バイオハザード~G.T.計画~   作:ユリおじ

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感想、評価、誤字報告ありがとうございます。いつの間にか日刊1位に載っていました。皆様のおかげです。期待に応えられるよう頑張っていきます。




出会い

 雨の降る道を一人歩く。

 

 ライトも何も持っていない暗い夜道だが、強化された視力のおかげか問題なく前方は見える。先ほどラクーンシティの看板が見えたので道はあっているはずだ。

 

 雨の降る道を一人歩く。

 

 先は見えないがただ進む。示すものはないがきっと道は合っていると信じて。

 

 あのコンビニからどれほど歩いただろうか。それなりに進んだはずだが。

 

 あの事からどれほど進めただろうか。ずっと止まっていた気がする。

 

 怪物は一人歩く。その先に何かあるはずという思いを胸に、もらったものを大事に抱えて。

 

 

 

 

 

 すると、突然後ろから光がせまってきた。エンジン音がするので車だろうか。少し脇にそれる。しかし、通り過ぎると思っていた車は自分の横に止まる。

 

 どうやら警察らしい。

 

「おい、どうしたんだ。子供がこんな夜中に傘もささず歩いてるなんて。しかも裸足じゃないか!」

 

 中から警官に声をかけられる。

 

「…いえ、実はラクーンシティを目指していたんですが少々事故にあってしまって。それで歩いていました」

 

 あらかじめ用意していた嘘がすらすらと出てくる。

 

「事故?それはかわいそうに…ほら、乗りな!ラクーンシティはここから数十キロは先だぞ。乗せてってやる」

 

「…そうですか、ではお言葉に甘えて」

 

 そういって車に乗せてもらう。後部座席に乗り込むと車が発進する。

 

「災難だったな、事故にあうなんて。親御さんは?」

 

「親は…その、最近亡くなりまして。ラクーンシティの親戚を尋ねに行こうと」

 

「ああ…そいつは悪いことを聞いたな。すまん。俺はデイビット。お嬢ちゃんは?」

 

「私は………わたしは、アリシア。アリシア・タカハシです」

 

「アリシアか。よろしくな。しかしタカハシか。親は日本人か?」

 

「ええ…そうです。…詳しいんですね?」

 

「いやぁ、あの大企業アンブレラのお膝下だからな。日本人もいっぱいくるから少しならわかるぜ!といっても俺はラクーンシティに住んでるわけじゃないんだがな」

 

 アンブレラ。その名前に反応しそうになる。

 

「しかしお嬢ちゃん、綺麗な金髪に()()だな。日本人はたしか黒髪黒目だろ?もう片っぽの親の血が強く出たんだな」

 

 青眼。そう、いまの俺は赤目ではない。サラからもらったバッグに入っていたカラーコンタクトをつかった。…まったく、人として生きるのに充分なものが入っているといってたが、用意が良すぎだろ…サラ。

 

「お、ガソリンスタンドがある。幸い店も開いてるらしい。お嬢ちゃん、ずっと歩いてたんじゃ腹減ったろ?今なんか買ってきてやろう。少し待っててくれ」

 

「いえ、そんな…悪いですよ」

 

「気にすんな気にすんな!困っている人を助けるのはお巡りさんの役目だからな!」

 

 そういうとデイビットは車をおり、鍵を閉めると店の中に入っていった。

 

「…いい人、ですね」

 

 そう、いい人である。…サラのように。

 

「!いけないいけない…それより、いまどこらへんなんだろう…ここはまだラクーンシティに入ってないみたいだし…というかよくよく考えるとこの車にR.P.Dって書いてなかったから別の町の管轄くらい遠かったんだよね…それにラクーンシティに行くって言ってもなにも言われなかったし、まだ町の封鎖が起きてないのかな…となるとまだ時系列的には3くらい?日付聞いとけばよかった…」

 

 だがそんなことを言っていると、急に慌てた様子の警官が戻ってきた。

 

「本部!本部!応答願う!こちら…くそっ!繋がらない!こんな時に!」

 

 どうやら何か起きたらしい。

 

「お嬢ちゃん、事件発生だ。いまから俺は店のなかで犯罪者を相手する。だが万が一もあり得る。扉を開けておくから、もし俺以外のやつが来たらすぐ逃げるんだ。いいな?」

 

 そういうと警官はまた店の中へ戻っていった。

 

「事件…ガソリンスタンド…いや、違う。あれはラクーンシティの中で起きてたはず。こことは別物、か…」

 

 そうして車の中で横になる。正直犯罪者といっても()()()()。重火器でも持ってれば別だがそんなもの持ってる犯罪者はこんな辺鄙な場所のガソリンスタンドにはいないだろう。

 

「ああ…どうせバイオの世界ならレオンにあってみたいなぁ…」

 

 そんなことを口にしながら眠りにつく。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 なにやら外が騒々しい。なんか人がいっぱい集まってきたような…。

 

 そして車に振動。急に動き出す車。当然驚く俺。

 

「!?!?!?」

 

 まさか犯罪者がのっとってきた!?パトカージャックとか凄いな!?

 

 とか考えつつ、恐る恐る運転席をのぞき込むと

 

「うそん…」

 

 夢にまで願ったレオン、そして赤い服が特徴のクレアがいた。

 

 

 

 

 出る機会を逃し、寝転がったまま前の二人を観察する。

 

(なんで!?なんでここにレオンとクレアが!?え、だってあそこラクーンシティじゃないよね!?この二人のイベントラクーンシティのガソスタだよね!?)

 

 なかなかに脳内がパニックになっているが

 

(え、てかリアルのレオン超イケメン!なんで彼女に振られたの!)

 

 とても残念な奴である。

 

(ま、まて。もしかしたらここはオペレーションラクーンシティかもしれない。あれならワンチャンある。あれ、でも待てよ。後部座席に俺がいるってことはゾンビが後部座席からドーンイベはなくなってる…つまりダークサイドクロニクルズ?あれなら二人一緒に行動してたし…)

 

 そんなことを考えていると

 

「で、後ろのお嬢ちゃんはどちら様だ?」

 

「えっ!?いつの間にいたの?」

 

(ぴっ!)

 

 どうやらレオンにはバレていたらしい。寝転がっていた体勢からゆっくりと起き上がる。

 

「は、はじめまして…」

 

「ずっとこの車に乗っていたのか?さては家出か?」

 

 どうも捕まった非行少女と思われているらしい。

 

「い、いえ。実はとある事情でラクーンシティの親戚の家に行こうとしてたんですが事故にあってしまいまして、道を歩いてたら警官のデイビットさん…先ほどのスタンドのお店の中に入っていった警官さんに乗せてもらえました」

 

「そうか…そいつは災難だったな。俺はレオン。レオン・ケネディ、警官だ。といっても、ずっと待機命令が出ていて今日赴任してきたばかりの新米だがな」

 

(知ってます!超知ってます!昨日彼女に振られてヤケ酒したせいでこの時間にいることも知ってます!だがそれを待機命令ってごまかすレオンもイイ!)

 

「私はクレア。クレア・レッドフィールド。兄を探しにラクーンシティを目指していたの」

 

(おお!生クレア美人!超美人!いい体してまs「ところで君の名前は?」…はっ!)

 

 危険な思考に陥りかけていたら名前を聞かれた。

 

「おr…いえ、私はアリシア。アリシア・タカハシです。よろしくお願いします」

 

「アリシアか。よろしくな」

 

(レオンに名前呼ばれた!)

 

 重症である。手の施しようがない。

 

「と、所でデイビットさん…中にいた警官さんは?」

 

「彼は…亡くなった。殉職だ。」

 

「そうですか…」

 

 いい人は死んでしまう…サラのように。

 

「…ねぇ、アリシア。あなたスタンドにいたときの外にいた連中は知ってる?」

 

「…外にいた連中?」

 

 あの時は寝ていたせいでわからないが、一つ思い当たるものはあった。クレアの言い方から察するに、ゾンビどものことだろう。

 

「いえ…すいません。実はスタンドについてからさっきまで寝ていたもので」

 

「そう…、知らないならいいの。ごめんね、変なこと聞いちゃって」

 

「なあ、アリシア。君はラクーンシティで何か変なことが起こっているとか聞いてたりしないか?なにか、事件が多いとか」

 

 レオンにそう聞かれる。ここでしらないと答えるのは簡単だ。しかし、俺には原作知識と言うものがある!

 

「そうですね…そういえば何やら妙な噂が…」

 

「妙な噂?」

 

「はい。なんでも死んだ人が蘇り、生きている人を食べてしまうんだとか。でも、都市伝説みたいなものらしいですけど」

 

「死人が蘇る…」

 

「人を襲う…」

 

 なにやら二人が考えているが、やはり先ほどゾンビどもに襲われたのだろう。ゾンビどもはさっき言った事とあてはまるからな。

 

 するといつの間にかラクーン市街に入っていたらしく、なにやら放送が聞こえる。

 

『市民の皆さん、大規模な暴動が……』

 

 やはり、すでにラクーンシティはバイオハザードが発生しているらしい。

 

 車が止まる。どうやら道が封鎖されているようだ。

 

「ここから先は歩きだな。アリシア、大丈夫か?」

 

「走るの間違いじゃなくて?」

 

 窓の外を覗いていたクレアがそれに答える。

 

 だが、俺にはその会話はまったく耳に入っていなかった。

 

 なぜなら、後方から嫌な音が聞こえてきていたから。

 

(たしか、どのシリーズを通してもパトカーでラクーンシティについた後は…)

 

 ギギギ、と壊れかけのおもちゃのように後ろを向く。

 

「くそ!開かない!アリシア!こっちにくるん……おいおい、嘘だろ」

 

 ゾンビの群れからアリシアを抱えて逃げようとしたレオンが呟く。

 

 暴走したタンクローリーがこちらに向かってきていた。

 

「何とかして外に出ろ!」

 

「開かない!」

 

 ドアに体当たりする二人だが周りをゾンビに囲まれてしまいドアは開かない。

 

(どうする、どうする!?このままだとみんなペちゃんこに…いや二人は助かりそうだけど。…でもやっぱさすがに俺もアレの突進は無理!)

 

 そしてもう間に合わないと感じたのか

 

「何かにつかまれ!」

 

 レオンはそういうと、アリシアを無理やり自分のほうに抱き寄せる。

 

 だが肝心のアリシア(ぽんこつ)

 

(キュー…)

 

 憧れの人に抱きしめられたことによるキャパオーバーでフリーズしていた。

 

 そうして少し横にそれたタンクローリーが車にぶつかる。大きな衝撃が来るがレオンはアリシアのためにハンドルと座席を使いつっかえ棒のようになる。

 

 そのまま衝撃で押し出されたことにより、車が前に大きく進む。そうして周りにゾンビがいなくなったことで何とか外に出ることができた。レオンはアリシアを抱っこし、ふらふらと歩く。クレアの姿は見えない。反対側だろうか。

 

 しかし、ここで最悪なものが目に入る。

 

「おいおい、冗談きついぜ」

 

 車からガソリンが漏れていた。咄嗟に反転し逃げようとするがここでガソリンに火花が引火し大爆発が起きた。衝撃で吹き飛ばされ車に背中から叩きつけられるが、何とかアリシアには傷を負わせることなく守り切った。

 

「レ、レオン!なんで私なんかを…」

 

 そしてやっとフリーズから復帰するアリシア。

 

「なに、気にするな。問題ない」

 

 そういうと、少し痛めたのか脇腹を押さえつつ立ち上がるレオン。

 

「あんな勢いで叩き付けられたのに問題ない訳ないでしょう。ごめんなさいレオン、私がもっとしっかりしていれば…」

 

 後悔先に立たず

 

 アリシアは憧れの人に怪我をさせてしまい、へこんでいた。

 

「なに、問題ないって言っただろ。俺は大丈夫だ。安心しろ」

 

 そういってアリシアの頭をなでるレオン。流石イケメン

 

 そして

 

「おーい!クレア!無事か!おーい!」

 

「レオン!私は無事よ!アリシアは平気ー!?」

 

「ああ!二人そろって無事だ!」

 

 クレアが無事だということも確認できた。

 

 だが少しまずいことにゾンビどもが集まりだしてきた。

 

「レオン、周りに…」

 

「ああ、わかってる…。クレア!ここは危険だ!警察署で落ち合おう!」

 

「わかったわ!二人とも警察署で落ち合いましょ!」

 

 そういうと、クレアは去っていったようだ。

 

「よし、俺たちも警察署に向かおう。アリシア、絶対はぐれるんじゃないぞ」

 

 そういって俺の手を強く握るレオン。

 

「ええ、しっかりついていくわ」

 

 そうして二人は警察署へと走り出す。

 

(サラ、見ていてくれ。必ず研究を残らず処分して、君の望んでくれた普通の生活を手に入れる)

 

 

 

 

 

 

 物語は動き出した。本来いない異物が混ざりつつも、ラクーンシティ(地獄)は生存者たちを迎え入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




補足メモ:後半で作者のギャグ衝動が抑えられなかった。
     レオンは変わった子供だなと思っている

レオン、アリシアが進んでいく上でゲーム内の謎解きを

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