灰色の獅子【完結】 続編連載中 作:えのき
〜ホグワーツ大広間〜
ウィルが組分けを終えた後、まもなくハリーもグリフィンドールに選ばれた。ダンブルドアの魔法により机には豪華なイギリス料理が並んでいる。
ハリーは周囲から質問攻めにあっている。それとは対照的にウィルは周囲から距離を置かれていた。純血主義の名家として名高いマルフォイ家の長男のため、様子見をされているようだ。ウィルは都合がいいとばかりにハーマイオニーと授業について話していた。
ウィルはチキンをナイフで丁寧に切り分けているが、周りの生徒達はかぶりつく様に食べている。マルフォイ家でのマナーの教育が厳しかったのだと初めて気がついた。気にはなるが、自分に損失はないので別に構わないと思った。味の方は家より落ちるが十分に期待を上回るおいしさだったので満足する。
腹を満たしたころ、監督生に連れられて談話室へ案内してくれた。入り口と合言葉を知らされ、部屋割りを案内される。
ウィルの4人組の部屋でハリーと同室になった。ハリーは喜んでウィルにこれからよろしくねと握手を求められたので笑顔でそれに応じる、そして彼の後ろで複雑そうな様子で見守っている少年がいる。
赤毛で背が高くそばかすの男の子だ。
「もしかして、ウィーズリー家の?」
赤毛の子はビクッとして目を見開いた。どうやら当たりのようだ。
「ウィリアムだ、ウィルでいい。」
「その・・・マルフォイ家の子だよね?」
おどおどしているロンにウィルは少し苛立ちを覚えるも、その様子を一切顔に出さなかった。
「あぁ」
「ドラコ・マルフォイとは従兄弟かい?」
「いや、弟だ。」
どうやらハリーと同じコンパートメントにいて、ドラコと揉めたのかと勘ぐる。それにウィーズリー家とは犬猿の仲だ。警戒するのも当然だろう
「ねぇロン!ウィルは違う。凄く良い人だ」
「まるで弟が悪者のような言い草だ」
その言葉にハリーはビクッとバツが悪い顔をする。その様子を見てウィルはニヤニヤと意地悪そうな顔をする
「冗談だよ、ドラコは照れ屋でね。それに少しプライドが高いんだ」
根に持つタイプだから気をつけて、ウィルが笑顔でそう言うと部屋の入り口から人の気配がする。みると少し肥満気味で鈍そうな男の子がいる。
「やぁ君が最後の一人かい?ウィリアムだ。ウィルでいい。」
「あぁ、ネビル・ロングボトム」
「もしかしてカエルを見失った子かい?」
握手を交わし終えるとベットの場所を決めるジャンケンをした。1番目に勝ったウィルは入り口に近いという理由で手前のベッドを選ぶとネビルがひどく動揺したため、2番目の所に変更した。
後日、手前のベッドを確保したネビルがこっそり教えてくれたのだがトイレが間に合うようにする為らしい。
***
〜ホグワーツ大広間〜
ウィル達は寝坊することなく朝食にありついた。そして全員が集まった頃に沢山のフクロウがやってくる。それぞれが贈り物や新聞などを次々と生徒達へ届ける。
マルフォイ家も送ってきてくれる側の人間らしく、ウィルの元へ沢山のお菓子と手紙が贈られてきた。
「ん・・・父上からだ。」
「お父様?ウィルのお父様ってどんな人?」
隣でホットケーキを食べているハーマイオニーが無自覚に質問をするが周囲の空気が凍りついた。ウィルもそれを察する。
「とても厳格で教育熱心な人だよ。ホグワーツの理事をしている。」
ウィルは自分の父親が純血主義の塊のような人だとは言わず、なおかつ嘘を使わないで答えてみせる。
「ウィルって育ちが良さそうな気がしてたけど、お父様のおかげかしら?」
「あぁとても感謝しているよ」
ウィルは両親に心の底から感謝している。自分への教育やそのための環境づくりは理想だと思っている。その期待に応えないのは無礼だとさえ考える。
すぐに中身を読もうとするが、名前の上に小さく“
ウィルの父親、ルシウスはホグワーツの理事をしている。ならば息子の入った寮など連絡しなくても耳に入るだろう。
ウィルは自分の好むお菓子だけとると、残りはハーマイオニーに渡す。食べきれないなら周りにあげてくれと伝えて自分の部屋へ戻った。
***
〜親愛なるウィリアムへ〜
お前の寮はドラコから聞いた。
最初は少し失望したが
ドラコが手紙で言っていた
寮は違ってもウィルはウィルだと
確かにその通り、
学業において寮は無関係だ。
首席を取ってこい。
P.S.ハリーポッターと深い信頼関係を結べ
〜ルシウス・マルフォイ〜
***
「ふぅ、ドラコには感謝だな。“
手紙を燃やし尽くすとウィルはドラコに貸しを作ってしまったと思った。思いのほか父上は気にしていないようだし、首席を取れば満足するだろう。それはとても簡単な事だ。
ハリーと仲良くなれと書かれていたが、それ程度のミッションでいいのだろうか。
“なんなら
だが今年度は教師陣でいい、この世代は“ウィリアム・マルフォイの学年”と呼ばせてやる。