灰色の獅子【完結】 続編連載中   作:えのき

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お久しぶりです。この投稿から死の秘宝までのベース(流れセリフと戦いの全て)のメモを誤って消してしまい萎えに萎えて今までご無沙汰でした。

最近、死の秘宝のスネイプ先生の部分だけDVD鑑賞をし、モチベが少しアップしたので記憶を頼りにベースを雑にスマホにうち殴りました。

まだ勘が戻らないので以前と比べて違和感があったら教えてくださいな


賢者の石

 

 

クリスマスも終わりを迎えると、学年末のテストはすぐに訪れる。ほとんどの学生は寸前まで勉強せず、一夜漬けや優秀な友人に教えを乞う。数少ない例外であるウィルは時計台の中で1人、本を読んでいた。

 

理由は単純だ。人に教える時間がもったいないからである。彼は他者を学ばせるくらいなら自分の為に学ぶべき、そう考えていた。もちろん頼まれれば了承するが、極力は避けたい。だから人気のない場所を選んだ。読んでいる本はテスト範囲ではなく、自分が知りたいと思った魔力の性質付与の方法についての本だった。

 

彼は普段から勉学に励み、それらを記憶として定着させているのでテスト勉強をする必要がなかった。

 

事実、試験が始まるとウィルは一度も羽ペンを休めることなく、スラスラと問題を解き終えてしまった。そのまま用紙を裏返し、最近読んだ本の考察と得た知識の応用について脳内で思考した。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

数ヶ月後

 

 

 

少年少女は彼らしかいない狭い廊下で話し合いをしていた。

 

「今夜、石を守りに行くんだ。」

 

「ウィルにも話すのよ!」

 

「そうだ、手伝ってもらうべきだ。」

 

3人組のうち、2人はまくしたてるように意見を述べた。意見は一致したらしい。

 

「ダメだ。」

 

赤毛の少年は反対する。

 

「君たちはマルフォイ家について何も知らないんだ!」

 

2人はその言葉を聞いてまたかといったような表情を浮かべた。

 

「アイツの父親は“例のあの人”の最も有力な部下だったんだ!」

 

それは事実である。赤毛の少年は2人と違い魔法界で育っているため否が応でも噂は耳にする。

 

「ウィルはドラコ・マルフォイとは違う!」

 

眼鏡の少年は声を荒げて反論する。

 

「いや、それ以上だ!トロールを踏み潰した時のヤツの目を見たか!?」

 

その目には嫌悪ではなく恐れが映っている。

 

「ロン、これ以上彼の事を悪く言うのなら私は貴方を許さないわ。」

 

うんざりした様子で女の子はそう言った。少しイラついているようだ。

 

「・・・。」

 

赤毛の子は言葉に詰まった。そして少し不貞腐れたような表情を浮かべる。

 

「わかったよ。でも忠告はした!あと僕はアイツを信用してないからな?」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

お昼の時間になり広場へ行こうとしたウィルはハリーらに呼び止められ、誰もいない寮のホールで彼らの話を聞いた。

 

 

“四階の禁じられた廊下”にある一室では賢者の石が隠されており、そこにはハグリッドの飼っている三頭犬が見張りをしているということを聞いた。

 

そして禁じられた森でユニコーンの血を吸うヴォルデモートを目撃した。さらに彼はスネイプを使って賢者の石を狙っているのではないかということだ

 

スネイプには足を何かに引っ掻かれたような傷があり、そしてクィディッチにてハリーを箒から落とそうと魔法をかけた。更にクィレルを脅すような発言をしたのを見たらしい。

 

 

 

 

 

(“賢者の石”ねぇ。)

 

ニコラス・フラメルによって作られた石だ。これによって生成される命の水は飲んだ者の寿命を伸ばす力を持つ。

 

身体を失ったヴォルデモートはその恩恵を受けて復活するのが目的というらしい。

 

「OK、把握したよ。」

 

ウィルは一度も口を挟まず淡々と話を聞いた

 

「まず僕は根拠に基づいた内容、そして自分の目で見た内容しか信用しない。」

 

それが全て正解だとして、彼はそういうと冷静な意見を述べ始めた。

 

「まず僕らが守る理由は?足手まといにしかならない。敵に捕まって人質になれば?」

 

彼はすらすらといった。

 

「もちろん一番の最適解は教師陣に伝える事だが・・・」

 

「それはやったよ。マクゴナガル先生に言ったら取り合ってくれなかった。」

 

ロンが遮るように結果を話した。

 

「だろうな。」

 

当然だというような顔だ。

 

「それにダンブルドアもいない。だから僕らが行くしかない。」

 

「だからウィルにもいっしょに来て欲しいの。」

 

 

 

 

(厄介な事を持ち込んできたな。)

 

ウィリアムは素早く頭の中で思考を練る。

 

もちろんヴォルデモートの復活は阻止したいが、失敗した場合は?ルシウスは死喰い人として動いていた為に、今の状況をみれば裏切り行為とみなされるかもしれない。

 

なにもしないのが無難ではあるが、それは今後の学生生活を考えれば避けなければならない。

 

 

(動いても動かなくても不利な状況だ。)

 

 

 

動くにしても・・・

 

(コイツらは邪魔だ。)

 

 

ウィリアムは瞬時に可能な限り最も正しい結論を導き出す。

 

「仮に敵がいて“賢者の石”を奪う際に君達でなければならない理由があるかい?」

 

その言葉に3人は口をあけた。使命感からかその発想がなかったらしい。

 

「未熟な、一年前まで呪文の1つも使えなかった子供達が教師陣が罠を張るほどの敵に勝てるとでも?」

 

なにも言えない3人に対してウィルは更に続ける。

 

「少なくともハリー、君は絶対に行くな。“例のあの人”からすれば真っ先に殺す。石を得て復活した事を世間に示すなら一番良い宣伝になるからだ。」

 

遠回しにお前達では何もできないということを伝える。

 

「じゃあどうすればいいんだよ。」

 

ロンは目を細めて言った。

 

「僕が行く。優秀な上級生と一緒にだ、マルフォイの名前は影響力があるんでね。」

 

ウィルはそう言うと寮の外へ出て行く。

そして3人はただ時間が過ぎるのを待つ事となった。彼らは歯がゆい思いをしながらも自分達よりウィルの方が適任だとわかっていたからだ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

〜禁じられた四階の廊下〜

 

 

 

 

 

カツンカツンと1人分の足音が誰もいない暗い廊下に響く。そして部屋の前につくと魔法で鍵を開け、中へ入る。

 

そこには退屈そうに寝そべっていた頭が3つもある巨大な犬の怪物だった。瞬時に敵だと判断した怪物は威嚇をするように唸る。

 

 

「第一の関門、ケルベロス。」

 

 

ウィルはいつも通りの表情で足取りも普段となんら変わりない。

 

「弱点は音楽、そして・・・」

 

 

 

ポケットから3つの蜂蜜バターのマフィンの入った袋を取り出した。穴の奥を刺激するような香りが漂っている。

 

三頭犬は目を大きく開きつつも威嚇をし続けている。だが鼻はヒクヒクしており、強い香りをくんくんと嗅いでいる。

 

「なに、お前達の為に持ってきたんだ。」

 

ウィルは1つずつ手にとって黄ばんだ巨大な牙を持つ口に投げていく。3つの犬の頭は反射的にパクリと口にしていく。

 

モグモグと噛むと、すぐに呑み込んだ。すると突然4本の脚の力が抜けた。そして3つの犬はぐったりとした様子で顎を突き出してゴロンとしている。

 

「悪いね、筋弛緩剤が入れてある。」

 

ウィルは魔法薬学で得た知識で薬を調合し、蜂蜜バターのマフィンに仕込んでいた。可能な限り無臭になるよう努めたので、自信はあったがうまくいく保証はなかったので安心した様子だ。

 

「大丈夫、少し休めば効き目は取れるよ。次は何も入ってない大きなマフィンを焼いてきてやるよ。」

 

そういうと彼はケルベロスの足元の扉を開けて飛び降りた。


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