バイオハザード~G.T.計画~   作:ユリおじ

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一応見たい人がいるので置いておきます。後この世界線ではダニエルはお休みです。この話は後で1番先頭か4話の後に場所を変えます。


没版 出会い(アリシアシリアスモード)

 雨の降る道を一人歩く。

 

 ライトも何も持っていない暗い夜道だが、強化された視力のおかげか問題なく前方は見える。先ほどラクーンシティーの看板が見えたので道は合っているはずだ。

 

 雨の降る道を一人歩く。

 

 先は見えないがただ進む。示すものはないがきっと道は合っていると信じて。

 

 あのコンビニからどれほど歩いただろうか。それなりに進んだはずだが。

 

 あの事からどれほど進めただろうか。ずっと止まっていた気がする。

 

 怪物は一人歩く。その先に何かあるはずという思いを胸に、もらったものを大事に抱えて。

 

 

 

 

 

 すると、突然後ろから光がせまってきた。エンジン音がするので車だろうか。少し脇にそれる。しかし、通り過ぎると思っていた車は自分の横に止まる。

 

 どうやら警察らしい。

 

「おい、どうしたんだ。子供がこんな夜中に傘もささず歩いてるなんて。しかも裸足じゃないか!」

 

 中から警官に声をかけられる。

 

「…いえ、実はラクーンシティーを目指していたんですが少々事故にあってしまって。それで歩いていました」

 

 あらかじめ用意していた嘘がすらすらと出てくる。

 

「事故?それはかわいそうに…ほら、乗りな!ラクーンシティーはここから数十キロは先だぞ。乗せてってやる」

 

「…そうですか、ではお言葉に甘えて」

 

 そう言って車に乗せてもらう。後部座席に乗り込むと車が発進する。

 

「災難だったな、事故にあうなんて。親御さんは?」

 

「親は…その、最近亡くなりまして。ラクーンシティーの親戚を訪ねに行こうと」

 

「ああ…そいつは悪いことを聞いたな。すまん。俺はデイビット。お嬢ちゃんは?」

 

「私は………わたしは、アリシア。アリシア・タカハシです」

 

「アリシアか。よろしくな。しかしタカハシか。親は日本人か?」

 

「ええ…そうです。…詳しいんですね?」

 

「いやぁ、あの大企業アンブレラのお膝下だからな。日本人もいっぱいくるから少しならわかるぜ!といっても俺はラクーンシティーに住んでるわけじゃないんだがな」

 

 アンブレラ。その名前に反応しそうになる。

 

「しかしお嬢ちゃん、綺麗な金髪に青眼(・・)だな。日本人はたしか黒髪黒目だろ?もう片っぽの親の血が強く出たんだな」

 

 青眼。そう、いまの俺は赤目ではない。サラからもらったバッグに入っていたカラーコンタクトをつかった。…まったく、人として生きるのに充分なものが入っていると言ってたが、用意が良すぎだろ…サラ。

 

「お、ガソリンスタンドがある。幸い店も開いてるらしい。お嬢ちゃん、ずっと歩いてたんじゃ腹減ったろ?今なんか買ってきてやろう。少し待っててくれ」

 

「いえ、そんな…悪いですよ」

 

「気にすんな気にすんな!困っている人を助けるのはお巡りさんの役目だからな!」

 

 そう言うとデイビットは車をおり、鍵を閉めると店の中に入っていった。

 

「…いい人、ですね」

 

 そう、いい人である。…サラのように。

 

「いけない…それより、いまどこらへんなんだろう…ここはまだラクーンシティーに入ってないみたいだし…というかよくよく考えるとこの車にR.P.Dって書いてなかったから別の町の管轄くらい遠かったんだよね…それにラクーンシティーに行くって言ってもなにも言われなかったし、まだ町の封鎖が起きてないのかな…となるとまだ時系列的には3くらい?日付聞いとけばよかった…」

 

 だがそんなことを言っていると、急に慌てた様子の警官が戻ってきた。

 

「本部!本部!応答願う!こちら…くそっ!繋がらない!こんな時に!」

 

 どうやら何か起きたらしい。

 

「お嬢ちゃん、事件発生だ。いまから俺は店の中で犯罪者を相手する。だが万が一もあり得る。扉を開けておくから、もし俺以外のやつが来たらすぐ逃げるんだ。いいな?」

 

 そう言うと警官はまた店の中へ戻っていった。

 

「事件…ガソリンスタンド…いや、違う。あれはラクーンシティーの中で起きてたはず。こことは別物、か…」

 

 そうして車の中で横になる。正直犯罪者といっても()()()()。重火器でも持ってれば別だがそんなもの持ってる犯罪者はこんな辺鄙な場所のガソリンスタンドにはいないだろう。

 

 -シリアスフィルターON-

 

「サラ…どうしていなくなってしまったの…」

 

 そんなことを口にしながら眠りにつく。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 なにやら外が騒々しい。なんか人がいっぱい集まってきたような…。

 

 そして車に振動。急に動き出す車。当然驚く俺。

 

「!?」

 

 まさか犯罪者がのっとってきた?だけどそれにしては様子がおかしいぞ?

 

 と考えつつ、恐る恐る運転席をのぞき込むと

 

「なんでいるの…」

 

 レオン、そして赤い服が特徴のクレアがいた。

 

 後ろの席に隠れたまま考える。

 

(不味い。どうする、なぜここにレオンとクレアが…この二人が出会うのはラクーンシティーのはず、遭遇するはずがない)

 

 アリシアは考える、なぜここにレオン達がいるのか。そしてもう一つ、()()()()()()()()()()()()

 

(この車はデイビットが乗ってきたのにデイビットは帰ってこなかった…恐らくもう…。俺が関わると皆死んでしまう。レオンたちが死ぬなんて許せない。それは駄目だ。それにレオン達といたら最悪エンディングの後合衆国に捕まる。そうなったらサラとの約束を守れない。なんとかして逃げ出さないと)

 

 しかし、神というものは逃がしてくれるつもりはないらしい。

 

「それで、後ろのお嬢ちゃんは一体誰なんだ?」

 

「えっ、いつの間に?」

 

 レオンには見つかっていたようだ。

 

(くそっ…何とかしてごまかさないと)

 

「はじめまして…」

 

「ずっとこの車に乗っていたのか?さては家出か?」

 

 どうやら捕まった非行少女と思われているようだ。だが好都合である。

 

「いえ。実はとある事情でラクーンシティーの親戚の家に行こうとしてたんですが事故にあってしまいまして、道を歩いてたら警官のデイビットさん…先ほどのスタンドのお店の中に入っていった警官さんに乗せてもらえました」

 

「そうか…そいつは災難だったな。俺はレオン。レオン・ケネディ、警官だ。といっても、ずっと待機命令が出ていて今日赴任してきたばかりの新米だがな」

 

(ああ…知ってるとも…。将来女性に振り回されるつづけることも。だが今は勘弁してくれ)

 

「私はクレア。クレア・レッドフィールド。兄を探しにラクーンシティーを目指していたの」

 

(クレア…彼女は問題ないがクリスが不味い。最悪俺を殺そうと追われ続ける羽目になる)

 

 アリシアは冷静に二人を分析する。

 

「ところで君の名前は?」

 

「私はアリシア。アリシア・タカハシです。よろしくお願いします」

 

「アリシアか。よろしくな」

 

(ああ…できれば短い間でよろしく)

 

「…ねぇ、アリシア。あなたスタンドにいたときの外にいた連中は知ってる?」

 

「…外にいた連中?」

 

 あの時は寝ていたせいでわからないが、一つ思い当たるものはあった。クレアの言い方から察するに、ゾンビどものことだろう。

 

「いえ…すいません。実はスタンドについてからさっきまで寝ていたもので」

 

「そう…、知らないならいいの。ごめんね、変なこと聞いちゃって」

 

「なあ、アリシア。君はラクーンシティーで何か変なことが起こっているとか聞いてたりしないか?なにか、事件が多いとか」

 

 恐らく先ほど出会ったゾンビどもについて聞きたいのだろう。まあ少しの情報提供くらいはいいだろう。

 

「そうですね…そういえば何やら妙な噂が…」

 

「妙な噂?」

 

「はい。なんでも死んだ人が蘇り、生きている人を食べてしまうんだとか。でも、都市伝説みたいなものらしいですけど」

 

「死人が蘇る…」

 

「人を襲う…」

 

 これで先ほどのガソスタのことと繋げられるだろう。

 

 するといつの間にかラクーン市街に入っていたらしく、なにやら放送が聞こえる。

 

『市民の皆さん、大規模な暴動が……』

 

 やはり、すでにラクーンシティーはバイオハザードが発生しているらしい。

 

 車が止まる。どうやら道が封鎖されているようだ。

 

「ここから先は歩きだな。アリシア、大丈夫か?」

 

「走るの間違いじゃなくて?」

 

 窓の外を覗いていたクレアがそれに答える。

 

 チャンスだ。ここで逃げ出そう。二人はゾンビがいて扉が開かないらしい。よし、扉をぶち破って逃げよう。いまならばれたところで問題はない。

 

 しかし運命はとことんアリシアを逃がす気がないらしい。

 

 アリシアが逃げようとしたとき、後ろからタンクローリーが迫ってきたのだ。

 

(くそ!このタイミングかよ!)

 

 流石にここで変に逃げると最悪爆発に巻き込まれる、どうしたものか。

 

「何とかして外に出ろ!」

 

「開かない!」

 

 ドアに体当たりする二人だが周りをゾンビに囲まれてしまいドアは開かない。

 

 そしてもう間に合わないと感じたのか

 

「何かにつかまれ!」

 

 レオンはそう言うと、アリシアを無理やり自分のほうに抱き寄せる。

 

 アリシアは内心動揺する。このまま捕まっていたら不味い。本当に逃げられなくなると。

 

 だがそのまま少し横にそれたタンクローリーが車にぶつかる。大きな衝撃が来るがレオンはアリシアのためにハンドルと座席を使いつっかえ棒のようになる。

 

 そのまま衝撃で押し出されたことにより、車が前に大きく進む。そうして周りにゾンビがいなくなったことで何とか外に出ることができた。レオンはアリシアを抱き上げ、ふらふらと歩く。クレアの姿は見えない。反対側だろうか。

 

 しかし、ここで最悪なものが目に入る。

 

「おいおい、冗談きついぜ」

 

 車からガソリンが漏れていた。咄嗟に反転し逃げようとするがここでガソリンに火花が引火し大爆発が起きた。衝撃で吹き飛ばされ車に背中から叩きつけられるが、何とかアリシアには傷を負わせることなく守り切った。

 

「レオン!大丈夫!?」

 

 流石にアリシアもこれには不安になりレオンに声をかける。

 

「なに、気にするな。問題ない」

 

 そう言うと、少し痛めたのか脇腹を抑えつつ立ち上がるレオン。

 

「あんな勢いで叩き付けられたのに問題ない訳ないでしょう!」

 

 アリシアは思い出してしまった。サラの最期を。死んでいってしまった大切な人を。もしかしたらレオンも死んでしまうかもしれないという不安がアリシアを襲う。

 

 「なに、問題ないって言っただろ。俺は大丈夫だ。安心しろ」

 

 そう言ってアリシアの頭をなでるレオン。不思議と不快感はなかった。

 

 そして

 

「おーい!クレア!無事か!おーい!」

 

「レオン!私は無事よ!アリシアは平気ー!?」

 

「ああ!二人そろって無事だ!」

 

 クレアが無事だということも確認できた。

 

 だが少しまずいことにゾンビどもが集まりだしてきた。

 

「レオン、周りに…」

 

「ああ、わかってる…。クレア!ここは危険だ!警察署で落ち合おう!」

 

「わかったわ!二人とも警察署で落ち合いましょ!」

 

 そう言うと、クレアは去っていったようだ。

 

「よし、俺たちも警察署に向かおう。アリシア、絶対はぐれるんじゃないぞ」

 

 そう言って俺の手を強く握るレオン。

 

 だがここで大人しくついていくわけにはいかない。

 

「いえ、私は親戚の家を目指します。心配だから会いに行かないと」

 

 そうやって嘘を言うが

 

「アリシア、たしかに君の親戚が心配なのはわかる。だが周りは襲ってくる死者だらけだ。そんなところに君を一人では行かせられない。わかってくれ。警官としても、一人の大人としても、君を守りたいんだ」

 

 そう言ってアリシアの瞳を覗き込むレオン。

 

「分かってくれ」

 

「…ええ、わかりました」

 

 そう返すと苦い顔をして手を弱々しく握り返すアリシア。

 

 そうして二人は警察署へと走り出す。

 

(サラ、見ていてくれ。必ず研究を残らず処分して、一人でここを脱出して、君の望んでくれた普通の生活を手に入れる)

 

 物語は動き出した。本来いない異物が混ざりつつも、ラクーンシティーは生存者たちを迎え入れる。




補足メモ:アリシアはここでは1人での脱出を重きに置いている。

あくまで没案なので5話には続いていません。作者はこんな風な没案よく量産するので反応次第で投稿するかもしれません。4話が流石に不評だったって事情もありますが。

レオン、アリシアが進んでいく上でゲーム内の謎解きを

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