勇者の父親になる筈の原作主人公がTSしてたけど、何か質問ある?   作:社畜のきなこ餅

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はぁ、イベントのセンちゃん尊い…………ユエルソシエ派だった作者がメロメロになるレベルで、尊い。課金しよ。
そんな妄言は横に置き、3話投稿です。




 

風月 ◇月

 

 

 珍しく二日続けての執筆である。

 結論から先に言うと、俺は今パパスさんとリュカちゃんと一緒にサンタローズの村に赴き、今は宛がわれた部屋で日記を書いている。

 

 あの後、黙って話の流れを見守っていたオルテガが珍しく俺に意見をしたのだ。

 主人はここで澱みを抱えたまま朽ちるよりも、外に出て一度見つめ直すべきだと。

 

 そう言われてはいそうですか、と意見を翻すのもどうかとも思っていた。母の墓守の件もあったし。

 だが、墓守とこの想い出の家の保全をオルテガが責任を以って引き受けるとまで言ってくれた以上、彼の気持ちを無下にするのもまた違うと思ったわけで。

 

 俺はパパスさんの世話になることとなったのだ。なんだか流れに身を任せて流されている気がする。

 天国にいる母よ、その内帰ってくるから怒らず待っててほしい。でも正直、母が固執してたあの使命は俺どうかと思う。

 そんな風に考えてるから、プサンみたいなろくでもない男にひっかか

 

 

 

 

風月 〇日

 

 

 なんだか記憶がぼんやりとしているが、どうやら前回の日記を書いてる途中で本棚から落ちてきた辞典じみたサイズの本の角が俺の脳天に突き刺さったらしい。

 もしかすると母が見守っていたのかもしれない、そう考えるようにしよう。

 

 ともあれ、村長を務めており村民に尊敬されているパパスさんが連れてきたとはいえ、よそ者の目付きの悪いガキな俺。

 中々に村からは腫物に触れるかのように扱われる、まぁしょうがない。俺自身口数が少なくなったせいで、短い挨拶ぐらいしかできてないからな!

 

 なので、パパスさんとリュカちゃんに迷惑をかけない為にも積極的に村の手伝いをすることとする。

 まずは腰を悪くしたらしい爺様の畑の世話に、道すがら気付いた教会の壁面の修復だな!

 

 何? 万屋の親方が帰ってこない? よ、よーし任せろ(震え声)

 

 俺は大丈夫だ、まだ頑張れる。

 

 

 

 

風月 ●日

 

 

 サンチョさんに叱られた。

 どうやら、寝る間も惜しみ徹底的に村の手伝いをしていたことで心配をかけたらしい。

 

 だが待ってほしい、俺なりに村に貢献したいと思ったわけで誰も損をしていないから実質プラスでは?

 そう反論したら、パパスさんまで説教に加わってきた。解せぬ。

 

 なお、結果論であるがサンタローズの村人さん達は、口数少ないが危険人物ではないと俺の事を認識してくれたらしい。やったぜ。

 だが万屋の親方よ、男の俺に手織りのケープ渡されてもどうしようもないのだが。

 

 

芽月 ×日

 

 

 暦的にはそろそろ春、なのにいまだ寒い朝が続く今日この頃。

 パパスさんは相も変わらず片乳首を露出したまま闊歩しているが、あの人風邪ひかないのだろうか? まさかなんとやらは風邪を……。

 いや、よしておこう。推論とはいえ恩人をディスるのは良くない。

 

 だが、まだ小さなリュカちゃんが若干肌寒そうにしてたので、この前万屋の親方からもらった手織りのケープを上げる事にする。

 自分がもらえるものだと思ってたホークがショックを受けた表情をしてたが、家から持ってきておいた好物の木の実を差し出す事でご機嫌取りに成功。こいつチョロい。

 

 最近は村の中の頼まれ事も落ち着いてきているので、パパスさんの家の隣の空き地で素振りと訓練に精を出す。

 

 そしたら、またサンチョさんに怒られた。 この寒い中延々と訓練を続けてた事でまた心配かけたらしい。

 なんか、その、すんません。

 

 

 

 

芽月 ♪日

 

 

 遅くまで訓練してるのがダメなら、早起きして訓練をすればいい。

 そう思い立ち、朝靄が村を包む時間から素振りを始める。だがただの素振りではない。

 

 音でご近所さんを起こしたりしないよう配慮に配慮を重ねた、サイレント素振りだ!

 中身は簡単!木剣ではなく愛用の鋼の剣を構え、亡き母から教えられた太刀筋を一振りにきっちり10秒かけて振るという物だ!

 

 そんな訓練を早朝からやってたら、家から出てきたパパスさんにギョっとされた後怒られた。 解せぬ。

 このままでは、素振りも訓練も禁止令を出されそうなので、土下座する勢いで迷惑をかけないよう頑張るから続けさせてほしいと頼む。

 

 今も愛用している鋼の剣と、この訓練が母から遺された絆なのだ。

 

 俺の気持ちを解してくれたのか、パパスさんは嘆息すると同時に許可をくれた。 やったぜ。

 だが、条件をつけられた。 ダメだったぜ。

 

 条件とは、リュカちゃんの面倒を見る……と言うより遊び相手を務めるというものだ。

 パパスさん、貴方に連れ出されるまで人とまともに触れ合った事のないナチュラルボーン引きこもりナマモノになんて無理難題を仰る。

 

 

 

 

芽月 ☆日

 

 

 リュカちゃん天使だわ。

 

 

 

 

芽月 ■日

 

 

 今日も今日とて早朝鍛錬の後、まだまだ冷たい水で体を拭いエチケットばっちり。

 その後はパパスさんやサンチョさんからの指示がなければ、軽く鍛錬がてら村をぐるっと一周ランニングして何か困ってないか村人へ御用聞き。

 ……だが今日から御用聞きにも、リュカちゃんがちょこちょこと走りつつついてくるようになった。なので、スピードをかなり落として走る俺である。

 

 この日は畑の柵が破られたという話を受けたので、大工道具を借りつつこれまたリュカちゃんと現場に急行。

 そこにいたのはなんと、くびながイタチ。 剣を持っていなかったので投石で軽く始末。

 リュカちゃんが俺の背後でイタチさんしんじゃった、って悲しそうに呟くが……これもまた自然の摂理なのである。 害獣殺すべし

 

 まぁ折角仕留めたので、畑の主さんに血抜きをお願いしつつ畑の柵を直し、しょぼくれていたリュカちゃんもまた一生懸命手伝ってくれる。

 その手の作業未経験な上に6歳児なのでむしろ俺の仕事が増えているが、この程度造作もない事だ。 

 

 そんなわけで、頼まれ仕事完了。リュカちゃんは泥んこできゃーきゃー言いながらはしゃいでる。

 なので、小脇にリュカちゃんを抱えて家に戻るのだ。 ちなみにイタチのモツももらったが、コレはホークのおやつである。

 家に戻るや否や……ホーク用にサンチョさんが誂えてくれた小屋の前に生臭い匂いを放つ、イタチモツ入りの桶をどんと置き。

 

 ごちそうの匂いを嗅ぎつけたホークがバサバサと帰ってくる音を聞きつつ、リュカちゃんを小脇に抱えたままサンチョさんへ声をかける。

 内容は水場使用許可と、リュカちゃん洗いのお願いである。

 

 ……そりゃだってアナタ、つるんぺたんどころの騒ぎじゃないロリとはいえ、血の繋がってない上にお世話になってる人の愛娘ですよ?

 俺が勝手に脱がして丸洗いするワケにいかんでしょうが。

 

 だがここで、リュカちゃん小脇に抱えられたまままさかの発言。

 お兄ちゃんに洗ってほしいー。である。あ、お兄ちゃんとは俺の事である、呼ばれるたびにほっこりする。

 

 違う問題はそこじゃない。

 空気が凍り、朗らかという単語が人を象ってるかのようなサンチョさんが鋭すぎる目付きで俺を見る。

 俺、必死に首を横に振る。 リュカちゃんは小脇に抱えられたまま両手両足を楽しそうにプラプラさせている。

 

 とりあえず、俺の疑惑は晴れた。 ついでにサンチョさん、主人の娘だから言いづらいかもしれないけどその辺り教育してくれ。

 パパスさんは、その。片乳首を恥ずかしげもなく露出しちゃってる人だから、多分無理だろうし。

 

 

 

 

芽月 ◎日

 

 

 なんか、恰幅の良いおばさんと。こまっしゃくれたチンチクリンの金髪の娘さんが遊びに来た。

 娘さんの名前はビアンカ、おばさんの名前は……聞き逃した。とりあえず今後はビアンカの母ちゃんって呼称しよう。

 

 なんでも二人は、風邪を引いたお父さんであるダンカンさんの薬をもらいに、万屋の親方を訪ね。そのついでに立ち寄ったらしい。

 ちなみに無事薬も手に入ったそうだ。 アレ、親方を助けにリュカちゃんが洞窟へ行くはずじゃ……。

 

 そんなことを思いつつリュカちゃんを見れば、こてんと首を傾げられた。可愛い、天使か。

 そして思い出す、そういえば村の手伝いとハッスルしてた時に親方助けてたわ。 時間軸のずれが多少あれど、俺がイベントを潰していたらしい。

 

 ともあれ話を聞いてみれば、今日はこのままアルパカ……じゃなくてアルカパへ帰るらしい。

 さすがに女二人じゃ危なくないか……などと思っていたが。

 ダンディでイケてるパパスさんは流石と言うべきか、女性の二人旅は危ないから送っていくと言い出した。

 

 そうなると付いて行きたがるのがリュカちゃんである、この短期間でホーク効果もあって俺にも懐いてくれているとはいえ。

 唯一の父親である、正直気持ちはよくわかる。俺の実の父親は尊敬どころか殺意の対象だが。

 

 というわけで、だ。

 サンチョさんを留守番に残し、パパスさん、俺、リュカちゃん、ホークが二人の護衛としてアルカパまで同行する事となった。

 

 なんで俺までついていくって? 万が一レヌール城探索イベがあったら、フォローしなきゃダメだから(震え声)

 

 ちなみにアルカパは思ったより近く、サンタローズから歩いて半日。お昼過ぎに出ても夜には到着する程度の近さでした。

 襲ってきた魔物? 正直特筆すべきこともなかった、襲ってきそうな魔物をホークが先手を打って狩ってたし。

 

 

 

 

芽月 ▽日

 

 

 パパスさんが風邪を引いた、片乳首露出したままだから……。

 しかし母の件もあるし、正直気が気でなかったのも事実であるが。ビアンカの母ちゃんが旦那がうつした風邪だから、治るまでタダで逗留していくといいと。

 

 なんとも素晴らしい事を言ってくれた、思わず見た目通り太っ腹。などと言ったところ……ゲラゲラ笑いながら全力で張り倒された。

 へびておとこの張り手など目じゃないレベルの衝撃に吹っ飛ぶ俺、このおばさん。タダモノじゃない……!

 

 ともあれダメージもそんなにないので非礼を詫びつつ立ち上がり、気が付けば二人で町に遊びに行ったリュカちゃんとビアンカちゃんを追いかけるのである。

 

 そして宿を出発して約五分。

 なんか、ものっくそ生意気そうなツラしたガキンチョ二人とビアンカちゃんがにらみ合っていた、リュカちゃんはオロオロしていた。

 

 一触即発な空気を感じたので割って入って話を聞いてみれば、猫をいじめているのを止めさせたいビアンカちゃんと。

 まだいじめたいし、この猫が欲しいならレヌール城のお化け退治してこい。と不遜に言い放つガキンチョ共である。このガキ、始末してやろうか。

 

 そのまま口喧嘩を始めたガキンチョとビアンカちゃんを尻目に見つつ、屈んでホイミをかけつつ敵意満載の目付きでこちらを睨む猫を見てみると……。

 

 小さな体躯ながら、口元からはみ出した立派な牙。

 

 頭頂部から背中へ伸びているフサフサとした赤色の鬣。 

 

 割と柔らかい皮程度なら容易く切り裂きそうな小さくも鋭い爪。

 

 それと地味にぷにぷにしている肉球……いてぇ!?噛むんじゃねぇ!!

 

 

 ともあれだ、これは……。

 

 

 

 

 どう見ても、猫ジャナーイ!!

 




本作では、暦を地味に小説版DQ4で用いられていたフランス革命暦を使ってます。
日付の記号は適当です。 台無しである。
 
 
 
しかしゲレゲレ(仮)の名前どうしようか……。
いつもプレイする時はチロルなんですけども、やっぱゲレゲレのインパクトには負けますよねぃ。

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