バカと無情の試召戦争   作:Oclock

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~前書きRADIO~

秋希「やっほー。近衛秋希だよ。今回は、Fクラスサイドの話だよ。しばらくは、Aクラスの話とFクラスの話が交互にしていくらしいから、そのつもりで、よろしくね!」


小問2-F 私の新たな一歩

秋希「………………うわあ。」

 

 私は今、Fクラスの教室前に来ている。一言感想をください、なんて聞かれれば、きっと多くの人はこの教室をこう評価するだろう。……………酷すぎる、ここは本当に教室なのか、と。

 まあ、中の様子は、とりあえず入ってみてから改めて確認しよう。ただ、上を見ると、『2-F』と書かれた木製のプレートは、ひび割れており、もう少しで壊れそうな………、

 

バリッ

 

………訂正。たった今壊れてしまった。『2-E』のプレートも同じく木製だが、向こうのは、ひび割れが全く確認されないところから、EクラスとFクラスにも明確な差があるようだ。

 

秋希「………とりあえず、入るか。」

 

 ちなみに、あのプレートを後日詳しく観察したところ、『F』の字は『E』の一番下の横棒を塗りつぶしたものだったことが分かった。要は、『2-F』のプレートは、使い古した『2-E』だったのだ。

 

・・・

 

ガッ ガラッ

 

秋希「おはよー。」

 

 まさかとは思ってたけど、教室のドアもガタガタとは………。設備の酷さがこんなところにも出ているとは。

 

?「ああ、おはよ………って、近衛か?」

 

 教壇に立っている男子生徒は、私を見るなり、驚いた表情をした。………………よし、せっかく教壇に立っているんだったら………。

 

秋希「………そうですよー。坂本『先生』。」

 

?「待て、近衛。俺は先生じゃない。」

 

秋希「分かってるって、坂本『君』。」

 

 ちぇっ、普通に返されたか。でも、実際その男子生徒、坂本雄二君は、身長が180センチ強と高く、スーツとか着ていたら、教師と間違えられても、おかしくはない。ただ、この学校だと、いろいろ問題を起こしているから、その変装に意味はないけれど。

 

秋希「ところで、坂本君はそこで何をしているの?」

 

雄二「特にやることもないから、教壇に上がってみた。」

 

秋希「へー………。」

 

 よかったね、坂本君。今の話を零次が聞いたら、どうなってたことやら。………いや、よく考えたらそんな大事にはならないか。せいぜい、呆れられるくらいかな?

 

秋希「ってことは、坂本君がFクラスの代表?」

 

雄二「そうだ。だから、このクラスにいる奴、全員が俺の兵隊だな。」

 

秋希「………………そう。」

 

 坂本君の話を聞きつつ、私は教室の設備を改めて確認した。……先輩から聞いていたとはいえ、やはりこの設備は酷いの一言が真っ先に出てくるものだった。

 机の代わりに置かれているのは卓袱台で、椅子の代わりには座布団。これだけ聞くと、『へ~。Fクラスって、和風な教室なんだ。』で済まされるけど、学力最低クラスであるFクラスに、まともな設備が支給されるわけがない。卓袱台の多くは、足の折れたものを何とか補強してるような感じだし、座布団は、地べたに座っているのと大差ないくらいに綿が入っていない。窓ガラスは一部が割れているし、カーテンなんてものはない。………これを教室と呼んでいいのだろうか?

 

雄二「ところで近衛、お前はどうしてこのクラスに?双眼ならともかく、お前が来るなんてどう考えてもあり得ないんだが。」

 

 やっぱり聞いてくるか。去年の成績を見れば、零次は下から探した方が早く、対して私は学年2位。しかも、学年トップの霧島さんと数点しか違わないから、普通に考えたら、私がここに来るなんてありえない訳だ。零次の名前を挙げたのは、一緒に行動しているところをたまに見かけるからだろう。

 

秋希「………………確かに、私の成績なら、Aクラスに入るのは簡単だよ?」

 

雄二「ああ、だから………………、」

 

秋希「でも、こうは考えられない?Aクラスに余裕で入れる点数があるのだから、ちょっと点数を操作すれば、どのクラスにも入れる、って。」

 

雄二「………………は?」

 

秋希「それに、『どう考えても』って、坂本君は言ったけど、答案用紙を無記名で出したら、優等生もバカも関係ないよね?そんなポカしたら、間違いなくFクラス行きだよね。」

 

雄二「まあ、それは、そうだが………。」

 

秋希「………………ま、私がここに来たのは、Aクラスの過剰な設備と待遇が嫌いだから。そして、Fクラスの環境が私にとって一番居心地の良いところだから。………これで、満足かな?」

 

雄二「あ、ああ、そうか、分かった。」

 

 どうやら、一応は納得してくれたみたいだ。私に押され気味に見えたのは、多分気のせいだ。………いや、気のせいじゃないだろうね。………多分。

 

秋希「………………あ、それと坂本君、もう一つ言うことあった。零次は、ここには来ないよ。」

 

雄二「な、なんだって?」

 

秋希「それに、私も君に協力する気はない。ま、詳しい話は、また時間がある時にでもしようか。」

 

 その後、私は教室の様子を観察したり、やって来るクラスメイトに挨拶したり、読書をしたりしてHRが始まるのを待った。一体これからどんな生活が待っているのか、………。出来れば、平和な日々を過ごせますように。

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