「んっ……、……ぅん?」
朝起きると、目の前は見知らぬ天井だった。
僕の部屋とは違う、白いLEDのついたこれまた白の綺麗な天井。
……そういえば、今日からお姉ちゃんの家に引っ越したんだっけ。
時計を見ると、時刻は朝の六時。
昨日は疲れて、お風呂にも入らずに寝てしまったみたいだ。
疲れていたから、起こさないでいてくれたお姉ちゃんには感謝しないとね。
と、頭を上げたその時だった。
「は、はぁっ!?」
僕は、素っ頓狂な断末魔を上げた。
理由なんて、一言で説明がつく。
……僕は、服を着ていなかったんだ。
辺りを見回して、僕がお姉ちゃんのベッドで寝かされていたことを知る。
お姉ちゃんのベッドで、生まれたままの姿の僕。
これはまずい、何があったとキョロキョロすると……なんと、同じベッドでお姉ちゃんが寝ているではないか。
「ちょっと! お姉ちゃんっ!」
僕は、目をばってんにしてお姉ちゃんが被っている布団をひっぺがす。
すると、そこには…………ふわっふわな身体を隠しもしない、お姉ちゃんの姿があった。
「……んっ……ん〜……、てつぅ?」
「てつぅ? じゃないよ! なにこれ、事後なの? ねぇ事後なの!?」
「えへへ〜、さてね。てつはどっちだと思う〜?」
「してないよ! してないと思いたいよ!」
「ふふ、教えな〜い」
「なんで! さすがにしてないよね!」
「ペットに教えるわけないじゃ〜ん」
朝から、お姉ちゃんはからかってくる。
後から聞いたら、僕が寝ちゃったから起こさないように洗濯物を洗っておいてくれたらしい。
本当、こういうところがお姉ちゃんは魅力的だ。
「でも、お姉ちゃんはなんで僕をペットにしようとなんて思ったの?」
目下最大の疑問を口にする。
「んー。だって、てつって犬っぽくない?」
「い、犬っぽい?」
「だって名前も神楽坂虎徹って、犬っぽい名前だし。昔からわたしが行くところ行くところ尻尾振って着いてきてたじゃん!」
うっ……確かに名前は自分でも犬っぽいと思ってたけど!
「だからほら、わんちゃんみたいに吠えてみてよ。ほら」
「…………がるるる」
「もっとかわいく♡」
「…………くぅぅん」
「そうそうよく出来ました〜」
僕が言われた通りにすると、お姉ちゃんが頭を撫でてくれる。
僕は二日目にして既に、若干この主従のシステムに慣れ始めてしまっていた。
っていうかなにこれ、あれなの?
実はすごく理にかなってる考えかただったりしない?
お姉ちゃんは僕に命令して愉しいし、僕はお姉ちゃんに褒められて嬉しい。
全国の姉弟はみんなこれをやるべきだってくらいに理にかなってる気がする。
「じゃあ、お姉ちゃんもうちょっと寝るね!」
「……えっ」
そう言うと、お姉ちゃんはまた布団にくるまってかわいい寝息をたて始めた。
「すぅ……すぅ……」
「まったく、お姉ちゃんは……」
「すぅ……すぅ……ちらっ」
待って、今見えちゃったんだけど。
お姉ちゃん寝たふりして僕のことちらちら見てる!
なに、これはどういうことなの!
「……ちらっ……ちらっ」
ねぇすごい見てくる!
お姉ちゃんは僕にどうして欲しいの!
「……ちらっ……ねぇてつ!」
「うわっ、びっくりした!」
僕がお姉ちゃんの意図を図りかねてると、お姉ちゃんが急に飛び起きた!
「ねぇ、てつ……」
「な、なに?」
「どうして、裸のお姉ちゃんが隣に寝てるのに襲ってくれないの?」
「え……?」
お姉ちゃん、襲われるの待ってたの……?
お姉ちゃんと、二人暮らしで無防備すぎるなって、思ってたんだよ。
これって、本当に襲ってもいいのかな。
でも、姉弟だし……でもでも、やっぱり裸のお姉ちゃんを前にすると、興奮が抑えられない!
なんて、悩みながらお姉ちゃんの方を再度向く。
すると。
「すぴー、すぴー」
今度は寝たふりじゃなく、本当に寝息を立てて寝ているお姉ちゃんがいた。
……ほんと、お姉ちゃんは勝手なご主人様だ。
続く