灰色の獅子【完結】 続編連載中 作:えのき
数ヶ月後
〜キングスクロス駅と9と4分の3番線発〜
“ホグワーツ魔法魔術学校行きの列車”
列車の中はホグワーツに在学している生徒だらけで大変賑やかな様子だった。休暇中での思い出話をする者、履修する科目や試験についての話や新入生へ学校について語る者。
そして4人掛けのコンパートメントの中に座っていた新入生は一人で本を読んでいた。同席していた仲間達はこの列車に乗っているという有名な新入生の所へ行ったため、比較的静かに本と向き合う事ができた。
優雅な自然の上を進む列車の景色など興味も示さず、ただ本の中身に没頭している少年はウィリアムである。机の上には本屋で買ってきた4、5冊の本が積み重ねられており、その横には読破した2冊が無造作に置かれている。
ウィルが読書にふけっているとコンパートメントの扉が勢いよく開いた。その音に驚く事なく視線をやると栗色で無造作にボサボサの髪をしている女の子がいる。
ウィルは栞を挟むと本を閉じて軽く笑みを浮かべて声をかける。
「やぁ知らない子だね、何か用かな?」
「えぇネビルのカエルを見なかった?」
カエルを一切見かけてないウィルは知らないと答えると、念の為に机の下を覗いて潜んでいないか確認をする。
「ここにはいないようだね。」
ウィルは女の子に対してそう答える。
(あいつらがいなくてよかった。)
もし同じコンパートメントにいた仲間達が残っていれば確実に話がこじれていただろうと思った。
彼女は魔法界でのパーティで見かけた事がないし、魔法をかければ一発で済むのに髪がとかされてない。おそらくマグル出身の新入生だろうと考えられたからである。
魔法使いこそが至高であり、マグルは魔法界から追い出すべきという思想を“純血主義”と言う。その思想を持っている仲間がいればマグルを穢れた血だと囃し立てるに違いなかったからである。
「同じ新入生の探し物を手伝うくらい心に余裕がある。そういう子は好きだ。」
ウィルは素直に女の子を褒める。その子は言われ慣れていないのか好きと言われた事で頬を染めた。どのような反応をすればいいのかがわからず棒立ちをしている。
「ウィリアムだ、ウィルって呼んでくれ。」
手を差し出すウィルの様子を見て、ただのスキンシップだと気づいた彼女は握手に応じながら口を開く。
「貴方も新入生よね?ハーマイオニー・グレンジャーよ。」
「あぁ、よろしくな。」
ハーマイオニーはウィルの読んでいた本の題名を見る。
「“守護魔法基礎”、それは教科書にはなかったはずだけど?」
「教科書はもう読み飽きてしまってね、だから書店で買ってきたんだ。」
「奇遇ね、私も教科書は全部暗記したわ。」
それからハーマイオニーは自分が気になった教科書の文献や資料について語り、それから自分がマグル出身で知らないことばかりで面白いのだと話した。
ウィルは一方的な話を聞かされ、心の中で一歩引いたがまるで興味があるかのように相槌をうちながら落ち着いたときに質問を投げかける。そして隙を見て自分の考えを少しずつ述べて会話のキャッチボールを成り立たせる。
周りの人に配慮して教科書を読み飽きたと言ったが彼も実は暗記済み、そして足りない点や補足点を家の書斎や図書館で補った。
ウィルは常に本を流すように読む癖がある。それは時間短縮の為だ。もちろん中身が頭に入ってこないというようなことはない。1度本を読めばおおよその内容を把握し、2度読めば完全に理解し、3度読めば完璧に暗記してしまう。
だからこそ彼女の気持ちが痛くわかる。詰まる所、自己承認欲求である。努力家にありがちなタイプだ。結果を求め過ぎる性格で、その良い結果を周りに自慢し認められる事を糧として更なる結果を求めるのだ。
ウィルは目上の人でなければ気に入らないことや不快な事があればすぐに言う性格だ。だが自然と自慢をしてしまう彼女に対して何も言わなかった。自分も幼少期に両親に褒められたくて努力をした記憶があるからだ。
たが話していくうちにウィルは彼女の知性に惹かれていくのに気づき2人は会話にのめり込んでいった。
ひと段落つくと、話題は寮の話になった。ホグワーツには4つの寮に分けられ、それぞれが特色のある生徒を固めて集団生活をさせる。
「貴方はレイブンクローが似合うと思うわ。とても勤勉で賢いもの、それに話していて飽きないわ。」
レイブンクローは知性をモットーとしている寮だ。叡智を重んじるため価値観の合わぬ者や知性に欠ける者を見下す傾向がある。ホグワーツでは塔に位置し、360°景色を見回すことができる。
「それは嬉しいね。でも僕の家はレイブンクローの家柄ではないからわからない。」
「へぇ、そうなの。私はレイブンクローかグリフィンドールに入りたいの。だからもし同じ寮になったらよろしくね。」
グリフィンドール、騎士道精神にあふれ信念を持つ。だが自身の意思が強過ぎて価値観を押し付けてしまうこともある。
「さて余談が過ぎたな、ネビルのカエルを探してくるといい。」
「それもそうね、楽しい時間だったわ。」
ウィルはハーマイオニーとの会話を素直に楽しめていた。普段彼が人と接する時は自然と会話のレベルを下げていたが、彼女に対しては自然体で接する事ができていた。とても有意義な時間でもっと続けたかったが、仲間達と鉢合わせるのは面倒だ。それにネビルとやらのカエルも見つかっているかもしれない。
「よかったらこれを持っていくといい。」
ウィルは自分が読み終えた2冊の本を彼女へ手渡す。その2冊は理解を終えたため別にいらなかった。でも1番の理由は入学後に彼女ともっと関わるためである。元から読み終えた本は捨てるか人にあげるつもりだった。どうせなら彼女にも読んで欲しいと思ったからだ。
受け取ったハーマイオニーはお礼を言い、借りるわねと返事をした。
「僕も手伝うべきだが連れの荷物を見ていなければならない。」
「それもそうね、じゃホグワーツでまた話しましょう。」
ハーマイオニーがウィルの読み終えた本を持ってコンパートメントから出て行くと、ものの数秒で扉が開いた。
3人組だ。先頭には銀髪で顎の鋭い男の子、その後ろに護衛のように立っているガタイのいい2人だ。ドラコとクラッブ、ゴイルである。
ドラコはウィルの隣に当然のようにドカッと座る。そして怪訝そうな顔をして口をあける。
「なんだい、あの子は?」
「頭のいい子だった。逃げた友人のカエルを探していたようだ。」
ハーマイオニーがここから出ていくところを見られたのは失態だった。それより早く帰しておかなければドラコに目をつけられてしまうとわかっていたのに、つい会話に夢中になってしまった。
それにどうやらドラコは機嫌が悪そうだ。彼女に八つ当たりをしていたかもしれない。
「なにがあったんだ?」
「ふん、ハリーポッターめ、僕が話しかけてやったのに。」
ウィルは矛先をハーマイオニーから逸らすために、ご機嫌斜めな理由を尋ねる。するとハリーがドラコを拒んだようだ。おそらく仲良くなりたいのに照れ隠しで高圧的な態度をとったのだろう。
「気品がないぞ、ドラコ。ここは世間だ。」
「うるさいウィル、ここには僕らしかいないだろ。」
ウィルとドラコは貴族的な教えを受けて育った。だからこそ感情を出すべきでない。常に冷静に淡々と物事を進めなければならない。年相応にドラコはまだ精神面が成熟していないらしい。
「だとしてもだ。クラッブ、怪我してるじゃないか。」
お菓子を食うのに夢中で返事をしない彼にウィルは杖を取り出し、何かに噛まれて血が出ている指へ杖を振ると傷が癒え血を拭けば何事もなかったような状態に戻してやった。
***
「イッチ年生!イッチ年生はこっち!」
まるで巨木のような男が大声をあげて一年生を自分の元へ集まるように声をあげている。
「おい、ウィル。ハグリッドだ。父上が言ってた。一種の召使いで野蛮人らしいぞ。」
「あぁ彼がそうか、まぁ噂だけどな。」
ドラコはまたか、というような顔をする。
「たまには僕の言うことも信用しろよ。」
「なに、誰だろうと僕は自分の目で判断するさ。」
ハグリッドは一年生が集まり終えると自分についてくるように伝え、険しく細い小道を進み始める。途中からホグワーツが見えた。大小さまざまな塔が並び、窓はキラキラときらめき湖に鏡のように反射している。
それから湖に停めてあった4人ずつボートに乗るよう指示が出たので、ウィル達はいつものメンバー同士で乗り込む。
ドラコはホグワーツの景色を良く見るために動くたび、ウィルは本が読みにくいと不満を述べた。
湖を渡りきると皆は陸へあがり、城の扉の前へと歩いた。全員が到着したのを確認するとハグリッドはホグワーツの扉を3度叩いた。
扉が開くとそこにはエメラルド色のローブを着た背の高い黒髪の魔女が現れる。背筋はピンと張っており、厳格そうな顔に眼鏡をかけている。
「マクゴナガル、変身学の先生だ。」
マクゴナガルはハグリッドから一年生を預かると扉をあける。そこには数百人の生徒が既に長い机に座っていた。そして歓声をあげて歓迎をしている。
彼女は一年生を引き連れて中へ入り、そして壇上の前で待機させると一列に並ぶように指示を出した。そして自分が壇上にあがると挨拶を始める。
「ホグワーツ入学おめでとう。新入生の歓迎会が間も無く始まりますが、皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。組み分けはとても大事な儀式です。」
側にいるドラコは聞き逃さないように真剣に聞いている他の生徒達をよそに余裕そうな表情をしている。自分達は事前に組分けの儀式について聞いてあった。
「ホグワーツにいる間、寮生が皆さんの家族のようなものになるわけですからね。寮は全部で4つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。」
すると壇上の中心にあった大きな椅子とそこに置かれている古びた帽子が歌い出した。内容は寮による特色についてだった。
グリフィンドールならば勇猛果敢で騎士道を重んじ、勇気ある者がいる寮
ハッフルパフならば忠実で忍耐強く苦労を苦労と思わない者のいる寮
レイブンクローならば意欲があれば機知と学びの友人を必ず得る寮
スリザリンならばどんな手段を使っても目的を遂げる狡猾さを持つ者の寮
帽子が歌い終えるとマクゴガナルはABCの順番で名前を呼ばれたら前へ1人ずつ出てくるように言った。帽子をかぶり椅子に座ることで組分けは進むと説明もする。
最初に呼ばれた子はハッフルパフに組分けされる。それからは次々と生徒が呼ばれ流れ作業のように組分けを進めていく。
ウィルは他人の寮などに興味はないので、自分の本の世界に入り込んでいた。聞き覚えのある名前を聞くまでは、
「グレンジャー・ハーマイオニー!」
その名を聞くとウィルは活字から目線を外し、壇上へと向ける。コンパートメントで会った女の子は走るように椅子に座ると、帽子は少し悩みつつ結論を出した。
「グリフィンドール!」
彼女は笑みを浮かべると帽子を脱ぎ、走ってグリフィンドールの生徒のいる机へ向かった。それからは自分の寮を待つ時間を有効に使うため本の世界へ戻った。
「マルフォイ・ドラコ!」
「じゃ、おさき。」
ウィルにそう囁くとドラコは名前を呼ばれると偉そうに前に進みでる。帽子は頭に触れるか触れない内に答えをだした。
「スリザリン!」
***
ハリーside
「マルフォイ・ドラコ!」
仕立屋とコンパートメントで会ったあの白い男の子だ。気取った話し方にロンに対して酷いことを言った。喧嘩になりそうだったけどロンのペットのネズミのスキャバーズが取り巻きの1人に噛み付いたおかげで大ごとにはならなかった。
「スリザリン!」
ハリーも納得したようだった。両親を殺し、自分の額に傷をつけたヴォルデモートを輩出したスリザリン。ロンも悪く言っていた。でも自分がそこへ選ばれたらどうしよう。
ハリーはスリザリンの生徒達をチラリと見る。他の寮に比べると、どうしても悪い人に見えてしまう。気のせいのように思いたい。
なぜか彼の言葉が心に刺さっていたからだ。
そういえば彼はまだ組み分けをみていない。それどころかオリバンダーの家で別れてから一度も見かけていない。ハリーは少し不安になってきた。ロンや顔見知りのハーマイオニーはとっくにグリフィンドールの机にいる。自分が知っている人はもう彼しかいないのに。
ハリーは心細かった。もしかしたら緊張し過ぎて見逃してしまったのかも。
「マルフォイ・ウィリアム!」
列の後ろの方から本をパンと勢いよく閉じる音が聞こえる。その音で騒がしかった広間が突然静寂に包まれる。そしてその姿を見た生徒や先生達は目を離せなくなった。
とても背が高くハンサムだからだ。右手には“上級守護魔法”の本がある。栞である黒いヒモを指でなぞりながら前へ進んでいる。
長い足でゆっくりと進み、後ろから見ると更にスタイルの良さが際立つ。ふわふわとした髪がなびく様子に目が離せなくなる。
我に帰った生徒達が次々と噂し始める。
「ねぇ呼ばれたわ、あの目立つ子。」
「なぁマルフォイって言ったよな?」
「双子か、似てないわね。」
「凄くセクシーだ。」
「あの子って留年でもしたのかしら、新入生には見えない。」
「“純血の王子様”か、どうせあの家の子はスリザリンだよ。」
ヒソヒソと陰口を叩かれることを気に止めず、壇上へあがると彼は微かに微笑んだ。ハリーは作り笑いだとすぐにわかった。彼はもっと無邪気に笑うと知ってる。だが周りはそうでもないみたいだ。さわやかな風が吹いたような、精神的なショックが心へ響いたようだった。それからはまた静かになった。
マクゴガナルは表情を1ミリも変えずにウィルの黒髪にそっと帽子をかぶせる。
***
ウィルside
(くだらない連中だ。)
ウィルはマルフォイという名前の意味を理解している。家は聖28一族という純血主義の名家である。その中でも有数の権力と地位を持つ家柄の長男なのだ。
教育という教育を捻じ込まれ、貴族のマナーとルールを叩き込まれた。ウィルはそれに応え、自慢の息子として有力者のパーティに出席したり、招待されたイベントなどでは父親の付き添いをさせられている。
それに対してドラコは長男でないため比較的自由に育てられている。正確には母親が溺愛しており危険な事やドラコの苦手なことを排除する傾向にある。不公平であるといえばそうだが、自分が家を継ぐ立場なのでやむを得ないと割り切っていた。
そんな彼は昔からマルフォイ家の御曹司として常に色眼鏡で見られていた。純血の名家の王子様、学業や魔法にも秀でている。容姿も良い彼には常に多くの見合いや名家同士での会食の申し出が絶えなかった。
また昔、父親が“例のあの人”の配下だった事から闇祓いからも警戒されている。街を出歩けば稀に監視の目があり、それに気がついてないふりをしなくてはならない。
だが彼はその環境に文句はない。なぜなら父親は自分を認めてくれていると確信しているからだ。厳しい教育を施すのは自分に期待しているからで、世間へ出してくれるのも失態を犯す子でないと考えているからだ。
むしろ彼にとって誇りのようなものだった。
だが彼にはしがらみが多過ぎる
だからこそ現実逃避もしたくなる
そして彼の唯一の楽しみが読書だった
本とは他人の人生をなぞること
想像の中で作者の人生を体験できる
ウィリアム・マルフォイでなく
ただの読者としてだ
自分の趣味がこうじてか
知識は同年代の誰よりも深くて広い
そして彼はそう遠くない未来に
世界へ問いかける
小さな身体に秘めた野望達は
世界に破滅か平穏かどちらをもたらす?
温め昇華するその日まで
彼は正しい選択を求め続ける
『ウィリアム・マルフォイ』
テレパシーのように組分け帽子はウィルへ語りかける。彼は驚きつつも脳内で、『ご機嫌よう、組み分けをお願いします』と返事をする。すると帽子は少し機嫌が良くなったようで饒舌に話し始める。
『“スリザリン”か“レイブンクロー”、キミの寮はこの2つのどちらかだ』
(そうですか、理由を伺っても?)
ウィルは興味が沸いたのか質問をする。自分の適正を見極めるのに良い機会だと考えたからである。
『まず最初に感じたのは知恵への探究心の高さ、そして結果を追い求める強い意志』
更に帽子は続ける。
『君は凡ゆる可能性に満ちている。スリザリンならば、その中の一つを完全に開花させるだろう。』
“君は偉大なる道を歩むことになる”
『また、君は凡ゆる知識を欲している。レイブンクローならば、その全てをおおよそ掌握するだろう。』
“君は数多の道を統べることになる”
『スリザリンかレイブンクロー、それが君の最適な道だ。』
少し腑に落ちない顔をするウィルに組分け帽子は選択を迫った。
『選びたまえ。“偉大なる道”か、“叡智への道”だ。』
ウィルは軽く溜息をつくとこう言い放った。
(僕はどちらでも構わない。)
帽子はその言葉を聞いて少し困った様子をする。2つの選択肢が選べないのではない。どちらも選ぶに値しない。つまり選択肢に魅力を感じていないのだ。名声を轟かせる事も万物の知恵も彼は望んでいないということだ。
『では質問をさせてくれ。まずはスリザリンだ、君は偉大になりたくないのかね?』
(偉大に……ね。あまり自分の力をひけらかすのは好きじゃない。)
帽子は2つの寮を深く掘り下げる事で適正を見極めようとする。
『謙虚な姿勢だ、ではレイブンクローは?全ての知識を得たいとは思わんかね?』
(僕は学びたいのではなく必要だからだ。興味ない事は遠慮したい。)
(僕はどこの寮でもいいさ、なんなら人数的に一番足りてないところでいい。)
ウィルは時間を取られていることに少し苛立ちを覚える。目立ちたくないし、早くこの本を読破したい。
『いやいや、そうはいかんよ。もう少し君を知るヒントをくれないか?なぜどこの寮でもいいのかね?』
(僕は僕だ、決して周りに流されることなく自分自身を保ってみせる。つまり僕にとって寮なんて、ただの寝床の場所だ。)
ウィルの言葉を聞いた組分け帽子はニヤリと笑い、結論を出すに至った。
『強き意志に強き信念、言葉の一つ一つには真実しか宿っていない。』
ウィルは深い意味なく生徒達を流すように眺めていた。前のめりになって自分の組み分けを待っているだけだ。
変わった子はいないかと探していると1人の生徒と目があった。栗色の髪の女の子である。
(ハーマイオニー・グレンジャー、寮に興味はないけど、彼女の知性には惹かれる。)
“もっと彼女と話してみたい”
『おぉ、それはちょうど良い。
若き魔法使いよ
ようこそ信念の道へ
君は君の進む道を貫くのだ。
ウィリアム・マルフォイ、君の寮は……』
「グリフィンドール!!!!」
帽子はそう叫ぶとグリフィンドールからは割れんばかりの歓声があがった。ウィルが自分の席へ向けて壇上から降りると、ハーマイオニーがウィンクをした。軽く笑みを浮かべ彼女の隣へ座った。その様子をドラコは複雑そうな視線を向け、スリザリンの寮監は鼻の筋をキュと摘んだ。