異世界は後輩転生者のスマートフォンとともに。 作:ヒラメもち
日本で言うなら、鹿児島の南もしくは沖縄だろう。
イーシェンの南だ。
海を見るとやはり故郷を思い出す。
更衣室、ビーチバレーボール、ビーチチェア、ビーチパラソル、バーベキューセット、身内しかいないから自重していない。
ユミナ、リーン、ポーラ、望月、シルエスカ姉妹、九重に加え、ベルファスト王族とその護衛、そして望月邸全員。
まさに大集合である。
「行くぞ、皆の者!」
「兄上に続けー!」
レオン将軍、リオンさんや俺も岩場から飛びこむ。
男たちだけの競泳である。
日頃のストレスを解消するがごとく、はしゃいでいるようだ。
水着はなぜかこの世界でも普及している。
「敗けませぬぞーっ!」
こんな男たちに愛想をつかないし、本当に最高の女性たちを得られていると思う。
「「ぬわーーっっ!!」」
兄弟の悲鳴が上がった。
レオン将軍が2人を担いで、海から飛び出した。
やはりあの人は逸脱者だ。
俺たちも遅れて海から上がる。
「「あ、足がつった……」」
「「あらあら。」」
パラソルの下で悶えている兄弟が膝枕されている。
そのうち治るだろう。
明日は2人とも筋肉痛だな。
さて、
俺もリオンさんも、最愛の人を探す。
「イッキさん!」
フリルのついた純白の水着は、美白な肌を引き立てる。
月の色、そして翠と碧の瞳だ。
ユミナがくるりと回る。
「どうですか?」
「…あ、おう、ニアッテルゾ」
「ふふっ、ありがとうございます。」
見とれていた。
それはもう、どこかへ連れ去りたい衝動に襲われた。
ある部分が反応しないように平常心を保つことに努める。
「こういうの、あまり着ないのだけどね。」
モノクロの際どいビキニは、色気を引き立てる。
銀の色、そして金色の瞳だ。
黒い日傘を指したリーンが、ポーラと手を繋いでやってくる。
「どう?」
「……お、おう、イイトオモウゾ」
見とれていた。
それはもう、節操なしなことをしてしまいそうだった。
「し、しつれいしますね。」
「あら、ユミナったら初心ね。」
小さな、しかし確かにある、お胸に挟まれる。
こういうの、アニメとかラノベとかなろう小説とかの中だけだと思っていた。
聴覚とか触覚とか嗅覚とかが俺の本能を刺激する。
「意識、してくれてるんですね」
「私たちも緊張してるのよ、はじめてだから…」
目を閉じたら逆にヤバくなった。
これ、味覚まで反応したらヤバいやつだ。
天使と悪魔の囁きが同時に聞こえてくる……
「まっ、この辺にしておきましょうか。」
「うぅ、はずかしい…」
両腕が解放された。
「ぜぇぜっぇ、」
砂浜に膝と両手をついて、大量の汗を流す。
呑気にポーラが、背中に よいしょよいしょとよじ登ってきている。
「はぅ……」
ユミナは真っ赤な顔を両手で隠している。
この惨状で余裕があるリーンは大物である。
「トウヤ、こっちよ。」
「……イッキやユミナはどうしたの?」
こちらへ近づいてくるやいなや、俺たちの心配をする。
無性にこいつを同じ目に合わせたい。
「一時的なものよ。気にしないで。」
「うん……?」
「それで、どうだったの?」
「神殿のようなものはあったけど、息が続かなかったんだ。」
「完全に海の底ってわけね……。マリオンでも連れて来るしかないかしら。」
「マリオン?」
「水棲族の長よ。私の友達。でもあの子、人前に出たがらないのよね。」
「水棲族は基本的に水中で暮らすからな。」
「あら、なかなか早かったわね。」
「……で、どうする?」
はぐらかすに限る。
「イッキは水中で活動できたりしないの?」
「それなりにはできる。しかし、その神殿は封印付きの可能性が高い。俺にはぶっ壊すことしかできないぞ。」
「それもそうね。」
認められてしまった。
いや、確かに戦うことしか、あまり能がないのだけれど。
「ま、今日はこれぐらいにしときましょう。トウヤも遊んできなさい。」
「みなさんとちゃんと楽しんでくださいね。」
ユミナもようやく復活した。
「うん、そうするよ。」
望月にもさっきのドキドキを味わせてやりたい。
しかし、何人か料理をしていてその香りが漂ってきた。
まるで1日限定の海の家である。
噂のアイスクリームも食べてみたい。
あまり時間を2人のために使ってあげれていない。
復活してはしゃいでいる男たちのように、今日1日は遊ぼう。
「師匠、あのー、もしかして...」
大きすぎる。
ゆったりとした服の中はそうなっていたのか。
「あら、シャルロッテ。私たちのイッキを誘惑しないでくれない?」
「そのとおりです!」
「ヴェッ!?」
ちゃんとあるお胸で、目移りさせないようにするのはやめてくれ。危ないから。