バカと無情の試召戦争   作:Oclock

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小問11(3) αクラスの作戦

 遡ること13:00。文月学園校舎裏に俺達αクラスは集まった。

 

零次「…………さて、この昼休みが過ぎればAクラスとCクラスの試召戦争が始まる。」

 

 俺の言葉に全員が頷いた。

 

零次「それに関してだが、お前たちにある任務を課す。かなり無茶な課題だが、必ず遂行しろ。」

 

利光「分かったよ、代表。一体どんな任務だい?」

 

零次「それはだな、Aクラスを殲滅することだ。」

 

 先程頷いてくれた彼らも、この言葉には驚きを隠せなかったようだ。それもそうだろう。俺にとってAクラスは、同じ教室にいるとはいえ、『敵』という認識だが、彼らにとってはAクラスの奴らがどう思おうが、同じ教室で学園生活を過ごす以上、『味方』という認識でいるのだから。 

 

零次「ま、かなりキツイ任務だということは、俺も分かってる。だが、だからこそ、達成に向け努力してくれ。」

 

美穂「だ、代表。本気ですか?」

 

零次「当然だ。そうでなきゃ、こんな事話すわけないだろ。それに、この顔が冗談を言う顔か?」

 

幽也「そう…………は…………見えない…………けど………………。」

 

利光「零次って、あんまり表情変わらないよね?」

 

零次「ま、まあ、そうだが………………。」

 

 近衛からはたまに言われるけど、そういう自覚は全く無いんだよな………………。大体普通は、そんなに人の顔など注視することもないし。

 

零次「って、俺のことは今はどうだって良いんだ。正直、お前達が今回の任務に抵抗があるなら、それはそれで良いんだよ。………………俺一人でやるだけだからな。」

 

 その言葉に、全員がさっきと同じ反応を示した。ま、45人対1人だなんて、さっきより無理難題言ってるわけだからな。ただ、そこですぐに嘲笑しなかったところは、褒めるべきところか?

 

利光「零次、それこそ無理があるんじゃないかい?」

 

零次「久保、俺は不可能なことは言わないぞ。それにお前だって、条件が揃えばクラスの殲滅………は出来なくても、一部隊の壊滅ぐらいは出来るはずだと、俺は思ってるが。他にはここにいる奴じゃ、工藤も出来なくはないか。」

 

美穂「えっと………………。どうして久保君と愛子ちゃんも?」

 

 分からないのか?と思ったが、よくよく考えたら、他人の成績なんて、あまり意識しないもんな。去年のテストの結果だって、上位の生徒の名前は分かっても、点数までは書かれてなかったし……………。

 

幽也「…………………………………あ、分かった……………かも。」

 

「「「ええ!?」」」

 

幽也「……………多分………………召喚獣…………の…………腕輪………………のことだと思う。………………点数は………消費するけど………その…………能力は………………………絶大だと…………聞いたこと……が………あるから…………。」

 

零次「……………ま、そういうことだ。」

 

 まさか、俺の考えをドンピシャで当ててくるとは…………………。流石影山と言うべきか?久保達も開いた口が塞がらないようだった。

 

零次「霧島には、各部隊に一人以上教師を立会いとして呼んでもらうよう、既に頼んでいる。あとは隙を見て、各自所属部隊を、特に各部隊長を務める豊嶋・梶・横沢は優先的に叩け。」

 

利光「OK。分かったよ、零次。」

 

 真っ先に声をあげたのは久保だった。コイツの所属は文系部隊。部隊長の豊嶋とは仲が悪かったからな…………。チャンスだと思ったのだろう。

 

零次「それじゃ、任務の再確認だ。最低目標は各部隊の部隊長である豊嶋・梶・横沢の撃破。最大目標は各部隊のAクラス生徒の全滅。作戦開始の合図は、そうだな………………、久保、お前が豊嶋に勝負を挑んだ時でいいか?」

 

利光「問題ないよ。僕がいる部隊が一番最初にCクラスと戦うことになるんだ。むしろ、こっちからお願いしようと思っていたさ。」

 

零次「そうか。なら、それを合図に、各自判断し、任務を遂行してくれ。」

 

 随分と抽象的で曖昧な指示だというのは目を瞑ってくれ。俺だってこれでいいとは思っちゃいないが、試召戦争になったら、もう意思疎通が出来なくなるも同然なのだから。文月学園第二学年の中でも、トップクラスの学力を持つ彼らが、その場の状況を見て、即行動してくれた方がよっぽど効率がいい。

 ………………………『それならば、Aクラスから何名かαクラスに引き入れればいい。』なんて考えはないからな?俺は一度敵になった奴は、二度と信用しない。そうやって、掌返す奴は、どうせすぐに裏切る。そう思ってるからな。

 

美穂「分かりました。その任務、必ずや成し遂げてみせます!」

 

愛子「う~ん……。ボクはあんまり自信ないけど……、頑張ってみせるよ。」

 

幽也「………………。(コクッ)………了………………………解………………。」

 

 時計は13:08くらいになっていた。後は、時間の許す限り話をして昼休みを過ごしたのだった。


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