バイオハザード~G.T.計画~   作:ユリおじ

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地の文おおすぎ問題。
文の書き方がいくら書き直しても納得いかないのであきらめて投稿します。



逃走

 目を開けると謎の液体の中でした。

 

 …どういうことなの。おかしい、いやなんか白衣着た人間に周り囲まれてるとか、緑色の液体越しに明らかに見覚えのある赤と白のマークあるとか、見た感じ俺のムスコがいないどころか体が(多分)幼女になってるとか、もう突っ込みどころしかないけど、そこらへんはひとまず置いといてだ。一つだけどうしても言わせてほしい。

 

 

 

 

 

 神様、せめてパソコンのHDDの中身整理させてからにしてぇぇぇぇぇ………。

 

 

 

 

 

 今の状況、おそらく巷に聞く転生だか転移だかいうやつなんだろう。しかしなぜ俺が…。たしか記憶をたどる限りここにいる前はバイオのレオン出てくるシリーズデスマーチをしていて、40数時間かけバイオ6までレオンが出てくるものは全て(・・・・・・・・・・・・・)終わらせたはずなんだが…。くそう、最新作の7にはレオンが出てこなくて残念だった…。

 

 あっ、ヤバイそんなこと考えてたらなんか急に眠気が………無理…お休み……。

 

 

 

 

 

 なんか起きたら明らかに体が成長してるんですが。

 

 えっ、どういうこと?なんなの?前見たときは(恐らく)幼女だったのにいつの間にか(メイビー)少女になってるんですが。まさか俺このブラック企業の実験体なの?それとも5年くらい寝てた?…どっちも嫌だけど後者のほうがいいなぁ…。

 

 とか言ってたらまた眠い…お休み…。

 

 

 

 

 

 おはようございます。なんか謎の液体の外に出してもらえました。そして体はまたも成長していました。なんでやねん。液体の外出れたのはいいがこの部屋少し息苦しい。ケホケホと咳をしながら部屋の中を見ていると黄色い化学防護服?みたいなの着た人がバインダーを持って恐る恐る、部屋の中に入ってきた。おう、明らかに俺のレポートを取ろうとしてるな貴様。顔はわからないが、まあここが本当にあのバイオな世界ならどうせ英語が主流だろう。

 

「ハロー」

 

 そう声をかけてやると何やら動揺した様子。おう、声をかけただけでこれだよ。…声が酷すぎて驚いたとかじゃないよね?

 

 するとその後何やらいろいろと英語?で話しかけられるが、悪いがこちとら英語は去年の必修の講義でC評価だったんだ。何言ってるかわかんね。

 

 そんな思いを込めつつ首をかしげると少し肩を落とす黄色野郎。おのれ、日本語だったら行けるのに。かもんじゃぱにーずぷりーずおぅいえ。

 

 するとそのまま黄色野郎は特に何もせず部屋から退出していった。

 

 …あれ?あいつ何しに来たん?

 

 そのまま特に何もされることもすることもなく、ただ部屋の中を見て回っていると、白衣を着た女性が病院の患者が着るような服を持ってきた。…そういえば全裸だったね、俺。

 

 もらった服を着ると白衣の女性が少し驚いた様子だった。服を着たら驚かれるとか珍獣扱いですか?

 

 すると白衣の女性が

 

「タカハシ」

 

 と自分自身を指さしながら言ってきた。それが彼女の名前かな?と思っていると

 

「GT-001」

 

 とこちらを指さしながら言ってきた。……えっ、まさかそれ俺の名前?

 

 

 

 

 どうも、GT-001です。あの後タカハシ、GT-001ということをくりかえされたので名前で間違いないらしい。…ええー、もっとこう、少しはまともなのはなかったの…。というか、これどう考えても俺アンブレラの実験体ってことですよね。なんでよりによって転生したらアンブレラの実験体なの?あれか、タイトルは「転生したらアンブレラの実験体だった件」とでもすればいいのか。HAHAHA、ナイスジョーク。

 

 まあいいや。本当の名前は一応覚えてるし、いまは甘んじてGT-001という名前を受け入れてやろう。   

 

 べ、別に前世のある実験体とかばれたらやばいなんて思ってないんだからね(震え声)。

 

 そんなこんなで謎の液体に戻されることもなく、ベッドくらいしかない部屋でタカハシに英語を教え続けられる日々を過ごしていると、ある日突然、二足歩行のデカいカエルの化け物のいる部屋に放り込まれた。

 

 え?なんで?なんか俺悪いことしました?ま、まさかこの間タカハシの胸をガン見してたことが怒りをかってしまったか…。少女の見た目だから平気だと思ったんだが駄目だったか…。

 

 そんな現実逃避していると、いきなりカエルの化け物が襲い掛かってきた。それに対し、俺はそっと目を閉じる。

 

 ああ…俺、ここで死ぬのか。いやだなぁ、家でゲームしてたら突然こんなとこにいて、しかも女になってて、名前も変なのつけられ、数日英会話の授業?してたらいきなりこれだもん。あれかなぁ、失敗作だから処分するのかなぁ。父さん母さん、親孝行もろくにできず突然いなくなった息子をお許しください。あとパソコンの中身は見ないで処分してください。切実に。

 

 

 

 

 …おかしい、いまだにカエル野郎の攻撃が来ない、あれ、割と人生振り返ってたんだけど。まさか気づかないうちに死んでるとか?一瞬で首飛ばされたならありえそうだなぁ…。

 

 恐る恐る、目を開けるとそこには…

 

 いまだに空中でゆっくりこちらに向かってきてるカエル野郎がいた。…え?君いくらなんでも遅くない?そんなんいくら俺でもよけられるよ?

 

 すっと横に移動すると、その瞬間すごい勢いでカエル野郎が俺のいた場所に鋭い爪を振り下ろした。え?どうやって空中でゆっくり浮いてきた後そんな加速したの?するとすぐさま俺のほうに振り向き、振り下ろした爪でそのまま切り付けてくる。

 

 が、しかしその瞬間また動きがゆっくりになる。

 

 …いやいや、なに?遊んでるの?いたぶってから殺すつもりなのか?そう考えると急にイライラしてきた。

 

 このやろう、いきなりこんな化け物のいる部屋に放り込まれ挙句の果てにはいたぶってから殺されるだと?ふざけるな、俺はお前らの玩具じゃない。

 

 よし、いいだろう、お前がその気ならこっちだって考えがある。この少女の体じゃあダメージを与えるどころか逆にこっちが傷を負いそうだがそんなの関係ない。このカエル野郎に一矢報いてやろうじゃないか。

 

 そうと決まれば後はやるだけ。カエル野郎の攻撃をギリギリで後ろに大きく回避する。そしてまた相手が加速する前に一気に近づいて、全力でぶん殴る!これカエル野郎が怒り、本気になって殺されるとしても何もせず死ぬよりはましだろう。

 

 しかし、一つ予想外のことが起きた。俺が、カエル野郎を殴りつけた瞬間

 

 ドパァン

 

 と音をたてて奴の頭?が消し飛んだ。

 

 

 

 

 ………え?嘘やん?

 

 

 

 

 その後無事に元の部屋に戻してもらえました。タカハシは部屋に入ってくると嬉しそうにこちらを褒めてくる。これはあれか?いきなりカエル野郎の部屋にぶち込まれたのは処分ではなく実験だったのか?とういうか今冷静になって考えてみるとあのカエル野郎多分ハンターだよね。説明もなしにいきなりアンブレラのB.O.W.の中でも上位といえるハンターと戦わせるとかこいつらやっぱ頭おかしい。やるならせめてゾンビにしてくれ。

 

 そして何より気になるのは先ほどハンターと戦った時のこと。なぜいきなりハンターの攻撃がスローだったのか。そしてあの自分のパンチの破壊力は一体…。

 

 そんな疑問を持ちながらいろんなことを教えられたり、ハンターと戦わせられる(一回勝つごとに一体増えてきてやがる)日々を過ごしているとこの体について分かったことがある。

 

 まず、おそらくこの体はとあるウイルスに感染してる。そしてその影響なのかめちゃくちゃ強い。ハンターの攻撃がゆっくりにみえたのは動体視力が強化されてるからなのだろう。たしか三回目あたりで試しにこちらからハンターに攻撃を仕掛けたらハンターは反応することができず吹き飛んでいった。その時はハンターがあと二匹いたのでこちらに襲い掛かってきたがその攻撃もスローにしか見えず、余裕をもって躱し、カウンターでパンチをぶち込んでやった。

 

 しかし少し妙なことがある。実は前回ハンター部屋に放り込まれたとき、後ろから襲ってくるハンターに気づかず左腕を切り飛ばされてしまったのだ。すぐさま襲い掛かってきたやつを殴り残ってた一匹を蹴り殺したものの、左腕がなくなったのですごい動揺した。なぜか痛みはほとんどないのにとても熱を持つ切断口。やべぇ片腕になるとか今度こそ処分される、と考えているとなんと左腕が再生してきたのだ。まるで肉が盛り上がるみたいに膨れるとそのまま形成されていく左腕。正直きもかった。なんとか隻腕にならずに済んだが、もし本当に俺に感染しているものが予想しているウイルスならこのような特性あっただろうか。似ているもので考え付くものは不死身となったリサ・トレヴァーなのだが…そうすると俺が予想しているウイルスと違うしなぁ。まさか俺の知らないウイルスが投与されたとか?それが一番あり得そうだなぁ…。

 

 あと絶食させられた件は絶対許さん

 

 そんなことを考えているとき、運命の日は訪れる。

 

 突然部屋の電気が落ちた。と思ったら赤いランプが点灯し、無機質な放送が流れる。

 

『研究所内でバイオハザードが発生しました。職員は直ちに避難してください』

 

 脱走の時である。

 

 部屋の外に出てみる。扉は開かなかったのでぶん殴って破壊した。まわりは赤いランプが点滅してるだけで誰もいない。

 

 あちこちから職員たちの悲鳴が聞こえるが、好都合である。この混乱に乗じて逃げさせてもらおう。

 

 少し進むと地図があった。どうやらここは実験生物の管理区域らしい。ありがとうタカハシ、君の教えてくれたこと(英語)はいま役立ってるよ。

 

 地図を見る限り出口は一つ、エレベーターしかないらしい。しかしそんなところに行けば脱走がばれるのは確実。どうしたものか…

 

「見つけたぞ、GT-001」

 

 急いで声のほうに振り向くとそこにはいつも実験の時偉そうにしていた研究員の男がいた。

 

「まさか脱走するとはな。小賢しい知恵をつけたものだ」

 

「…そういうあなたはいつもこちらを鏡越しにみてた人ではないですか。まるで変態ですね」

 

「思いあがるなよ怪物。誰に口をきいている。貴様を作ってやったのは誰か忘れたか?」

 

「少なくともあなたではないことは確実です」

 

「ち、だからさっさとこいつに命令プログラムを植え付けろと…まあいい。おふざけはここまでだ。命令だGT-001、俺を出口まで守れ」

 

「いやだと言ったら?」

 

「そうしたらこれを押すまでだ」

 

 そういって奴がこちらに見せてきたのはなにかのスイッチのようなもの。

 

「お前の中には爆弾が仕込んである。もしお前が逆らうならこのスイッチを押す。これでわかったか?わかったならさっさ俺を出口に…」

 

「ああ、それですか。でしたら、ほら」

 

 そういって俺はこいつにあるものを見せつける。それは

 

「ばかな…なぜだ…いつ、いつどうやって!それをとりだしたぁ!」

 

 体内に埋め込まれたという小型の爆弾である。

 

 

 

 

 

 実は体内に爆弾があることなんて割と最初のほうに気づいていた。だってアンブレラが実験中のB.O.W.になんの安全策も施してないって考えられないし、それに明らかに体の中に何か異物がある感覚はしてたのだ。まあその時はどうしようもなかったので放置していたが。

 

 そしてここでキーとなるのが俺が感染していると考えるウイルス、Gウイルスである。なぜそう思うのか。理由は簡単左腕が再生した少し後、一度左腕に大きな目玉が浮き出たのである。もちろんびっくりしたとも、いきなりG生物にしかみえないものが左腕にいきなり浮かび上がったから。

 

 そしてこのときいいことを思いついた。体内にある爆弾G細胞と一緒に排出すればいいじゃんと。

 

 たしかG幼生体はG生体が吐き出していたはず。ならGウイルスに感染している俺もできるはず!いま考えるととんでも理論である。

 

 

 

 いけました。

 

 完全に見た目少女がしていい絵面じゃなかったけど成功したからよし!幼生体として分離させたところも再生したみたいだし、あとはこいつをばれないよう背中に張り付けて完了!

 

 その後慌てた様子のタカハシが入ってきてさっき起きたことを聞かれたりしたが、さっきの奴は体内に戻っていった、自分でもよくわからないというと渋々戻っていった。その後はうまくごまかしてなんとかなった次第である。

 

 

 

 

 とまあこんな経緯もあり、体内の爆弾なんてとっくのとうに摘出済みである。

 

「残念ながら爆弾なんてとっくに気づいていたので取り出させてもらいましたよ」

 

 そういいつつ研究員の男に対し爆弾を投げつける。

 

「うおぉぉ!?」

 

 あわてて相手がキャッチしているのに対し、気にせず背中を向けさっさと出口に向かう

 

「ま、まて!」

 

「待ちませんよ。さっさとここから出たいので」

 

 そういって歩き続けるが突然背中に衝撃。そして鳴り響く大きな音。銃声である。一回立ち止まり振り向く。

 

「…申し訳ないですが効きませんよ。そんなことあなたも知っていますよね?」

 

 実験と称して銃で撃たれるなんてすでに経験済みである。そしてそれが大して効かず、痛いというわけではないこともわかっている。

 

「おまえが!おまえがいなければこんなところには!」

 

 しかし聞こえているのかいないのか、かまわず撃ってくる。

 

「八つ当たりかよ…」

 

 しかし12発ほど撃たれたところで銃声がやんだ。

 

「やっと弾切れですか」

 

 カチン、カチンともう装填されていないのにまだ撃とうとする男に背を向けまた歩き出す。

 

「ま、まだだ!まだおわって「ああそうそう」!?」

 

 その哀れな男(・・・・)に対し、一つだけ教えてやる。

 

「後ろに一杯お客さんがいますよ?」

 

 そして男がゆっくりと振り向くと

 

『あ”ぁ”ー…あ”-』

 

 といいすぐそこまで迫るゾンビの大群

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 今はバイオハザード中である。そんな中大きな銃声を十回以上も立てればゾンビも集まってくるだろう。

 

「た、たすけて!たすけてくれ!たのむ!」

 

 そんなことを言われるが

 

「いやです」

 

 そういうと俺はその廊下を歩き去る。後ろから聞こえる男の悲鳴がいやに耳に残った。

 

 

 出口を目指すと途中である部屋に寄る。

 

「お、あったあった」

 

 立ち寄った部屋はハンターとよく擬似バトルロワイヤルさせられた部屋。何故ここによったのかというと―――

 

「こいつあると便利だからな。遠慮なく貰っていこう」

 

 俺専用に支給された黒いコートである。こいつはどうやら量産型タイラントが身にまとってる拘束具兼防弾対爆服と同じものらしく、形こそ少女の俺用に合わせてあるものの、元の服とほぼ変わらぬ性能を誇るのだ。

 

「…なんか痴女みたいだけど、いっか」

 

 ただし見た目はチラリと見える患者服の上にコートを着た裸足の女の子である。

 

 

 

 

 

用事は全て済ませたので出口へ向かう。しかし、途中で声をかけられた。

 

「アリ…シア?」

 

そこには時折赤いランプに照らされ、血に濡れた白衣を着たタカハシがいた。

 

「アリシア…そう…外に出られたのね…」

 

「…ええ、あの扉もっと強固にしておいたほうがいいですよ」

 

 

 

 

 

アリシア。それはタカハシがいつもの英語を教えてくれているときにつけてくれた名前。

 

『あなたはもしかしたら将来は人のように生活できるかもしれないでしょ?そのときGT-001っていうのが名前だと変なのよ。だから名前今のうちにつけちゃいましょ!』

 

『んー、そうね。……アリシア。そう、アリシアなんてどう?』

 

『気に入ってくれた?よかった!じゃあ、今日から二人だけの時はアリシアね!』

 

 

 

 

 

「どうしたんですか、タカハシ。なぜ、そんなことに」

 

「はは、逃げようとしたら、ドジしちゃった」

 

そう答えるタカハシは防火シャッターに左足を挟まれていた。

 

「やっぱり日ごろの行いかなー、まさかこんなことになるとはねー」

 

タカハシは笑って答える。痛くて、いつゾンビどもが来るかわからなくて、恐ろしいはずなのに。

 

「冗談なんか言ってる場合ですか、少し痛いかもしれませんが我慢してください」

 

タカハシの足を挟んでいたシャッターを無理やりどけるが、左足は完全につぶされてしまっていた。

 

「…私を、助けてくれるの?…ありがと、アリシア」

 

「お礼をいうには早いですよ、早く出口を探しましょう」

 

そういってタカハシを背負い出口へ進む。

 

幸い左足の出血はそこまでひどくなさそうなので出血多量ですぐに死んでしまうことはなさそうだ。

 

近くの実験室に入り部屋をあさる。

 

ない

 

「…本当に、ありがとアリシア」

 

うるさい。まだ早いって言ったばかりだろう。

 

医務室があったので部屋をひっくり返す勢いであさる。

 

ない 

 

「あんなにいっぱい酷いことしちゃったのに、助けてくれるなんて、あなたは本当に優しい娘」

 

タカハシはただ、いろんなことを教えてくれただけだろう。

 

手あたり次第に部屋をあさる。

 

ない

 

「だから、もういいわ」

 

ない

 

ない

 

ない

 

「わかってたの。ここに集められたのは有能なんかじゃない。消されてもアンブレラには気づかれない人間が、集められたって」

 

うそだ

 

「だからね」

 

いやだ

 

「ここには」

 

やめてくれ

 

「ないのよ、ウイルス治療薬は」

 

 

 

 

タカハシをおんぶしたまま地上へのエレベーターに乗る。

 

「あのね、あなたをみてると娘みたいなの」

 

「…こんな、怪物が?」

 

「ううん、あなたは怪物なんかじゃない。だって、あんなにいっぱい笑って、戦うのを嫌がって、ひどいことした私を助けて、悲しんでくれるあなたが、アリシアが怪物なわけないじゃない。もし、私に娘がいたら、あなたみたいにいっぱい笑って泣いて怒って悲しんで、でも最後はやっぱり笑ってくれる、そんな娘がほしかったの」

 

「…私には似合いませんよ」

 

「あら、あなた好きなこと聞くときとっても楽しそうに聞いてるのよ」

 

「それは…気づきませんでした」

 

「だからね、アリシア」

 

エレベーターの扉が開いた。地上についたらしい。

 

「あなたは笑ってたほうが素敵よ?そんなぐちゃぐちゃだと綺麗な顔が台無しなんだから」

 

怪物は、泣けるらしい。

 

エレベーターから降りてコンビニに偽装された入口から外に出る。こっちの世界で初めて見る外は、地平線に夕焼けがひろがっていた。

 

「アリシア、あなたはこれからしばらくひとりで生きていかないとなの」

 

「いやです!タカハシも一緒に…」

 

「駄目よ、あなたもわかるでしょ。わたしはここまで。だからね、あなたに、最後のプレゼント」

 

そういうとタカハシは俺に小さな鞄を渡してきた。

 

「その中には私のパスポートとか、お金とか、人として生きていくのに必要なものが入っているわ。使い方は前にお話したから分かるわよね?」

 

「…はい」

 

「うん、いい子!」

 

そういってタカハシは朗らかにわらう。

 

「なんで…なんでそんな平気そうなんですか。もう…死んじゃうかもしれないのに」

 

「…あのね、アリシア。もし、もしよかったらなんだけど、あなたもタカハシって、名乗らない?」

 

「それって…」

 

「アリシアだけだと名字がなくて変でしょ?だからもしよかったら…」

 

「わかり…ました。タカハシ。いえ…サラ(・・)

 

「よかった!うれしいわアリシア!」

 

話しているうちに日は沈んでいく。

 

「ああ、安心したら眠くなってきちゃった」

 

「だ、ダメですタカハ…サラ!まだぜんぜん…!」

 

「アリシア、もういいの。もう終わりよ。ありがとう、アリシア。あなたのおかげであそこで一人寂しく死んでいかなくてすんだわ。だからね、アリシア。さよならよ」

 

そういってサラは微笑む。

 

「大丈夫、あなたなら一人でも大丈夫よ…」

 

「…わかりました、サラ。ですがさよならではありません。おやすみなさいです。また、会いましょう」

 

「あら…ええ…そうね…アリシア…おやすみ…な…さ…」

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

ぐしゃり

 

 

 

怪物が初めて殺した人は、親のような人だった

 

 

 

 

 

その夜は、まるで誰かの心を表すような土砂降りの雨だったという

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




補足メモ:主人公はレオン大好き。
バイオre:2の存在を知らない

レオン、アリシアが進んでいく上でゲーム内の謎解きを

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