勇者の父親になる筈の原作主人公がTSしてたけど、何か質問ある? 作:社畜のきなこ餅
ちなみに、いつものTRPG勢と話してた際。
Yさん「主人公って髪の毛ぼさぼさで伸ばしっぱなしで、目付きが悪いんだよね?」
作者「そうですよ」
Yさん「で、前に聞いたけど鳥山先生系で言うとちょい悪系イケメン顔なんだよね?」
作者「そうですね、テリーやククール系の顔付きです」
Yさん「コイツの外見、ドラクエ4のピサロじゃね?」
作者「お主、天才か」
大体こんな感じで……この瞬間、ドレイク君の髪の毛の色が灰色に近い白色となり、ピサロな外見になりました。
まぁほら、小説版ドラクエ4でも勇者(ユーリル)とピサロの外見は似ているって描写あったし、セーフセーフ(強弁)
芽月 〇日
どう見ても猫じゃないけど薄暗がりで目を細めてみれば猫に見えるかもしれない猫。
面倒くせぇ、ベビーパンサーと仮称だ。 ソレを助ける為と言う事でお子様勢がえいえいおー!と気炎を吐いた翌日。
俺とリュカちゃんとビアンカちゃんは、宿の女将さんことビアンカの母ちゃんとパパスさん許可の下……宿の中庭で戦闘訓練をしていた。
ちなみに俺からパパスさんとビアンカの母ちゃんには事情を全て話している。
子供達だけで話を進めさせてしまった事を詫びた上で、俺も同行する事とここで戦闘経験を積んでおくことはけして悪い事じゃないと説明。
もしダメなら、俺とホークでひとっぱしりして調査した後に魔物が居るなら根絶やしにしてくるから、と言ったら二人が急に渋い顔をした。やべぇ失敗したか?
だが逆に、パパスさんから足手まといになる子供を庇いながら戦うのも悪い経験じゃないだろう、と嘆息交じりに遠回しの許可が下り。
パパスさんが良いならアタシから言う事はないわねぇ、とビアンカの母ちゃんも同意してくれた。 やったぜ。
そんなこんなで、昨日の夜に二人を伴って外に出たわけだが……。
まぁうん、6歳と8歳の少女が魔物と戦って薙ぎ払って進めるわけがないよね、という事実を再認識する事となったのである。
いやまぁリュカちゃんは、日記に書いてなかったけど俺にせがんではサンタローズの洞窟に探検に一緒に行ってたから多少マシなんだけども。
体術の心得がないビアンカちゃん、手っ取り早く手に入ったとはいえくだものナイフはいかんでしょ。
とまぁ、そういうワケでビアンカちゃんにはひのきの棒。リュカちゃんには樫の杖を俺の手持ちから買い与えて訓練中である。
ああこらこらぶーたれないでビアンカちゃん、まずはソレで慣れてから。慣れたらなんか良いの買ってあげるから。
そうやってビアンカちゃんを宥めてたら、何故かリュカちゃんの機嫌が傾いた。解せぬ。
ちなみに俺の財源は主に、サンタローズの村での手伝いで村の人から押し付けるようにもらったお駄賃と。
村周辺で始末した魔物から剥いだ皮やら肉やらを売って得たお金です。
パパスさんやサンチョさんからもお小遣いもらってるけど、それは大事に貯金してます。
なんかこう手を付けづらいから、その内まとまって得たお金でリュカちゃんになんぞ買ってあげようと思ってる。
芽月 △日
さすが若い子らは呑み込みが早いもので、ビアンカちゃんも今や茨の鞭でくびながイタチをばっしばっしと薙ぎ倒すようになってお兄さん安心です。
それと、ビアンカちゃんが俺の事をドレイクさんから。お兄さんって呼ぶようになりました、なんかほっこりする。おっとダンカンさん、病床の身でそんな睨みつけないでほしい。
ちなみにリュカちゃんはメインウェポンの樫の杖を、俺から見ると危なっかしいとこもあれどちゃんと使いこなしており。
サブウェポンとしてプレゼントしてあげたブーメランに至っては、空を舞うホークに当てれるほど上達した。 まぁアイツ見た目の割に頑丈だから平気な顔して足で受け止めてたけど。
俺も負けてはいられないので、新しく習得したピオリムで実験を始める。
ゲームでは素早さが上がる、という効果で行動順に目に見えて大きな効果を得られる魔法だったが……素早く動けると言う事は、それ即ち攻撃速度が上がるという事なのではなかろうか?
そう思い立った俺は、手ごろなおおきづちの前でピオリムを発動し全速力で踏み込んで。
勢い余っておおきづちの顔面へ全力で膝を叩き込む形になった。 違うそうじゃない。
どうやら速くなるのは体というか身のこなしだけで思考速度は変化ないらしい、そりゃ攻撃回数変化ないわ。というか使いづらいわコレ。
芽月 □月
前回はちょっとばかり失敗したが、アレはアレでやっぱり有用だと脳内俺会議にて結論が出た。
変動的に使えば相手の攻撃タイミングをずらせそうだし、思考速度を無理やりにでも追いつかせればソレだけでアドバンテージになりそうだ。
コレについては要検証と実験である、が今はソレは重要じゃない。
パパスさんに寝込んだままでいてもらいつつ、ある程度準備も整ったので俺とリュカちゃんとビアンカちゃん、そしてホークの3人と1匹でお化け退治へ出発となったのである。
月明かり星明りしかないとはいえ空気が澄んでいる今の季節、魔物を見落とすことなく手際よく俺達はレヌール城へ向けて北上し……特に問題が起こる事なく到着。
そしていざ突入、の前に二人が恥ずかしそうにもじもじしながらお手洗いを言い出したので、ホークを見張りにつけさせつつしばし待つ。
いや行かないからね? 何が悲しゅうてロリ二人の恥ずかしいお花摘みを見守らなければいかんのだ。
そんな事を思いつつ腕を組んで城を見上げる、見事なまでに廃墟だが。崩れた窓から時折不自然にゆらめく明かりが見えたり、今も俺を見る気配を感じる。 だがソレだけである。
最悪俺が殿に立ってホークを付けて逃がせばいいと結論付け、すっきりした顔で戻ってきた二人を伴って正門を開けようとし。
鍵がかかっていて開かなかった、どこかから嘲笑うかのような声が聞こえた。
思わずイラっと来つつも、少女二人の前で……出来そうとはいえ正門を無理やりぶち破るのもアレなので、素直にぐるりと周囲を回る。
そうして見れば、ここから登って下さいとばかりに地上から最上階まで伸びるハシゴがかけられていた。 うさんくせぇ。
だが他に選択肢がないのもまた事実、なのでホークを先行させた上でリュカちゃんとビアンカちゃんを先に行かせ。俺は二人が足を滑らせたときに備えて最後に登る。
何、それはいいけど登る時上を見ないでほしい? はっはっは、そんな台詞はもっとレディになってから……いてぇ?!脛を蹴るな二人とも!
そんなちょっとしたハプニングがありつつも、無事最上階へ到着。ホークからジト目を向けられるが俺は悪くないと主張する。
ともあれ、中に変な明かりが見えているとはいえここは既に敵地、何があるかわからないので町で用意しておいた松明を取り出してビアンカちゃんのメラで点火。
左手に松明を掲げて開いたままの鉄格子を潜り、松明を中で振って潜んでる敵影がない事を確認してからリュカちゃんとビアンカちゃんを呼んだところ……。
大きな稲光が鳴り、ホークが潜り抜ける前に鉄格子が激しい音を立てて降りた。 やってくれる。
ホークに他から突入する場所がないかの確認を頼み、万が一明け方まで俺が戻らないときはアルカパへ飛んでほしいと頼んで先へ進む。
大丈夫だぞ二人とも、何があっても二人は護るからそんな泣きそうな顔するなって。
というわけで始まるレヌール城探索ツアー、むしろ脱出系イベント状態だが。
ちょいと進んだところで部屋いっぱいに並べられたベッド、その上に寝転がる骸骨。そんな光景に少女二人が可愛らしい悲鳴を上げるのをほっこりしつつ先へ進む。
なんか階段降りる直前に骸骨共が起き上がって二人を攫おうとしたが、右手に構えた鋼の剣と左手に持った松明で片っ端から粉砕。
途中から二人もおっかなびっくり参戦するが、脆い分復元力も高くて鬱陶しかったので。バラバラになった骸骨共の頭蓋骨を片っ端から踏み砕いていく。
骸骨共が、え、そこまでガチにならなくてもって雰囲気を醸し出し始めるが問答無用。 死ぬがよい。
そうやって進み、お化けキャンドルやらスカルサーペントやらを薙ぎ倒していけば、なんか半透明の王様っぽい影が見えたので追いかけて話を聞けば。
お化けが住み着いて安眠できないから何とかしてほしいと懇願される、まぁパパスさんなら見捨てないだろうし。少女二人組もフンスッとやる気満々だから承諾する。
悪いお化けをやっつけるわよー!などと気炎を吐くビアンカちゃんに、おー!とソレに倣ってちっちゃなお手手を掲げる二人にほっこりしつつ先へ進む俺。
だが気のせいかお化け共よ、俺の姿見た瞬間逃げるのは聊かお化けとしてどうかと思うぞ。
そしてとうとう辿り着くは、なんか薄汚れたローブを纏ったミイラみたいなお化け。おやぶんゴーストとやらが鎮座するボスの間。
だがそこで、こいつやりやがった。
いざ決戦と飛びかかろうとした瞬間、何かのスイッチを押して落とし穴を発動させたのである。
少女で体重が軽いとはいえ、高所から落ちたらただではすまない。 そう判断した俺はとっさに松明と鋼の剣を手放して二人の襟首をつかんで後ろへ引き倒し。
その代償とばかりに、俺の体は虚空へと落ちていった。
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「すぐに戻る! 二人は生き残る事を優先しろぉ!!」
泣きそうな顔で落ちていく俺を見る二人へ叫びながら、俺は落ちていく。
下へ見えるは蝋燭の明かり、そしておあつらえ向きとばかりにでかい皿。
俺は咄嗟に体を捻り、利き腕ではない左腕側を下にしてそのまま落下。左腕だけではなく左半身の骨が幾つか砕ける音が体内から響くが、問題はない。
俺は大丈夫だ、まだ頑張れる。
「ケケケ、ケケケ! ゴチソウダ!ゴチソウガオチテキタ!」
「オイシソウナホウジャナイ!デカイノダ!」
俺を取り囲むお化けキャンドルやスカルサーペント、ウィルオウィスプどもが好き放題はしゃぐ声が聞こえる。
……今、何と言った?
「おい、お前ら」
「ケケケケケ! フラツイテルゾ!」
「オドリグイダ! メダ!ミミダ!ハナダ!」
左腕とそのほかを犠牲にしたおかげで、比較的しっかりと立てるのを確認しつつ。自らにホイミをかけて皿の上に立つ。
正直痛みは消えないし泣きたいぐらいだ、だがソレ以上に。
「リュカちゃんとビアンカちゃんを美味しそうって、言ったか?」
「ケケケ! オンナ!コドモ!ウマイニキマッテル!」
「ナイゾウモ!ホネモ!ウマイ!」
「そうか」
こいつらは、あんなに良い子達を食べるつもりだと。そう言う事か。
ならば。
「……っふん!!」
「アベシ」
我慢できないとばかりに、手に持った巨大フォークを俺へ突き立てようとしてきたお化けキャンドルへ、爪を立てるように折り曲げた右手を叩きつけ。
見た目通り、多少硬い程度の蝋の体へ指を抉りこみながら振り回し、勢いをつけてお化け共の群れへ叩きつけるように投げる。
「お前らがはしゃいで騒いでるだけなら、親分以外は見逃してやってもよかったが」
シン、と静まり返る大広間。ゆっくりと皿の上から降り、左腕をぶらぶらさせたまま床へ降り立つ。
どうやらお化け共は怖気づいてるらしい、好都合だ。
「気が変わった」
手近にある朽ち果てつつも上品な作りの椅子を右手で掴み、肩にかけるように持ち上げ。
お化け共を睥睨しつつ、宣告する。
「貴様ら全員、皆殺しだ」
宣言すると同時に俺は、お化け共の群れへ飛び込み片っ端から手に持った椅子で叩き殺し、粉砕を始める。
まぁ、結果から言えば楽勝であった。 逃げ腰の弱小お化けなど、左腕が使えない程度ハンデにもなりゃせんわ。
その後何事もなくリュカちゃんとビアンカちゃんに合流し、窓を突き破って突入してきたホークも交えて親分ゴーストを情け容赦なく袋叩きし。
這いつくばって泣き喚きながら、お化けなのに命乞いする姿にリュカちゃんとビアンカちゃんは彼を許し見逃すのであった。天使やこの子ら。
だが、レヌール城の主であるお化け王は……。
何故礼を言う際、引きつった笑顔で俺から目を逸らしていたのだろうか?
主人公、ぶち切れて大暴れの巻。
ちなみに合流時点でも普通に左腕ぶーらぶらだったので、二人に心配して泣かれたらしい。