帝都ガイガロス プロイツェン邸
「それでは父上。ガイロスの帝位につかれるということでしょうか?」
戴冠式についてプロイツェンに尋ねるのは、アイゼンドラグーン指揮官のヴォルフ ムーロアである。ニクシーからドラグーンネストで帝都まで移動してきたのだ。
「私の帝位が不満なのか、ヴォルフよ?これで我らの悲願が達成されるのだぞ。我々ゼネバスがこの大陸を、いやこの惑星Ziを支配する時が来るのだ!」
しかしヴォルフは、プロイツェンが以前のようにゼネバスのためを思って帝位に着こうとしているとは考えられない。帝都郊外の研究所での異様な雰囲気から、まるで父が何かにとりつかれているかのような感じがするのだ。
「では、父上。戴冠式ではあれを披露すると・・・」
「そうだ!あの力を以てして、この私が世界を手に入れるのだ!息子よ。お前にもこの私のために働いてもらうぞ!」
「わかりました・・・。では早速我々もニクスへと進軍して準備いたします。我らゼネバスのために!」
そう言って、屋敷を出ていくヴォルフ。
プロイツェンはその様子をバルコニーから見送り、
「ヴォルフめ、どうやらこの私を裏切ろうとするつもりだな!まあいい。もはやあれの復活は時間の問題だ。今更誰がどうあがこうが誰も私を止められない!だろう、ドクトルよ」
「はい、閣下。まさしくその通りです」
穏やかにプロイツェンに賛同する老科学者のドクトルF。しかし同時にわずかに呆れた様子も見せる。
『はたして上手くいくだろうか。やはり同じ失敗を繰り返すのだろう』
ドラグーンネスト艦内
「大佐、いえ殿下。やはりプロイツェン閣下は・・・」
「ああ、もはや父上は我々と相いれない存在となった。もう悩んでばかりはいられない。あのキメラブロックスの技術もある。我々自らの手でゼネバスの再興を成し遂げて見せるしかない!」
ドラグーンネストに戻ったヴォルフはズィグナーとアンナに告げた。プロイツェンとは違うやり方で惑星Ziを統一すると。
「それと殿下。我々のディロフォース偵察隊からの報告ですが、銀色のオーガノイドを連れたバン フライハイトと名乗る少年が勇者の谷に向かっているようです。あの珍しいライガーゾイドに搭乗しているとのこと」
「そうか。確かブレードライガーだったか。勇者の谷か」
どうやらブレードライガーに興味津々のようだ。
「はい、それと行方不明のルドルフ皇太子も同行しているようです。ガイガロスを目指しているのでしょう」
勇者の谷ならそう遠くはない。すぐにでもそのブレードライガーをこの目で見てみたい。さらにルドルフの安全も確認したいという気持ちもある。
「すまないが、私はこれから勇者の谷へ向かう。皆は先に準備していてくれ」
それに対してアンナが、
「ヴォルフ待ってよ!あなたは私たちにとって大事な存在よ!あなた一人じゃ心配よ!」
「大丈夫だ。私とフューラーなら心配いらない。それにただそのライガーを見たいわけじゃない。我々のライガーゼロの開発の参考になるかもしれない。だから見に行くんだ」
「ヴォルフ・・わかったわ。でも気を付けて」
アンナはヴォルフを見つめ、彼の手を握りしめた。そしてすぐにヴォルフは愛機のいる倉庫へと向かった。その様子は、まるで皇帝になるような人物とは思えないものだった。年齢は違えど彼にもルドルフと似たようなところがあるようだ。