これが今の混乱に繋がっている訳だ。Aクラスでもトップクラスのメンバーが、揃って本来味方であるはずのクラスメイトを攻撃してきたのだ。一応ここまでは計画通り。後は、この状態がどのくらい続くかだ。
「な、どういうことだよ!?」
零次「忘れたか?俺は進級初日にAクラスを二つのグループに分けた。あの時お前達は代表に誰を選んだ?そこで霧島を代表に選んだ時点で、俺達にとっては、お前達はCクラス同様『敵』なのだよ。」
実のところ、霧島を副代表に任命すること自体は、既に決定事項だった。本来の計画なら、霧島には俺のサポートをしてもらい、俺がAクラスに馴染めるよう、架け橋になってもらうつもりだった。だが、実際のAクラスの印象は最悪。初日の少ないやり取りで、そう思えてしまうほどだった。ま、久保が俺を庇ってくれたお陰で、霧島を副代表に置くことで、俺を代表として認めない『敵』と、そうでない『味方』を区別する方法をとった訳だが。
「何言ってるのよ!?私達はAクラスでしょ!?なんで敵扱いされなきゃいけないのよ!!ふざけないでよ!」
他の近衛部隊の奴らも、そうだそうだと、声を荒げる。
零次「ふざけるな?それはこっちのセリフだ。人の事で散々陰口叩いて罵倒して、今度はその事を棚にあげておいて、代表らしくしろだと?仮にお前達が代表だったら、そんな奴の頼みを聞くのか?」
その質問に答える奴はいなかった。ま、この質問に『YES』を返す奴は、とんでもないお人好しか、ただのバカだけだろう。
零次「お前達が俺にやってきたのは、そういう事だ。そりゃあ、先生方だって対応に困っただろうよ。問題児が秀才を押し退けて学年トップになったんだから。けどな、それでも俺が、このAクラスで代表をしている。これが何を意味するか分かるか?」
俺は一呼吸おいて、堂々と言い放った。
零次「俺が!文月学園の第二学年で!一番頭がいいということ!それを先生方が認めてくれたということだ!そしてこれは、決して不正したわけでも、脅迫まがいの事をしたわけでもない!正真正銘俺の実力だ。」
高橋「双眼君の言う通りです。彼は不正などをしていません。それに、彼の去年の学校での態度は、成績が低いことを除けば、模範的なものでした。そんな彼は、Aクラスの代表になれる程の点数を取るために、かなりの努力をしてきたのだと、私はそう思っています。」
近衛部隊の勝負のために呼んでいた高橋先生からも、後押しが入った。流石に学年主任の先生に言われたら、ぐうの音も出ないか。
零次「……さてと。久保達が折角頑張ってくれたんだ。お前達も色々考えているだろうが………………。そういう事は補習室でゆっくり考えてもらおうか。」
高橋先生に古典のフィールドを展開してもらって、俺や霧島、それから木下以外の近衛部隊の計9名が召喚獣を繰り出す。
[フィールド:古典]
2-A 双眼零次・・・403点
2-A 霧島翔子・・・402点
他2-A生徒7名・・・平均297点
…………流石、霧島が近衛部隊に選んだメンバーだ。それなりの点数はあるようだ。
「嘘………………。霧島さんより、1点だけだけど、点数が、上なの……………?」
「だ、だけど、8対1なんだ。数で押せば、倒せる!」
零次「なるほどな……………。ところで、木下は参加しないのか?」
優子「ええ。小山さんとは直接戦うためにも、点数は温存しておきたいし……………。あなたと敵対する理由もない訳だし……………。」
零次「まあいい。今回は見逃そう。そこで、仲間が手も足も出ずに負ける姿でも見ているんだな。」
さあ、行動開始だ。
・・・
友香「あら、随分と人が少ないのね。なんかAクラスに一部の生徒が裏切りを働いたみたいだけど……………。試召戦争中にそんなことしてるなんて、随分と余裕なのね。」
あれからCクラスの代表である小山がこの教室に来るまでに、そこまで時間はかからなかった。おそらく、教室から数多くの生徒が戦死して、補習を担当する西村先生に連行されていくところを見て、好機だと思ったのだろう。
[フィールド:古典]
2-A 双眼零次・・・403点→3点
2-A 霧島翔子・・・402点→3点
2-A 木下優子・・・387点→戦死
他2-A生徒7名(近衛部隊)・・・戦死
他2-A生徒12名(他の部隊)・・・戦死
それに、見ての通り、俺も霧島も満身創痍だ。途中から、生き残った他の部隊が霧島に加勢しようとしたが、俺が得意とするのは、多対一の戦いだ。それに、俺は処暑中学でそれなりに喧嘩をしてきたんだ。それを召喚獣に正確に行なわせる技術も手に入れた。つまり、アイツらに勝ち目などないのだ。
友香「それにしても、木下優子はどこ行ったのかしら?」
翔子「…………優子なら、さっき戦死した。残っていても、あまり意味ないと思ったから」
友香「へぇ……意外と薄情な面もあったものね。まあ、ちょうどいいわ。霧島翔子、今ここでアンタに引導を渡してやるわ!」
「「「試獣召喚≪サモン≫!!」」」
Cクラスの生徒、代表込みで9名が、一斉に召喚獣を繰り出す。パッと見た限りでは、ある者は剣、またある者はハンマー、多種多様な武器を持っていた。そんな召喚獣達が一斉に俺達に襲い掛かる………………………。
[フィールド:古典]
2-A 双眼零次・・・3点
2-A 霧島翔子・・・3点
VS
2-C 小山友香・・・187点→pass→3点
2-C 榎田克彦・・・132点→failure
2-C 神戸慎 ・・・167点→failure
2-C 新沼京子・・・155点→failure
他2-C生徒5名・・・平均144点→failure
………………なんてこともなく、小山を残し、Cクラス全員の召喚獣は霧散した。
友香「………………はあっ!?一体どうなってるのよ!?」
翔子「……これが、『代表』の腕輪の力。……条件を満たしていない召喚獣を、問答無用で戦死させる。」
そう。これがAクラス生徒が、大量に戦死した本当の理由だ。いくら優秀な生徒の集まりであるAクラスと言えど、腕輪が指定した条件を満たす奴は、少なくとも俺が戦った奴らの中にはいなかったということだ。
友香「何よそれ!そんなの反則じゃない!」
翔子「………だけど、この腕輪の能力を発動させるには、点数を400点消費する必要がある。使ったらほとんど瀕死に近い状態になるから、あなたみたいに、生き残られたら、ピンチなのはこっちの方。」
友香「………………それもそうね。だったら、ここでアンタを討ち取って私達の勝ちよ!」
その言葉と共に、小山の召喚獣と霧島の召喚獣は動き出した。和風な鎧に刀と、互いに似た装備。武器を振るタイミングもはぼ同時。その結果……………。
[フィールド:古典]
2-A 双眼零次・・・3点
2-A 霧島翔子・・・3点→戦死
VS
2-C 小山友香・・・3点→戦死
小山と霧島の対決は引き分けに終わった。
友香「ハァ………勝てなかったか。でも、引き分けに終わったし、これはこれで……………。」
翔子「………小山。私は代表じゃない。」
友香「………………は?」
そう。霧島を倒したところで、この戦争は終わらないのだ。
翔子「……私は、あの振り分け試験で学年主席の座を降りた。これからは……………。」
零次「お前らが今まで見下し、忌み嫌い、罵倒し、罪を擦り付け続けた、俺が王座に居座り続ける時代だ。」
その言葉と共に、立ち会いをしていた高橋先生が、俺達の勝利を無情にも小山に叩きつけた。
~後書きRADIO~
零次「さて、こちらの試召戦争が一区切りついたところで、後書きRADIOの時間だ。」
秋希「今回で9回目だっけ?あと一回で大台の10回目かぁ。」
零次「特に感慨深いものもないがな。」
秋希「それもそうだね。あ、ちなみに今回はゲストはいません。」
零次「と、いう訳で、互いに試召戦争の振り返りと行こうか。」
秋希「と言っても、私の方はほぼ原作通りだよ?違うところと言ったら、昨日円さんと島田さんの間で、ひと悶着あったくらいかな?」
零次「………………どういうシーンか、すぐに想像つくな。島田がまた暴力ふるって、それを根民が止めにかかった。そんなところだろう?で、根民が動くってことは明久関連か。」
秋希「うん。ザックリ説明すると……………。」
1.島田さんがBクラスに人質に取られる。
2.吉井君がその島田さんを偽物扱いする。
3.なんやかんやで島田さんを解放するも、吉井君はまだ疑う。
4.『吉井君が姫路さんのパンツを見て鼻血が止まらなくなった』と言う島田さんの発言で、やっと誤解が解ける。
5.吉井君が『最初から気づいてた』的な発言をして、島田さんに殴り飛ばされる。
6.その瞬間に、円さんが止めに入る。
秋希「………こんな感じかな?」
零次「………………………………アイツは馬鹿か?」
秋希「そりゃあ、Fクラスだから?」
零次「……………………………………本当は色々物申したいが、話が長くなりそうだから、後でその辺について話し合おうか。」
秋希「はいはい。…………で、今日のことは零次も知っての通り、秀吉君が木下さんのふりをして、Cクラスを挑発。その結果が今回のAクラス対Cクラスってわけね。」
零次「そうだ。………………そういや、Bクラスの代表は根本だが、特に何もなかったか?」
秋希「問題ないよ?去年のうちに協定、というか買収?………それに近いことをしてたから。」
零次「……お前、裏でそんなことしてたのか……………。あの、卑怯者とねぇ……………。」
秋希「………………それ、他人の評価で人となりを決めつけるなって、思ってる君が言う?」
零次「………………………………それもそうだな。悪い。」
秋希「それじゃ、時間もいい感じだし、終わろうか。次の後書きRADIOで零次サイドの戦争のまとめをしようか。」
零次「そうだな。それじゃ次回は、FクラスがAクラスに宣戦布告する回だ。もしかしたら次々回かもしれないが。」
秋希「それじゃ……………。」
「「次回もよろしくお願いします!」」