俺は、目の前にいる彼女に、
「本当に、ごめん。」
どうしても、謝らなければいけなかった。
「……司令官。」
「あの時、撤退してやらなくて、お前を死なせて、ごめん。」
「いいの、大丈夫。そう言ってくれただけでも、私は満足だわ。」
まるで全く気にしていないような態度の暁。
だけど。
「…………。」
「な、何よ。」
「……恨んで、ないのか?」
「……私が?司令官を?そんな訳ないでしょ?」
「………………。」
「司令官は、私を強くしてくれた。私を信頼して、最前線に出してくれた。それに……私が沈んだことに、泣いてくれた。司令官は優しいんだから、恨むわけないじゃない。」
「……そうか。」
「あっ、でも……怖かったんだからね?」
「……ああ。」
「水底に沈んでくとき。司令官に、見捨てられたんじゃないかって。……私は、司令官の役に立てなかったんじゃないかって。」
「…………ああ。」
「本当に、怖かったんだからね。」
「………………ああ。」
後悔。罪悪感。それらが顔に出ているのだろうと自分でも分かった。
「……だから、司令官。」
そしてきっとこれは、暁の優しさだろう。
「私と約束してくれる?」
「……約束?」
「そう、約束。してくれるんだったら、私に怖い思いさせちゃったのも、今までお子様扱いしてたのも、ぜーんぶ許してあげる。」
「分かった。俺は何をすればいい?」
「そんなに難しいことじゃないわ。まず一つ目。もしかしたら、司令官の、私たちの鎮守府の子たちに会えるかもしれない。その時は、私にしたみたいに、ちゃんと謝って。"『いなくなってごめん。』『心配かけてごめん。』ってね。」
こうすれば許してあげられる、そう言って俺に目的を与える。これで俺の気が少しでも楽になるだろうと考えている。
「……何だ、俺なんかよりよっぽど大人じゃないか。」
「えっ、そ、そんなことないわ!」
「いや、お前はきっと、一人前のレディーになれてるよ。」
「……そう。そう、なのね。良かったわ。」
そう言って微笑む彼女は、どこか儚げだった。
「司令官、ちゃんと守ってね?」
「ああ、分かった。ありがとう。」
「それじゃあ私は行くわね。」
「……行くって、どこへ?」
「司令官も気付いてるでしょ?ここは夢の中だって。目が覚めたら、私はいなくなってるわ。」
「……そうか。」
寂しそうだ。そう思ったときには、もう口が動いていた。
「暁。何か俺にやって欲しいことはあるか?」
「……?私、約束して欲しいことは伝えたわよ?」
「そうじゃなくてだな、その……。お前がさっき言ったのが約束なら、これはお願いだな。お前に何か心残りがあるなら、代わりに俺がそれをやってやる。」
「…………。そう、やっぱり司令官は優しいわね。じゃあ、一つだけお願いしてもいい?」
「ああ、任せろ。」
少し考えるそぶりを見せた後、暁が口を開く。
「司令官は確か、今は私の姿をしてるのよね。」
「ああ、そうだが。」
「なら、これにするわ。」
そう言った途端、急に視界が歪む。
「!?あ、暁!」
「もうお別れか……もう少し話していたかったな。」
そして、
目が、覚めた。
※―※―※―※―※―※―※―※―※
「あ、おきたー」
「おはよー」
妖精さんが声をかけてくる。
「ええ、おはよう。いい朝ね。」
「えー!?」
「てーとくさんがみもこころもおんなのこになったー!」
「……少し、違うかな。」
「?」
――私の代わりに、暁として、一人前のレディになって。
消えゆく前に聞いた願いは、俺が叶え続けるから。
「夢の中で、暁にお願いされたんだ。」
「ゆめー?」
だから、待っててくれ。
この話とは異なり、うちの鎮守府では暁が今日も元気に豆を投げられて泣いてます。節分は過ぎたよ。もうやめたげて。
今回の話には関係ないけど、練度はうちの鎮守府の艦娘と共通にします。
書いてる途中に照月の対空上げたくて、ノリで大型建造したらSaratogaがでました。小説書くと大型当たるようになるので是非お試しください。
2/17 タイトルがくどかったので直しました。