バカと無情の試召戦争   作:Oclock

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小問3-A 不信、対立、そして分裂

?「皆さん進級おめでとうございます。私はこの2年A組の担任、高橋洋子です。よろしくお願いします。」

 

 時計が示す時間は8:45。ちょうど1時限目が始まる時間だ。本来なら、8:30頃にHRが行われるのだが、高橋先生が8:40頃にこの教室に来たことから、どうやら進級初日だからか、まだ本格的に授業を始めるわけでもないようだ。

 

高橋「まずは設備の確認をします。ノートパソコン、個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシート、その他の設備に不備のある人はいますか?」

 

 ………そういえば、確認していなかったな。まあ、今すぐしなきゃいけないことでもないから、しばらく放っておくか。

 

高橋「参考書や教科書などの学習資料はもとより、冷蔵庫の中身に関しても全て学園が支給致します。他にも何か必要なものがあれば遠慮などすることなどなく、何でも申し出てください。」

 

 高橋先生、今、『何でも』って言ったな?………………と、冗談はさておき、俺より後ろの方から、何やらいい香りがするな。そのにおいを頼りに、俺は後ろの方を向いた。

 その時、教室の外に一人佇んでいる生徒を見かけた。俺のいる席から顔とかは分からないが、席が埋まっているから、このクラスの生徒ではないのは確かだ。………早速他のクラスから偵察が来たか?それとも、ただ遅刻しただけか………………。

 

高橋「では、はじめにクラス代表を………」

 

零次「すみません。」

 

高橋「はい。何ですか?」

 

 とりあえず、さっさと追い返すか。俺がそう思い、挙手したのと同時に、その生徒は教室を離れた。

 

零次「………………いえ、すみません。大丈夫です。続けてください。」

 

高橋「…………そうですか。分かりました。」

 

 高橋先生が何か聞いてくる様子はなかった。まあ、その方が俺にとってはありがたい。

 

高橋「では、改めて、クラス代表を紹介します。」

 

 きっと、皆の頭の中では、クラス代表が霧島か近衛だと思っているのだろうな。当然だ。実際、彼女は去年の試験で、常に学年1位で、近衛は数点差で学年2位になっていた。何かの拍子でこの二人の順位が入れ替わったって、何の不思議もない。

 だが、残念だったな、Aクラス諸君。代表になるのは、霧島でも近衛でも、ましてや久保でも姫路でもない。

 

高橋「双眼零次君、前に出てきてください。」

 

零次「はい。」

 

 Aクラス代表は、この俺だ。

 

 

・・・

 

 

「おい。あの『死神』が代表だと………………。」

 

「何かの間違いだろ。」

 

 やっぱり、そうなるよな。この教室に来た時から、そうなるとは思っていた。そして………………、

 

「どうせ、カンニングでもしたんだろ。」

 

「だよな。そうじゃなきゃ、あんなクズが、Aクラスに入れるわけないんだ。」

 

「この教室にいるだけでもサイアクなのに、代表なってるとか、もっとサイアクだわー。」

 

 こういう奴が出てくることも想定済みだ。

 さてと、そういう奴らばかりなら、容赦はしない。先生次第ではあるが、早速『プランA』を始動…………、

 

利光「君たちいい加減にしてくれないか。」

 

 ………………………………久保?

 

「な、何だよ、いきなり!」

 

利光「零次はカンニングなんかしていない。零次はそういう不正を嫌う人なんだ。そもそも君たちが思うような酷い人間だったら、不正をしたって、このクラスに入ることだってできないだろ?」

 

 …………まさか、久保が俺をフォローしてくれるとは………。これは予想外だな。

 

利光「それに先生方だって、不正行為が無いように必死で監視していたんだ。特に零次の周りは監視を強化していたようだし………。………………それとも、零次がカンニングしたって、証拠でもあるのかい?」

 

「う、そ、それは………。」

 

「確かに証拠とかはないけど…………。」

 

 どうやら、このままこの話題は沈静化して………………、

 

「だ、騙されるかよ、久保!そう言うようにあのクズから言われたんだろ!?アイツに何か弱みを握られて…………」

 

バンッ

 

零次「いい加減にしろ!!!」

 

 全員の視線が、久保から教卓の方に移動した俺の方に向く。俺は深く息をついて言い放った。

 

零次「………………一応聞こうか。俺が代表をすることに不満がある奴は、何も言わずに挙手しろ。」

 

 真っ先に久保と論争していた………………確か豊嶋だったか?アイツが手を挙げた。その後すぐに一番前の席に座っている木下秀吉………………、いや違うな、秀吉の姉(名前は聞いてない)も手を挙げた。それにつられるように一名、また一名と手を挙げる。最終的に手を挙げなかったのは、久保と霧島を含む数名だけだった。

 

零次「………………先生、どうしましょう。これがクラスの意見なんで、代表を変えられませんかね?」

 

高橋「それは出来ません。校則で決まっているので。」

 

 即答だった。まあ、分かっていたけどな。どのあたりに書いていたかは忘れたが、『各クラスの代表は、そのクラス内で総合科目の得点が最も高い生徒が担い、いかなる理由であろうと、代表の変更は認めない。』みたいなことが書かれていたはずだ。

 

零次「なら………………、こうしましょう。霧島翔子、前に来い。」

 

翔子「……………………。(コクリ)」

 

 霧島は黙って前に出てきてくれた。それじゃ、『プランB』始動だ。

 

零次「俺は、霧島翔子を副代表に任命する。………………霧島、任せてもいいか?」

 

翔子「……うん。……零次が何をしたいか、なんとなく分かったから。」 

 

 やっぱりコイツは頭がよく回る。頼もしい限りだ。他の奴らは全く見当がついてないようだが。

 

零次「これから、Aクラスを二つのグループに分類する。俺のグループと、霧島のグループ、好きな方に入れ。お前たちが自己紹介するとき、どちらのグループに入るかちゃんと申告しろ。それがなかった場合は、強制的に俺のグループだ。………………俺からは以上だ。」

 

高橋「それでは皆さん、これから一年間、双眼君と霧島さんを代表にして、協力し合い、研鑽を重ねてください。これから始まる『戦争』で、どこにも負けないように。」

 

 ………………そういや俺、結局自己紹介しなかったな。まあいいか。誰も俺のことなど興味もないだろうし、先生も、これ以上時間を浪費するのを避けたいだろうからな。

 




~後書きRADIO~

秋希「さあ、第2回!」

零次「後書きRADIOの時間だ。」

秋希「今回も張り切っていこうか!」

零次「ちなみに今回は、というか、今回からか?ゲストが来ている。」

秋希「え?まさか、霧島さん?それとも久保君?まさか、豊嶋君は違うよね?」

零次「………………作者曰く、この後書きRADIO限定のオリキャラだそうだ。どうぞ。」

?:ドーモドーモドモドモドー!後書キRADIOヲゴ覧ノ、MI!NA!SA!MA!!!ハジメマーシテー!

秋希「何このキャラ!色々ツッコミどころしかないんだけど!!ってか、誰!?私の知り合いにこんな人いないんだけど!」

零次「………………自己紹介頼む。」

?:O!K!私ノNAME!ソレハ!

秋希「このままいくの!?ちょっと流石に五月蝿いんだけど!」

?:………………………………………………………。

秋希「?」

?:………………………………………………………………。(プツッ)

秋希「あ、あれ?」

零次「………………………近衛。」

秋希「………え?これ、私が悪いの?」

零次「そうだ。」

秋希「そうだ、って………………というか、ホント誰なの?零次の知り合い?」

零次「俺の知り合いにあんな五月蠅い奴はいない。」

秋希「零次もそう思ってたんだ………………。じゃあ、結局誰なの?」

零次「奴の正体は次回に持ち越しだ。」

秋希「あ、そう。分かった。」

零次「それじゃ、今回の解説だ。」

秋希「そういや零次。随分思い切った行動じゃないかな、これは。」

零次「そうか?この『プランB』、正式名称『俺と霧島の2人でうまくAクラスを引っ張っていこうぜ作戦』は、なかなかいいと思うんだが?」

秋希「いや、それ霧島さんがOKしたからよかったものの、霧島さんが嫌だと言ったらどうするのよ?」

零次「その時は『プランA』、正式名称『そこまで言うならテメェは俺よりいい点数取れるんだよなアァン?作戦』を発動するまでだ。」

秋希「『プランA』の正式名称がめっちゃ口悪いんですけど!!」

零次「ちなみに『プランA』の内容は、クラス全員でもう一度振り分け試験の問題を解く、というものだ。ただし、俺以外は、教科書・ノート等持ち込み可、かつカンニングなどの不正行為もあり、という内容だ。」

秋希「……………こっちも結構言葉通りの内容だったね。頭の悪い不良がズルして入ったのなら、頭のいいAクラスの生徒がズルすれば、皆霧島さんレベルの点数を取れるよね、ってことか。」

零次「そういうことだ。………………というわけで、今回の話はこれで終わりだ。」

秋希「それじゃ。」

「「次回もよろしくお願いします!」」
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