あなたの願いは何ですか?   作:くぬぎのき

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頭の中でイメージができていても、それを文章化することのなんと難しい事。自分でも呆れるくらいの文才の無さですが、温かい目で見てください(ふかぶか〜
あとコメントとかいただけると嬉しいです。


成就

私は、自分の個性が大っ嫌いだった。

そのきっかけはずっと昔、私が幼稚園に入った時の最初の自己紹介だった。

 

「せんせー、誰もいないよー」

 

それまで、私と関わりあってきたのはほとんどが身内であり、私の個性について気を使っていたのだろう。あえて触れたりすることはなかった。だから私も、自分の個性については特に何も感じなかった。

だが幼稚園に入り、初めて赤の他人と関わったことで、私は自分の個性が多種多様な個性の中でもかなり特殊であることを自覚した。

 

「透ちゃんは見えないから一緒に遊んでもつまんない」

「透は見えないからずるじゃん」

 

誰にも見えない。『顔』という、人との関係を築いていくうえで、一番最初にさらされる情報を例え意図せずとも隠していた私は友人関係というものを築くことができなかった。

そしてそれは、小学生になってさらに加速した。未だ個性という多様さを受け入れられるほど成熟しておらず、かつ『いじめ』という形で異端を排除するすべを覚えた子供たちはその標的を私に向けた。

 

「いない奴の机なんていらないよねー」

 

私の机を外に出し、

 

「先生、プリント一枚余り増したー」

 

当たり前のように私にはプリントとかは回ってこない。

 

文字通り『いないもの』として私は扱われ続けた。

やがて私は中学に上がり、その頃には全員と言わずとも私の個性を受け入れてくれる人も現れて、初めて友人と呼べる人もできた。私がヒーローを目指したのはそのころだ。初めて友達ができたことで余裕が生まれた私は、他にも個性が原因で苦しんでいる人もいるということを知ることができた。だから私はヒーローになることで、私と同じように個性で悩んでいる人たちに『私みたいな個性でもヒーローになれる』ということを見せて、それで少しでも救いになってくれればいい。個性で苦しんでいる人たちにも笑顔になってほしい。だからこそ無理にでも明るく振舞って、ヒーローになるため雄英高校を目指し、無事合格し夢への第一歩を刻んだ。

でもーーー

 

「よかったね、お姉ちゃん」

 

それは決して私の個性が好きになったわけではない。個性とは先天性のもの。たとえどれほど嫌な個性であろうともそれと付き合い続けなければいけない。だからこそ、私は個性との付き合い方を変えたのだ。

 

だからーーー

 

「お姉ちゃんの願い、叶ったよ」

 

こんなことになったんだろう。

 


 

ーーーUSJ---

 

「…………」

「あいたぁ!」

 

突如として襲撃を仕掛けてきたヴィランの集団。そのうちの一人転移系の個性を持った黒い霧上の男のよって飛ばされた轟焦凍と葉隠透は先ほどまで居たUSJの施設の一角土砂ゾーンへと飛ばされていた。

 

「大丈夫か、葉隠」

「ありがと、轟くん」

 

鍛えられた体幹を駆使して難なく着地を決めた轟とは反対に、身体能力は年相応であり個性もそれを底上げするようなものではない葉隠はしりもちをついており、そんな彼女に轟は手を差し伸べる。

 

 

「お兄さん、何してるの?」

 

 

「「!!」」

突如、後ろからかけられた声にもはや条件反射のように反応し凍結の個性を展開する。個性持ち同士の対決において先手を先手を取ることは何よりも重要。相手が何人いようと関係ない。一気に氷漬けにして終わらせる。

そのつもりだったが、

 

「待って、轟くん!!」

「ッ!」

 

葉隠の静止。そして自分も『それ』を認識した。今にも襲い掛からんとしている氷の波は対象の寸前で静止した。

 

「こ、子供だと!?」

「なんでこんなとこに……」

 

二人の後ろにいたのは子供。真っ白なワンピースに身を包んだ、見た目十歳ほどだろうか、銀髪の少女がそこにはいた。その子は何をされているのかわからないのか、目の前に迫った氷に対しても大した反応を示さずに、不思議そうに首を傾げながら轟へと問いかける。

 

「誰かいるの?」

「あ、えっとね。私、葉隠透っていうの。私は個性のせいで目に見えないんだ」

 

何もない場所から帰ってきた返答に、少女は小さく驚きながらも「そうなんだ」と、安堵の笑みを浮かべる。たしかに、何も知らない人から見れば轟は誰もいない場所に話しかけ、手を差し伸べる所謂危ない人に見えただろう。

 

「葉隠、もしかしたらその子は人質かもしれない。俺たちで保護しよう」

「うん、もちろんだよ。それにしてもこんな子供まで巻き込むなんてヒーローとして許せないよ」

「ああ。取りあえず、その子の相手は葉隠がしてくれ。俺は周囲の警戒をするから」

 

落ち着きを取り戻した二人はすかさず連携を取り、行動を開始する。轟が周囲の警戒をする中、子供の扱いが得意な葉隠は少女から情報を聞き出す。

 

「そっか、叶ちゃんっていうんだパパかママはどこにいるかわかるかな?」

「わからない」

「そっか。じゃあ……」

「ねえ、お姉ちゃん」

「ん?」

 

それまで、聞かれたことに応えるだけだった叶という少女は葉隠の言葉を遮るようにして問いかけてくる。

 

「お姉ちゃんのお願いことはなに?」

「え、お願い?」

 

唐突な、何の脈絡もないその問に彼女が戸惑う一方、轟は自分たちが送り出された先で敵襲を受けていないという現状に嫌な胸騒ぎを感じていた。

 

(なぜ誰もいない?送る場所を間違えた?……いや、あれだけ用意周到な計画を練って来て、そんなミスをするとは思えない。単なる時間稼ぎか?それとも……もうすでに来ている?)

 

轟がその答えにたどり着いたのと、それが起きたのはほぼ同時だった。

 

「お姉ちゃんの願い叶えてあげる」

「え……」

 

すっと、まるでなでるような優しさで少女の白く小さな手が葉隠の頬へと触れた。それと同時に、今まで味わったことのないような虚脱感が彼女を襲う。それはまるで、今まで自分の中に有った何かが無くなってしまったかのようなーー

 

「良かったね、お姉ちゃん」

 

少女はその見た目にはふさわしくないほどの慈愛に満ち溢れた微笑みを浮かべ、彼女の頬に触れているのとは逆方向の手を上げてーー

 

「お姉ちゃんの願い、叶ったよ」

 

その手が、三日月のように変形していき

 

「だからーーーー死んで」

 

死神の鎌が、彼女の首めがけて振り降ろされた。




最後まで読んでいただきありがとうございます。色々と至らぬ点はあったと思いますが、最後まで目を通していただき幸いです。次の更新はいつになるかは分かりませんが、また読んでいただけると嬉しいです。本当にありがとうございました。


エメラルド無事殿堂入り。ストーリークリア目的だったのでラグラージだけ育ててたら殿堂入り時点で72レベに・・・。
今は育成とフロンティアを楽しんでる最中。自分的にはチルタリスが一番好きだけど、いかんせん同じドラゴンのマンダやフライゴンに比べて如何ともしがたい能力差が・・・。
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