バカと無情の試召戦争   作:Oclock

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小問6(1) 波乱の二回戦(Fクラスside)

雄二「うーむ…………。」

 

 二回戦(根本&小山ペア)を難なく(?)突破した後、今後の喫茶店の立て直しの計画を練ったり、召喚大会の作戦(プラン)を考えたりするために、俺は一度明久と別れ、トイレに籠っていた。

 

雄二(さっき確認したトーナメント表をもう一度思い出すと……。まず、翔子と木下姉のペア。これはまず順当に勝ちあがってくる。問題ない。姫路と島田のペアも、障害となりそうな相手はいない。)

 

2-F 姫路瑞希

2-F 島田美波

 

VS

 

3-E 潮村渚

3-F 緑川罪

 

 

2-A 霧島翔子

2-A 木下優子

 

VS

 

2-B 加賀屋寛

2-A 森兵恵

 

 姫路達の方は、三年の先輩とはいえ、俺達同様下位クラスのコンビだし、翔子の方は……正直、双眼以外に敗ける姿は想像できねぇ。

 このまま順当に行くなら、姫路達とは四回戦で、翔子達とはその後の五回戦……準決勝で当たることになる。

 

雄二(……正直、双眼とは決勝まで当たらなくてよかった……。ぶっちゃけ今でも対策なんて思い浮かばんし、何か弱点みたいなものでも……、弱点?)

 

 ……そういや、アイツ自身から腕輪の能力をまとめたメモ紙をもらってたな。今日の夜に一人でコッソリ見ようと思ってたが、何かヒントが思いつくかもしれんし、サラッと見てみるか。

 

『・「王者」の腕輪  能力詳細・

 一:消費点数■■点      

(総合では■■点)       

 二:使用条件その1…使用者が 

 学年主席であること。     

 三:使用条件その2…■■■■ 

 ■■■■■■■していること。 

 四:使用条件その3…■■■■■

 ■■■■■■■していること。 

 五:効果その1…フィールド上 

 ■■■■■■■点数を     

  399点(総合科目なら3999点)

 減少させる。         

 六:効果その2…各クラスの代表の

 減少後の点数が0以下の場合、 

 発動者と同じ点数になる。   

 七:補足その1…この腕輪の能力は

 3回しか使えない。      

 ■■■■■■■■■■■■■■ 

 ■■■■■■■■■■■■■■ 

 八:補足その2…この腕輪が 

 使用制限の超過や、      

 他の腕輪による妨害などで使用が

 不可能になった場合、     

 その召喚獣が本来装備していた 

 腕輪の能力が使用可能になる。』

 

 クソ、重要な前半部分が検閲にかけられたように、黒く塗りつぶされてやがる……。幸い救いなのは、手書きでなく、パソコンを使って書いたのか、黒塗りの部分の文字数が判別できること、それに前の試召戦争で姫路相手に使ったことで、能力の手がかりが掴めていることだ。

 

 例えば消費点数。あの時、総合科目で4000点ほど消費していることが分かってる。単純に考えるなら本来は 400点ほど消費するとみていいだろう。少なくともそれより下回ることはないはずだ。

 となると、残りの使用条件2つも、点数関係かもな。……まさかとは思うが、一教科 400点以上だけでは飽き足らず、『全部の科目で 400点』とか『総合点数4000点』とか言い出すんじゃないか?文末が似ているから多分両方……翔子でもそんな条件、達成するのは楽じゃないぞ……。

 そして肝心の効果。これに関してはドンピシャ。相手に強制的に大ダメージを与えるというシンプルなものだ。この書き方から察するに、あの時は相手が姫路一人だったから、莫大な攻撃のすべてが姫路に振りかかったのだと思ってたが、何人いようが、あのトンデモないダメージは全員が平等に受けることになるんだな……。

 つまり、腕輪を持つに至る成績を取れてない奴はそもそもアイツと戦う権利が与えられないわけか。こんなの、Fクラスどころか、Aクラスすらも壊滅状態に陥るじゃねえか……。

 

 さて、こうしてアタリを付けたところで、もう一つのメモを見てみるか……。

 

『ケイコク!!  サカモトゆうじ

 コノぶんをよんでいるということ

 は、おまエはアのてがみのなかか

 らきせきてキにこれをてにしたわ

 けだ。だが、ハたしてほんとウに

 それはきせきか?そのかラだをも

 っていきているのはひつぜんか?

 はなしたいギだいはつきることは

 なく、かたリたいモノがたりも、

 このかみにすべてをかききること

 ができない。ダが、ひとつだけか

 たることができるならば、ここか

 らしんじつをみいだせ。ひんとは

  かたらぬ。こううんをいのろう。』

 

 ……なんだ、これは?腕輪のことが一切書かれてない。それに、さっきのメモからうってかわって、平仮名ばかりで構成されている。…………まさか、何かの暗号か?これを読み解けば、双眼が持つ、『王者』の腕輪の重大な秘密が解き明かされるとか……。

 ……いや、どうやらそうでもなさそうだな。

 

 とにかく、大きな収穫は得られた。七番目の項目が真実であるなら、アイツはあと1回しかこの『王者』の能力を使えないってことだ。約1ヶ月前の時点でCクラス戦と姫路との戦闘で、既に2回使用している訳だからな。もっとも、アイツの点数を考えると、腕輪が無くても大差ない気がするのは……考えないようにしよう。

 それに、結局謎なのは、あの時『何故姫路は腕輪が使えなくなったのか』だ。まさか、あの大ダメージを負った衝撃で腕輪が粉砕された、とか?……だとしたら、姫路の装備していた鎧や大剣まで粉々にならないと辻褄が合わないのだが……。

 結局この謎を明らかにするには、まだ情報が少なすぎる。というか、ほとんど俺が知りたい情報は秘匿されたものを渡され、もう一枚も訳分からん内容だし……。まあ、比較的簡単な暗号だったから、『本当のメッセージ』にすぐ気付けたわけだが……。だからといって、一体どうすりゃいいのだか……。

 

 とりあえず、トイレに籠って大分経つし、そろそろ教室に戻るとするか。

 

ドンッ

 

雄二「っとと、すまねぇ、大丈夫か?怪我とかしてないか?」

 

?「大丈夫です。あ、あの、お兄さん…………『バカなお兄ちゃん』について、知ってますか?」

 

 この意外な来客を連れて、な。

 

 

 

・・・

 

 

 

美波「瑞希、そろそろ出番ね。……緊張、してない?」

 

瑞希「はい!いつでも行けます!」

 

 どうも、広報部員の花沢ちゆりです。今は召喚大会の運営に回ってます。一応この大会に参加もしていたけど……、負けたよ。手も足も出せずに負けましたよ。まあ3年の、しかも木地副部長と同じクラスの2人組なので、やや諦め気味になりながらも挑んだので、当然かもしれませんが。

 ですが、折角先行体験的な形で先輩方と同じ形式のテストに挑んで、部長・副部長両名からもお墨付きを頂いたのに、相手はこちらを称賛するわけでも、感傷に浸るわけでもなかった。寧ろこちらが一年生だからと嘲笑・侮蔑・暴言の嵐……。さらには負けた私達に対して『先輩を敬え』と高圧的な態度。ああ、あのモヒカンとハゲ頭……思い出すだけでも腹が立つ。

 

ちゆり「ええ……、島田美波先輩、姫路瑞希先輩。時間になりましたので、フィールドへと入場お願いします。」

 

 でもまあ、今は自分の役割を果たすのみです。先程の話を青葉部長と東堂運営委員長に話したところ、その二人となるべく噛み合わないよう、青葉部長はシフトを組み直し、クラスメイトだと言う東堂運営委員長はその二人に事情聴取を行なうと言ってくれました。敬える先輩というのは、こういう方達の言うんですよ。

 ……さて、選手の見送りをした後はしばらく暇な時間が出来てしまう訳です。私は、ついでにペアの相手も先の件から、彼らと間反対のブロックの管轄となっています。そしてこれがそのブロックの二回戦最終試合。クラスの出し物に足早に合流するのもいいですが、折角なので、試合を見ていきましょう。お相手は……。

 

2-F 姫路瑞希

2-F 島田美波

 

VS

 

3-E 潮村渚

3-F 緑川罪

 

 うわあ、クラス的に見れば大差なさそうとは言え、3年の先輩方かあ。それよりも、3-Fの人、なんて読むんでしょうか。みどりかわ……つみ?

 

罪「お、俺らラッキーじゃん。2回連続で雑魚クラス相手なんて。」

 

渚「シ、シン君。毎回毎回、相手を煽るのはやめようよ……。」

 

 シン?え、『罪』と書いて、『シン』と読むのですか?……言われないと、そうは読めませんね。これがキラキラネームってものでしょうか。

 そして、相方はこの前行なわれたαクラスの入部試験に合格した2名のうちの一人、潮村渚先輩ですね。もう一人もこの大会に参加しているのですが……結果はどうなったんでしょうね?後で聞いてみましょう。

 

美波「あら、先輩。そんなこと言っちゃっていいのかしら?」

 

罪「え、何(笑)。君ら、僕達に勝てると思ってんの?Fクラスの分際で(笑)。」

 

渚「シン君を、その……、庇うつもりは……その……ないんだけど……。僕も今回の科目には自信があるんです。だから、ですね……。簡単に負けるつもりはありません。」

 

 ……なんでしょう、潮村先輩はともかく、緑川先輩からは、あの先輩達と同じ雰囲気を感じます。……気のせいだといいのですが……。

 

美波「へえ……、では、お手並み拝見しましょうか、先輩。行くわよ、瑞希!」

 

瑞希「はい!」

 

「「「「試獣召喚≪サモン≫」」」」

 

 召喚獣を出す掛け声と共に魔法陣が描かれ、各々の召喚獣が姿を見せる。

 島田先輩は青を基調とした軍服にサーベル。

 姫路先輩は重厚な鎧に巨大な剣。

 潮村先輩はカジュアルなカーディガンにサバイバルナイフ……でしょうか。

 そして緑川先輩はスーツ姿ですが……武器の類が確認できません。

 とはいえ、召喚獣で大事なのは見た目ではなく、召喚者の点数です。さて、先輩方の実力を拝見するとしま……。

 

 

 

[フィールド:英語]

2-F 島田美波・・・65点

 

2-F 姫路瑞希・・・391点

 

VS

 

3-E 潮村渚 ・・・232点

 

3-F 緑川(シン) ・・・440点

 

 

 

美波「……………………え……………噓……。」

 

 ……いや、こちらも驚きですよ。4人中3人が、クラス詐欺とも取れる高得点を叩き出してるじゃないですか。

 まあ、姫路先輩については途中退席してFクラスに在籍していることは既に知っていましたし、潮村先輩も、3-Eが一教科ないし二教科に特化した生徒が集まっていることは風の噂程度には聞いていましたが。3-Bに勝利した要因も、そこにあるとかないとか。

 そして、私が緑川先輩から感じた嫌な予感はコレですか……。あの先輩達もそうですが、もしかして、双眼先輩や副部長みたいな人はレアケースで、点数が高い人は、性格がねじ曲がった人がデフォルトなんでしょうか……。だとすると、入る学校間違えたのかも……。

 

罪「ククク……ッ。フッフフフ……。アーハッハッハハハ!ええ?何その点数、ダッサーいww。なんなのww?そんな、みみっちい点数の癖して、僕らのことバカにしてたってことww?うーわwwww。ヒィー……待って……笑いすぎで……死にそう……。フフッwwww。ウフフッwwwwww。」

 

渚「シン君、笑いすぎだよ!そりゃあ……向こうも結構自信満々だったから、僕も少し警戒していたけれど……。」

 

罪「それに……ww、何が可笑しいって……wwww。向こうは俺達が姫路瑞希の存在を……ww、ただのFクラス生徒だって、思ってるって……、考えてるって、ところよ……ww。そして、肝心の本人は腰巾着にもならない、貧弱な点数って……wwww、ところがさあ、ギャグポイント高いと思うんよwwww。そこら辺、どうよなぎ……。」

 

ガキィィィィン!

 

[フィールド:英語]

2-F 島田美波・・・65点

 

2-F 姫路瑞希・・・391点

 

VS

 

3-E 潮村渚 ・・・232点→222点

 

3-F 緑川罪 ・・・440点

 

罪「おっと……悪いねー、渚。………………wwww。」

 

渚「いつまで笑っているのさ。これ以上は、もう助けないから。」

 

罪「はいはい。まあ、でももう問題ないでしょ。向こうは相方がアレだから、実質2対1だし…………。」

 

ヒュッ ドスッ

 

[フィールド:英語]

2-F 島田美波・・・65点→戦死

 

2-F 姫路瑞希・・・391点

 

VS

 

3-E 潮村渚 ・・・222点

 

3-F 緑川罪 ・・・440点

 

美波「…………ぁ…………。」

 

罪「どうせすぐにそうなるから。」

 

瑞希「美波ちゃん!?」

 

 まあ、相手の予想外の点数に驚いて、ずっと何もしていなかったら、そうなりますよね…………。そして、緑川先輩の武器は、スーツ内に仕込まれたクナイですか。……いえ、あの余裕そうな表情から察すると、おそらく至る所に暗器が仕込まれていることでしょう。

 

 それはともかくとして、これはもう勝負ありでしょうね。個人の感想としては、姫路先輩に勝利してもらいたいです。しかし、味方を一人失い、緑川先輩が必要以上に煽り倒した結果、冷静さを欠いてしまっているため、どこかでボロが出そうですね。…………もし、これが緑川先輩の狙い通りだとしたら、凄く狡猾ですね。

 

 この三分後、召喚大会二回戦Dブロックの最後の勝者が決定するのでした。




~後書きRADIO~
秋希「さあさあさあさあ、さあ!久しぶりの後書きRADIOの時間だああああああ!」

零次「今回で第21回となるわけだが、いつも通りの双眼零次とテンションがバグり気味になっている近衛秋希でお送りしていくぞ。」

秋希「今回はタイトル通り、Fクラスサイドの話ね。坂本君は相も変わらず君の対策に苦戦しているようだし、姫路さん達は強敵との戦いになったわね。」

零次「坂本があの二人にどうやって勝ったかは、原作と同じだからカットだ。Bクラス代表である根本の弱味を材料に、ペアの小山と交渉し、勝利を譲って貰った訳だ。……改めて思うが、コレ目の前に先生いるよな?……坂本はよくやれたな、と思うし、先生は何故見逃したんだ、と思うんだが。」

秋希「…………多分、その時の立ち会った先生が遠藤先生だったからじゃない?確か、あの先生って、多少のことは見逃してくれる寛容さがあるから……。もしかしたら、目の前でこういう買収行為を行なっても、なんとか丸め込む算段とか、あったんじゃないかな?」

零次「そうか…………。もしそれが勝利の要因になりうるなら、『本作』の坂本は俺の偶然に助けられたわけだ。」

秋希「…………あ、そういえば、二回戦と三回戦は零次が教科を選択してるんだっけ?」

零次「そうだな。…………作者も『原作』を何度も読み直しながら、『本作』を書いているのだが……。残念ながら……作者には『原作』の坂本並みに頭が回るわけではないからな……。それを考慮すると、『本作』の坂本は若干ダウングレードしているようだ。坂本雄二のファンにはちょっと申し訳ないな。」

秋希「……さて、この様子だと、次回は私と零次の戦いになるのかな?」

零次「いや、坂本や姫路達と俺達の試合までは、それなりに時間が空く。1,2話ほど挟んで、それから試合になりそうだな。」

秋希「それでは………………。」

「「次回もよろしくお願いします!!」」

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