デート・ア・ライブ 士道デストラクション オープニング   作:夜叉竜

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 今日はゴジラの誕生日。そしてデートの最終巻前編発売と言う事でコツコツ書いてたものを投稿します。

 実は一応これで新しいプロットは大体完成してるんですよね………ついでに言えば投稿欲も湧き上がってきて……やる場合はおそらく、なのはのA,s編が終わってからですかね。

 ではどうぞ!


プロローグ2

 着替え終わった士道がリビングに降りてくると、琴里はすでにソファに腰掛けてテレビを見ていた。大方日課である朝の星座占いと血液型占いのハシゴのためだろう。

 士道はそれを横目にリビングに併設された台所に足を向ける。

 士道が準備を進めるなか、朝のニュースがBGMとして流れてくる。

 と、

 

 『今日未明、天宮市近郊の……』

 「うん?」

 

 ニュースに自分が住んでいる街の名が出てきて、士道は興味が惹かれたように顔を向ける。

 

 「なんだ?ずいぶんと近いが何か……」

 

 カウンターテーブルからリビングの中のテレビを覗き込み、士道は不機嫌そうに目を細める。

 画面にはめちゃくちゃに破壊された様子が映し出されている。

 建造物が崩落し、道が抉れ、周囲一帯が吹き飛ばされている。まるでかつての自分が暴れた後のような惨状に士道は小さく目を細める。

 

 「空間震か……」

 

 ふん、と士道は小さく鼻をならす。

 空間震。発生原因不明、発生時期不定期、被害規模不確定の爆発、焼失、その他諸々の現象の総称だ。

 この現象が初めて確認されたのはおよそ30年前。ユーラシア大陸のど真ん中……当時のソ連、中国、モンゴルを含む一帯が一夜にしてごっそりと消失した。まるで地上にある物を一切合切削り取ってしまったかのように、本当に何もなくなったのだ。

 死傷者1億5000万人。人類史上類を見ない最大最悪の災害であり、ユーラシア大空災として今でも伝えられている。

 その後、およそ半年にわたって世界各地で小さい規模ながら同じ現象が発生した。当然ながら日本も例外ではない。

 ユーラシア大空災から6ヶ月後、東京都南部から神奈川県北部一帯が円状にすべて吹き飛ばされ、焦土と化した。これは南関東大空災と呼ばれている。ちなみにだが、そこは今、士道たちが住む天宮市として再開発されている。

 

 「一時は完全に収まっていたのに、最近はまた確認され始めたよな。どういう事だろうな?」

 「どうしてだろうねー」

 

 南関東大空災の後、空間震はしばらく全く確認されなかった。だが、5年前、天宮市の一角で空間震が確認されたの皮切りに再び確認され始めたのだ。しかもその多くがこの日本で確認されている。

 そして、前世でもいえる事だが人間とてやられっぱなしではない。再開発がなされた地域をはじめとして全国に地下シェルターが建設され、更に空間震の兆候を事前に観測することもでき、これによって人的被害を最小限、もしくは無しにできている。

 そして極めつけは自衛隊の災害復興部隊だろう。

 この部隊の仕事は被災地に赴き、崩壊した施設、道路などを再建する事なのだが……その仕事ぶりがあり得なさすぎる。

 何せ原型もないほどに破壊された建物をたった一晩で立て直すなど、ありえるわけがない。その建物を建築するのに何十日もかけるのに修復するのは経った一晩など、意味が分からない。最初にこれを見た時は冗談抜きで自分の目を疑った。前世では自分が破壊した街は結構な時間がたっても未だ修復途中だったというのに。

 作業風景はトップシークレットとの事だが、そんな異様な状況をあっさりと受け入れているあたり、人間と言うのも図太い。

 

 「しっかし、ここら辺は妙に空間震が多いな。確か去年から増え始めたよな?」

 「んーー、そうだね。ちょっと予定より早いかなー」

 

 琴里がソファの手すりに上体を預けながら言った言葉に士道はピクリとまゆを震わせる。

 

 「早い?なにがだ」

 「んー、あんでもあーい」

 

 士道は小さく眉を顰める。琴里の言葉の意味も気になるが、それ以上に気になるのは後半の言葉がくぐもっていることだ。

 士道は無言で台所から出るとそのまま琴里の元に歩いていく。それに気づいた琴里は静かに顔をそらす。

 

 「琴里、こっち向け」

 「……」

 

 無視するので素早く琴里の前方に飛び出す。その口にくわえられている棒を見て士道ははあ、と深いため息を吐く。それは琴里の大好物のチュッパチャプスだ。

 

 「全くお前は……」

 

 士道ははあ、と深いため息を吐くと取り上げようとするが、琴里は口をすぼめて取られまいと抵抗する。

 

 「ったく、しょうがねえな……飯もちゃんと食えよう」

 「おー!愛してるぞ、お兄ちゃん!」

 

 士道は小さく肩をすくめるとそのまま台所に立ち、調理を進めていく。

 そして朝食を作り終え、そのままリビングのテーブルに置くと琴里もチュッパチャプスを取り出してそのまま一緒に席に着く。

 

 「それじゃあいただきます」

 「いただきまーす!」

 

 二人は一緒に朝食を食べ進めていく。

 半分程食べたところで士道が口を開く。

 

 「そう言えば今日も中学校は始業式だよな?」

 「そうだよー」

 「じゃあ昼時には帰ってくるか。昼飯、何かリクエストはあるか?」

 

 琴里はんー、と思案するように頭を揺らし、

 

 「デラックスキッズプレート!」

 

 士道は無言になると財布から千円札を取り出して琴里に差し出す。

 

 「自分で食いに行ってこい」

 「ええー」

 

 琴里が不満そうな声を上げる。それを聞いて士道は小さく息を吐きながら頭を掻き、

 

 「冗談だって。今日は外で食う事にするか」

 「おー、本当かー?」

 「ああ。本当だ。学校終わったら何時ものファミレスに集合な」

 「絶対だぞ!地震が起きても火事が起きても空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても絶対だぞ!」

 「占拠されたら無理だろ!あれか?テロリストの皆様にウェイターをやらせるつもりか!?」

 「絶対だぞー!」

 「……はいよ、わかったって」

 

 士道はそう言うと琴里はおー!と元気よく手を上げ、それを見た士道は苦笑を浮かべる。

 士道はそのまま窓から空を見上げる。そこは見事なまでに晴れ渡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天宮市は南関東大空災後、様々な最新技術のテスト都市として再開発が行われてきた。士道が通う来禅高校もそんな例の一つだ。都立高校とは思えないほど充実した設備を誇るうえ、数年前から創立したされたばかりのため内外装に損傷はほとんどない。もちろん地下シェルターも最新のものが設えられている。

 その高校の2年4組の教室に士道はいた。

 

 「いや~~、しかし、去年に引き続き五河と同じクラスなんて、この殿町宏人、何だか運命を感じるな」

 「俺は野郎と運命を感じて喜ぶ特殊性癖じゃねえぞ」

 「安心しろ。俺もだ……自分で何言ってんだって思った」

 

 士道と会話しているのは殿町宏人。ワックスで逆立てられた髪が特徴的な士道の悪友だ。

 げんなりとした様子の殿町に士道が呆れたように肩をすくめていると、不意に殿町のポケットからスマートフォンの音が聞こえてくる。

 

 「おっと、彼女からだ」

 「彼女?春休み中に何かいい出会いがあったのか?」

 「へへ、これだよこれ」

 

 携帯を操作した殿町がスマートフォンの画面を見せてくる。

 それを見た瞬間、士道は目を見開きながら盛大に顔を引きつらせる。

 そこに移っていたのは彼女の写真などではなくピンクの髪のアニメ調の少女と何らかのパラメーターらしき表示。それはおそらく、まごう事なく……

 

 「ぎゃ、ギャルゲー……」

 

 冷や汗を流し、顔の筋肉を限界まで引きつらせた顔のまま絞り出したような声を出すと殿町がむ、と顔をしかめる。

 

 「お前、ギャルゲーをバカにするなよ?女の事との接し方やデートの仕方諸々全てを学べる優れモノなんだぞ。特にこの恋して「殿町……」なんだ、人が折角説明ぃ!?」

 

 突然言葉を遮られ、殿町が不満を露わに士道に文句を言おうとした瞬間、彼は悲鳴を上げる。なぜならば士道が悪鬼もかくやと言う表情で殿町を睨みつけていたからだ。

 

 「今すぐ遠距離通話ができる高性能スマート雑巾が要らないならその全自動悪寒発生装置を今すぐに俺の視界から消せこらぁ……!」

 「さ、サー!イエッサー!」

 

 殿町は歴戦の軍人もほれぼれするような完璧な敬礼をすると即座に画面を消す。

 それを見て、士道はふん、と小さく鼻を鳴らして頬杖をつく。五河士道はギャルゲーと言われるものが大嫌いだ。それはもう、何というか……体そのものが受け付けないと言っても過言ではないぐらいに。

 士道が不機嫌を露わに窓の外を見ていると、

 

 「五河士道」

 「ん?」

 

 不意に抑揚のない声で名前を呼ばれて士道が顔を向けるといつの間にか隣の席に一人の女子生徒がいた。

 肩に触れるか触れないかぐらいの白い髪に人形のように表情がない細身の少女がこちらを見ていた。

 

 「……えっと……どちらさん?どこかで会ったことあったか?」

 「覚えてないの?」

 「えっと……覚えは……」

 「そう」

 

 頬を掻きながら言うと、少女は落胆らしいものも見せず、そのまま目の前の席に座る。

 

 「な、なんだぁ……?」

 

 士道が首を傾げていると、殿町がなれなれしく肩に手を回してくる。

 

 「おいおいなんだ五河。お前の方こそいつの間に鳶一と仲良くなりやがったんだ?」

 「鳶一?誰だそいつは。あいつの事か?」

 「そうだよ。うちの高校が誇る天才。成績は常に学年主席。この前の模試に至っては全国トップ。挙句の果てにはスポーツ万能、おまけに美人と来た。時々校内でやってる恋人にしたいランキングでは常にトップ3に入ってる校内一の有名人だよ。知らないのか?」

 「知らんなぁ……俺は自分の成績で精いっぱいだ」

 

 士道の成績は校内で中の下ぐらい。赤点は回避できているが中々に気を抜けない。

 

 「そんな奴がなんで俺の事を知ってるんだ?」

 「知り合いじゃないのか?」

 「全然」

 

 士道がん~~?と腕を組んで首を傾げていると予冷が鳴り響き、談笑していた生徒たちが自分の席について行く。

 その直後、教室の扉が開き、そこから眼鏡をかけた小柄な女性が入ってきて、教卓につく。それと共に周囲からざわめきが聞こえてくる。

 

 「タマちゃんだ……」

 「ああ、タマちゃんだ」

 「マジで、やったー」

 「はい、みなさんおはようございます。これから一年、皆さんの担任を務めさせていただきます岡峰珠恵です」

 

 社会科担当の岡峰珠恵教諭・通称タマちゃん。ひいき目に見ても生徒と同年代ぐらいにしか見えない童顔と小柄な体躯、のんびりとした性格で生徒から絶大な人気を誇る生徒だ。

 士道も小さく頷いていると、不意に視線を感じ、目を向ければ、折り紙がじー、とこちらを見つめている。

 

 (なんだこいつ………)

 

 何とも落ち着かない状況に士道は思わず身をよじって息を吐くと窓から空を見上げる。

 そこから広がるのは澄み切った広い青空にそれを彩る白い雲だけ。

 それを見ながら士道は頬杖をつく。




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