さて、物語の舞台となるセレストリアに移る前に、
彼らが暮らす大陸のことについて先に説明せねばならない。
単に「大陸」と呼ばれているそこには5つの領土に分かれている。
北東に位置するのは豊かな自然と広大な湖を有する、エルフたちが治める土地。
最も生態系が豊富で様々な亜人たちが寄り添いあい生活をしている。
北西に位置するのは広大な草原と荒野が広がる、ハーフリングとゴーレムたちが暮らす土地。
ハーフリングたちは草原で遊牧して悠々自適に暮らし、荒野ではゴーレムたちがただそこにいる。
南東に位置するのは年中霧で覆われ薄暗い、吸血鬼やワーウルフといった光を嫌う種がひっそりと隠れている土地。
群れることなく、それぞれがあまり干渉しないように住居構えている。
南西に位置するのは見渡す限り険しい岩々に覆われている、竜人族が君臨する土地。
好戦的で腕試しが好きな種族のため、毎日競い合いながら己を磨いている。
そして北に位置する別段に特徴がない平原、そこは人間が追いやられた土地。
他の土地に比べて広いわけでもないのによくよく人間同士で争いあっている。
今では大陸は5つに分かれているが、かつては統一された一つの国であった。
その時に頂点に立っていたのが意外なことに人間である。
大陸において最も非力で脆弱な種族にも拘わらず、
持ち前の器用さと知恵で他種族たちを圧倒したのだ。
しかしそんな統一時代も50年も続かず、バラバラになり今の形となった。
それぞれが独立してから30年、お互いに小競り合いが続いている中で
再び人間が台頭しそうになっていた。
人間は弱いにも関わらず戦いが得意だからだ。
だが争い好きな人間たちはよせばいいのに仲たがいを起こして戦争を始め、
他種族と戦うどころでなかった。
そんな人間たちが再び一つになったのはつい3年前のことだった。
さて人間たちに再度負けそうになり、他の4つの土地に住む亜人たちは危機感を覚えた。
このままでは再び、人間たちが自分たちを支配するのではないかと恐れたのである。
ゆえに彼らは人間同士が争っている間に「同盟」を結び、互いに争わない約束を決めたのだ。
人間たちが団結した時には、人間とその他亜人全部という構成が出来上がっていた。
さすがにその状態ではどうしようもなく、人間たちも渋々と同盟の約束事の一部に入れられ今に至る。
一度は分かれてしまった大陸も、今ではやっとそれぞれの種族が争うことを止め、
お互いに歩み寄りを始め新しい形を形成し始めたのだ。
その中で5つの地域の中心にあたる場所、
そこで共同生活をしようという試みが始められた。
みなが違う文化を持っいるため良いところを吸収しあい
互いの発展に努めようというのが建前。
本音は互いにけん制しあっていないと
バランスが崩れてしまうのではないかという疑心暗鬼の現れ。
そんな思惑が渦巻く「平和都市」。
亜人たちがそれぞれに手探りで生活をしている場所。
――その都市の名前を、セレストリアという。
大した世界観の設定があるわけでもないです。