Fate/the Atonement feel 改変版   作:悪役

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1章 英霊闘争
始まりにして最大の試練


 

 

 

──甲高い音と共に堅い鋼が地に落ちるのを見た

 

 

周りは木製の……現代に比べれば稚拙な部分もあるが、恐らく道場と思わしき場所で一人の少女が真剣を握って一つの事を成し遂げる光景を真の意識は見ていた。

黒髪の……恐らくまだ5、6歳頃の年頃の少女が真剣を以て兜割りを達成した光景であった。

日本の、それこそ戦国時代においての兜など鋼によって錬鉄された鋼鉄の塊だ。

一流の武芸者ですらまず出来ない事を幼子はその齢で達成した。

周りの反応は様々であった。

 

 

 

驚嘆して何の反応も示さない者

 

余りの結果に膝を着き、畏怖で震える者

 

有り余る才覚の片鱗を見せられ、恐れながらも感動する者

 

 

その中で少女に近寄る男性は三つ目だったようだった。

幼子に駆け寄った男は刀を持っているというのに娘を抱き上げ

 

 

 

"見事! 見事だぞ虎千代! お前には武士としての才覚がある! 乱世に生まれた闘争の申し子だ!!"

 

 

……恐らく父と思われる男は娘の兜割りを前に狂喜乱舞していた。

娘を称えながら……男は愛ではなく打算を以て娘を愛でていた。

近い将来、この娘は人斬り道具として役目を果たし、己の価値を広める道具となるだろう、と少女の眼を通して視ていた俺にもそう感じ取れた。

思わず顔を……意識上では顰めながらも、しかし少女は無感動に小首を傾げるだけであった。

その反応にまだ幼子には理解出来ぬ事柄かと思い直したのか。

 

 

 

抱えていた娘を下ろし、父はそのまま道場から出て行った。

 

 

 

それを切っ掛けにぞろぞろと周りの者も出て行き……やがて一人になった幼子は持っている刀と割れた兜を見比べ……再び小首を傾げながら一人言葉を漏らした。

 

 

 

"……ちちうえ"

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

子供故の無理解ではなく、少女は本当に父や周りの反応が理解出来ていなかった。

()()()()()()()()()()()()()()()()、と少女は本気で呟いていた。

 

 

 

──ああ、よく理解出来る

 

 

彼女にとってはそこにある置物を剣で斬れるから斬った。

本当にそれだけなのだ。

これが特別な事なのだ、とか異常な事だなんて知らない。

俺達にとってはこれは砂場から砂があったから砂を手に取ったみたいな感覚でしかない。

だから、今、ここに一人取り残されている少女がどれ程孤独であったか……痛い程感じ取れる。

あくまでここが過去である以上、何をしても意味がない事を理解していても……出来るのならば少女の手を取ってあげたかった。

……当然、意識だけで体も何も無い状態では何も出来る事無く、少女はもう一度無感動に小首を傾げて

 

 

 

 

 

"……どうして、こんなことでおどろくのですか?"

 

 

 

と虚空に一人……寂しそうに呟き、そこで俺の意識は闇に落ちるのであった。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

「──さん、真さん」

 

 

ゆさゆさと揺らされる感覚に真はゆっくりを目を開くと視界一杯にとんでもない美少女の顔があるものだから心臓に悪い。

危うく跳ね上がりそうになりかけるのを意識で抑えていると、自分が寝ていた場所がベッドではなく椅子である事を思い出して……ああ、電車で寝ていたのね、と思い出す。

目的の駅に到達したのに眠りこけている自分に対してセイバーが起こしてくれた、という事だろう。

 

 

 

「ごめん、セイバー。迷惑かけた」

 

「いえ、この程度。マス……真さんの為にしているだけですから」

 

 

マスターという呼び方では流石に悪目立ちし過ぎるという事で名前で呼んで貰っているが、逆にこれはこれで気恥ずかしいな……!! と思うがどうしようもない。

お陰でさっきから周りの男どもが舌打ちしているのだが、せめて聞こえない所でやってくれないだろうか? 無理? 無理かぁ……。

いや、まぁ周りの人の感情はよく理解出来る。

今の彼女はどこにでもある現代風の衣装を着ているのだが……黒髪の艶やかさが洋服であっても発揮しているのだ。

洋服店では本人は店員にされるがままであったが、出来れば動きやすい服装を、と固辞した結果、ミニスカになっているのは如何なモノか、と俺は叫びたい。

 

 

 

 

お陰で美しい脚線美が開けっ広げに……!!

 

 

せめてニーソックスくらい履いたらいいのに、試したけど締め付けられる感覚が苦手、という事らしい。

己、戦国時代。ありがとうございます! ──いや違う。許さんぞ戦国時代!

最早、下を見る事は出来ない……と覚悟を決めながら荷物を降ろしながら──ふと気になった事を聞いてみた。

 

 

 

「そういやセイバー。俺、寝ている間に何か言わなかった?」

 

「いえ。ただ、何か嫌な夢をご覧になっていたので? とても不機嫌そうな表情を浮かべていらっしゃいましたが」

 

 

何でも、と適当に答えながら、ああ良かったと頷いた。

聡いセイバーなら寝言一つで悟られる可能性がある。

何せ、もしも口を開けていたら──俺は夢に出て来た人間全員をぶっ殺すくらいは叫んでそうだから、本当にそうならなくて良かった。

 

 

 

 

※※※

 

 

セイバーは大都会という言葉を今、初めて実感した気がした。

自分の時代における都会に適した都市は京であったが、ここは全く違う。

人の数は大量だし、知識だけはあるが見覚えも聞き覚えも無い絡繰り……じゃなくて機械が数え切れないほど見えるし、街並みですら違うものだ。

分かってはいたが、ここは自分が生きた時代でも無ければ自分が生まれた国でも無いのだと改めて実感する。

 

 

 

「ここから……確か宿を取られるのですよね」

 

「そうだな。また郊外辺りで家を取りたい所だけど……ヨーロッパは広いからな。足が無いと本当に大変だ」

 

 

車でも欲しいくらい、と独り言ちるマスターの言葉を聞きながら、少年の方針が何一つ変わっていない事を確認する。

マスター、遠坂真の方針は一切変わらず非戦。

あの少女に関しても付き合う義理は無いと語り、マスターは直ぐに荷物を束ねてその足でここまで逃げて来た。

それに関してはセイバーも特に何かを言う気は無かった。

あの少女に関しても何時か決着を着けるのだとしても、だからと言ってわざわざ殺し合いに付き合う必要はない。

それこそ聖杯戦争が終わるまで逃げ回り……私とバーサーカーが消えた後に決着を着ければ、あるいは正しい終わりを迎えれるかもしれないのだ。

 

 

 

無理に今、戦う必要はない。

 

 

そして私達は特に聖杯に興味が無い。

よって、戦う理由が無い自分達はどこかでひっそりと暮らせばいい。

 

 

 

 

……こんな事を考えているだけでもサーヴァントとしては異端でしょうか

 

 

殺し合いの為に呼ばれた駒がひっそりと暮らそうとしているのだから笑い話にもならない。

かと言って退去するにもマスターの安全が保障されていない以上、退去しようにも出来ない。

死んだまま生きて暮らす、というのは中々矛盾である。

しかし、そうなるとこのままでは私は無職の紐になってしまうのではないだろうか。

私は常に霊体化していていいというのにマスターは断固として許さず、服や食料ですら分け与えてくれる。

そんなマスターがひっそりと暮らしている時だけ霊体化させる、という事はないだろう。

で、あれば人は生きていくだけで様々な物を必要とする以上、先立つ物が無いといけないのだが……この時代に自分は適応出来るだろうか、という不安が……

 

 

 

 

ああ……特技人斬りなんて今のご時世では使えもしない特技……!!

 

 

冗談はさておき。

死者である自分がそんな事を考えるのはやはり違和感を覚えるが……そんな思考をしているとマスターが一度、セイバーと前置き

 

 

 

 

「──セイバーが生きてやりたい事が出来るように俺も手伝うから」

 

 

 

「──」

 

 

本当に困った。

この人は意図的に自分が死者であるという事を無視して喋る事がある。

ここにいるのはあくまで影法師。

かつて上杉不識庵謙信として駆け抜けた英霊の写身であるというのに、それを敢えて無視して生きた人間として扱う。

それを迷惑だ、と思う事は簡単なのだろうけど、それが尊さでもある事を理解してしまっている以上、口答えするのは気恥ずかしさを覆い隠す事にしかならない。

だから、自分は苦笑しながら話題を逸らす事にした。

 

 

「──どこに泊まるかは決めておられるので?」

 

「ああ。まぁ、近くでいいだろう。セイバーも少しは周りを観光したいだろうしな」

 

「べ、別に私の興味など……」

 

「いやいや。ドイツの料理は普通に美味しいからお勧めだぞ? 何ならデザートもいける……お! あんな所に〇ー〇ンダ〇ツの店が……!!」

 

 

案外この少年はタフかもしれない。

少なくとも冗談を言えるなら精神面では多少は持ち直したと判断してもいいだろうか。

元気な事は良い事である、とセイバーは苦笑に近い微笑を浮かべていると

 

 

 

 

「はい、セイバー。これ、アイス。えーーとセイバーに分かる言い方だと甘味」

 

 

と、何時の間にか何やら白い物体を以て渡してくるので、中々のフットワークである。

どうやら固形物の甘味みたいだが……貰った以上、食べるしかないので慌てて礼を言いながら口にすると

 

 

 

「……っ!?」

 

 

とても甘い味覚にセイバーは舌を打つのであった。

 

 

 

 

※※※

 

 

セイバーが目を輝かせながらアイスを食べるのを見て、よしっいい傾向……! と密かに拳を握る。

セイバーが生者を優先して自分の事を二の次にしているくらいは理解していた。

正直、その在り方には敬意と同意を得れる所が多分にあるのだが……俺程度にそこまでして貰う価値は無い。

出来るならセイバー自身が生きる理由を見つけて貰えればと俺は思っている。

その為に最も単純な食の欲求から攻めてみたが……狙いはばっちしだ。

やはり食べ物は全国所か死者にも通じる万能ツールである。

家を探すのも大変だが、折角だから今日一日くらいはセイバーの為に使うのも有りかな、と思い、静かな駅の構内を歩いていく。

 

 

 

「今回はバニラ……えーと牛の乳を搾った牛乳から作った云わば王道のアイスクリームの味を選んだけど、次はチョコ……って言っても分からないか。ま、ともかく違う種類でチャレンジして一番好きな味を探すっていうのも有りだな」

 

「な、成程……って違いますっ。甘味探しに来たわけじゃないですからねっ?」

 

 

そんなアイスを抱えて反論されても可愛いだけである。

うーーっと唸るセイバーを笑って見守りながら自分もアイスを舐めつつ駅の出口に歩いていく。

日本と違い改札機が無いから実にスムーズに出れるのだが、代わりに警備とか杜撰なのはどうしようもないんだろうなぁっと思ってしまう。

 

 

 

「それにしても……南蛮の駅はあっという間に人が少なくなるのですね」

 

「おいおい、何を言っているんだセイバー。幾ら何でも何百人も一斉に移動する物と場所なんだからそんな簡単に人が少なくなるなんて────」

 

 

あるわけないだろ、という言葉を最後まで発する事は出来なかった。

何故なら、セイバーの言葉通りに自分の周りには()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

伽藍堂と化した構内

 

 

その現象を理解した俺とセイバー。

まず、セイバーは即座に武装を取り出し、刀を抜き放つ。

俺はというと念には念をで戦闘用の赤いコートは着ている為、特に問題無いが自分の礼装である双剣を即座に取り出し、コートに突っ込みながら

 

 

 

「なんでだよ……!!」

 

 

規模が大きい以上、自分達がサーヴァントと出会う確率は決して高くないと見越しての逃走である筈なのに、逃走した先に闘争が待っているなんて駄洒落でしかない。

笑わせて欲しい笑い話を、遠坂真は何時も体験する事が出来ない。

これもまた呪いのような話であった。

 

 

 

 

優れた魔術回路はそれだけで魔を引き寄せる

 

 

時には偶然を装いながら必然とする不運は遠坂真を掴んで離さない。

ただ生きるだけでも許さない、と告げる様な呪いはある意味で遠坂真に似合いで……だからこそ歯噛みするしかなかった。

呪いによって遣わされた死神は予想に反して透き通るような綺麗な声を以て、自分達に声を掛けられた。

 

 

 

 

「──ねぇ、お話は終わり?」

 

 

口調は酷く無邪気でありながら雪を思わせる様な冷たさ。

妖精の呼びかけのような快感と不安を誘わせるような声に反射的に声がした方に振り向くと

 

 

 

 

そこには死神(しんわ)と妖精が立っていた。

 

 

 

「──」

 

 

妖精と見紛うかの少女は見た目の年齢は恐らく自分と同じくらいだろうが……雪のような白い髪と透き通るような赤い目を持った幻想を織り交ぜて生み出された少女はこの世のどんな存在よりも色鮮やかに美しさを表現していた。

 

 

 

 

───何て純粋。少女に比べればありとあらゆる生物が不純塗れにしか見えなくなる

 

 

反面、少女を支えるように……あるいは台無しにするように寄り添っている存在は強烈過ぎた。

2メートル……もしかしたら3メートル程の巨人のような身体に鋼を思わせるような体格だけでも規格外というのに、それら全てを吹き飛ばすような強烈な存在感。

あれを同じ生物と思うのは絶対に不可能だ。

間違いなく一つの神話において最強、あるいは怪物として名を馳せた英霊の中の英霊。

彼岸の彼方のような何かにまで変貌したそれに何かをしようとする方が異常で、だからこそつい、少女の方に視線を向け

 

 

 

「───」

 

 

 

口の中から矢が生えた。

違った。

実際は口の中に矢が刺さり─────それと同時に心臓、右腕、左腕、右足、左腕、脳、右目、左目に矢が全く同時に刺さった。

刹那における完全な絶命。

全ての傷にて未だ負傷の反応が起きないまま、遠坂真の意識が全てが射貫かれ──

 

 

 

「──マスター!!」

 

 

セイバーの鋭い一声によって死に掛けた自分(いしき)を取り戻した。

バラバラに砕けそうになる自意識を魔術回路を生成する方法を応用して取り戻し、倒れかけた手足に力を入れ、立ち上がる。

その様にへぇ? と笑う少女とほぅ、と呟く大男がいるが気にしていられない。

そう思っていると少女の方は雪解けのような笑みでこちらに声を掛けて来た。

 

 

「凄い凄い。アーチャーの威圧を受けて立ってられるなんて。お兄ちゃんはそこらの魔術師とは違うんだね」

 

「──残念ながらお門違いだ。俺は単なる落後者だ。聖杯戦争にも偶然巻き込まれただけのどこにでもいるろくでなしだ」

 

 

へぇ、そうなんだと聞き入れているが……どう見ても反応はどうでもいいけど、という感じである。

……可能性は低そうだけど、やれる事はやらないと、と思い、俺からも声を掛ける。

 

 

「……こっちは聖杯戦争には一切興味が無いんだ。サーヴァントを召喚したのもあくまで自衛の為であって聖杯なんて眉唾物に興味も無ければ欲しくも無い。だから出来れば見逃して欲しいんだけど?」

 

「そうねぇ……その言葉をあっさりと信じれるような要素も無いのに頷く馬鹿にはなれないわね」

 

「何なら自己強制証明(セルフギアス・スクロール)を使ってくれてもいいさ。それならそちらにもメリットが無いか?」

 

「……無くは無いけど──でも、あくまで私達の目的は聖杯なの。だから全てのサーヴァントを見逃すわけにはいかないわ」

 

 

つまり、正規のマスターというわけか。

こっちからしたら実に最悪な敵なので、顔を嫌な感じに歪めるしかない。

 

 

 

「ああ、でも──貴方が今直ぐ令呪でサーヴァントを自害させるっていうなら話は別だけど?」

 

「──断る。命の恩人を自分可愛さに自害させるくらいなら俺が自害する」

 

 

俺の発言にセイバーは溜息を、向こうのマスターとアーチャーと呼ばれた男は一瞬だが驚いたような顔と雰囲気を流し……マスターは愉快そうに笑った。

 

 

 

「貴方……名前は?」

 

「……シンだ」

 

「シン……シンかぁ。うん、何だか孤高そうな感じで素敵ね」

 

 

 

嬉しいような嬉しくないような褒め方をされてどう反応すればいいものか。

あーあ、残念と呟きながら、しかし少女は唐突にスカートの端を以て綺麗な一礼を行い

 

 

 

 

「私の名前はクラリス──アインツベルンと袂を別ち、滅ぼしたホムンクルスの一人よ」

 

「──」

 

 

二つほど、見逃せない事を言われたが……今の状況には関係ないしどうでもいいと思っていたが、むしろ逆にあれ? とクラリスと名乗った少女が首を傾げ

 

 

 

「そこは人形風情が反乱なぞ馬鹿げている、とか言わないの?」

 

「──お前達、ホムンクルス達に感情をつけた事と反乱されない為の環境づくりをしなかったお前らの主が悪い」

 

 

どれ程歪な生まれであったとしても、人としての感情がある以上、人間が出来る事は大抵出来るようになる。

どれだけ作り物であったとしても、人である以上、愛する事も憎む事も出来るのだ。

なら後はしっかりと作ったモノ達に報いる事を怠った主が悪い。

 

 

 

人形が裏切らない、なんて考えは最早古すぎる考えなのだ。

 

 

俺の考えに、また少しだけ瞠目しながら……多分だが、心底からの溜息を吐いて

 

 

 

 

「あーあ……ちょっとときめいちゃった──ま、それも出来ないから代わりに礼を尽くさせて貰うわ」

 

 

 

先程まであった少女らしい笑みを捨て、クラリスは真顔でこちらを見、

 

 

 

 

「改めて自己紹介させてもらうわ。私の名前はクラリス。盃の名前も、アインツベルンの名前も捨てたただの人造人間(ホムンクルス)。不完全さを以て貴方達の命を砕く者よ」

 

 

名乗りと同時に彫像のように立っていたアーチャーの眼に赤い光が宿る。

まるで今こそ命が吹き込まれたというように動くアーチャーはそれだけでこちらの心身を圧迫し、魔術回路が乱される。

人として扱うより災害として扱うべきそれに対して流石に真も死を覚悟しそうになるが──

 

 

 

「ご安心をマスター」

 

 

それだけの脅威を前にしてもセイバーはあくまで自然体。

空を支えかねない偉容を前にしても、一切無駄な力が籠められていない立ち姿と声は酷くあっさりと

 

 

 

「どんな力を持っていたとしても()()()()()()()()()()()()()()()()。で、あるならば斬り捨てられない道理はありませぬ」

 

 

例えどれ程、偉大な人生を歩んだ英雄が相手だとしても殺せれるのならば殺せる、と何の気負いも無しに告げるセイバーの態度に意識と力を改める。

そうだ、あれが今、どれだけ恐怖と畏怖を集めるような存在であっても──あれは一度死んだのだ。

何らかの弱点によるものかどうかは分からないが……それでも殺せる存在である以上、それは生物だ──決して倒せない存在ではない。

 

 

「──ACCESS」

 

 

スイッチが入る。

 

 

弾丸が装填されるイメージで魔術回路は起動し、思考は冷ややかになっていく。

脳内に浮かぶは己の双剣の設計図。

空想は魔力という骨子を以て現実に形を成し、最終的には3桁の剣の雨となる。

 

 

 

「──」

 

 

向こうが驚きに目を見開かれるが知った事ではない。

気付いたアーチャーが既に矢を創造し、こちらに引き絞っているが俺にも剣がいるから何も不安は無い。

大体──幾ら何でもいい加減むかついてくる。

こっちが幾ら譲歩しても相手は自分の言い分だけ押し付けて、それが駄目ならはい殺します──いい加減うんざりだ。

生憎、こちとら正義の味方でも無ければ司法の番人でも無い。

殺すと言ってきた相手にまで優しさを振りまくような余裕なんて一切ない。

瞬きと同時に瞳を鋼に、変え、音速突破の矢が放たれた瞬間に、己もまたトリガーとなる呪文を発する。

 

 

 

 

全工程完了(セット)全投影全掃射(フルバレルオープン)……!!」

 

 

 

 

唐突な遭遇戦は、開幕から互いに互いの命を取ろうとする一撃を以て幕を切って落とした。

 

 

 




案外早めに且つ短めに書き終えたので投稿します。


まぁ、大体分かられているかもしれませんが、アーチャーVSセイバーとクラリスというオリキャラと真のバトルから次回はスタートしています。
ようやく前回に追い付いてきましたし、実はここからの流れは余り前回と変わりませんが、出来ればご了承ください。



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