勇者の父親になる筈の原作主人公がTSしてたけど、何か質問ある?   作:社畜のきなこ餅

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思った以上にめっちゃ長くなったので、決戦を上下に分けたいと思います。
作者の力不足です、大変申し訳ない……。

今回は3人称視点で書いてます、理由はあとがきにて……。


8・上

 暗闇の中、二つの影が走る。

 先行している一つの影は大きく鍛え抜かれた体を持った偉丈夫、そしてもう一つの影は先行している影に比べて幾らか小さい灰色の長髪の少年。

 彼らは今……攫われたラインハット王国の王女、ヘンリエッタが囚われている可能性が非常に高い古代遺跡へ向かっていた。

 

 何故彼らだけが救出に向かっているのか、その理由については少し時間を遡る必要がある。

 

 

 

 

 

 ヘンリエッタ王女が攫われたと判明した切っ掛けは、宛がわれた部屋で眠っていたリュカがふと感じた尿意により起き、同じ部屋で寝ている父と兄のように思っている少年を起こさないようにしつつトイレへ向かい。

 漏らす事なく尿意から解放された後、トイレから部屋へ戻ろうとした時に……怪しい人影を見つけたことが切っ掛けであった。

 

 その人影は良く見ると兵士の恰好をしており、顔を見ればヘンリエッタの部屋の前の守衛だったのだが、その顔はいつも見る表情とは違うどこか怖い貌をしていた。

 この時リュカは、あんな顔をしてるなんて兵士の人もトイレに行くところのかなと、その程度に思っていた。

 しかしよく見てみると、その兵士は大きな布袋を肩に担いで人目を避けるように歩を進めており。

 

 その大きな袋は、中で何かがもがき暴れているかのように激しく動いていた事が、少女の疑念を更に強くした。

 少女の頭によぎるのは、最近起きた兄が無理をして王女を助けた時の光景。不吉な予感に思わず少女は足音が立てないように、しかし急いでその場から小走りで立ち去ると。

 宛がわれている部屋へ駆け込み、寝ている父と兄へ叫ぶ。

 

 

「お兄ちゃん、兵士さんが、兵士さんが……!」

 

「む……どうした?リュカ」

 

「……何かあったのか?」

 

 

 目をこすりつつ起き上がる二人に必死に訴えかけるリュカ、その様子から徒ならぬ気配を感じた父ことパパスと兄ことドレイクは互いに顔を見合わせて頷くとベッドから降り、手早く装備を身に着け始める。

 言葉をつっかえさせながら、必死に言葉を選び、リュカは叫ぶ。

 

 

「ヘンリーの部屋の前の兵士さんが、何かがあばれてる袋かついで、どこかへ行こうとしてる!」

 

「なにぃ!?」

 

「……嘘だろ、ふざけんなよ……!」

 

 

 娘の言葉にパパスが目を見開き、予想外の事態にドレイクは茫然と……しかし堪え切れない怒りに満ちた言葉を呟く。

 

 

「リュカ、その兵士はどこに向かっていた!?」

 

「えっと、えっと……こっち、ついてきてお兄ちゃん、お父さん!」

 

 

 リュカの肩を掴んで詰め寄るパパス、初めて見る父の剣幕に少女はたじろぎ……慣れないラインハット城の中を未だ幼い少女は口で説明することが出来ず。

 名案とばかりに閃くと、子猫の様に肩を掴んでいたパパスの手から離れて部屋を駆け出していき、パパスとドレイクは急いでリュカの後を追いかける。

 

 そして、暗い城の中を急いで駆け抜けた先で3人が見たモノは、ラインハット城の外れにある桟橋の上で兵士が肩に担いでいた大きな袋を下ろし。

 袋の中から猿轡を噛ませられたヘンリーを、薄汚い男達へ渡そうとしている光景だった。

 

 

「この、外道共がぁ!」

 

 

 その瞳に怒りを宿し咆哮するパパス、息子の様に思っているドレイクがその身を削り悲劇を食い止めた筈なのに、それを台無しにされた事は。

 彼にとって、許し難い暴挙で……ソレはパパスの隣を今この瞬間、風のように駆け抜けたドレイクにとっても同じ事であった。

 

 

「何やってんだよ、アンタはぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 パパス、そしてドレイクの叫びによって振り返る兵士と男達。それと同時に騒ぎに気付いたのかラインハット城の中が騒々しくなっていく。

 そして……鞘に入ったままの鋼の剣をドレイクはヘンリーを救出する為にも兵士へ大きく振りかぶり、兵士は無我夢中でドレイクの体躯からは想像していなかった程に重い剣撃を受け止める。

 

 男は逃げる機会を失うような兵士の行動に舌打ちすると、今この瞬間もドレイクと鍔迫り合いをしている兵士に後ろから前蹴りを入れ。

 今この瞬間も何とか逃げ出そうともがいていたヘンリーを肩に担ぐと、桟橋に留められていた小舟に飛び乗り、桟橋の上に男達と兵士を残したまま自分だけ小舟で逃げていく。

 

 このままでは死罪は免れない、それを理解する程度に知能があった逃げる術を失った男達はサーベルを腰から抜き放つと、鍔迫り合いをしていた相手がつんのめってきた事でバランスを崩し。

 今も隙を晒している、一度目の誘拐を邪魔した憎たらしいガキであるドレイクを殺そうと左右方向から斬りかかる。

 

 多少腕が立つ程度の子供ならば必殺の状況、ドレイクに迫る凶刃に事態を見守っていたリュカが悲鳴を上げる。

 しかし、魔境とも言えるサンタローズの北で生きてきたドレイクにとってはその程度危機にも入っていないのか、邪魔だとばかりに左腕で兵士をどけると片手持ちした鋼の剣で左からの刃を受け流し。

 右からの刃は、愛用の剣を抜いて間に割り込んできたパパスの剣によって受け止められる。

 

 

「パパスさん、感謝するぜ! だけど……クソォ! あの時、殺しておけば良かった、こんなヤツら!!」

 

「気にするな。そしてそんな事、思っていても言うものじゃないぞドレイク!」

 

 

 口元にニヤけた笑みを浮かべていた、必殺と思っていた一撃を凌がれた男達は逆上しもう一度とばかりに剣を振りかぶる。

 だが、二人がソレを許す事はなく彼らの二太刀目が入るよりも早く、鞘に入ったままの鋼の剣が男の肋骨を何本も情け容赦なく砕き、パパスの剣の峰打ちが男の意識を一瞬で刈り取った。

 

 後に遺されるのは、砕かれた肋骨の痛みに地面で呻き声を上げる男と白目を向いたままの男、そして膝から崩れ落ちたかのような姿勢で俯いたままの兵士。

 憤然冷めやらぬドレイクは腰に鋼の剣を戻すと、項垂れた姿勢のままの兵士の胸倉を掴み、怒りをぶつける。

 

 

「なんで、なんであんな事をしたんだよ! ヘンリーは……あの子は、あの子なりにアンタを信じてたんだぞ……?いつも悪戯で迷惑かけてるけど、頼りにしてるって言っていたんだぞぉ!?」

 

 

 裏切られたヘンリーの胸中を想い、否それだけではなく、ドレイクもまた愚痴を苦笑交じりに呟きつつも楽しそうにしていた兵士を信じていた。

 だからこその、この裏切りを彼は許せなかったのだ。

 

 

「母が、年老いた母が、魔物に襲われたんだ……神父のキアリーも効かない毒で、直すのに金が、金が必要だったんだ……!」

 

「っ! ~~~~~~クソがぁぁ!!」

 

 

 震えながら、しかし血を吐くような兵士の慟哭じみた叫び。

 その言葉を聞いたドレイクの頭に、やせ細り一度も顔を見たことのない父の名を呼びながら、眠るように息を引き取った母の死に顔が蘇り、少年は何かを叫ぼうとするも言葉にならず乱暴に兵士を突き飛ばす。

 

 

「……お前の気持ちも理解できると言うつもりはない、だが家族を想う気持ちは多少私もわかるつもりだ。だからこそ、お前の母がこんな事を望むのか?」

 

「……願わないさ、でも、たった一人の母なんだ……どうしても、生きてほしかったんだ」

 

 

 突き飛ばされ尻もちをついたままの兵士へ静かにパパスが問いかけるも、兵士は自暴自棄気味に懺悔するかのように答え、それっきり口を噤む。

 そうしている間に、ようやくラインハット城の兵士らが駆け付け、項垂れたままの兵士を乱暴に引っ立てていくが、兵士は抵抗する素振りを見せる事はなかった。

 

 

 

 その後、パパスとドレイク、そして第一目撃者であるリュカは謁見の間に呼び出され、憔悴した顔のラインハット王は口を開く。

 

 

「おお、儂の大事なヘンリエッタ……何故儂はもっと早く気付かなかったのじゃ……どうか、どうか頼むパパス殿。どうか儂の娘を取り戻してくれぬか……?」

 

 

 玉座から立ち上がり、大臣らが制止する言葉を無視しラインハット王はパパスの手を取り懇願する。

 友の言葉に、そしてドレイクの言葉から聞いた悲劇を回避する為にもパパスは頷き、その上でラインハット王へ頼む。

 

 

「わかった最善を尽くそう、その上でだが……友よ。娘のリュカを城で預かってもらう事は出来るか?」

 

「おお、そうだな……スコットよ、我が友の娘を守ってやってくれ。生い先短い儂のような老いぼれよりも、未来のある子供が大事じゃからな……」

 

「王よそのような事は……いえ、その命令。身命に賭しても」

 

 

 王は、古くからの友であり臣下の中で最も信頼している……武骨な顔をした近衛兵長に友の娘を託そうとする。

 王のその言葉に、傍に控えていた近衛兵長スコットが一瞬何かを言い淀むが、王の言葉に頷きリュカの手を引いて謁見の間を出ようとする、その時。

 

 

「あ、待っておじさん! お兄ちゃん、コレ、もってって!」

 

「……だが、コレはリュカの宝物だろう?」

 

「うん! だから、返しに来てね、約束だよ! ……お兄ちゃんも、お父さんのお手伝いに行くんだよね?」

 

「……ああ。だから、約束するよ。俺は必ず帰ってくるよ。ホークとチロルを預けるから、あいつらの世話を頼むぞ」

 

 

 手を引いていた近衛の手を離し、小走りにドレイクへ近寄るとリュカは腰に下げた袋を探り金色に輝く宝玉をドレイクへ手渡す。

 ソレがこの世界でどういう意味を持つ道具か、そしてリュカがソレをどれだけ大事にしているか知っているドレイクは驚きつつ問うも、リュカから返ってきた言葉に不器用に微笑み。

 宝玉を受け取り、もう片方の手でリュカの頭を優しく撫でて。預かった宝玉を腰に下げた袋へと仕舞う。

 

 幼い少女と少年の他愛もない約束、それはリュカが持つ優しい空気もあって緊迫しどこか張りつめていた謁見の間の空気を優しく和らげる。

 だがこの時、近衛兵……スコットが醜悪な笑みを浮かべていたことに誰かが気付いていたのならば、未来は変わったのかもしれない。

 

 

 

 

 そして場面は、パパスとドレイクが暗闇の中走り抜けていた時にまで戻り、二人は今男たちが気怠そうに見張りをしている古代遺跡入り口が見えるところまで辿り着いていた。

 

 

「本当は、お前も置いていきたかったのだがな……」

 

「言いっこなしだぜパパスさん、それに……家族の危機に何か出来たかもって後悔したくねぇしさ」

 

「フッ、そうか、お前はそうだよな……油断するなよ、ドレイク」

 

 

 パパスさんこそ、とまるで二人が出会った時のように生意気なことを言うドレイクにパパスは、フッと口元だけで笑みを浮かべると。

 ドレイクの頭が左右に揺れるぐらい乱暴に、ドレイクがやーめーろーよー。と抗議するにも関わらず撫でる。

 

 当然そんな事をしていれば見張りは二人に気付く、だが。

 パパスとドレイクには、もはや関係なかった。

 

 

「命が惜しくば、そこをどけぇ!」

 

「そう言う事だぁ!」

 

 

 一蹴する勢いで見張りを蹴散らし、古代遺跡の中へ突入する二人。

 向かう途中で走りながら作戦会議をした末に、厄介な援軍が来る前に電撃戦で救出をするという結論となっていたのだ。

 コレは二人共隠密行動が得意ではない事に端を発しており、そこで時間をかけるよりも最短を取る事を選択したのである。

 

 見張りを蹴散らし中へ突入した二人は、その恵まれた身体能力に物を言わせるがごとく立体的な構造をした遺跡の中を突き進む。

 当然、ヘンリーを浚った男達……ごろつき共や、遺跡を縄張りにしていた魔物達が立ち塞がる、しかし次々とそれらはパパスとドレイクが剣を振るうたびに薙ぎ倒されていく。

 そして二人は、遺跡の最深部にある朽ち果てかけた牢獄へと到達した。

 

 

「……なんだよ、どうせ俺なんて。誰にも望まれてないんだよ」

 

 

 縛られたまま牢獄の中で、光のない瞳で俯き呟くヘンリエッタ。

 その姿にドレイクが何かを言い出す前に、パパスは無言で牢獄の前へ歩くと力づくでその扉をこじ開け、不貞腐れた表情のヘンリエッタの前に膝立ちになるとその頬を平手打ちする。

 

 

「っ~~!? な、なにすんだよおっさん!!」

 

「……王女よお父上の気持ちを考えたことはあるか?」

 

「知るかよ!知るもんかよ!俺を、私を見てくれないから兄上になろうとして!それでも見てくれなかった父上の気持ちなんて知るかよ!」

 

 

 最初は不意打ち気味に齎された痛みに涙目だったヘンリエッタの瞳が潤み、パパスの言葉に感情が激発した王女は泣きながら叫ぶ。

 私を見て、私じゃないのがいけないのなら、俺を見てと。父に振り向いてもらおうとし続けてきたがそれすらも無意味だったと、心からの慟哭を上げる。

 

 

「お父上は悔やんでいたぞ、王女としっかり向き合うべきだったと。今からでも遅くはないんだ」

 

「っ……父上ぇ…………!」

 

 

 パパスの言葉に嘘だと返そうとするヘンリエッタ、しかしその言葉すら否定してしまったら縋るモノが無くなってしまう王女は声にならない嗚咽を上げながら涙を流し、松明の明かりが反射した涙が輝きながら一つ二つと、床へ落ちていく。

 その様子を見守っていたドレイクは、もしかすると俺の父親もそう思ってくれるだろうか。などと漠然と考えつつ、バカバカしいとばかりに頭を振り、聞こえてくる足音に気付くとパパスへ呼びかける。

 

 

「パパスさん、どうやら御代わりが来たみたいだ。急ごう!」

 

「うむ、ヘンリエッタ王女。失礼!」

 

「わきゃぁっ?!」

 

 

 ヘンリエッタの拘束を解いていたパパスであったが、ドレイクの言葉にうなずくと拘束が解かれた王女を肩に担いで立ち上がる。

 その間もドレイクは退路から押し寄せてこようとするごろつき達めがけ、足元に転がっていた瓦礫を躊躇う事なく投げつけては昏倒させていた。

 

 

「容赦がないな、お前は……」

 

「こんなクソみたいな連中、容赦する価値ないと思うんだ」

 

「……ドレイク、この事件が終わったらしっかり話し合うぞ」

 

 

 二人そろって走り出し、ドレイクがとっていた行動に思わずつぶやくパパス、そして返ってきた返答に息子同然の少年の危うさを再認識し、サンタローズへ帰ったらサンチョに手伝ってもらいしっかり情操教育をしようと、心に誓う。

 その間も二人の足は止まる事はなく、時折肩に担がれたヘンリエッタが目まぐるしく変わる景色に悲鳴を上げたりするが、特に妨害される事なく遺跡の入口広間へと辿り着き。

 

 そのまま、特に警戒していた危険な魔物に襲撃される事もなく、遺跡を脱出することに成功した。

 

 

「どうやら、間に合ったようだねパパスさん」

 

「まだ気を抜くなよ、ラインハットまで辿り着いてから……いや、どうやらラインハットの兵が迎えに来てくれたようだ」

 

 

 感無量そうに安堵の溜息を吐くドレイクに、まだパパスは油断する事なく周囲を見回せばラインハット城の方角から幾つもの松明を掲げ隊列を組んで歩いてくる集団を見つけるパパス。

 ドレイクが横で目を凝らしている中、松明の明かりで照らされた……風にはためくラインハットの紋章が刻まれた旗を掲げている事をパパスは見つけ、そこでようやく肩に担いだままだったヘンリーを地面へと降ろす。

 

 しかし、次の瞬間二人の目は驚愕の余り凍りつく事となる。

 その集団の先頭に立っている、ラインハット城でリュカを守っていたはずの近衛兵長が……傷に塗れぐったりしたままのリュカを担いでいたのだから。

 さらに、兵長の側近と思われる左右に立つ兵士は、リュカ同様傷塗れのホークとチロルを担いでおり……集団はそのままパパス達の前へ止まると、まるでゴミを投げ捨てるかのようにホークとチロルを地面へ投げ捨てる。 

 

 

「これはどう言うことだ? スコット殿」

 

 

 時折動き、呼吸している様子を見せる愛娘の姿に安堵しつつも、だがそれでも隠し切れない怒りに愛剣を握る手に血管を浮かべながらパパスは問い質す。

 そして、問われた近衛兵長はその武骨な顔に醜悪な、まるで三日月を思わせるほどに口を吊り上げて、下品に笑い始め。

 

 

「こういう事だよ、人間」

 

 

 傍に立つ部下へぐったりしたままのリュカを乱暴に投げ渡すと、その体をまるで内側から破裂させんとばかりに膨らませ、茫然と事態を見ているしかできないパパスとドレイク、そしてヘンリーの目の前で。

 人間の姿だった頃からは想像もつかない、筋肉に全身が包まれた。大きく裂けた口からは鋭い乱杭歯が覗く魔物へと変貌した。

 

 

「くくく、人間ってのはだらしねぇもんだな?ちょっと親しい人間に化けてやれば簡単に騙せたぜ」

 

「貴様……本物のスコット殿をどこへやった?!」

 

「さぁな? 大方、あいつの大事な家族と一緒に魔物の餌にでもなってんだろうよ」

 

 

 ゲラゲラと、心底愉快そうに笑うスコットだった魔物の言葉に呼応するかのように、傍に立っていた兵士達……よく見れば体のあちこちが朽ち果て、中には目玉が飛び出ているモノすらいる集団もまた笑いだす。

 リュカへの暴力、そして命を冒涜するがごとき魔物の言葉にパパスは咆哮しながら斬りかかろうと踏み込む、しかし。

 

 

「おっと、攻撃してもいいぜ。ただし、お前の大事な大事なお嬢ちゃんがどうなるかわからねぇけどなぁ?」

 

「……ぐぅっ……!」

 

 

 側近の鎧を着た魔物……がいこつ兵に気を失ったままのリュカへボロボロの槍を突きつけられ、その姿を目の当たりにしたパパスは踏み止まってしまう。

 ソレは、言葉を発する事なく隙を伺っていたドレイクも同様、薙ぎ倒して救うにはあまりにも形勢は不利だった。

 

 更に状況は悪化の一途を辿る。

 

 

「へへへ、こいつら好き勝手やってくれやがって」

 

「覚悟できてんだろうなぁ?」

 

 

 気絶させるにとどめて居た、比較的軽傷だったごろつき達が遺跡から現れ、パパス達を背後から取り囲む。

 

 そして。

 

 

「ほっほっほっ、どうやら随分とオイタをしてくれたようですね」

 

 

 絶望が、その場に降臨した。

 

 




最初は日記形式だったのですがしっくりこなくて書き直し。
じゃあドレイク一人称視点ではどうかと書くもやっぱりしっくりこなくて書き直し。
結果、こうなりました。ついでにゴンズにもスポットライトが当たりました。

状況を変えるべく動いたドレイク達、しかしゲマ達もまた臨機応変に動いていたのだ。

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