灰色の獅子【完結】 続編連載中 作:えのき
〜汽車〜
あれからまもなくして新学期の始まる日が訪れた。キングズクロスの駅からホグワーツへの汽車の旅になる。ウィルはドラコ達と離れてハーマイオニー達を探して通路を彷徨った。まもなく彼女を見つけて中に入ったが、他の2人はいないらしい。
それからハリーの話題となった。ウィルはハリーに手紙を何通か送ったが返事が一向に帰ってこない事に僅かばかり不審に思っていた
どうやらドビーという名前の“屋敷しもべ妖精”によって手紙が届かないように細工されていたらしい。
理由はホグワーツに危険が迫っており、学校に戻らせないようにと思っての行動だとのこと
“屋敷しもべ妖精”とは特定の魔法使いに仕え、身の回りの世話や家事、雑用などを行う種族だ。彼らは人に無償無給で仕えるのが生きがいであり、隷属の証として枕カバーやキッチンのタオルを衣服として使用する。
マルフォイ家にもドビーという名の“屋敷しもべ妖精”がいる。最初は同じ名前なのだろうかとも考えたが、偶然にしては出来すぎている
ウチにいる彼がなぜハリーに学校へ来させないようにしていたのか疑問である
(父上が
先日のダイアゴン横丁での一件のどさくさに紛れて、ロンの妹の鍋に黒い本を仕込んだのを彼は見逃さなかった。
それを回収して確認したところなにも書かれていない日記帳だった。特に必要もないので1人になった時に魔法で燃やそうとしたが、灰になることはなかった。
それからありとあらゆる魔法を放ったが特殊な魔法がかけられていたらしく、傷一つつくことがなかった。ほんの少しの悔しさよりも好奇心が勝った。
実に興味深い品だ。この護りを解析すると共に無効化する技術は身につけるべきと判断して、隠し持つ事にした。
またしても謎なのはこの日記帳を彼女に押し付けようとした理由である。
(ゴミを押し付けようとしたのか?)
ルシウスは【ボージンアンドバークス】という店に売りに行くものがあると言っていた。その店は闇の魔法の品々を取り扱う。
おそらくこの鉄壁の守りの日記を売りに行ったのだろう。だが護りが固いだけの本だと判断されて買い取られなかったのだと考えた。
結果として残る謎はドビーのみとなったが、考えてもわからないことは考える意味がないと思い、ハーマイオニーとの会話に集中した
***
〜ホグワーツ大広間〜
今年も去年も同じく組分けの儀式が行われ、新入生達はとても緊張していた。ロンの妹はジニーという名前らしい。その子はグリフィンドールに選ばれた。
それから歓迎会の食事となった。久し振りのホグワーツでの食事に生徒達は懐かしさを覚えながら口にした。新入生達も周りに気を使いながら食事を進めている。
だがウィルとハーマイオニーは相変わらずハリーとロンを見つけることができずにいた。
近くで食事をしていたネビルも2人がいないのはなぜかと聞いてきたが答えられなかった。
やがて噂が流れてきた。ハリーとロンが汽車に乗らず空飛ぶ車で“暴れ柳”に突っ込んでホグワーツにやってきたとの、そして今は教師陣に呼び出されて事情聴取をされているとのことらしい。
ウィルは笑いをこらえられずに少し笑ってしまう。去年と同じく色々な事件を巻きこまれるのだろうと察した。するとハーマイオニーから笑い事じゃないと叱られた。
そして他の所から大きな声が聞こえてきたので視線をやると、スリザリンの中机にいるドラコがポッターとウィーズリーは退学処分だろうと騒いでいるではないか。
ウィルはやれやれとした表情を浮かべどうしたものかと頭を抱えた。
父親から英雄視されているハリーと仲が悪いという事を周囲に見せつけるのは賢明でないと言われているはずなのにあの始末だ。
なにか言おうと考えたが、弟とはいえ他人の交遊関係に口を挟むべきでないと思い直す。
そうこうしているとロンの妹のジニーが近寄ってきて、先日のお礼と共に挨拶をしにきた。そして横にいたカメラを持つ小さな男の子もこちらをわくわくとした様子で見ている。
ハーマイオニーは後輩ができたとばかりに張り切って学校での過ごし方や教師陣とうまく付き合うノウハウを伝授していた。
ジニーはウィルをチラチラと見ながらハーマイオニーの話を聞いている。どうやら自分ともっと話がしたいらしい。ウィルはそれに気がつく。
「ハーマイオニーは僕より優秀だよ。」
その言葉に間違いはなかった。去年の今頃、ウィルは父親の指令で主席をとるつもりだった。
だが結果として主席をとったのはハーマイオニーである。
得点は互いに満点だった。それだけを見れば同点で2人が主席となる。
しかし首席に選ばれたのは彼女だった。その理由は寮への得点の貢献度に現れている。
授業においてウィルは指名されなければ発表しないのに対して彼女は積極的に答えていた。それらが平常点として加点がなされていたらしい。
ウィルは学業で首席を取れと指示されていたが、全部の科目が満点であるという事に満足していたので特になにも言わなかった。
***
次の日
ウィル達は二年次になって最初の【闇の魔術に対する防衛術】を受けた。その授業を終えると彼は激しく憤慨していたのである。
「受ける価値のない、なんて役立たたずな男だ。」
理由は簡単だった。新たな教師となったギルデロイ・ロックハートから学ぶべきことは何もないと断言したからだ。それどころか一人の人間として激しく嫌悪していた。
彼は最初の授業で小テストを行った。その内容はリストアップされた小説の中に散りばめられた彼自身の好きな色や夢などについての問題だった。
少し不安に思いつつも分かる内容のみ書き込んだ。彼は小説を1つだけしか読んでいなかったためである。彼はテストを回収し終えると点数の低さを叱責し、唯一満点だったハーマイオニーを褒め称えた
それはまだいい、イントロダクションを兼ねていたのだろうと思った。
問題は教科書が小説という点だ。闇の魔術に対抗するスペルなどはほとんど出てこない
教科書についてもまだ我慢できた。だが授業終わりに彼の神経を逆撫でる事が起きた。
授業終わりにウィルは彼の専門分野について幾つか質問をした。彼は意気揚々と答えてみせるがデタラメなことを繰り返し、それにこじつけて自分の小説の偉業を演説するかのように説明した。
ウィルが嫌うのは私利私欲にまみれた者、そして1番嫌いなのは自分の時間を奪う者である
彼はロックハートの武勇伝を途中で聞くのをやめて、この授業は教師が変わらない限り参加しない事を心に決めた。
彼はその足でマクゴナガルの元へ向かった。そして事情を説明した上で、授業を放棄するという事、そして【闇の防衛術】の期末テストで満点をとらなければ赤点でいいと一方的に宣言して立ち去った。
彼女は頭を抱えながらそれに対して否定も肯定もしなかった。それから彼は【闇の防衛術】の時間になるたび自習かスネイプの部屋に行き去年のハロウィンから続く手ほどきを受けるようになった。
【秘密の部屋編】がこの作品で後々に重要になる章の一つになります。そのためかなり無理も多いので、矛盾や分かりにくい点がありましたら感想欄でご指摘をお願い致します。