撤退する帝国軍小隊
「もー大尉、遅いじゃない終わるのが。ひやひやしていたわよ」
「悪い悪い、ついつい熱くなっちまった」
前線近くの防衛基地まで帰還するダークホーンとアイアンコング率いる小隊。
ダークホーンに乗っているのは小隊の指令ベレッツァ大尉。黒いロングヘアーの美女で、若き司令官でもある。階級は彼女の方が上ではあるが、エインガングとは同期のためため口で呼び合う仲でもある。
「結局任務は失敗ってことね。オリンポス山が爆発したみたいだから。シュバルツ少佐になんて報告したらいいのかしら」
溜息を洩らしながら一行は、防衛基地にたどり着いた。
「ご苦労様、ベレッツァ大尉、エインガング中尉」
彼らの前に出てきた美女は技術者のプラトー博士だ。帝国軍の最新兵器開発を手掛ける技術機関「ヴァシコヤード アカデミー」を首席で卒業した優秀な科学者でもある。彼女もまたベレッツァとは同期でもある。
「早速だけど、伝えたいことがあるの。帰ってきたばかりで申し訳ないけれど」
2人を基地内部に連れて、タブレットを持ちながら、とある一室であることを伝えた。
「何ですって!オリンポス山の基地が爆発の原因がデスザウラー!?」
「ああ、わが隊の偵察機が確認したところどうもそうらしい。あの研究所だがどうやら帝国軍の一部しかその存在を知られていなかったようだ」
「なんてことなの。だからシュバルツ少佐は私たちにその確認を依頼したのね」
4日前、暗号化された極秘の命令書がベレッツァたちのいる基地に届けられた。独立第二高速大隊がオリンポス山にてセイバータイガーと遭遇した時である。その内容はオリンポス山にある秘密の研究所の詳細な潜入調査であった。共和国にも帝国にも知られず行動せよとのこと。しかし、彼らが出撃してから2日後、オリンポスは爆発し研究所も消え去ってしまった。基地へ帰還する際中に、ハーマン率いる共和国軍と遭遇したのだった。
「だがよかったじゃねーか。もし俺たちがもっと早く出撃してたらそのデスザウラーの餌食になってたかもしれねえ」
「そんな、でもなにもわからないまま終わってしまったのよ。これでもし戦争が拡大したらどうするの?」
ベレッツァ大尉はガイロスの中でも数少ない和平派の1人であった。そして和平派の中心人物がベレッツァに極秘依頼を送ったカール L シュバルツ少佐であった。プロイツェン家と双璧を成す名門シュバルツ家の当主で、非常に優秀な指揮官でもあり、共和国との戦争終結を願っていた。また、彼には弟がいるが、今はプラトーが卒業したヴァシコヤード アカデミーの学生であるらしい。
「だが別の情報も手に入れた。オリンポスより1機のダブルソーダがコマンドウルフの頭部を引き上げていった。そのウルフの頭部に2人の男がいたらしい。彼らがおそらく生存者だろう。共和国が何か重要なデータを手に入れたのかもしれない」
「ということは共和国からその情報を得なければならないってことね。でも今の状況ではそれは難しいわね」
「まあ、やむを得ん。とりあえず事の詳細は少佐に伝えた方がいいな。なあに叱責はされんよ」
帝都ガイガロス郊外
「そうか、オリンポス山が爆発したか。あれも暴走したとか!?」
「はいプロイツェン閣下。監視していたPK師団兵からの報告です。ハーディン准将を通じて届きました。やはり復活には他のゾイドのコアを融合させ、圧縮させ複製させることで完全な復活となります。クローニングしただけのコアでは不安定で暴走を起こしやすくなります」
杖を持った高齢の科学者は帝国軍元帥プロイツェンに研究状況を説明をしている。その杖には、カラスの紋章が刻まれている。
「ならばやはりこやつにしか頼る道はないということだな、ドクトルF。完全なデスザウラーの復活。これこそがこの私が惑星Ziの覇者となるために必要となる。そう思うだろうレイヴン!?」
「ふん、僕には全く興味がないことだね。それはそうと、あのスコルツェニーって奴、シャドーの力を組み込んでも奴自身が未熟だったから敗北したか。僕であればものの数分で片付けられるのに。なあシャドー?」
「グルルー」
不気味に唸る黒のオーガノイド。そして、巨大な培養液をのぞき込む3人の人間。
「ゾイドコアの回収お前に任せるぞレイヴン。存分に働いてくれ」
「僕はただ戦場を提供してくれるだけで結構だけどね。まあ、やってみるよ」
そう言って少年はオーガノイドと共に培養液からの鼓動が鳴り響く研究所を後にした。
レイヴンたちとは反対の方向から彼らを眺めていた、若い男女がいた。
「このまま父上を放っておいてはゼネバス復興どころでは済まなくなるかもしれない。やはりあれは危険だ。帝国、共和国はおろかこの大陸、いや惑星を滅ぼすかもしれん」
「そんな、どうしてあなたのお父様はそんなことを。ゼネバスの再興が私たちの目的だったのに」
「分からないが、私には感じるのだ。あの培養液から伝わる邪悪な意識を。おそらく父上もあれに取り込まれようとしているのだろう。かつてのゼネバス皇帝やガイロス皇帝のように」
「どうすればいいの、ヴォルフ?」
「ニクシーで我々が今開発中のゾイドがある。あれが完成すれば父上の好きにはさせん。平和な惑星Ziを築くためにも」
その若者の目には強い意志が宿っていた。
これで一章目は終わりです。この章のお話は、無印ゾイドの話の1年前の物語になります。今回はゾイドタクティクスに関連した話や、フルメタルクラッシュ、バトストのキャラを出させました。これからは私が以前から考えていたキャラも少ないですが搭乗させていきます。
この物語は特定の主人公を扱ったものではなく、様々な人物とゾイドの活躍を描いていくものにするつもりです。しかし、最後はバンを主役に持っていきたいと考えています。
次回からも引き続きよろしくお願いします。