あなたの願いは何ですか?   作:くぬぎのき

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なんとなく思いついた設定を少しずつ膨らませながらの投稿。
書くのって難しい!


プロローグ

暗い。寒い。寂しい。

 

とある教会の地下深くにて、一人の少年が幽閉されていた。部屋の四隅にともされたろうそくの炎が唯一の光源だが、しかし少年にはその光は見えなかった。

なぜなら、その少年には目隠しがされていたからだ。いや、目隠しだけでではない。人間大の巨大な十字架に彼は鎖で雁字搦めに縛り付けられて、文字通り指一本自由に動かすことはできなかった。

なぜ彼がこんな目に会っているのか。それは彼の個性が原因だった。

彼の個性は願いの成就。その名の通り、どんな願いでもかなえる個性。

そう、どんな願いでも。

 

 

 

 

 

ある男がいた。その男には難病に苦しむ娘がいた。ベッドの上で日に日に弱っていく娘をただただ見ているしかなかった。妻を早くに失くし、娘まで失いそうになった彼は気が狂いそうだった。

そんなある日、とある噂を聞いた。

 

『どんな願いでも叶えることができる個性があるらしい』

 

普段なら、そんな馬鹿なと一蹴していただろう。そんな都合のいい個性があるわけない。ただの都市伝説だ、と。だが、当時の彼にはそんな余裕などなく、もう藁にも縋る思いでクモの糸のような噂のつながりを手繰り、出所である教会にたどり着いた。そして教会への寄付という形で大金を支払い、娘の死まで秒読みという段階で男はついにその少年に会する権利を得た。

男は願いを叶えるべく、磔にされている少年の白い肌に向かって手を伸し、その頬に触れた。

 

『娘を、娘を助けてくれ。それが俺の願いだ……たの』

 

瞬間、まるでシャボン玉でも弾けるように男が消えた。

男が知らなかった、もう一つの真実がある。確かに、少年に触れればどんな願いでもかなえることができる。彼のように病魔の根絶は無論のこと。大金や肉体の欠損、果ては死者の蘇生に至るまで、いかなる願いでも確実にかつ即座に叶う。

しかし、その成就には代償が必要なのだ。その代償とは『いらない物』。その人にとって、不要だと思うものが強制的に少年のもとへと譲渡される。

男は願った。娘の回復を。心の底から強く強く、それこそ『娘のためなら自分はどうなったってかまわない』と思えるほどに。

ゆえに男は消えた。娘に比べたら男にとって自分は『いらない物』だから。願いを叶える対価として存在そのものが少年へと譲渡され、そして無事に個性は発動し、件の娘は奇跡的な回復を起こす。その体は健康体そのものとして復活した。両親のいない、一人ぼっちで。

 

 

 

 

 

その後も、少年のもとへ訪れる人は後を絶たない。彼の対価のことを知ってか知らずかはわからないが、様々な人が様々な願いをもって彼に触れていった。

これからもきっと彼は願いを叶えるための道具として生き続ける。永遠に暗い暗い地下室で、磔にされながら死に至るその日まで。

 

 

 

 

 

だが、何の前触れもなくその世界は壊された。

 

『もう大丈夫』

 

彼の世界に一筋の光が差した。

 

『僕が来た』

 

突如として現れた、呼吸器のようなマスクをつけた黒スーツの男は少年の拘束をたやすく壊し彼を解放した。そして何が起きたのかわからにといった表情のその少年に、そっと白い手袋に包まれたその手を差し出した。

 

『おいで。君に世界を教えてあげる』

 

世界とは何なのか。目の前の男が誰なのか。少年には何もわからない。わからないけど

 

『僕には君が必要だ』

 

そんなことはどうでもよかった。『願いを叶える』それだけが自分の存在意義であり、そして何より、もう独りは嫌だった。あんな暗くて寒くて寂しい思いはしたくない。

だから、

 

『うん』

 

僕は、その手を取ったんだ。




設定

NAME:(かなえ)
本名は不明。その個性からAFOが名づけた。AFOのことをパパと呼んでいるが当然本当の親子ではなく、叶がそう呼んでいるだけ。

叶's hair
透き通るようなきれいな銀髪。地下に幽閉されていた時はただ伸びるだけだったが今ではショートカットになっている。

叶's face
女の子と見まがわんばかりに愛らしい。いわゆる男の娘。

叶's body
見た目は十歳程度の身長だが、それは地下にいたため成長が遅いからであり実年齢はもう4,5歳上。全体的に華奢であり、face同様に女の子のような体をしており、肌は白磁のように白く美しい。

性格
一言でいえば子供。ただ弔のようなわがままさではなく、純粋さという意味で子供であり、無邪気さゆえの邪悪さを地で行く。そのため、幼子が虫を殺すような気持で人を殺し、一切罪悪感を抱かない。願いを叶えることが自分の存在意義であると考え、ことあるごとに願いを叶えようとする。ただし、AFOに助け出されたことに恩を感じており、基本的に彼の指示に従う。ただAFOに従っているだけなため、別にヒーローを嫌っていたりヴィランになりたいわけではなく、たまたまヴィラン側にいるだけ。

個性:願いの成就
直接触れた対象(自分を除く)の一番の願いを即座に確実に叶える個性。叶える願いに制限はなく、病気やけがの治癒、個性の発現、死者の蘇生、不老不死などどんなものでも叶える。ただし、本能で生きる動物や、思考のない意識のない人などには効果がない。
願いを叶える代わりに、その人にとって『いらない物』が叶に譲渡される。そのため同じ願いであっても、その願いが強ければ強いほどそれ以外の物が相対的に『いらない物』となるため、支払われる代償は変わってくる。
(例えば、腕を失った医者とマラソン選手では腕の価値が変わってくるので、同じ『腕を取り戻したい』という願いであっても医者の方がより大きな代償を支払うことになる)
奪えるものに制限はなく、有形無形関わらずに譲渡される。そのため、腕や足などだけでなく、知識や経験に才能、果ては個性や寿命に至るまでいかなるものでも(指定はできないが)奪うことができる。
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