ニクシー要塞
「プロイツェン閣下の戴冠式までもう残りわずかだ。閣下からも、共和国、いや反乱軍への攻撃も命令される予定だ。すぐにでも国境付近に軍を集結させる、グローリエ大佐!」
「はっ、ガイツ少将!」
ガイツの命令で、ニクシー要塞のゾイドに出撃を要請するグローリエ。
ニクシーから出撃するのは、モルガキャノリー、レッドホーンやダークホーン、ダークホーンWG、エレファンダー、アイアンコング、レブラプターなど。飛行ゾイドとしてはレドラー、海戦ゾイドではシンカー、ウオディックがいる。
「すでにアイスマンを前線の基地に向かわせた。奴が先陣を切り開き、我々主力部隊が反乱軍を蹴散らし、この北エウロペを支配する。これで閣下に歯向かう者などでやせんだろう!」
プロイツェンに追従し、帝国内での地位を高めようと野心を抱くガイツであった。
帝国領 国境付近の基地
出撃命令は前線のベレッツァの部隊にも出された。しかもあるゾイドがベレッツァ隊に同行することになった。
「まさか、こんな奴と共に戦線に出ることになろうとは・・」
エインガングの面前に待機する黒い恐竜型ゾイド。
脚部にはミサイルポッドを備え、鎌のような巨大な爪が不気味さを見せる。レブラプターを大きくしたようなシルエットのようにも見えるが、遥に頑丈な体つきをしている。
「こいつが・・ジェノザウラー・・。ニクシーでの模擬戦闘で一瞬にして二体のゾイドを葬ったという・・」
プラトー博士はこのゾイドに恐怖を覚えた。その機体がまるで破壊を目的としているかのような雰囲気を出しているからだ。
「ベレッツァ大尉。リッツ ルンシュテッド中尉であります。此度の共和国への進行作戦のご協力を感謝いたします」
無表情にベレッツァに挨拶したのはジェノザウラーのパイロットであるリッツ ルンシュテッドだ。
「ありがとう、リッツ中尉。では作戦を説明するわ。まずは国境付近に共和国の大部隊が集結しているけど、そこを中尉のジェノザウラーが奇襲をかけ敵を混乱させる。そのスキに私たちが混乱した敵部隊を一気に殲滅する。言っておくけど、荷電粒子砲を使う必要はないわ。ジェノザウラーのスピードとパワーで十分敵を倒せるはずよ」
「了解しました・・・ベレッツァ大尉・・」
そのままジェノザウラーへと向かい、出撃の準備に取り掛かる。
『どうしたのかしら?いくらアイスマンの異名を持つとはいえ、あまりにも不自然よ。まるで感情のない機械のようだわ』
「ベレッツァよ。俺はあんな不気味な奴と不気味なゾイドと戦うのはごめんだ!あいつらは戦いに来たんじゃない。破壊しに来たんだ!俺にゃあ分かる。奴らの目を見てな!」
エインガングは今回の作戦を断ろうとするも、
「中尉、これはガイツ少将からの命令なのよ!もし従わなかったら私たちも反逆者として拘束されるのよ!エーベネのシュバルツ少佐のように・・・」
シュバルツが捕えられた以上、もはや帝国内部でプロイツェンに異議を唱える者はいなくなったも同然。小隊規模の自分たちではもはや何もできない。となれば、被害を少しでも小さくするために努力するしかない。幸いにもシュバルツのおかげで、共和国の一部の人間とつながりができた。ルドルフが暗殺されたという知らせをいち早く共和国に伝えたのもベレッツァだった。ゆえに、共和国はニクシーの要塞へ極秘にレイ グレックを潜入させた。さらに、今回の帝国の進撃と自分の隊による奇襲作戦、そしてジェノザウラーの出撃も共和国へ連絡済みだ。そのため共和国は国境付近へ大部隊を展開し、帝国軍の侵攻に備えるようにした。しかもその部隊にはあのデュー エルドもいるようだ。
「いい中尉。今回の私たちの目的は帝国軍の共和国への進撃を阻止することよ。そのためにあなたの力が必要なのよ。奇襲作戦に見せかけて戦闘を長引かせ、共和国の戦線の後退を遅らせるのよ。その間に共和国の別動隊が帝国本隊を攻撃する。それで帝国主力部隊の戦意を失わさせるのよ!」
確かにこれがうまくいけば、帝国も共和国侵攻作戦を断念せざるを得ない。しかし、あくまで一時しのぎに過ぎない。体制が整えば再び進行する恐れもある。だが、ベレッツァにはある期待がある。
「ルドルフ殿下の偽物が帝都を目指しているっていう情報が入っているけど、恐らく本物の殿下よ。だから、殿下を助けようとしたシュバルツ少佐は捕えられたのよ。殿下が帝都へ着けばプロイツェンの野望も潰えるわ。今はそれに賭けるしかないわ」
帝都にルドルフが現れれば、プロイツェンの皇位継承も正当性を失う。そうなればこの大陸の戦争も終結へと向かう。
「しかもルドルフ殿下と行動を共にしているのが、オーガノイドを連れた少年だそうだ。珍しいライガーにも乗っているらしい。私もこの目で見たいものだ」
プラトーはオーガノイドとライガーに興味を抱いているようだ。学者であるから当然ということにはなるが。
いずれにせよ、その少年を信ずるしかない。あとは自分たちができることをやるまでだ。
『でも、問題はあのジェノザウラーだわ。別の機体が南エウロペで共和国軍の基地を次々と落としている。しかも、乗っているのはあのレイブンのようだわ。彼も黒いオーガノイドもつれている。だけどリッツ中尉の機体にはオーガノイドはいない。何かしでかそうとしても止められないことはなさそうだわ』
少なからずではあるもののジェノザウラーに不安を抱く。何か嫌な予感がすると胸騒ぎを感じるのだった。