勇者の父親になる筈の原作主人公がTSしてたけど、何か質問ある?   作:社畜のきなこ餅

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そんなわけで、活動報告にも書いてたDQ5の原作主人公TSのオリ主物を試し書きしてみるテスト。
初めての日記形式に独自解釈という地雷原ですが、よろしければどうぞ。




葡萄月 〇日

 

 

 吾輩の名前はドレイクである、苗字はない。

 どこぞの文豪作品の猫がごとく、うっかり足を滑らせて水瓶の中にダイブしたわけでもなんでもないのに、転生してしまった元現代人だ。

 

 家族構成は母一人、俺一人、以上! 父親は母とボーイミーツガールした末に母へ種付けした後どこぞへ旅立ったらしい。

 どこに出しても恥ずかしくないクソ野郎である。

 

 母はそんな男でもまだ好きなのか、特徴を聞くと嬉しそうに微笑みながら教えてくれる。 正直我が母ながら、男を見る目をもっとしっかりすべきではないだろうか?

 ちなみにそれと無く聞き出したところ、どうやら父親の名前はプサンらしい。

 

 いずれ全力でこの拳をそいつの顔面に叩き込むと心に誓いつつも……。

 殴る為に旅立とうにも俺はまだ7歳、毛も生えてないどこに出しても恥ずかしくない無力な少年でしかない。

 

 

 なので、母の手伝いをしつつ畑を荒らすホークブリザードをしばいたりして実力を積む日々なのである。

 

 しかしプサンという名前、なんだか聞き覚えがある気もするが…………こう、魚の小骨がのどに突っかかった感があってスッキリしない。

 

 

 

 

葡萄月 ◎日

 

 

 今日も今日とて母の手伝いをしつつ畑仕事をし、不意打ちで襲い掛かってきたへびておとこの両腕を斬り飛ばしつつ首をはねる。

 畑に出たばかりの頃は恐怖で足が竦んだものだが、今なら流れ作業の勢いである。 正直こいつらより、母との訓練の方が怖い。

 

 しかし、最近その母が咳き込む事が多くなり、訓練の数も減ってきた。

 医者にかかろうにも、小屋と畑がある以外は周辺一帯鬱蒼とした森林で人里なんかありゃしない。

 

 封印の洞窟を守り、監視するのが一族の使命だと母は言っているが……この世界において俺の唯一の肉親である。

 正直、そんな使命ポイして養生してほしいのが本音だ。

 

 父親? アレは見つけ次第顔面に飛び蹴り叩き込む予定のターゲットなので、肉親には含まない。

 

 

 

 

葡萄月 ▽日

 

 

 今日は珍しく客人が来た、パパスという名前の片乳首を露出したヒゲのおっさんである。 寒くないのだろうか?

 ちなみに出会いは、油断してへびておとこにぶん殴られた事で吹っ飛ばされたのだが、そのまま巨木へ叩きつけられるところを抱きとめられるという、とてもドラマチックな展開である。

 ヒゲのおっさんと、目付きが悪い(母曰く)ガキンチョでは特定層の人種以外喜ばない構図なのは内緒だ。

 

 その後パパスに手伝ってもらいつつへびておとこをしばき倒し、こんなところに居る事情をパパスに聞かれる俺。

 捨て子とかその辺りのサムシングと思われてたらしい、失敬な。

 

 そんなわけで、まぁ悪い人物ではなさそうなので家へ案内する事にする。

 道すがら色々と話をしてみると、攫われた嫁さんを救い出す為の手がかりを求めて、幼い娘と一緒に世界を回っているらしい。

 

 ふと気になって、娘さんの年齢を聞いてみるとなんと2歳、いろんな意味でマテやおっさん!と全力で突っ込んだ俺は悪くない。

 さすがにこの辺りの魔物は手ごわい為か連れてきていないそうだが、当然である。ホークブリザードの吐息とかは幼児が食らったら即死確定間違いなしっぽいし。

 俺? もう慣れた(白目)

 

 

 

 

 

葡萄月 ◇日

 

 

 どうやらパパス、改めパパスさんの目的に適う物は得られなかったそうで早々に出立された。

 だが、彼は母の病状に気付き、幾つかの手持ちの薬を分けてくれた。ありがてぇ、ありがてぇ……。

 さらに、拠点としているサンタローズの村から遠くはないので余裕があれば時折様子を見に来てくれるというイケオジっぷりである。

 これはもう日記とはいえ呼び捨てになんて出来んっしょ。

 

 ダンディでかっこ良くしかも強い、正直俺もこんな父が欲しかった。

 プサン? アレは見つけ次第全力で脳天から叩き斬る対象だからノーカウントだ。

 

 薬の効力のおかげで母も元気を取り戻してくれたので、俺としては嬉しい限りである。

 日課のホークブリザード退治も捗る……そんな事考えつつ畑仕事をしていると。

 

 森の中からピーピーと鳴く声が聞こえるので足を運んでみたら、そこにいたのは泥に塗れたホークブリザードの雛。

 見上げてみれば、はるか頭上に見えるのはホークブリザードの巣。どうやらそこから転がり落ちたらしい。

 

 まだ碌に目も開いてないというのに落下死してない生命力に驚きつつ、俺は愛用の鋼の剣を抜いて近寄り……。

 

 結局なんか殺すに殺せなくて家に連れ帰ることにした。 

 母よ、しっかり世話をするから折檻は勘弁してほしい。

 

 

 

 

雪月 ◎日

 

 

 そんなこんなで季節は廻り久しぶりに日記を書く、最近書いてなかった理由?

 拾った雛ことホークの食い扶持集めと、畑仕事の両立が大変だったんだよ……。 

 

 しかしまぁ、拾った頃は折れてたホークの羽根も綺麗に繋がり、さすが魔物というか小さい体で飛び回ってはしょっちゅう俺の肩に止まってくる。

 正直中々に可愛い、初めての友達だし(震え声)

 

 普通のホークブリザードと違い、泥まみれだと思ったら地毛が真っ黒だったホークの首を指で撫でつつ、ストックしている木の実を与える。

 だけどこう、なーんかずっと引っかかる。

 

 パパス、ホークブリザード、サンタローズ……うーん。

 まぁいいか、うん。

 

 

 

 

雪月 ×日

 

 

 ははが、たおれた。

 

 

 

 

風月 ◆日

 

 

 母の病状は一向に良くならない。

 パパスさんが置いていってくれた薬は殆ど効果を為さず、母が教えてくれた調合薬を必死に作っても意味を成さない。

 覚えたてのホイミやキアリーも同様だ。

 

 

 

 

芽月 ◎日

 

 

 母の病状は悪化する一方、かつては張りのあった肌は今はカサカサに荒れ果て。

 ベッドに伏せて一日を過ごす日々が続いている。

 

 ごめんね、ごめんね。と力なく俺の頭を撫でる母に、俺は大丈夫だと返しながら看護を続ける。

 正直しんどい、けど俺が頑張らないといけない。ホークも心配そうに俺に頬擦りしてくれている。

 

 大丈夫だ、俺はまだ頑張れる。

 

 

 

 

芽月 ◇日

 

 

 パパスさんが来てくれた、そして母の病状に目を見開くとすぐに大きな町……アルカパへ連れて行こうと言ってくれた。

 しかし母は断った、ここで守る事が使命だから。と。

 

 そんな母に俺はキレた、多分初めてかもしれない。

 どんな使命であろうと死んだらそれまでだと、死んでほしくないと。もっと生きてほしいと、体の年齢に精神が引っ張られたのか泣きながら喚いた。

 

 だが、母は俺の訴えに困ったように力なく笑いながら頭を撫でて謝るだけだった。

 正直埒が明かないので、パパスさんに無理やりにでも抱えて行ってもらおうと頼もうとした時。

 

 母はパパスさんに、息子と二人で話したいから少しだけ席を外してほしいと頼んだ。

 

 母からの話は、自分はもう長くないと。一族の使命を継いでほしいという内容だった。

 正直どっちも俺は御免だ、何があったか知らないが母一人に重荷を背負わせ、とっくの昔に居なくなったらしい一族なんて知ったことではないし。

 母が長くないなどと、俺は認めたくなかった。

 

 

 

 

花月 ×日

 

 

 母は、ゆっくりと眠るように息を引き取った。

 最期の言葉は、俺への謝罪と……プサンにまた一目だけでも逢いたい、という内容だった。

 

 涙は、出なかった。

 

 

 

 

花月 ◎日

 

 

 母を、埋葬した。

 それでも涙は出なかった。

 

 俺は大丈夫だ、まだ頑張れる。

 

 

 

 

 

葡萄月 ◎日

 

 

 2年ほどぶりに日記を書く、ようやく気持ちも落ち着いてきた。

 小鳥程度のサイズだったホークも、翼で俺の頭を包める程度に成長して、今や同種であるホークブリザードにすら立ち向かう成長っぷりである。

 俺はと言えば、日々を生きるために畑を耕し魔物を狩り、母とやっていた訓練をただ一人繰り返している。

 

 

 

 

霧月 ●日

 

 

 久しぶりにパパスさんがやってきた、今度は初めて見る紫色のターバンを巻いた子供も一緒だった。

 母が亡くなった後も、心配をかけていたようで時折様子を見に来てくれていたが……子供さんも一緒に来たのは初めてである。

 なんでも、有力な手掛かりが見つかったので子供と一緒に船で旅立つらしい。

 

 もしかすると、もう会えないかもしれないから。なんてとんでもなく不穏な事言いつつ、だからこそ娘を紹介しようと思ったらしい。

 その当の娘さんと言えば、相変わらず片乳首を露出している父親パパスさんの後ろに隠れ、おどおどとしながらこっちを見ている。

 だが、どうも俺の肩に止まったままのホークには興味津々らしく、そっちへ視線が行っている。

 

 年相応に動物が好きなんだな、と思い長い単独生活で強張った顔に笑みを浮かべつつホークを差し出せば、娘さんはパァァと輝くような笑みを見せ。

 おっかなびっくり、ホークを撫で始める。一方ホークもまたまんざらでもないらしく、目を細めて喉をクルルと鳴らしてる。

 

 程よく場が和んだところで、娘さんの前で屈みつつ。自己紹介をする俺ことドレイク。

 ホークの様子から俺は怖くないと思ってくれたのか、娘さんは二パって微笑むと……ボクはリュカ!と元気よく自己紹介してくれた。

 

 

 

 そっかー、リュカちゃんかー。そっかー。

 紫色のターバンをつけて、紫色の裾を引きずるマントを羽織り。父親がパパスのリュカちゃんかー。

 

 

 

 

 

 ここドラクエ5の世界じゃねぇか!!




主人公強めですが、単独でゲマやゴンズ、ジャミには勝てない程度の強さです。
血筋がヤバい?大丈夫だ、よくよく見ると原作主人公sも血筋だけ見るとやべーから。
 
ちなみにオリ主の血縁上の父は、物語スタート時点でどこぞのトロッコで無限ループしてます。

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