Fate/the Atonement feel 改変版   作:悪役

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英霊+死徒(■■■■)+魔術師+第■の継嗣+第■の■■=


終わりの赤色

 

 

 

 

──()()は自動的に感じ取っていた。

 

 

それには一切の知性も無ければ理性も、あるいは狂気も無い。

当然だ。

それは元より形が無いモノ。

命が無いモノ、終わりを迎えたモノ、滅びを受け入れたモノ。

 

 

 

──当の昔に死を迎えたモノなのだから。

 

 

 

死徒のように人としての自分を終え、亡者になっているという言葉遊びではない。

事実、それはもう死に絶えている。

体など無い。

思考など無い。

心なんて当の昔に捨てた。

 

 

 

無い、無い、無い、無い、無い無い尽くしの亡者よりも亡者らしいのがそれの特性であった

 

 

 

敢えてそれに名を付けるならば怨念と呼ぶべきだろう。

思考も心も無いが……感情を基に生まれたそれは正しく怨念としか言えないだろう。

呪い、喰らい、犯すだけの亡霊。

最も知性が無いそれは、要は台風や地震といった自然現象に近しく、意志を以て動く事も無ければ、逆に何の脈絡もなく動く事もあった。

その事から傍迷惑ではあるが……どちらのキョウカイも放置するに限る、という判断を下すしか無かった。

 

 

 

 

既に滅んだもの、死を迎えた怨念を殺す為に死者を積み上げるのは余りにも()()()だと決断を下したのだ

 

 

 

故にそれは今もまだ放置され、ただ怨念を吐き散らす自然災害であり続けたのだが……一つだけ、亡霊を呼び寄せる餌のようなものがあった。

 

 

 

それは酷く高度な魔術式

 

 

あるいは純粋に質と量が極上の魔力

 

 

 

怨念である癖に……否、あるいは怨念であるからこそ惹かれるのか。

血の匂いに惹かれた肉食獣のように、しかし欲ではなくあくまで自動的にそれは()()に向かう。

 

 

 

今、自分が最も惹かれる大地──欧州の大地に

 

 

※※※

 

 

アーチャーは一歩一歩前進しながら、敵の魔物を見やる。

弓兵としての視覚は魔物の全体的な身長に体重、全てを推し量っていた。

そのどれもが現代には有り得ない程の質量に巨大さ。

自分が昔、相対した魔物や巨人族にも全く見劣らない体格を前に、アーチャーがした事は呆れの吐息を吐く事であった──()()()()()()()()()、と。

一切の恐怖も無ければ、敗北感すら芽生えていない。

 

 

 

……巨獣もそれを悟ったのか。

先程よりも鋭く、両の足に全体重を乗せている

 

 

そのまま一気に突進して轢き殺そう、というのだろう。

成程、よくある手だ、と思い──アーチャーは弓を消し、ゴキゴキと骨を鳴らす。

繰り返す事になるが、アーチャーはこの魔物の脅威度をしっかりと理解している。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「■■■ーーー!!!」

 

 

その傲慢に耐えきれなかったのか。

"陸の王者"は即座に地を蹴り、己が出せるトップスピードを以て肉薄する。

全身を凶器へと変えての突撃は何も傲慢が許せないからではない。

怪物は怪物なりの知性を以て、敵対者の脅威を判断し、結果、愚直に突撃する事を是としたのだ。

己の質量に速度を合わせれば、如何な超越種であろうとも負けはしないという判断なのだろう。

その事にアーチャーは魔物にしては見事な闘争本能である、と頷きながら──より深く腰を屈め、両の足を大地に突き立てる。

 

 

 

 

全長200mもの巨獣を相手に、人としては巨大とはいえ、2、3m程の人間が拳一つで相対するという傍から見れば正気を疑う光景がそこにあった

 

 

英霊ですら息を飲む展開に……アーチャーは嘆息していた。

これから自分に起こる不幸に──ではない。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

サーヴァントである自分を否定するわけでもないし、生前の力をそのまま使えたら仕えたで問題が起きる事は分かっているが……それを含めてもまさか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

その思いを抱えたまま……アーチャーは一歩、拳の為の一歩を踏み出し

 

 

 

「──!!」

 

 

最大最強の一撃を魔物にぶちかました。

 

 

 

 

※※※

 

 

空からその光景を見ていたランサーは予想していたとはいえ目の前の光景を見ると本日何度目かの溜息を吐かざるを得なかった。

何せ、全長200mの巨大な魔物を負傷したとはいえ生身の拳で吹き飛ばし、拉げさせる光景など英霊が見ても悪夢のようなものだ。

震動するように肌を震わせながら、次第に壊れていきながら吹き飛ぶ怪物は自分に何が起きたのかも理解出来ていないだろう。

無理もない。

 

 

 

 

魔物からしたら小さき人間の拳一つに()()()するなど悪夢でしかないだろう。

 

 

 

魔物が人々の理不尽であるならば、大英雄ヘラクレスは魔物に対する究極の理不尽。

本来ある理屈を無視して成果を力づくで成し得る不撓不屈の大英雄だ。

 

 

 

 

「最も、無傷とはいかなかったようだが」

 

 

ランサーの視界に映るアーチャーもまたかなりの負傷を得ていた。

殴りかかった右の腕はまるで折り畳まれたかのようにぐちゃぐちゃに潰れており、巨大な魔物の突撃と体重を支えた両足や背骨、内臓は砕け、潰れているだろう。

奇跡を成し遂げる為の当然の犠牲……と言いたい所だが、本人は自身の潰れた体を見て、やれやれと言わんばかりに首を振っているのを見る限り、致命傷には程遠いようだ。

 

 

 

……まさしく強敵だな

 

 

今は味方であると言っても武者震いを止める事が出来ない程の強敵。

あれ程の男を相手にするのは今生における最大の幸運やもしれない。

 

 

 

「──で、あるならば俺も引いてはいられないな」

 

 

凝縮される熱。

眼に灯るように燃える炎はスーリヤを父とするカルナの誇り。

それを最大出力で今も空に浮かぶ魔物に対して放った。

 

 

 

 

※※※

 

 

セイバーはマスター達を保護しながら、今日何度目かの溜息を吐く事を止めれなかった。

先程のアーチャーのとんでもなさも大概だが、ランサーも全然負けていない。

放たれた炎の視線は進路にある物を全て焼き尽くす太陽の如き焔。

あれ程、巨大な魔物であっても日の光を防ぐ事は不可能。

触れた個所から焼き尽くされ、消滅していく光景は同じ英霊の所業とは思いたくないのだが、現実は受け止めるしかない。

私は奇跡には程遠い木っ端な英霊なのだ。

その事実を下に戦うしか無いのだ。

そういう意味では直ぐ傍に敵のマスターがいる今は正直美味しい状況なのだが………

 

 

 

それをすればマスターが自害とは……

 

 

仕方が無いとはいえ、絶好の好機があるのにと思ってしまう。

だからといって未練に何時までも引き摺られてはいけない。

今は敵の怪物を倒す事を第一に考えろ、と念じ、未練を断ち切る。

 

 

 

……それにしても

 

 

あの巨大な魔物は確かに脅威であり強敵だった。

自分一人では余りに相性が悪い為、難しい相手であっただろう。

しかしアーチャーとランサーからしたら難しくはない敵であったという事なのだろう。

あの魔物も本来は掃討用……集団を蹴散らかす為の魔物なのだろう。

でなければ、幾ら巨体とはいえ大きさを頼りにただ突撃をするというのは考えにくい。

いや、本来ならばそれで十分である筈なのだが、此処に例外がある以上、仕方が無い。

 

 

 

……問題は通じないと証明された後、あの子供の姿をした怪物はどうするか

 

 

あの二人を前に乗り越えるのは不可能と断じて引いてくれるのならば楽だ。

そうすれば、またアーチャーとランサーを相手の殺し合いになるかもしれないが、同じ不確定ならまだ"人間"である二人を相手した方が気が楽だ。

怪物を相手にした時、セイバーの今までの経験値では初手の対応が難しい。

現状は、アーチャー、ランサーによる有利な展開が続いているから普通ならここで撤退をしてもおかしくないのだが……あの激情を前にすれば、それらの考えは楽観に繋がる。

 

 

 

激情は時に戦略を無視する

 

 

 

で、あれば次来るとすれば……

 

 

そう思い、刀を握り、思考を加速し、認識を広げる中──広げた認識に引っ掛るものを感じ取り、セイバーは横を見た。

そこにはビルがあり、砕かれなかった硝子が映っており──その硝子は幾ら空が曇っているとはいえ、それ以上に闇に染まっていた。

一切の光を含まない暗闇としか表現できない闇。

 

 

 

 

──なのに、闇の中であるというのに鮮明に映る姿がそこにあった

 

 

 

それはさっきの巨大な鯨のような犬に比べれば普通の人に見えた。

否、人というより……絡繰り人形のように見えた。

とても肌とは思えない質感に人間では形作れない"無"の表情。

最初からそういう風に固定されているとしか思えない顔は、それこそ人に形作られた物でなければ到底不可能だ。

何らかの金属か、それとも鉱物で作られているのかは分からないが、よくよく見れば足など人の長さと太さで作られた柱みたいな形で生えている。

更には纏っている服の裾から槍のような物も生えており、サーヴァントでなくても嫌な予感を感じざる得ない"それ"は無機質にこちらを見る。

見た感じ、アバターは女性ではあるが、それは一切こちらを安堵させる要素になり得ない。

 

 

 

 

何せ、そのまま裾からはみ出ている槍を腕ごと向けながら発射してくる相手の何に安堵出来るという

 

 

 

「──っ!」

 

 

即座に走り込み、飛ばしてきた槍のような物を弾き飛ばす。

音速は超えていたがアーチャーやランサーを相手にした後に見れば、酷く遅いし弱い。

これならば、自分の領分であると思い、剣を構える。

すると"それ"は一度首を傾げ、ずぶりと鏡から姿を現す。

背後のマスター達が緊張を強めるのが分かるが、自分が片手で制す。

 

 

 

 

「──ランサー!」

 

 

一声かけると空に浮かんでいたランサーがこちらを見、状況を認識する。

ある意味、これも想定内だ。

四肢の内の一つから現れたのだから、最低、4体出てくることは想定している。

全てが全て、巨大さで来られたらセイバーは無力に陥る所だったが、どうやらそうではないらしい。

あのように人形のような人型もいるのならば、己でもやれる。

相手が人型であるというのならば、自分の殺傷範囲内だ。

 

 

 

 

──しかし、人型である事が()()()()()()()()()()()()()()()()()である事をセイバーは直ぐ悟る事になった

 

 

 

「──は?」

 

 

相も変わらずの無機質な顔のまま、唐突に両手を突き出したかと思えば──両手は何時の間にか金属的な輝きを持った数多くの円筒を突き出す武器に変貌した。

サーヴァントとしての知識が、それが銃器……現代でガトリングガンと呼ばれる類いである事を知識として知るが──コンマ一秒後にそれがどれだけ優れた兵器である事かを身を持って知る。

 

 

 

「──ッ!」

 

 

秒間100発を優に超えて発射されるのはまともではない物故か。

今の所真っすぐにこちらに向かってくるが、軌道も途中で変わる事もあるかもしれないとなると下手に避けるのも考え物。

 

 

 

全て叩き落すしかない

 

 

その思考と共に刃を振るう。

()()()()()()()()()()()()()()()()

最初の一発を切り落とした時から既に音速を超え、己の形を残像として残す。

後は同じ事の繰り返しだ。

数千だろうが、数万だろうが同じことをし続ければ全てを防ぐ事が出来──結果として僅か6千486発を防いだら、射撃は止まった。

足場が自身の動きに耐え切れず、摩擦熱で燃えているが、そういった部分はサーヴァントで助かった。

お陰で履物の心配をしなくて済む。

 

 

 

「……つかぬ事を聞きますが、セイバーさん。今、貴方ガトリングガンを全て切り落としませんでしたか?」

 

 

そう思っていると何故か後ろから敬語でマスターから神妙そうな声で聴いてくるので、視線を向けないまま首を傾げて

 

 

 

 

「はい。残らず叩き落しましたが?」

 

 

それが何か? という形の疑問視を浮かべるが、背後でマスターが深く頷き、他二人のマスターは呆れの吐息を吐いているが、あの2騎を従えているマスター達にそんな風に溜息を吐かれるのは実に心外である。

ともあれ、アレの相手は自分がするしかないようだ。

ランサーも既に自身の上空に戻っている。

これならば、任せても問題無いだろう。

 

 

 

「マスター」

 

「遠慮なく叩き潰してやれ」

 

 

ふん、と鼻を鳴らして何時にない攻撃性を見せるマスターの言葉に頷き、目の前の絡繰り人形に視線を向ける。

当然、向こうは一切表情は変わらないまま──今度は両の手を鞭に変えて、一気に攻撃を仕掛けて来た。

胴の上辺りと膝辺りを狙って横薙ぎされる軌道に、セイバーは迷わず突撃した。

 

 

 

「──」

 

 

体を丸め、ほんの刹那の間だけ足を浮かして、二つの攻撃の間を狙って突っ切る。

どちらの攻撃も音の速さを超えている為、何の音も聞こえないが、それはこちらも同じ事。

このまま近接戦に持ち込めば、こちらの領分だと思い、突っ切る。

後、一歩で切り裂ける──その考え事、引き裂く物が自信と絡繰りの間から生えた。

 

 

 

「……!?」

 

 

それこそまるで絡繰りの腹を引き裂いて生まれたかのように生えた銃器──散弾銃である事まで理解出来ないセイバーは目を見開き、轟音と共に発射されるそれを目に焼き付けた。

 

 

 

 

※※※

 

 

真はセイバーが致命の領域にいたセイバーが即座に身を翻し、散弾の雨を全て躱している事にホッとしながら、現状を見て取る。

戦況は互角……否、こちらが優勢だ。

らしくないようでいてある意味らしい結末なのだろう。

怪物とは人を蹂躙するものだが……英雄は怪物を退治する者。

俺達のようなただの人類に対しては格上として肉を食らう怪物だが、人の域を超えた超人に対して怪物は首を刎ねられるのが物語の常だ。

更にはここにいるのは怪物狩りのヘラクレスと焔のランサー……多分だが、あれは半人半神の太陽に纏わる英霊ではないかと思っているが、その二人がいるのだ。

ヘラクレスは不死の殺し方を何よりも理解しているし、推測が当たっているのならばランサーは怪物という概念に対する天敵だ。

相性という意味では最悪だ。

 

 

 

 

如何に悪魔使いとはいえ、彼らを前にして勝利を確信する事など出来ない

 

 

だから、そういう意味ではマスターを狙うという意味であの機械人形のような悪魔を遣わしたのだろうけど、今度はそれはセイバーと相性が悪い。

恐らく兵器という概念から生まれた悪魔だろうが、であるなら、例え近代の兵器であろうとそれがただ人を殺すだけの兵器であるならセイバーに勝てるとは思えない。

 

 

 

サーヴァントを倒せないならマスターをどうにかして殺すしかないという手段が現状手詰まりなのだ

 

 

まだ悪魔は恐らく二匹いるだろうが……未だ出さないという事は戦闘用ではないか、ハイリスクな悪魔なのではないかと思われる。

では、どうするか。

本人が出てくるという手もあるが……アレ本体にどこまでの力があるかは不明だが……恐らく悪魔使いである事が本領である以上、弱いわけではないが、自分達のサーヴァントに打ち勝つ程ではないのではないかと思う。

本来、あの悪魔はこうも容易く打ち勝てる存在ではないが……余りにも相性が悪い。

勿論、それを悪魔使いであるあのクソ野郎も改めて理解している筈。

 

 

 

 

で、あるならここでする行動は──撤退だろう

 

 

 

その事に腸が煮えかえる程の激情が身を焦がすが……唇を噛む事によって耐える。

分かっている。

ここで無理に攻めれば、バランスよく優勢である今の状況を壊しかねない事を。

忘れてはいけない。

今の優勢も薄氷の上にあるのだ。

ここで誰か一人でも死ねば、その瞬間、バランスが崩壊する。

アーチャーとクラリスがいるから、巨大な怪物を相手に真っ正面から闘える。

ランサーとシルヴィアがいるから、いざという時に備えつつ、アーチャーとセイバーを援護出来る。

俺とセイバーがいるからこそ、新たに現れた悪魔に対しても手を打てる。

 

 

 

 

「……はっ」

 

 

一度、冷静さを取り戻すために大きく息を吸い、吐く。

朝の冷たい空気を体に取り込めばそれだけで少し体温が上がった体を冷やしてくれるようだ。

分かっている。

感情一つで強くなれるのなら、人類は実に都合のいい進化をしている。

怒りで上手く行くことが無いとは言わないが、怒りだけで全てを解決出来るのならば経験という言葉も天才という言葉も生まれていない。

現に今もこちらが優勢なのはサーヴァントが強力であるからであって、自分の力ではない。

もしも自分一人で挑めば既に目の前の鯨犬に踏み潰されていただろう。

だから、俺が願うのは相手の撤退と皆の生還だ。

それこそが現時点における至上の結末だ、と頷き

 

 

 

 

「……くそったれが……」

 

 

口から洩れた自分の言葉に込められた憎々しさにこそ俺は舌打ちした。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

遠坂真が想像した通りに、悪魔使いは現状をしっかりと把握していた。

激情に身を委ねていたが……少年とて長い年月を生きて来た死徒だ。

可能と不可能を分ける事くらいは出来るし,激情の中で冷静な判断を下す事も出来る。

その程度の事が出来ない存在が今の地位、格になど到達出来ない。

 

 

 

 

「やれやれ。運が悪い……いや、状況を考えずに仕掛けた僕が言う事でも無いか」

 

 

現状、詰んでいるとは言わない。

"陸の王者"に"機械令嬢"を遠慮なくぶつけてみたが、どちらも効果が薄いが、悪魔二匹で英霊二匹を足止め出来ていると考えれば、そう悪いものでもない。

残り二匹の悪魔の内の最後の一匹を差し向け、英霊のどれか一体を葬ればこちらが優勢になる。

が、逆にそれは自分自身もノーガードになる事を意味する。

人間相手ならば自身でもそう遅れを取るつもりは無いが、最悪、向こうも防御を捨てて攻勢に出られたなら自身の討滅も十分にあり得る。

この状況が今の自分にとっての境界線(ボーダーライン)というわけだ。

 

 

 

「全く。溜まったもんじゃないね。仇の継嗣と巡り合えたっていうのに、まるで運命に守られているかのように大英雄共が揃っているんだから。これだから秩序の飼い犬共は」

 

 

抑え込んだ激情を飲み下す為に、口から激情の一部だけを吐き出す。

お手上げだ、と両手を上げているが……目には一切の敗北感を宿していない。

むしろ殺意が研ぎ澄まされるだけであり、決して負けというわけでは無い事を理解しているからだ。

確かにあのサーヴァント共は己の憎悪から盾となったが……サーヴァント共が召喚された理由が聖杯戦争である以上、盾であった英霊は即座に矛と化す。

昨日の敵が今日の友に、なんて輝かしい結末など向かえない。

ましてや魔術師同士であるならば、猶更に。

裏切りが十八番の薄暗い連中には実にお似合いな関係だ。

 

 

 

 

その時ならば、幾らでも背後から牙を突き立てる事が可能だろう、と唇を歪める

 

 

 

そうと決まったならば話は早い。

とっととこの街を離れつつ、あの老害の系譜を追えばいい。

欠片でもあの御方を穢す可能性がある存在を少年が許す事は無い。

立ち上がりながら、暗い笑みを浮かべていた少年はその瞬間まで己の憎悪に浸っており、事実、暗い欲望を成就出来る事を楽しみにしていた。

 

 

 

 

──次の瞬間、ある気配を感じ取るまでは

 

 

 

「──なに?」

 

 

少年は信じられないという顔で気配がした方角を見やる。

そっちにはあの魔術師達もサーヴァントも存在しない。

敢えて言うならば……その方角の雲は酷くどんよりとしていた。

朝から確かに空は曇っていたが、その方角の天気はまるで天気(シーン)が違うドラマの如く暗く、暗く、死徒である少年ですら息苦しさを感じるほどに重苦しい暗雲。

それの意味を理解した瞬間、悪魔使いである少年は顔を引き攣らせた(・・・・・・・・)

 

 

 

 

「おいおい……ちょっと待て冗談じゃないぞ第一の亡霊(スタンティア)……! ここに君が喰らう程の物なんて──」

 

 

無い……とは全然言い切れない。

何せ、此処に集うのは神代において最強と称されたであろう大英雄が二騎に普通の英霊が一騎、死徒二七祖が一体、更にはあの老害の継嗣がいるのであれば、成程確かに捕食侯爵が喰らうに十分に値すると言えなくはないだろう。

理解は出来ても標的にされている内の一人に自分がいるのであれば、笑えない冗談のような悪夢に陥るのだが。

 

 

 

 

「ああもう、何て厄日だ……!!」

 

 

悪魔使いが厄に関して叫ぶのは如何にも道化的だが、事実そうなのだから仕方がない。

アレが近付いているなら今までの目論見は全部パーになるが、ここで無駄死にする末路に比べれば遥かにマシだ。

 

 

 

 

敢えて願う事があるのならば──そのまま巻き込まれて死ね

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

当然だがその異変はマスターとサーヴァントに対しても伝播した。

一番に気付くのはそういった()()によく関りがあったアーチャー。

続いてランサー、その次に遠坂真、セイバーと順に続いて察知する。

 

 

 

「……何ですの?」

 

 

シルヴィアもまた続いて気付き、怖気を感じる方角に視線を向ける。

感じる怖気を知っている感覚で例えるならば……まるで大量の蟲の羽音。

その音の原因が余りにも当然で、しかし膨大であるが故に不吉を感じる様な感覚は段々と自分達に近付いてきている事を理解した。

やはり、最初に考えるのは新手。

新しいサーヴァントがこちらに向かってきているのかと思ったが……この感覚が果たして英霊、と呼べるような存在なのだろうか、という疑問はあった。

むしろ、似ているという意味ならばそれこそ少年の形をした吸血鬼であったあの怪物の方に近しい。

となると死徒の増援かと思ったのだが……それで考えても何かが違う、と感じる。

 

 

 

 

何なのですか──その思いは唐突に断ち切られる

 

 

細い腕が自分の腰に回り、即座に勢いよく空に上げられたのだ。

それがランサーの仕業である事は承知していたが、余りにも唐突に、しかしも急激であった為、シルヴィアは驚きに身を硬直した後に叫んだ。

 

 

 

「きゃっ!? な、何をするんですのランサー!?」

 

「すまん。釈明は後で必ずすると誓おう。今はここから離れる事を第一とする事を許せ」

 

 

何を……!? という怒りに似た疑問は彼の表情を見た後、焼き消えた。

ランサーの表情はあれ程絶望的な二匹の悪魔を相手にした時ですら生まれなかった焦燥の色が濃く見えており──信じられない事だが、今、ランサーは懸命に()()()()()()()()()()()()()()

あのマハーバーラタの大英雄のカルナが、ただ逃げる事だけを考えなければいけない。

その事態を理解し──シルヴィアは空に上がった事によってより懸命に見る事が出来る空を見た。

 

 

 

 

「──────ぇ?」

 

 

一瞬で精神が砕け散る様な絶望的な圧をそこから感じた。

怒り、憎しみ、哀しみ、恐怖。

そのどれでもあって、どれでもないそれらを最も表現し易い言葉は怨念と言うべきだろう。

現代の人間であれば怨念等眉唾物であると考えるのだろうが、魔術師であるシルヴィアは違う。

膨大な、あるいは尋常ではない質の感情は魔力やそれ以外と繋がれば、形となって存在し、文字通り怨念を晴らす呪いと化す事をしている。

自分がよく好んで使うガントもまたそれと同じ理屈だ。

指先を相手に突き付ける事は体調を悪化させるとされており、その行為自体が相手を呪っているという事になり、魔術が成立する。

 

 

 

 

そういう意味では怨念は魔術に親しみがある物であるとも言える

 

 

 

超一流と自他共に認めるシルヴィアにとっては飽きる程浴びたものであり、浴びせたものだ。

故に()()は自分が慣れ親しんだモノと言えるが……余りにも量が、質が違った。

個でありながら群体のような量。

個でありながら集団を覆すような質。

 

 

 

 

さながらハリケーンのような……否、性質と見た目を吟じるなら正しくハリケーンだ

 

 

ただ人を吹き飛ばした結果として殺してしまうハリケーンと人を捕食し、命を冒涜する()()を同一視していいのかは疑問の所だが……少なくとも大量に人を殺戮するという点では同じなのだろう。

黒く澱んだ風のような……手のような物がこの街に近付いており、酷く絶望的な五月蠅の群れのようでもあった。

 

 

 

 

「──」

 

 

あれが何かを問う事も出来ず──さりとて戻って誰かを助けろ、という事もシルヴィアは念じれなかった。

カルナは間違いなく大英雄の一騎だ。

特に黄金の鎧を纏っている現在であるならば、あれ程の怨念の嵐の中でも生存して活動出来る可能性はある。

ただ、それはあくまで可能性であり……その方法を取るには神秘の隠匿も無視した行動を取らざるを得ない可能性も含められていた。

無論、記憶に関しては暗示で多少は何とか出来るかもしれないが……絶対ではない。

そこまでを思考し、シルヴィアは呆然としながら……内心で自嘲した。

 

 

 

 

結局の所……他者を神秘の隠匿の為であるなら気軽に捨て石出来る以上、あの死徒を侮辱する資格など自分には欠片も存在していないのだ

 

 

 

だから、シルヴィアは怨念の嵐を見つめ続けた。

唇から噛み切った事によって流れる血液を無視しながら。

 

 

 

 

※※※

 

 

遠坂真もまた同じ物を見て……暴れていた。

セイバーに無理矢理抱えられて逃げさせられているのを止めようともがいていた。

 

 

 

 

「離せセイバー!!」

 

 

俺の叫びに、しかしセイバーは答えない。

魔力で強化している体ですら軋む程の速度で駆け抜け、あの怨念の嵐から逃れようとしている。

分かっている。

セイバーが必死に自分を守ろうとしている事くらい分かっている。

本当ならそれに感謝する事はあっても罵倒する権利など欠片も無い。

だけど、それでも抗う理由があるのだ。

 

 

 

 

「まだ! たくさんの人が! 俺一人じゃ到底届かない人達が!!」

 

 

街である以上、どれだけの数であろうと人がたくさんいる。

千人か、あるいは万人以上いるのかもしれない。

否、例え、それが百人、あるいは十人くらいの少人数であろうとも己より遥かに多く、価値がある宝石(いのち)だ。

老い先短いい命であろうと新たに芽吹いた命であろうとも、それらの命は間違いなく遠坂真とは比べようもなく尊く、美しい命だ。

何よりもかけがえのない宝を、見捨てる事なんて遠坂真には出来なかった。

だから、真は言葉での説得を諦め、強化を更に高め、無理矢理抜け出そうと試み

 

 

 

「……かっ!?」

 

 

何時の間にか拘束され、首を絞められる形にされていた。

一秒事に気道が締まり、酸素が全身から失われていくのを察知しながら、それでも真は手を伸ばした。

怨念の嵐に呑まれそうになる街。

何も知らず、ただ生きていただけの街が、今、正に飲み込まれそうになる光景を霞む視界で捉える。

無駄であり無意味であったとしても手を伸ばさずいられなかった。

 

 

 

 

霞み、遠ざかる街並み

 

 

もっと遠く離れれば手で掴めそうになりそうなのに……どうしても手に届かない物。

余りの遠さに涙が出てきそうであった。

 

 

 

 

何時だって、どんなモノだって──遠坂真にとっては届かないモノであったのだから

 

 

 

その思考と共に意識が沈む。

手だけは最後まで伸ばしながら──最後まで抗いを諦める事も出来ずに。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

──ニュース速報です。

 

 

今朝、未明にドイツの×××市にて大型のハリケーンが直撃しました。

既存のハリケーンの法則とは違い、まるで唐突にそこに発生した、という事で現場は今、大混乱の極みです。

不幸中の幸いで、大型ハリケーンは×××市の後は無くなりましたが……直撃を受けた×××市の死傷者は多数。現状、生存者の確認は出来ていません。

 

 

現在、救助隊が生存者を探している最中です。

 

 

 

 

※※※

 

 

ゆっくりと浮かぶように意識を取り戻す中、遠坂真は何故か立ち上がらなければいけないという感覚で目を開けると同時に起き上がる。

周りは荒野……というか広いヨーロッパの土地にはよくある広い大地の一角なのだろう。

少し遠くを見れば道路と思わしき場所もあり、葡萄畑も見える。

近くには未だ鎧と刀を装備しているセイバーが几帳面に正座で構えているが……探すべきは"それ"じゃない、という感覚を信じ、眼球に強化を叩き込んで、遠くを見つめ──思い出した。

 

 

 

 

「ぁ……あ、あぁ……」

 

 

両手を大地に付け、俯き、呻く。

分かっている。仕方が無い事だ。あの時、あの状況ではこれが最善であった。

そんな理屈を跳ね除け、怒りと絶望が己の体を蝕み、喉から情けない呻き声を漏らす。

 

 

 

 

強化によって見えた光景──そこにはかつて街()()()()場所が見るも無残に破壊され、蹂躙されている街並み

 

 

 

建物など全て崩れ落ちており、道路といった大地ですら全て捲れ上げ、場所によっては粉々になっている場所も多数あり──硬いコンクリートやビルですらそうなのだから、それ以上に柔らかい人間など考えるまでも無かった。

 

 

 

 

結論を言えば──遠坂真は街一つに居た全ての命を見捨てた事によって生まれた光景であった

 

 

 

 

 

「あ──ああああああああああああああああああああああああ……!!!!」

 

 

 

大地に拳を叩きつける。

資格なんて無いのに大量の涙が眼から零れる。

最早、笑う事も、自分に殺意を持つ事も出来なかった。

遠坂真の呪いは今、ここでも遺憾なく発揮していた。

ただそこにいるだけで周りが狂うという被害妄想は、遂に街一つまで飲み干し、大量の命を無駄死にさせた。

 

 

 

 

ただ、そこに遠坂真が居た、というだけであったのに……何て、罪深い方程式。

-1の存在が居ただけというのに……何故か計算結果が-10000されているような理不尽。

 

 

 

そう、何より罪深いのは──これら全ての考えが本当にただの被害妄想であるという事。

これ程の大災害が起きた原因は遠坂真──なんてちっぽけな存在によるものではない。

ただ運が悪かった。

ただそこに死徒が居た。

ただそこに神代の英霊が居た。

ただそこに■■の到達者が居た。

ただそこに第一の亡霊が近くに居た。

 

 

 

 

本当に……ただそれだけの、悪夢染みた不運の結果によるものだった

 

 

 

その事実に、真は叫び、あるいは嗤いながら──心を砕かせた。

 

 

 

※※※

 

 

セイバーは叫び、呻くマスターを取り押さえようとした。

マスターを追い詰める事は確かに分かっている。

これだけの大災害を前に平然としていろなんて言えるわけでも無ければ、自責の念を感じるななんて言えるわけがない。

だけど、全ての罪がマスターにあるわけでもない。

むしろ罪はサーヴァントである私達にあるのではないか、とあの大怨霊を見て思ったのだ。

だが、それを知らしめるにもまず今にも狂い果ててしまいそうになっているマスターを落ち着かせなければならない、と思い、取り押さえようとし──

 

 

 

 

「──まさか!?」

 

 

急激に巨大な気配を感じ、空を見上げる。

すると何時の間にかそこにはきんきらきんに光る黄金の船が浮遊しており、サーヴァントの感覚からアレが宝具であり、その上にサーヴァントがいる気配を感じていた。

アーチャーともランサーとも違う気配。

圧倒的な、という意味ではどちらも同じだが、黄金の船に上にいるサーヴァントの気配の圧倒さはどこか方向性が違うようにも思える。

だが、それ以上にこのタイミングでの襲撃は余りにも不味い。

自身の状態に問題があるわけではないが、マスターの精神状態に問題を抱えている。

こういった場面で仲間が一人でも傷を負っていれば、それだけで戦況はマイナスに偏る。

逃げるべきか、と思うが、こうも障害物の無い場所で空を飛翔する船を相手に逃げ切るのは不可能に等しい。

そう思っていると

 

 

 

「……?」

 

 

船から人が落ちて来たのをセイバーの視覚が捉えた。

真上とはいえとてもじゃないが人間が落ちてくる高さでは無いが……別にそれ自体に疑問を抱いたわけでは無い。

落ちて来た存在がサーヴァントではなく、人間である事に眉を顰めたのだ。

しかも、驚く事に人間が落ちた瞬間に船はあっという間にどこかに行ったのだ。

明らかに戦略的なミス。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

余りの欠陥に、逆に毒気を抜かれてしまい、結果として私は目の前に人間が降り立つことを許してしまった。

それはある種、異常な人間であった。

何も高い場所から落ちたのに、何の魔術行使も無く緩やかに降りて来たからではなく、男が発する気が余りにも強烈で強靭である事からだ。

ただそこに立っているだけであるというのに男は他の全てを圧倒する程の意思を発していた。

服装は洒落っ気のない黒服と黒いマントを羽織り、腰に刺した……恐らく木刀と思われる物を身に纏いながら、しかしそれらを吹き飛ばすような黄金の髪と黄金の瞳に込められた気の強さ。

 

 

 

 

我を持って他を染めるを地で行う人間

 

 

今の時代を加味すれば生まれた時代を間違えた存在ではないか、とセイバーが思考する。

この人間とは方向性は似たり寄ったりだったり、全く違う存在ではあるが、似たような存在であるならば生前何人か出会った事がある。

それは戦に狂い、血に狂った鬼武者であったり、あるいは革新を胸に全ての清も濁も嗤いながらに天下布武を求めた天魔であり

 

 

 

 

──万象を見通す眼と神を超えた剣技を身に付けながら、しかし人の世の為に朗らかに笑った将軍

 

 

……人でありながら人の域を超常ではなく我のみで超える種類の人間である。

最も例には出しても死んでも最後の御方と同列にも同類にも扱う気はないが……人であるからといって侮ってはいけない類いである事を認識して刀を構える。

すると男はこちらの構えに笑いながら、良く通る声で語り掛けて来た。

 

 

 

 

「そちらの対応が全く以て正しい道理だが……出来る事ならば今は休戦出来ないかね? 俺の今の目的は闘いでは無く、話し合いを主眼としている。無論、聖杯戦争に参加しているマスターが敵に対して悠長な、という考えも当然ではあるが」

 

 

闘いでは無く話し合いを主眼としている──その言葉を聞いてセイバーが思った事は酷く単純な事であった。

 

 

 

戦場において狂言を回す阿呆

 

 

セイバーからしたら実にいい鴨であり、何なら一秒と経たずに首だけでも刎ねたい所なのだが……今、自分の近くには絶望しているマスターが居る。

新たに現れたマスターに気にも掛けずに、未だ蹲りながら、しかし叫ぶ事だけは止めている少年。

戦場における心理であるならばセイバーの得意分野ではあるが……これ程までの絶望に曝された心理を読み解く力などセイバーには存在しない。

 

 

 

 

そんな少年に対して例え敵であっても人間である青年の死をここで生んでいいものだろうか?

 

 

 

あくまで敵のマスターであり、その男自らがイカレタ行動をした故の自業自得の結末であっても、それをどう受け取るかはその人次第だ。

最悪追い打ちになりかねない事を考えれば、下手に手を出すのは愚策であるかもしれない、とセイバーは判断する。

絶好の獲物を前に刀を構えるだけの置物になるとは……と歯噛みしていると男は気にした様子もなく、今も蹲っているマスターに対し、声を掛けるのであった。

 

 

 

 

 

「初めましてサムライのサーヴァントを従えたマスター。俺の名前はオズワルド・ローゼンハイム。俺のサーヴァント曰く、未だ輝くに至らぬつまらぬ男だ」

 

 

 

※※※

 

 

 

 

──二人の男の出会いは最低最悪の物であった、と彼は何時かどこかで告げた

 

 

──二人の男の出会いは酷く痛快の物であった、と彼は何時かどこかで告げた

 

 

 

二人の答えは全く正反対の物であり、その上で心底から吐き出された言葉であった。

──ただし、どちらか片方はひねくれ者であり、もう片方は正直者である。

どちらがどちらなのか。

二人は答えを言うつもりも無ければ、答えを得るつもりも無かったであろう。

 

 

 

 

何故なら、彼らはカドゥケウスの如く絡み合い、喰らい合う関係

 

 

星の終末まで延々と潰し合い、手を取り合い、戦い合う自滅因子(アポトーシス)

 

 

 

 

 

で、あるからには──彼らの答えは結局の所、どちらも真実であり、どちらの言葉も──

 

 

 

※※※

 

 

 

青年はあくまで泰然自若。

己の肉体と木刀一つで超然とした己を崩さない。

 

 

少年は今もまだ自暴自棄。

肉体も精神も魂も絶望に陥り、己の意思一つさえまともに動かせれない。

 

 

 

 

 

 

余りにも対照的だが……それでも二人の出会いは■■において共通であった

 

 

 

 




……な、難産でした。

いや、まぁ……それ以上に自分が趣味で色々やっていたせいで更新が遅れました!
申し訳ない!!



ともあれ、前書きで書いた方程式の結果は、つまり台無しという事です。


全員の思惑が崩れ落ち、願いは消え去り、更にはただそこに居た人達だけが消え去ります。
これ、正しくバッドエンド。
全てにおいて上手くいって、勝ってなんて眉唾なのです。
たかが天才の集団では天災には勝てないという。



……まぁ、スタンティアを天災と取るかもまた話は別な気もしますが。



いや、うん、本当にきのこさんが作った上で一切使われていない設定ばっかり使いましたよ……ちょっと不安。



ともあれ、話としては次回でドイツ編が終わり、次々回は幕間的な他のマスターとサーヴァントに焦点を合わせると思います。
だから、出来ればどちらも文字数抑えて投稿出来たらいいなぁって。



感想や評価など宜しくお願い致します!!

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