ドガーン、ドガーン!
「なにっ!ヘルキャットの姿が見破られているだと!?」
ゴルドスの砲撃が敵のヘルキャットを捉え、倒していく。
光学迷彩を備えたヘルキャットといえど、GPS磁気探知機に改良された背びれを持つゴルドスの敵ではなかった。このおかげで索敵性能が高まりレールガンによる精密射撃も可能となった。
アルバーンのガンスナイパーは、共和国ゾイドに一斉にミサイルやビーム砲を放つ。
レザールの部隊は戦意喪失。
「ゴルドスのおかげで助かった。我々も行くぞ、クローディア、マックス!」
「了解!」
「了解!」
テラガイストのゾイドに反撃をするシュバルツとロッドディガー。
「くっ!舐め負って、そう簡単にはやられん!!」
バイザーをかけたセイバーの男は、迫るマックスを再び狙って砲撃を行う。が、よけられる。
「味方が増えればこっちのもんだ。ストライククロー!!」
セイバーの爪がセイバーの右前脚を切り裂く。
「ぐっ、前脚が!リバイアス!助けに来てくれ!」
「だめよ、こちらも!コングに武装を破壊された!」
テラガイストももはやこれまで。捕まってしまっては正体がばれる。
「おのれー、共和国め。こうなれば仕方ない、撤退するぞ!ガルド、レザール、リバイアス!!」
「待て!逃してたまるか!!」
すると突然煙幕が放たれた。
煙が晴れたときには既に敵は消えていた。
「くっ!逃げられたか!」
しかし逃げられたものの、何とか助かったシュバルツ達であった。
「今回のご協力を心より感謝します、ハーマン大尉!」
「いえ、こちらこそ貴殿の協力で共和国の不穏分子を退けられました。
ハーマンに感謝の意を示すシュバルツ。
「クローディア隊長、お久りです。ブルーユニコン隊長のアルバーンです」
クローディアに親しげに話しかけるアルバーン。
「うん?二人は知り合いで!?」
「はい。共和国との小競り合いで何度か敵として相手をしまして、その縁で」
「なるほど。しかし、敵としての関係だったのに険悪な仲ではなさそうだな」
「なるべく小規模な戦闘になるようにしていたので、むしろお互い協力していたといった方がいいかと」
それを聞き安心するシュバルツ。
「今回の件は、帝国、共和国ともに内密にとういうことでよろしいでしょうか?このことが知れれば両国とも混乱するでしょうから」
「同感です。それに今回の件で、共和国にも不穏な動きがありましたから、それらに対処するのが先決と心得ております」
「ありがとうございます。それとハーマン大尉。これは別件なのですが、先のオリンポス火山で共和国の兵士が助けられたという知らせを私とは別の部隊から伝えられたのですが、その際に何かデータが持ち帰られたということはないでしょうか?」
ハーマンはきょとんとする。
「えっ!?なぜそのようなことを?もしそうだとしても貴殿らはそれをお持ちなのでは?」
「実は、我々もオリンポスの件については詳しく知らないのです。プロイツェンによって公式にはあれは単なる火山の爆発だとされているのですが。ただ、あれはあるゾイドを復活させるたに起きた事故だとその部隊から知らされています。しかし、その研究に関するデータを得られませんでした。恥ずかしながら、もし何かデータがあれば教えていただきたい」
シュバルツら国防軍にもその詳細は伝えられていなかったことに驚くハーマン。
「あるゾイド・・・、デスザウラーですね!」
ハーマンは、やはりプロイツェンの企みだったことを改めて知らされた。
「となれば今回の企みの背後にいるのもプロイツェンでしょう。しかし、分からない。なぜ戦争を引き起こそうとしているのか。デスザウラーを復活させてから共和国との戦争を始めてもいいような気がするのですが」
「はい、ただ妙な話があるのですが、オリンポス山の爆発の少し後に国境近くのわが軍のゾイドコアが抜かれたスリーパーの死骸が転がっているということがありまして。セイバータイガーで傷つけられたような跡もありました。もしやデスザウラー復活に関係しているのでは!?」
「抜き取ったコアでデスザウラーを復活ということかもしれませんね。詳しいことは分かりませんが。となれば、また仕掛けてくるかもしれません。ある少年を使って」
セイバータイガーと少年、それを聞いてはっとしたハーマン。
「ある少年?もしやその少年の名は『レイブン』では!?」
「ご存知でしたか。そうレイブンです。共和国のスリーパーを襲ったのも彼のセイバータイガーでしょう」
「ただ心配には及びません。彼のセイバーは先日のマウントオッサにて破壊されました。ある少年とオーガノイドのおかげで」
「少年とオーガノイド!?もしやその少年はレッドリバーで共和国軍の中にいた少年では!?」
「はい、彼の名は『バン フライハイト』です。オーガノイドの名は『ジーク』です」
バン フライハイトとジーク、そして彼と同い年くらいの少女や賞金稼ぎの男、運び屋の女のおかげで、ニューヘリックシティが救われたことを話すハーマン。
「彼らの働きがあったから救われたのですか。それで今彼らはどこに?」
「今はあるものを探すために旅に出ております。もともと我々とはひょんなことで知り合っただけですから」
「そうですか、そのあるものとは一体?」
「私もよくわからないのですが、『ゾイドイブ』と呼ばれるものです」
それを聞いて今度はシュバルツがはっとした。
「ゾイドイブですか。ただ帝国の裏の歴史をまとめた書物には、あのゼネバス皇帝や覇王ガイロスもそれを探していた記述があります。これも詳しいことは謎なのですが、おそらくデスザウラー復活とも関連するはずだと思います」
「なるほど。そういうことでしたか。しかし、レイブンはセイバーを失ったのですから、次のゾイドが与えられるまではゾイド狩りはできないでしょう。その前に共和国内の軍備を整えなくては」
国内のゾイド強化の意志を伝えるハーマン。
「あと、こちらからもお聞きしたいのですが、シュバルツ少佐にオリンポスでのわが軍の兵士の救出を伝えたのはどの部隊ですか?帝国内での我々に協力してくれそうな人間を少しでも知りたいのですが」
「第53独立部隊です。率いているのはベレッツァ大尉、そして闘神エインガングです」
エインガングが所属していることにハーマンは、
「闘神エインガングですか。先の戦闘ではわが軍のデュ― エルドと何やら熱い戦闘を行っておりましたが。それは頼もしいです。では、わが軍がオリンポスより得た情報をお渡ししようかと思います。今はありませんが後日お伝えします」
「その場合ですが、通信での連絡手段ではプロイツェンに知られる危険性がありますので、とある場所でデータを密かに受け取るということでよろしいでしょうか?」
「分かりました。では国境付近の小さな町がいいですね。チェニスタウンでよろしいですか?」
「はい、それでOKです。ではこちらの無線機をお渡しします。スイッチをつけてお互いが近づけば振動が起きます。その役目をロッドディガー隊に頼みます」
「助かります。共和国製の無線機は性能が悪いもので。では、こちらはアルバーンに頼みます。アルバーン隊長、よろしいか?」
「了解したハーマン大尉。特殊部隊の経験もあるから朝飯前に感じるな」
「では、我々も解散しよう。これ以上ここでの長居は無用だ」
水面下で帝国、共和国との強力なパイプができたのだった。